敏感だから嗅ぎ分けることができる
犬が人にペットとして飼われる前は、獲物を狩って生活していました。そのため獲物の匂いを嗅ぎ分け、その獲物までたどり着くために嗅覚がとても発達しました。
人は目で物事を判断するため視覚が発達しました。目で見た物を脳に記憶しますが、犬の場合はそれを鼻で判断し記憶します。嗅球と呼ばれる神経細胞のかたまりがあり、匂いを解読し記憶しておくことができます。そして複数に混じり合った匂いの中から、目的の匂いだけを嗅ぎ分けることができる能力もあります。
この嗅覚の鋭さを利用して、仕事で活躍しているのが警察犬などです。
特別な仕事をする犬たち
警察犬
警察犬は犯人の追跡や、家出人や行方不明者の捜索を行います。
探したい人の遺留品があればその匂いを記憶し、かすかに残された匂いをたどっていきます。匂いを記憶しているので、たくさんある足跡の中から探したい人の匂いだけを嗅ぎ分け追跡することができます。
麻薬探知犬
麻薬探知犬は、空港や港などで密輸入を防止するために働きます。麻薬の匂いを覚え、匂いがすればパートナーに教えるようにトレーニングされています。大量の荷物を1つ1つ匂いを嗅いでチェックします。仕事というより獲物を見つけようと遊んでいる感覚で楽しんでやっているようです。麻薬を見つけるとパートナーに褒めてもらえるからです。
災害救助犬
災害救助犬は、災害時にがれきに埋もれて身動きがとれず、助けを待っている人を嗅覚を使って探し出し、パートナーに知らせます。生きているすべての人を見つけるようにトレーニングされています。
これらの特別な仕事をするには、厳しいトレーニングと試験に合格し、認定されることで仕事をすることができます。
がん探知犬
他にも嗅覚の能力を人の役に立てられるんじゃないかと、いろいろ研究されており、実用しているものもあります。その中の1つにがん探知犬があります。
がん探知犬はがんを見つけるのが仕事です。がんにも匂いがありその匂いを犬が嗅ぎ分けることで、がんの早期発見につなげることを目的としてトレーニングされています。がん探知犬が初めて医学誌で報告されたのが1989年と最近のことでまだ認知度は低いですが、世界的に注目されはじめています。がん細胞には特有な代謝がありそこで生じる匂いに犬は反応しているのではないかと考えられています。まだ研究の段階ですが、犬のがんを発見する能力は機械より精度が高く、がんの進行度によっては機械では発見されないような初期の段階のがんまで嗅ぎわけることができるそうです。
子宮がん、卵巣がん、乳がん、胃がんなどは研究結果が出ていますが、他のがんに関しては実験段階でまだ実用までに時間はかかりそうですが、期待ができる研究ですが、課題もあります。犬が1つ1つ嗅ぎ分けていくため、1日に検査ができる回数が限られてくることや、育成するための時間やコストがかかることです。
しかし、自覚症状がない早期のがんさえも発見する能力は驚異的なことです。研究を進めることで犬が嗅ぎ分けているにおい物質を特定することができれば、早期発見の技術につなげることができると考えられています。
匂いでいろいろな情報を知る
犬同士の情報交換にも嗅覚が役に立ちます。年齢、性別、健康状態、メスが発情期なのかまで匂いで分かってしまいます。犬の肛門付近には、肛門腺という分泌組織があります。肛門腺は個人情報が強く出ているところなので、相手のお尻の匂いを嗅ぐのは、その犬のことをもっと知ろうとするためです。
まとめ
犬が優れた嗅覚を用い、いろいろな情報を得ていることがわかりました。
得意分野を活かし、人のために頑張る働くワンちゃんたちの姿にこれからも注目したいです。
– おすすめ記事 –
・「県警初!小型警察犬「アンズ」とはいったいどんなわんちゃん?」 |
・検疫探知犬ってなに? |
・嗅覚だけじゃない?犬が持つ「特殊能力」とは |
・日本で2頭!ファシリティドッグとは? |