犬も紫外線で肌トラブルが起きるって本当?
人間でいうと、肌の色が濃くなったり、皮膚がヒリヒリしたり、皮が剥けてしまったりする日焼け。
これは、紫外線を受けた皮膚が炎症を起こして現れる現象なのです。
一見、全身を被毛で覆われた犬にとっては無縁と感じるかもしれませんが、犬も同様、紫外線の影響を受けてしまうので、適切な対策や肌ケアが必要となります。
特に、被毛の色素が薄い犬種や、短毛、毛の無い犬種は要注意です。
毛量が多かったり、長毛の犬種であれば、そこまで大きく紫外線の影響を受けることはありませんが、中には全犬種が影響を受ける可能性の高い体の部位もあります。
●犬が日焼けをしやすい部分
犬の身体で紫外線の影響を受けやすい部分は以下の部位といわれています。
・耳の先
・まぶた
・鼻
・口周り
・下腹部
このように人間同様、太陽光が当たりやすい部分や被毛の無い部分が日焼けをしやすいといえます。
中でも鼻は、全ての犬種において紫外線の影響を受けやすいので、注意しなければいけない部分といえるでしょう。
日焼けによる肌の炎症が収まったら、皮膚を守る為のメラニン色素が産生されます。
これが皮膚に色素沈着を起こすのですが、日焼けを繰り返す内に鼻先が茶色っぽく色素沈着を起こして、年々色が濃くなっていく犬もいるそうです。
色素沈着自体は加齢によるものもあり特に心配ありませんが、日焼けにより皮膚が炎症を起こしたり、皮膚病になる可能性もあるため注意が必要です。
また皮膚だけでなく、被毛自体にも紫外線の影響は出ます。
人間の髪の毛が日焼けをするように、犬にも同じことがいえるのです。被毛を傷めないように適切な対策やケアが必要となってきます。
●犬の日焼けの種類
犬の日焼けは、皮膚の損傷の度合いによって大きく以下の3種類に分けられているそうです。
①表皮の日焼け
損傷が表皮だけに留まった状態で、毛の有無に関わらず、皮膚に赤みをおびます。
②真皮の日焼け
真皮上層から少し深い部分に損傷が及ぶ状態です。皮膚が赤くなり、奥の層までみえる場合もあります。
③皮膚全層の日焼け
皮膚層の奥深く、または皮下組織にまで損傷が達した状態です。明確な不快感や痛みを伴う、深刻な状態といえます。
犬の場合、人間の様に皮膚が小麦色に焼けるということはありませが、様々な肌トラブルが発生したり、不快感を感じるという点は同じです。
肌の炎症が深刻な状況に陥れば、獣医さんの診察が必要となったり、肌の病気を招くこともあるのです。
軽度の炎症ですぐに収まれば問題はありませんが、日光に敏感な子が重度の皮膚炎を起こす「日光過敏症(日光性皮膚炎)」と呼ばれる症状もあります。この場合、適切な治療が必要となるので予備知識として覚えておきましょう。
◎日光過敏症(日光性皮膚炎)
強い紫外線に当たることで、皮膚炎を発症する病気です。特に鼻の上部に炎症が起きやすいとされています。コリー、シェットランド・シープドッグなどの犬種に起こりやすいので、コリーノーズとも呼ばれています。
【症状】
初めは皮膚に赤みがでる程度ですが、次第に脱毛・フケ・かゆみが発生します。更に行すると、色素沈着や腫れ、潰瘍ができ、慢性化して重度となればガンになるケースもあります。
患部に強い不快感を感じる為、愛犬が自分で掻いたり舐め壊してしまわないように注意が必要です。
【原因】
紫外線が原因と考えられていますが、詳しい発症の仕組みは分かっておらず、遺伝的要素が原因の一つとも考えられているそうです。
【治療法】
治療は、皮膚の症状により抗炎症剤・抗生剤などの投与を行います。症状の進行によりガンの疑いがある場合は、早い段階で外科的切除が行なわれることも。
日光性皮膚炎は発症すれば再発しやすい病気であり、完治は困難といわれています。
獣医さんの指示に従って肌ケアを行ったり、日常的に可能な限り紫外線を避ける生活を心掛ける必要があります。
愛犬に重度の皮膚炎が起きていなくとも、紫外線は確実に犬の皮膚や被毛にダメージを与えています。様々な皮膚トラブルを予防する為に、飼い主さんがしてあげられる対策方法を覚えておきましょう。
犬の日焼け対策法
人間が行なう日焼け対策として初めに思い浮かぶのは、日焼け止めですよね。現代では様々な紫外線対策グッズが流通しており、勿論、犬用のアイテムも増えてきています。
また、愛犬を紫外線から守る方法には、人間が行なう対策と同様のものもありますので、是非チェックしてみて下さい。
<対策①アイテムを駆使する>
◎犬用の日焼け止め
スプレータイプや、ウェットティッシュタイプのアイテムがあります。肌ケアに特化したものや、鼻や口周りに塗れるタイプもあります。暑い日の外出やお散歩に出掛ける前に使用しましょう。
日焼け止め効果のあるコンディショナーもあります。日頃のシャンプーに使用すれば、日常的な日焼け対策にもなります。
愛犬に適したアイテムを選択してください。
◎UV加工の服
衣類で身体を日差しから守るのも大切です。UV加工されている服なら効果も大きいです。服を着せることで直射日光だけでなく、蚊やダニ・ノミなどの害虫から愛犬を守ることもできます。
ただし、その日の気温や愛犬の体質によって、身に付ける素材や通気性には注意をしましょう。
◎UVカット機能あるカーテン
室内でも紫外線に注意が必要です。使用しているカーテンを、UVカット機能を持った素材に切り替えれば、愛犬が窓辺にいても安心できますね。飼い主さんも同時に、紫外線から肌を守ることができます。
<対策②散歩の時間に注意する>
紫外線を防ぐアイテムの使用も大切ですが、いってしまえば紫外線を浴びないことが、最も効果的な日焼け対策となります。
しかしそれは、限りなく不可能に近い話ですよね。太陽光を浴びることは健康にも繋がりますし、散歩は犬にとって必要不可欠なものです。
であれば、飼い主さんがしてあげられることは、散歩の時間に注意するということです。
地域によって多少の違いはありますが、紫外線が強い時間帯はだいたい10時~16時頃といわれています。この時間帯の散歩を避けることが重要です。
日焼け対策と同時に熱中症の予防にもなりますし、アスファルトの熱から肉球を守ることにも繋がります。
可能であれば、早朝または夕方から夜間の散歩を心掛けてください。
<対策③サマーカットに注意する>
夏の時期にしてしまいがちなサマーカット。確かに見た目は涼しそうですよね。
しかし被毛には、紫外線から皮膚や身体を守る役割があったり、太陽光の熱が直接身体に伝わらないよう抑える働きがあります。あまりにも短く丸刈りのようなサマーカットを選択してしまうと、皮膚へ大きなダメージをもたらし、日焼けをしてしまう場合も考えられます。
カットスタイルによって涼しさを得られる場合もありますが、極端に被毛を短くすることは避けましょう。外見が涼しそうに見えても、愛犬は暑さを感じているかもしれませんよ。
ダメージを受けた肌のケアはどうすればいい?
様々な日焼け対策を行っても、紫外線から100%身を守ることはなかなか難しいことといえます。
それでは、もし愛犬が日焼けをした場合、どうしたらよいのでしょうか。
●犬用の肌ケア用品がオススメ
健康的な被毛を保つためには肌ケアが必要だったり、症状によっては病院へ連れていくかの判断が必要な場合もあります。
深刻な状況でなければ、市販の肌ケアができる商品を使うのも良いと思います。前述で紹介した通り、日焼け止めアイテムには同時に肌や被毛のケアができる商品もあります。
ただ、愛犬が日焼けをしやすい、肌が弱いと感じている場合は、一度獣医さんに相談してみると良いでしょう。
もし、皮膚が明らかに赤くなっていたり、元気が無く、痛そうにしている様子が見られた場合は、必ず病院へ連れて行ってあげてください。
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●症状が深刻な場合は動物病院へ
動物病院では、症状や獣医さんの治療方針によって対応・処置の違いはありますが、前述した日焼けの分類ごとに治療法の一例を紹介しておきます。
まず表皮の日焼けの場合、患部の毛を剃り消毒をした後、塗り薬で保護します。基本的には処置後に自宅でのケアが指導されることになるでしょう。
真皮の日焼けの場合は、表皮の日焼けと同様に、患部の毛剃り・消毒・塗り薬での保護が行なわれますが、更に水分・電解質を補うための点滴が必要となります。患部を包帯で保護し、清潔を保つ為に毎日取り替えられるので、愛犬は入院をすることになるでしょう。もし、皮膚の15%が日焼けによって損傷していた場合は、皮膚移植を提案される可能性もあります。
皮膚全層の日焼けは、そう簡単に起こるケースではありません。ただし、このレベルの日焼けに達してしまった場合は、長期にわたって、集中的な治療が必要となります。治療法はその都度、症状や状態によって変わってきます。起こる可能性は低いとはいえ、ゼロではありません。念のため頭に入れておきましょう。
日頃から愛犬の肌ケアを大切に
たかが日焼けと軽く考えないでください。愛犬に痛い思いはさせたくないですよね。
日頃から散歩や外出の際は、日焼け止めの使用や衣服の着用をする、紫外線の少ない時間帯に出掛けるなどの日焼け対策を怠らないようにしましょう。
また、こまめな肌ケアも重要です。愛犬に適したアイテムを選んで肌ケアを行うことが、被毛のキューティクルを守る効果的な方法でもあります。
今年の夏は、是非飼い主さんも一緒に、愛犬と日焼け対策・肌ケアに取り組んでみてください。
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