【獣医師監修】犬の金属アレルギーって?原因や対策方法、治療法は?

2018.10.12

【獣医師監修】犬の金属アレルギーって?原因や対策方法、治療法は?

犬の皮膚トラブルの一つに、金属に反応して湿疹などの皮膚トラブルを起こす「金属アレルギー」があります。犬の金属アレルギーは、ステンレスの食器や首輪、ハーネスの留め具などが原因のことが多いです。金属アレルギーを起こした犬は、痒み、湿疹、脱毛、脂漏症、嘔吐下痢、呼吸困難などの症状を起こし、失神を起こすこともあります。 犬の金属アレルギーの原因や症状、治療法について、詳しくご紹介します。

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犬の湿疹などの原因は「金属アレルギー」かも?

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◆皮膚トラブルを生む「接触アレルギー」

犬の皮膚トラブルには、湿疹や発疹など様々なものがあります。その原因の一つに、何か原因と思われる物質に触れた事による「接触アレルギー」があります。

土や植物、繊維(綿、化学繊維、ナイロンなど)、薬品、シャンプー・リンスなどの他に、金属も原因物質として認識されています。この金属に反応して、犬が湿疹などの皮膚トラブルを起こすことを「金属アレルギー」と言います。

犬の湿疹などの原因は、金属アレルギーの可能性があるということです。

◆犬の金属アレルギーはステンレス食器や首輪が原因?

犬の金属アレルギーと聞いても、「金属には触れさせていない」と感じる方が多いのではないでしょうか。

犬の身近にある金属で多いものは、ステンレス製の食器や首輪、ハーネスなどの留め具金具です。また、サークルやケージに使われている金属に反応するケースもあります。

金属アレルギーは、金や銀、チタンやジルコニウムなどの純度の高い金属では発生しにくいと言われています。逆に、合金やメッキ加工はアレルギーを引き起こしやすいです。

犬の首輪などの留め具やDカン、抑留するチェーンなどは、錆び防止のためにメッキ加工をしてあることが多いです。そのため、犬のグッズは比較的金属アレルギーを起こしやすい金属が使用されています。

◆犬の金属アレルギーが起きる仕組み

犬の金属アレルギーは、金属から溶け出した「金属イオン」によって起こります。
金属イオンが、犬のタンパク質と結合すると、アレルギーを起こすアレルゲンへと変化します。そのアレルゲンによって、犬は金属アレルギーを起こすのです。


金属アレルギーを発症しやすい犬種は?

金属アレルギーを発症しやすい犬種はいるのでしょうか。

それは、遺伝性の皮膚疾患になりやすいという遺伝子を持つ犬種です。シーズーパグ柴犬ゴールデンレトリバーなどが代表的な犬種です。

また、短頭種と呼ばれる鼻先から口にかけてのマズルが短い種類の犬も、接触性のアレルギーを起こしやすいと言われています。

これは、マズルが短く食器や留め具などの金具に接する顔の面積が広いため、広範囲に影響が出ることと、気管支にも影響が出やすいためです。

主にフレンチブルドッグブルドッグなどがあたります。


犬の金属アレルギーの症状は?

犬の金属アレルギーの症状には、どんなものがあるのでしょうか。確認してみましょう。

◆痒み

一番多い症状が、金属(金属イオン)と接触した箇所の痒みです。

原因が食器の場合には、犬の口や鼻先などに痒みなどの症状が出ます。また、原因が首輪の場合には首に、ハーネスの場合には胴部に症状が出ることが一般的です。

◆湿疹

犬は全身を毛に覆われているため気付かれにくいですが、湿疹も代表的な症状です。アレルギーを起こす原因物質(金属イオン)と触れ、炎症を起こした皮膚がかぶれを起こしたことにより湿疹が起こります。

湿疹は痒みを伴うものが多いです。

◆脱毛

皮膚の痒みを掻きむしったり、舐め壊すことで脱毛が起こる場合もあります。毛に隠れた湿疹に気付かず、処置が遅れ、脱毛が起こってから症状に気付く場合も少なくありません。

脱毛は、原因が改善されると完治することが多いです。

◆目やに、涙

目の周りに炎症が起きた場合には、目やにや涙といった症状も出ます。

目やにや涙は気になる犬が多い様で、前肢などで目をこすり傷つけてしまうことがとても多いです。中には結膜炎や角膜炎、潰瘍などの重篤な症状を引き起こすこともあります。

◆脂漏症

アレルギー症状が長引くと、皮膚の新陳代謝異常やホルモン分泌以上を起こすことが多いです。そこで引き起こされる症状が「脂漏症」です。

脂漏症では、皮膚がベタベタと脂っぽくなる、皮膚の角質化、フケの増加などが見られます。

完治には時間がかかることも多く、持病として長く付き合う犬も多い皮膚病の一つです。

◆外耳炎

耳にアレルギー反応が出た場合、犬は後肢で耳をしきりに掻いたり、首を左右にブルブルと振るなどの症状を起こします。この痒みからひっかき傷になったり、耳血腫を起こしたりすることも多いです。

痒みの箇所を掻くことで、耳介の皮膚と軟骨の間に内出血が起こり、腫れてしまうこともあります。
柔道をしている人間の「餃子耳」と同じ状態にあたり、犬の場合はその都度注射シリンジと注射針で溜まっている血液を抜く処置などを施します。

◆嘔吐、下痢

金属に接触した場合に起こる接触アレルギーではなく、何らかの原因で体内に金属イオンを取り込んでしまった場合、嘔吐や下痢などの消化器系症状を起こします。

嘔吐や下痢は、繰り返すと脱水を起こす事も多いですので、危険なサインと言えます。

◆呼吸困難、チアノーゼ(酸欠)

体内に金属アレルギーを起こした場合には、気管支などに腫れが起こる事があります。その腫れによって空気が通る管が狭まり、呼吸困難を起こすことが多いです。

呼吸困難になると、チアノーゼや痙攣などを起こし、最終的に失神や死に至る事もあります。


犬の金属アレルギーの治療方法は?

犬の金属アレルギーの治療方法には、どのようなものがあるのでしょうか。確認してみましょう。

◆原因と思われる金属製品の使用をやめる

物理的に原因物質を遠ざける治療方法です。金属製の食器をプラスチックに変える、チェーンのリードを布製に変えるなど、金属ではない素材の同様製品を使用するようにします。

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◆内服薬を服用する

内服薬での治療では、主に副腎皮質ホルモン(ステロイド)や抗ヒスタミン剤が使用されます。

しかしながら、アレルギー症状は原因を取り除かない限り根本解決にはなりません。原因を取り除くことが無いまま内服治療を行っている場合には、薬の内服をやめた途端に再発ということもあります。

◆外用薬を服用する

主に痒みを抑えるために外用薬が処方されることが多いです。副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)や抗ヒスタミン剤など、症状に合わせて処方された外用薬を塗るようにしましょう。

◆薬浴する

薬浴とは、薬用シャンプーを使って皮膚や被毛の症状を改善させる治療方法です。犬や猫など、被毛で全身が覆われている生き物にはよく用いられる方法になります。

薬浴では、薬用シャンプーをお湯で希釈し、よく泡立てて皮膚に塗布し時間を置いて流すという方法を用います。繰り替えすことで皮膚の状態改善をしていくことができる治療法です。


犬の金属アレルギーの対策方法は?

犬を金属アレルギーにさせないための対策方法にはどんなものがあるのでしょうか。確認してみましょう。

◆メッキ加工製品を避ける

アレルギーを起こしやすいメッキ製品を避けることも、対策方法の一つです。プラスチック製品を使う、金や銀製の製品を使うなど、別の素材で作られたものを代替品として使用すると良いでしょう。

◆服を着る

犬に服を着せることで、金属などのアレルギーの原因となる物質に直接触れることが無くなります。散歩の際に付着しても、帰宅時に洋服を脱がせれば問題ありませんので、簡単に外出時の対策をすることができます。

◆アレルギー検査を受ける

血液検査をすることで、アレルギーの原因となるアレルゲン物質を特定することが出来ます。

ただし、検査項目に全ての金属が入っている訳ではないため、特定には至らないことも有り得ます。
原因物質の疑いがあるものについては、獣医師と相談のうえで検査項目に予め入れておくことをおすすめします。

犬の血液検査は、毎年春に行われるフィラリア予防薬処方の際の血液検査と同時に行うと、手間も犬への負担も無く済ませることができます。

◆皮膚のバリア機能を高める

日頃から、皮膚の状態を良くしてバリア機能を高めることも良い対策方法の一つです。

・定期的にシャンプーを行う
・毎日ブラッシングをして、毛玉や毛のもつれを防ぐ
・皮膚のチェックなども欠かさず行う
・皮膚の健康を保つサプリメントを飲む

など、様々な方法がありますので生活の中に取り入れる様にしましょう。

◆身体の免疫力を上げる

毎日の散歩や運動、食事から身体の免疫力を上げることを心がけることも、良い対策方法の一つです。毎日決まった時間にカーテンを開け、決まった時間に閉じるという1日のリズムを体感させることも良いでしょう。

免疫力アップに繋がる食事は、専用食や処方食を利用すると簡単に取り入れることができます。

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犬の金属アレルギーは避けることで解決!身体と皮膚の健康を保ち、予防に務めましょう。

今回の記事では、犬の金属アレルギーについて、詳しくご紹介しました。

金属アレルギーを起こした犬は、痒み、湿疹、脱毛、脂漏症、嘔吐下痢、呼吸困難などの症状を起こし、失神を起こすこともあります。治療には薬剤や薬用シャンプーが用いられますが、根気強い治療が必要となり、治療も長期化しがちです。

金属アレルギーの発症の対策として、普段から免疫力を高めたり、皮膚のバリア機能を強化する取り組みをしてみましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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St.Elmos

動物看護士、トリマー、愛玩飼養管理士などの資格を持っています。 家族の一員としてのワンちゃんネコちゃんにまつわる情報をお伝えできればと思います。

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