【獣医師監修】フロントラインスプレーの効果・使用方法は?愛犬をノミやマダニから守ろう

2019.10.08

【獣医師監修】フロントラインスプレーの効果・使用方法は?愛犬をノミやマダニから守ろう

愛犬のお散歩中に気になるのはノミやマダニ。うれしそうにズンズン草むらの中に入っていくと、とっても心配になってしまいます。しかも一度付くと駆除するのが大変です。 そんな飼い主さんのお悩みを解決してくれるのが、"フロントライン"です!お散歩大好きな愛犬の心強い味方、フロントラインにスプレータイプがあるのをご存知ですか?こちらでは、フロントラインスプレータイプの特徴や使い方についてご説明させていただきます。 かゆみのストレスや、ノミ・マダニを媒介してかかる病気から愛犬を守りましょう!

【目次】
1.フロントラインとは?

2.ノミ・マダニに寄生された時の症状
 2-1.ノミ
 2-1.マダニ

3.スプレータイプのフロントラインの特徴
 3-1.より優れた即効性で、ノミ・マダニをスピーディに駆除。愛犬の体表に噴霧して駆除するスプレー式
 3-2.ノミの産卵前に駆除することでライフサイクルを遮断。定期的な継続使用で家庭環境中のノミを清浄化
 3-3.寄生したマダニを約48時間以内にほとんど駆除
 3-4.シャンプーや水浴びの影響はほぼゼロ
 3-5.ノミ・マダニのみに強く作用し、犬や猫、人間にはやさしく安全

4.スプレータイプのフロントラインの使用方法

5.スプレータイプのフロントラインを使う際の注意点

6.まとめ

フロントラインとは?

豆柴の顔

突然ですが、愛犬家のみなさんは フロントラインを使用したことはありますか?

だんだんと暖かくなってくる4月、動物病院に行くとフロントラインをおすすめする広告などを目にする機会があるのではないでしょうか。愛犬の健康管理のために、獣医師から推奨される場合もあります。

フロントラインとは、愛犬をノミ・マダニ・シラミの寄生から守ってくれる動物医薬品です。ホームセンターやペットショップでは販売されておらず、動物病院での処方、または、動物用医薬品の販売許可を得たネットショップでの購入になります。

ノミやマダニが活発に活動するようになる気温は13℃といわれていて、フロントラインの使用期間の目安は4月~11月です。
地域によっては前後する可能性もありますので、獣医師の指示に従って予防しましょう。


ノミ・マダニに寄生された時の症状

ノミ・マダニは普段はひっそりと草むらに潜んでいて、犬が近づいて来るのをじっと待っています。そして犬が通りすぎるときに体に飛び移って寄生します。

では、ノミ・マダニが愛犬に寄生することで、どのような被害や病気をもたらすのでしょうか。

◆ノミ

ノミのイラスト

ノミは犬の被毛の中にひそんで、吸血しながら寄生します。体長は2ミリととても小さく、ピョンピョン飛び回って動きがかなり素早いので、見つけるのがとても難しいです。

ノミに吸血されると、以下のような症状がみられます。

①貧血
ノミ1匹であれば吸血する量は少ないですが、大量に寄生してしまうと貧血を起こす可能性があります。

特に小型犬や子犬、シニア犬は注意が必要です。

②皮膚炎
ノミに刺されると、ものすごいかゆみに襲われます。そのため、体を掻きむしって皮膚炎を起こしたり、ひどい場合には化膿したりすることもあります。

また、ノミに何度も吸血されることでアレルギー症状を引き起こしてしまいます。一旦駆除しても、またその後に寄生し吸血されると、ひどいアレルギー性皮膚炎を起こします。

症状が出やすい箇所は、腰の辺りからしっぽの付け根付近に多く見られます。

③瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)
瓜実条虫は別名「サナダムシ」と呼ばれる寄生虫です。

以下のように愛犬に感染します。

ノミ(幼虫)がサナダムシの卵を食べる

サナダムシがノミの体内で成長する

犬がグルーミング中に、そのノミ(成虫)を食べる

サナダムシが犬の小腸に寄生

愛犬のうんちや肛門周りに、米粒のような白い片節が付着することで飼い主さんが気付きます。サナダムシの体はこの片節がいくつも連なって出来ており、体長はおよそ50cmと、かなり大きくなります。

無症状であることがほとんどですが、重症化すると下痢をしたり体重が減少したりします。特に子犬が感染すると、ひどい下痢を引き起こすことが多いです。

◆マダニ

マダニのイラスト

マダニに気を付けなければいけないのは、春だけではありません。春に見かける真っ黒なマダニとはまた別の、幼ダニ・若ダニと呼ばれる小さくて茶色いマダニは、秋になるとよく見られます。

マダニは犬の体に飛び移ると、すぐに噛みつくわけではありません。耳、瞼、鼻周り、パッドの間、脇の下など、やわらかい場所を好んで探し周ります。

では、マダニの場合はどのような症状がみられるのでしょうか。

①貧血
ノミの場合と同様に、大量に寄生し吸血されると貧血を引き起こします。

②皮膚炎
マダニの唾液成分が愛犬のアレルギーを引き起こす場合があります。アレルギー性皮膚炎となって、かゆみのストレスの原因になります。

また、マダニが噛みついているのを見つけても、絶対に引っ張らないでください。無理に引っ張ってしまうと、口先だけが皮膚の中に残ってしまい、炎症や化膿の原因になってしまうからです。

マダニを見つけた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

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③バベシア症
バベシア症とは、マダニの体内に潜んでいるバベシア原虫が、マダニの吸血の際に犬の赤血球に寄生することで引き起こされます。

このバベシア原虫は赤血球を破壊するため、重度の貧血になります。その他の症状としては、発熱、瞼の内側や口の中を見ると血色感がなく青白い、茶色または赤みがかったおしっこが出るなどです。

そのまま放置し重症化すると、多臓器不全や黄疸といった症状が出て、命を落とす危険性があります。

ノミ・マダニは体こそはとても小さいですが、愛犬を命の危険に晒すほど、とても恐ろしい生き物です。普段は外に出ない犬でも、飼い主さんが外からノミ・マダニを連れてきてしまうことだってあるんです。


スプレータイプのフロントラインの特徴

動物病院

ノミ・マダニの危険から愛犬を守ってくれるフロントラインには、タイプが2種類あります。愛犬の首のうしろに滴下するスポットタイプと、これからご紹介するスプレータイプです。

フロントラインスプレータイプは、即効性と持続性に優れたおすすめの商品です。
1回の投与でノミには最長で3ヶ月、マダニには1ヶ月効果が持続します。

では、そんな優れた効果を発揮してくれるフロントラインスプレータイプの特徴をご説明させていただきます。

フロントラインスプレーの概要として、以下のように提示されています。

◆より優れた即効性で、ノミ・マダニをスピーディに駆除。愛犬の体表に噴霧して駆除するスプレー式

フロントラインスプレーの有効成分”フィプロニル”は、愛犬の体内にほとんど吸収されずに体表にとどまります。

ノミ・マダニが愛犬の体に飛び移ると、フロントラインの殺虫成分がノミ・マダニに効いて、咬まれる前に駆除してくれます。

◆ノミの産卵前に駆除することでライフサイクルを遮断。定期的な継続使用で家庭環境中のノミを清浄化

はじめにお伝えしましたが、ノミは気温が13℃あれば活動できます。冬の寒い時期でも、家の中は暖房が効いていて生き永らえることが可能です。

ノミは、犬に寄生してから24~28時間後に産卵すると言われています。フロントラインスプレー投与後24時間以内に、寄生しているノミをほとんど駆除することが可能です。

産卵前に駆除することでノミのライフサイクルを遮断し、万が一家の中に侵入してしまったとしても、フロントラインがあれば安心です。

◆寄生したマダニを約48時間以内にほとんど駆除

バベシアなどのマダニを媒介する病原体は、マダニが吸血をはじめて48時間以降に、感染の危険性が高まると言われています。

フロントラインスプレーは、噴霧後48時間以内に寄生しているマダニのほとんどを駆除できるので、マダニを媒介した病気に感染する危険性を抑えることができます。

◆シャンプーや水浴びの影響はほぼゼロ

フロントラインスプレー投与後、成分は犬のからだ表面の脂分に溶けて広がります。その後は皮脂線という皮脂を分泌する袋に蓄えられ、そこから徐々に皮脂と共に皮膚や皮毛上に放出されます。

このことにより長期間の持続効果が得られ、シャンプーや水浴、さらには雨、雪の影響もほとんど受けないのです。

◆ノミ・マダニのみに強く作用し、犬や猫、人間にはやさしく安全

フロントラインの有効成分は、ノミ・マダニの中枢神経のみに作用するものです。
小さなお子さんがいるご家庭や、犬以外の他のペットを飼っている場合でも、安心して使用できるのがうれしいですね。

注)但し、お子様や愛犬が、直接舐めないように気を付けましょう。


スプレータイプのフロントラインの使用方法

フロントラインスプレータイプは、生後2日齢から使用可能です。

使用方法は以下のとおりです。

  1. ゴム手袋を装着し、屋外または換気のよい場所に移動します。
  2. 犬が動かないように体を保定します。
  3. 毛を逆立て根元が見える状態にし、体から10~20cm離したら、しっかり根元が湿るまでスプレーします。このとき、噴霧し忘れ箇所がないよう、全身にまんべんなく投与しましょう。
  4.  ※目、口、粘膜、傷がある箇所は直接スプレーすることは避け、指やコットンなどで塗り込むといいでしょう。

  5. ドライヤーなどは使用せず、完全に乾くまで自然乾燥させます。

スプレータイプのフロントラインを使う際の注意点

フロントラインの効果を充分に発揮させるため、また、安全に使用するために、以下のことをきちんと守りましょう。

・獣医師の指導の下、用法・用量を厳守して使用しましょう。
※フロントラインスプレーには、規格が2種類あります。250mlボトル・100mlボトルとあり、体重1kgあたりのポンプを押す回数が違うので、注意しましょう。

・犬、猫以外の動物には使用してはいけません(特にウサギは厳禁)。

・フロントラインをスプレーする際は、屋外もしくは換気のよい場所でおこないましょう。

・使用前後2日間はシャンプーを避けてください(当日含め5日間)。

・濡れた状態のままケージに入れると、アルコール様中毒症状を起こすことがあるので注意しましょう。

・フロントラインが完全に乾くまで、直接触れるなど接触を避けましょう(通常4時間程度)。

・フロントラインを投与後30分は火気や熱源から遠ざけてください。

・フロントラインスプレーを使用中は、喫煙や飲食はしないでください。

・フロントラインをスプレーした箇所を舐めないように気を付けましょう。

・愛犬が殺虫剤またはアルコール過敏症である場合は、フロントラインスプレーを使用しないでください。

・使用後は、手をキレイに洗いましょう。

以上のことをしっかりと守り、フロントラインを安全に使用しましょう。


まとめ

草原にいるコーギー

今回は、スプレータイプのフロントラインについてご紹介させていただきました。

フロントラインは大切な愛犬をノミ・マダニから守るための必須アイテムです。以前勤めていた動物病院でも、春先になると必ずみなさんにおすすめしていました。フロントラインは、スプレータイプとスポットタイプの2種類あるので、愛犬にあったものを使用するといいですよ。

ノミ・マダニを媒介して感染する病気や、痒みのストレスとは縁のない暮らしを送りましょう!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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ろぷぷ

ろぷぷ

4年間看護士として動物病院に勤務しておりました。 現在はうさぎ(ネザーランドドワーフ)1匹、うさぎをこよなく愛す娘と主人のにぎやか4人家族です♪ 小さい頃から犬、猫、小鳥など飼っていて、動物大好きです!動物病院勤務の経験を生かし、様々なことをお伝えしていけたら嬉しいです。

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