【獣医師監修】猫のおならが臭いのはなぜ?音がする時や臭い時は病気?

2023.04.06

【獣医師監修】猫のおならが臭いのはなぜ?音がする時や臭い時は病気?

猫のおしりの側にいて、「何の音もないのに突然非常にくさい臭いが漂った」という経験をした方はいらっしゃいませんか?こういった経験から、みなさんの中には猫のおならのにおいが非常に臭いことをご存じの方は多いと思います。しかし、猫のおならの音を聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。 今回は、そんな猫ちゃんのおならの仕組みや、そこから分かる病気について勉強してみましょう。

【掲載:2019.10.14  更新:2023.04.06】

猫のおならの不思議

◆猫もおならをするってホント!?

猫がおならをしたことに気付くのは、やはり、あの非常に臭~い!臭いが急に漂ってくる時だという方が殆どではないでしょうか。おならの音によって気付いたとか、猫のおならの音を動画などではなく生で聞いたことがあるという方は少ないと思います。

私自身も猫のおならを直接聞いたことがないのですが、猫が音のするおならをしている時の動画を見つけましたので、ご紹介します。かわいい猫ちゃんのおならを動画で聞いてみて下さいね。

◆おならの音はどうして出る?

では、おならの音はどうして出るのでしょうか。

おならをする時に音がでるというのは、おしりをキュッと締めたところに、ガスが勢いよく吹き出ることによって、おしりの皮膚と皮膚がガスのでる勢いによって振動することでぶつかり合うことが原因のようです。

しかし、猫のおしりは私たち人間のように左右のおしりの皮膚がぶつかることはないですよね。猫がおならをした事に気付かないのは、このように猫のおしりの皮膚が重なっていないため、よほどの勢いでガスが出たり、ガスの量が多く勢い良く出たり、ギュッとしめていた肛門の皮膚がぶつかることによって、たまたま音が出るくらいだからでしょう。

それによって、運良く(?)猫のおならの音を聞くことが出来たという方は少ないのでしょう。


猫のおならが凄く臭いのはなぜ?

人間の体内図

◆おならに関係する消化の仕組み

おならは「消化」に関係がありますので、まずは、消化の仕組みから勉強しましょう。

猫も私たち人間も、動物には「消化」といって、食べたものを吸収しやすい形に分解し、栄養素を吸収しています。この消化、吸収の仕組みは、動物の種類によってかなり異なるそうですが、猫と私たち人間とは基本的にはよく似ているそうです。

口から摂取した食べ物は、かみ砕いただけでは大き過ぎるので、アミラーゼ・塩酸・ペプシン・胆汁・膵液・腸液によって完全に消化されます。これによって、タンパク質はアミノ酸に、炭水化物は単糖類に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、より小さい成分へと分解されることによって吸収できる形にされます。吸収される時には、腸内にいる細菌も消化を助けているそうです。

栄養素は、胃で一部が吸収され、多くは小腸で吸収されます。消化・吸収されなかった物質は大腸へ行き、大腸では、水分も吸収されて、肛門から便になって排出されます。

ちなみに、雑食動物である私たち人間と、肉食動物である猫の腸の長さはかなり違います。お肉類は消化されやすい為、肉食動物の猫の腸の長さは約1.7m、消化されにくい植物も食べる私たち人間の腸の長さは植物が消化されるように約5mだそうです。植物が消化される為には長さが必要なのですね。

「じゃあ、草食動物の小腸は長いの?」と思われた方も多いと思いますが、そのとおりで、牛を例にあげると、約46mもあるそうです。

◆猫のおならが臭い理由は?

猫のおならが、凄~く臭いという事は、みなさんもご存じのことと思います。では、なぜ、そんなに臭いのでしょうか。

これは先程、述べてきました消化の仕組みに関係してくるようです。

私たち人間は、お肉・お野菜・果物などを食べる雑食動物ですね。一方、猫は、基本的には、お魚・お肉などを食べる肉食動物です。

この食べたものを消化器官で分解する時、お肉類のタンパク質を分解する時には、においの元となる物質であるアンモニア・インドール・スカトールなどの物質が大腸で発生します。特に、インドールという物質は非常に臭いため、おならも臭くなるそうです。


猫がおならをする時の原因は?

肉

なぜ、猫は、おならをするのでしょうか。

おならは、食餌をする時に口から一緒に入った空気や、食べた物の中の炭水化物や脂肪、セルロースなどが腸内で発酵することによって発生する二酸化炭素やメタンが主成分のガスや、消化不良などが起きた時に食べた物の中のタンパク質が腸内で分解することによって発生するインドール・スカトール・アンモニア・硫化水素などが主成分のガスがおならの元だそうです。

前者は臭くないそうですが、後者は主成分を見ていただいても分かるようにとても臭いそうです。このとても臭い悪臭の成分であるインドール・スカトール・アンモニア・硫化水素などは、腸内でタンパク質が分解することによって発生すると言いましたが、腸内環境が悪玉菌の数が多い状態が続くとおならも臭くなるそうです。

消化管は筋肉で出来ているので、このようにして発生した然程臭くないガスもとても臭いガスも、そのガスを腸の蠕動運動といって消化管が波を打つように動くことで、ガスを大腸の方へ運ぶことによって、おならが出るそうです。


猫がおならをする時に考えられる病気

おならをしている猫を見て、かわいいとばかり言ってはいられません。おならの中には、大腸癌などの原因になる問題のあるおならもあるそうです。

いつもよりも臭い、異常なにおいがするなどのおならをする、いつもと違ってお腹が張っているなどの異常に気付いたら、できるだけ早く獣医さんに診察していただきましょう。

◆イレウス(腸閉塞症)

猫のお腹の中で発生したガスが、おならとなって体外に出てくれれば良いのですが、消化管のどこかが塞がってしまうイレウス(腸閉塞症)という病気を起こしてしまうことがあります。

この病気になると、おならも出ない状態になって、お腹の中にガスが破裂しそうなくらいパンパンになるくらい貯まり、食餌を食べても直ぐに吐き出してしまうということを繰り返す状態になってしまうことがあります。

そうすると、段々、元気がなくなり、お腹が張って硬く膨らみ、ガスが貯まり排便姿勢を取って息んでも便がでなかったり、痛がったりするそうです。

◆膵外分泌不全症

膵臓は、膵消化酵素を消化管に分泌することで食べ物の消化吸収を助ける「外分泌」と、インスリンなどのホルモンを血液中に分泌することで血糖を調節する「内分泌」という二つの大きな機能を請け負っている重要な臓器です。

猫が、ちゃんと食べているにも関わらず、体重が減少したり、強い悪臭がする大量の脂肪性の下痢を起こしたりするようでしたら、膵臓の外分泌に関連した病気である膵外分泌不全症という病気になっているかも知れません。

◆慢性小腸性下痢

悪臭を伴う小腸性の下痢が起こることもあるそうです。小腸性の下痢は、大量の半流動状の柔らかい下痢や水様便が出たりします。嘔吐・食欲がなくなる・体重が減るなどの症状が伴うこともあるそうです。この慢性小腸性下痢は、特殊な状態があらわれることがあり、アレルギー性・腫瘍性・食餌性・機能性など、多様な原因で起こるそうです。

大量の半流動状の柔らかい下痢や水様便が出たり、嘔吐・食欲がなくなる・体重が減るなどの症状が出たりする場合には、獣医さんに確定診断をしていただいて、適切な治療をしていただくことをおすすめします。

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猫がおならをする時の予防法、治療法は?

猫も生きていて、食餌をとっているので、当然おならも出ます。猫は基本肉食動物ですから、雑食動物の私たち人間より臭いおならが出てもタンパク質を分解する時にタンパク質の代謝産物である臭い臭いの元のインドールなどの低級アミノ酸の為に臭いが強いですが、消化管が正常に機能しているという証拠ですので問題はありません。

しかし、猫の腸の動きが悪くなってしまうと、食べた物を消化しきれず、消化不良を起こしてしまい、タンパク質を分解する時にインドール・スカトール・硫化水素・アンモニアなどによって、悪玉菌が臭いガスを発生させるそうです。この悪玉菌が発生させる臭いガスは、大腸癌などの原因となるものもあるそうです。

日頃から、便秘にならないように注意をして、食餌療法をする、便軟化剤を使用するなど、便を柔らかくすることに気を配り、腸閉塞症になる予防を心がけましょう。


まとめ

基本的には、猫は肉食動物である為、おならは凄く臭いのですが、タンパク質の代謝産物の臭い元であるスカトール・硫化水素・アンモニアなどの低級アミノ酸のため臭いにおいが強いだけで、むしろ消化管が機能している証拠なので、問題はないそうです。

しかし、猫が日頃よりも臭いおならをしている場合、何らかの病気になっている可能性もあるので、獣医さんの診断を受けることをおすすめします。

運動不足やストレスによって蠕動運動が減少すると、悪玉菌によって非常に臭いガスを発生させてしまうなど、病気の原因にもなります。適度な運動やストレスを与えないことが重要ですね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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生きてる半分以上にニャンのいる生活をしている、ニャン大好きな神戸のおばさんです。 現在は居ないのですが、ニャンの居る生活をしたい!と家族を説得中です!(=・・;=)キビシソウデスガ

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