犬に大根を与えてもいいの?

2021.11.02

犬に大根を与えてもいいの?

キッチンや食卓で大根を手にして、犬に食べさせてもいいのかなと考えたことはありませんか?大根は犬が食べてもいい野菜です。大根にはどんな成分が含まれていて、食べさせるにはどんなことに気をつけなければいけないのか解説します。  

犬は大根を食べても大丈夫?

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◆大根に含まれる主な成分

大根の95%は水分であり、水分補給にピッタリな食材です。あまり水を飲まない犬でも大根を食べると水分が摂れます。夏にはキュウリが同じく水分補給になる野菜として知られています。一年中手に入りますが冬には大根が適しています。
大根にはカリウム、カルシウム、βカロテン、食物繊維、ビタミン、消化酵素など体に良い成分がたくさん含まれています。人間には二日酔いや胸やけに効くと言われていますが、犬にも同じような効果があります。白い根の部分だけを食べることが多いですが、葉や茎にも栄養素が豊富です。犬の手作り食に使われることがあり、食べてみると好きになるワンちゃんもいるでしょう。

◆期待できる効果は?

犬は本来肉食動物だったので食物繊維や炭水化物の消化が人間より苦手です。穀類、豆類が体質的に合わない犬がいるのはそのためです。大根にはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が含まれていて、それぞれデンプン、タンパク質、脂肪を分解する成分です。いつもの食事に大根をプラスすると酵素も接種でき、胃腸の健康維持に繋がります。
辛味の元であるイソチオシアネートには人間の場合は血液をサラサラにする、風邪予防になると言われています。犬の場合もピロリ菌や有害な細菌への殺菌作用、がん予防効果が期待できます。
ビタミンC、B6、βカロテンは人間の野菜ジュースにもよく含まれています。これらには皮膚や粘膜、目の回復を助け、抗酸化作用があります。犬はビタミンCを体内で合成できますが、シニア犬や投薬治療をしている犬は少量になってしまうので、食事から摂取するべきです。ビタミンCには皮膚や骨の生成、がん予防、免疫力アップなどの効果があります。ビタミンB6にはタンパク質の消化を助ける働きがあり、ほぼ肉食の犬にはとても大事な役割をします。βカロテンは加熱すると吸収が良くなるので、ビタミン補給をしたいときは炒める、茹でるなどして与えるのがおすすめです。
大根は食物繊維と水分が豊富なので食べ応えがあり、ダイエット中の犬のおやつに向いています。市販のおやつより摂取カロリーはかなり少なくて済みます。

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◆酵素の役割

体内で生成される酵素には消化酵素と代謝酵素の2種類があります。消化酵素は食べ物を消化するときに使われ、代謝酵素は被毛や皮膚を健康に保ったり免疫力を高めたりする際に使われます。犬の酵素の量は個体ごとに決まっていて、長生きの犬は体内の酵素の量が多いとされています。消化に悪い食事ばかり摂っていると消化酵素が多く使われ、代謝酵素は減ってしまいます。反対に消化に良い食事が多ければ消化酵素は少なくて済み、代謝酵素が多くなって病気になりにくくなるのです。
市販のドッグフードはバランス良く作られていますが、酵素は調理の際の熱で破壊されています。そこで酵素を摂取したいときは生の大根をドッグフードに少しトッピングするとバランス良くなります。

◆犬に与えるデメリットは?

犬の祖先は肉食動物であり、人間と暮らすようになって雑食動物になっていきました。そのため野菜の消化はあまり得意ではありません。大根には消化酵素が含まれていますが、胃腸の負担となる食物繊維も豊富です。犬によっては消化不良を起こすので、小さく切る、ミキサーにかける、加熱してやわらかくするなどして少しずつ与えます。
大根は辛いのが特徴ですが、犬は普段辛いものを食べる機会がありません。犬によっては胃腸が刺激されて下痢を起こすかもしれません。


犬に大根を与えるときの注意点

大根はアブラナ科の野菜でグルコシノレートを含んでいます。これは体内でゴイトロゲンに変化し、ヨウ素の吸収を阻害します。ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料なので体に必要な成分です。そのため甲状腺機能低下症などの持病を持つ犬には避けた方が良いでしょう。
また大根はカリウムを豊富に含んでいます。人間と同じく腎臓病を持っている犬は、カリウムを体外に排出することができません。もしカリウムを大量に摂取して血液中のカリウムの量が増えすぎてしまうと、高カリウム血症を引き起こし、命に関わります。
体内に結石ができた経験がある犬は茹でた大根のみを食べた方が良いです。大根にはシュウ酸が含まれており、尿路結石などの原因になります。食べさせる際は十分に大根を茹で、茹で汁は与えず実だけを与えてください。
体に良い野菜でも与えすぎは良くありません。適量は成犬で体重5㎏なら30g、体重10㎏なら60g、体重20㎏なら100gまでです。大根はおやつとして、又はごはんのトッピングとして食事の20%以内の量を与えましょう。頻度は多くても週に2~3回です。子犬は消化器官が未発達なので生後4~5ヶ月までは与えない方が良いです。生後6ヶ月くらいから体が出来上がって排便の回数が減り、食べられるものが増えます。初めて食べさせるときは犬の大きさに関わらず少量にし、食後に体調不良を起こしていないかよく観察してください。


大根の与え方

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◆大根おろしにする

和食ではよく焼き魚に大根おろしを添えて食べますが、これは生で食べると消化に良いと言われているからです。大根に含まれる消化酵素やビタミンCは加熱すると効果が弱まってしまいます。消化促進が目的で愛犬に食べさせたいときは大根おろしが適しています。
大根は先端が辛く、葉に近い方が甘いです。これはイソチオシアネートが先端に多く含まれているためです。胃腸が弱い犬には摂取しすぎると逆効果となってしまうので、甘い方を与えてください。またおろしたらすぐに蒸発してしまうため、食べる直前におろしましょう。

◆味付けしない

人間の食事には必ず調味料で味がついていますが、犬の食事には味をつけてはいけません。たいていの犬は人間より体が小さく、必要な塩分量が少ないです。同じ量の塩分を摂取すると体は処理しきれず疾患の原因になります。
犬に食べさせる大根はなるべく自宅で調理し、確実に味付けがされていないものを与えましょう。刺身のつまなどのように付け合わせとして入っている大根がありますが、他の食材の成分がしみ込んで可能性があるので避けた方が良いです。人間が食べる漬物などは絶対に与えないでください。パウチに入っている大根おろしも調味料や保存料が使われているので与えないでください。
少量の油は大丈夫なので、サイコロ状に小さく切った大根を炒め、いつものドッグフードに混ぜてみてください。愛犬は特別な感じがして喜んでくれるかもしれません。

◆やわらかめにする

ニンジン、ブロッコリー、カボチャ、キャベツなど、犬の手作り食に使われる緑黄色野菜はたくさんあります。しかし、どれも食物繊維が豊富で犬の胃腸には負担です。野菜を食べさせる際は皮、種、芯などを取り除いて小さく切り、加熱するのが基本になります。包丁で切るだけでなくミキサーにかけてペースト状にしても良いです。いつものフードにトッピングするとかさ増しにもなり、ダイエット中の犬は少ないフードでも満足してくれる可能性があります。

◆切り干し大根

大根を天日干しにするとカルシウム、ビタミン、カリウム、更に甘みが増します。犬の味覚は甘みを感じることができるので、ごはんに混ぜると食いつきが良くなることがあります。
注意点は水に浸して小さく刻むことです。乾燥して縮んでいますが口の中で水分を含むと膨らみ、食物繊維も多いです。必ず水で戻して切って小さくなったのを確認して与えましょう。戻し汁は調味料を何も加えていなければ与えて大丈夫です。


茎や葉は与えても大丈夫?

大根の茎や葉は与えても大丈夫です。ドッグフードの中には葉が入っているものがあり、βカロテン、ビタミンC,B6が白い根よりも豊富に含まれています。ですが食物繊維も多く、胃腸に負担がかかるため、ミキサーにかけるかみじん切りにして与えてください。
またβカロテンは油と一緒に食べると吸収が良くなるので、細かく刻んで油で炒め、フードに混ぜるのがおすすめです。


体調を崩した場合の対処法は?

稀ですが大根にアレルギー症状を起こすことがあります。口の周りの痒みや目の充血は食物アレルギーでよく見られる症状です。症状が重いと下痢や嘔吐を起こします。そのときの体調や年齢も関係しますが、食べ物以外にも何か疾患があるかもしれないので、動物病院を受診しましょう。

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まとめ

闘病中やシニア犬は食欲が落ちてしまうことが多いです。健康であっても温暖化の影響で暑さに弱い犬は夏バテ・秋バテで食欲が落ちることがあるでしょう。そんなときにさっぱりした大根なら食べてくれるかもしれません。いつもと違うものをもらえると犬も喜び、気持ちが明るくなったら免疫力もアップします。

●執筆者情報
ライター情報
Akatsuki

物心つく前から犬と育ち、わんこ歴は20年以上です。ビーグル、ゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグと過ごし、現在は4代目の元保護犬と暮らしています。愛玩動物飼養管理士1級の資格も取得しています。犬について日々勉強し役立つ情報を発信していきます。



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