子供に対する様々な暴力、いわゆる殴る蹴る、言葉の暴力など、そういった直接的な暴力が思いつくことが一番多いのではないかと思います。ですが、アメリカでいう「虐待」の意味するところは、もっと広範囲に渡るんです。例えば親同士が子供の前で大ゲンカをすることなんかも虐待に該当します。ご存じの通り大きな国ですので、州や地域により細かい法律は異なりますが、日本だったらほとんどの両親が裁判所に出廷しなくてはならなくなりそうな内容になっています。「近所のスーパーに行ってくるからちょっとお留守番お願いね」と子供を大人のいない家に残して出かけること、これはもし、ある程度年齢が高く、信頼できる子供だとしても英語が堪能でないなら一人で留守番はさせてはいけないことになっています。そしてタイトルにも書きましたが、子供だけで近所の公園に遊びに行かせることもNG。実際にこの9歳の女の子の母親は逮捕されてしまいました。子供に対する監督義務を怠ったことになるそうです。
9歳は日本では小学校4年生、公園に親の同伴なしで遊びにいくなんて日本だったら日常茶飯事な出来事かもしれませんが、アメリカではそこはまた事情がちょっと異なってきます。特に働くお母さんたちは、とても大変そうです。
ある時、知り合いのお母さんが、「最近自分の娘(12歳)があまり外に出ないので心配だ」とこぼしていました。話を聞くと、お母さんもお父さんも昼間は仕事を持っているため家には不在。自宅のすぐそばの学校から帰って来た後、娘がどこにも行かれず家にこもりがちになってしまう。とのことでした。住んでいる瀟洒なアパートには専用のプレイグラウンドがあるのですが、「いくら自宅の目の前でも娘ひとりでは行かせられないし、大人の監督なしで子供だけで家やプレイグラウンドで遊ばせたりすることも出来ない」とのこと。ある程度成長するまでは両親が付きっきりでいることが前提なんですね。アメリカでシッターさんが多いのはこういった背景があるからでしょう。働く両親に代わり、学校や習い事の送り迎え、留守番などを引き受けてくれる存在が不可欠なんですね。
そして、動物に対する虐待にもとても意識が高い文化があります。個人的に、わたしも虐待を疑われた?思い出があります。うちで飼っている犬は猟犬でして、とにかくアクティブでどんな日でもお散歩に行くのが大好きです。強風やら大吹雪やら雷雨で飼い主がめげている日でも、それはそれは嬉しそうに散歩!さんぽ!サンポに行こう!!!と誘ってくるわけです。なので大抵どんな天候の日でも散歩に連れ出していました。
が、昨年の2月の終わりのこと。前日までの大雪で道にはまだてんこ盛りの雪が残っており、吹きすさぶ風は本当に氷の矢がついたカーテンが迫ってくるかのようでした。しかし、いつもの時間になると「さんぽ、サンポー!」と一人で小躍りしだす我が家の犬。仕方がないので嫌がるもののダウンベストを着せ、散歩に出かけたところ、案の定物凄い寒さ。しかし全くめげていないわが愛犬。雪の下に埋もれているニオイに好奇心満々でふがふがふがふが、と進んでいきます。そうこうするうちに、さすがに時間が経って足が冷えてきたのでしょう、ふがふがニオイを嗅ぎながらも4本のうちの1本の脚をひょいっと上げて冷たさから逃がすような仕草を見せ始めました。言わんこっちゃない、帰ろう、と言いかけた時、ふと通りすがりの年輩のご婦人に声をかけられました。
「わんちゃん、寒がってるじゃない。こんな日は外に出しちゃだめよ」と。
ビックリして固まっていると、「足が寒くて震えてるでしょ。」と更にご婦人は言われました。
「うちの犬は散歩がとにかく好きなもので、とにかく雪も雨もあまり気にしないんですよ」というと、「だからそれは、人間の思い込みよ!飼い主が勝手にそう思ってるだけよ!虐待してないでさっさと家に帰りなさい!」
と叱られたのでした。。。ちょっとびっくりして固まりかけたものの、すぐに「はい、ありがとうございました。連れて帰ります。」と言って直帰!今考えてみると、確かにアメリカ的意識から見ると、私は動物虐待をしていたのかも、と反省。幸いなことに肉球がしもやけになったり炎症をおこすようなことは今までありませんでしたが、可愛がっていたつもりでも、気をつけなくちゃいけないんだ、と改めて考え直す機会になりました。
虐待にとても敏感なアメリカ文化、もの言えぬ犬やか弱い子供たちにとっては、メリットが多いのかもしれません。
ハーレムは犯罪の巣窟?!いえいえそんなことはありません、犬好きが集う愉快な街です!
買い物中にお店の外に犬を繋いで待たせたら、もう二度と会えなくなるかも、、、犬誘拐に気を付けて!