【獣医師監修】猫に噛まれた時の応急処置の方法は?どの病院に行けばいい?

2018.07.11

【獣医師監修】猫に噛まれた時の応急処置の方法は?どの病院に行けばいい?

猫を飼っていると、たまに猫に引っかかれることや噛まれることがあります。猫に噛まれたことによって傷ができ、痛い思いをしますが、病院に治療に行く人はあまりいないのではないでしょうか。しかし、猫に噛まれたことによって傷口から菌が入り感染症にかかると、命に関わる病気になることもあります。噛まれた場所が膿んだり腫れたりした時は、特に注意が必要です。 今回は、猫に噛まれた場合にかかる恐れのある感染症や、どのように対処をすればいいか、ご紹介します。

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猫の口内は菌でいっぱい!噛まれるとどうなる?

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猫の口内は菌が常在しているため、噛まれたまま放置しておくと、傷口が悪化して化膿によって腫れることがあります。感染症にかかり、最悪の場合は死亡してしまう可能性もあるのです。

◆傷口が腫れてくる

猫に噛まれた部分が腫れている場合は、傷口が炎症を起こしている状態なので、感染症にかかっている可能性があります。

噛まれてすぐに腫れなくても、1日経ってから腫れてくることもあるため注意が必要です。
また、噛まれてから時間が経つほど、菌が体内に回ってしまい、高熱の症状が現れることもあります。

◆傷口が化膿してくる

噛まれた部分が膿む場合は、傷口が化膿している状態です。同時に患部も腫れて、痛みも出てきます。

1度化膿してしまうと、傷口が治りにくく、そこから感染が広がってしまう可能性があります。

◆傷がなかなか治らない

噛まれた部分の血が止まりにくく、なかなか傷が治らない場合もあります。傷口は小さいけれど深い場合は、治るまで時間がかかるようです。

猫の口内にはいろいろな菌があることを忘れず、噛まれた場合は応急処置をして病院に行くことをおすすめします。


猫に噛まれた時にかかる恐れのある感染症

猫に噛まれても大したことはないと思い、わざわざ猫に噛まれたからといって病院に行く人は少ないと思います。

しかし、感染症にかかると、時には深刻な病気の原因になり、命の関わることもあります。

◆パスツレラ症

パスツレラ症は、猫の口内に常在しているパスツレラ菌に感染することによってなる病気です。

猫に噛まれた後、30分~数時間後に噛まれた部分に、痒みや激痛、化膿によっての腫れの症状がみられます。免疫力が落ちているとこれらの症状が出やすいです。

免疫力が弱いと重症化しやすく、敗血症や髄膜炎を起こし死亡する可能性もあります。
また、呼吸器官に疾患がある人は、肺炎を起こす可能性もあります。健康な人でも、気管支炎や副鼻腔炎などを引き起こすことがあります。

パスツレラ症は、抗生物質の薬で治療をすることができます。予防方法として、噛まれないようにするのはもちろん、猫とキスをする、猫と同じ食器を使うことはやめましょう。

◆バルトネラ症(猫ひっかき病)

バルトネラ症は、猫の口内に常在しているバルトネラ菌に感染することによってなる病気です。

猫に噛まれた時や引っかかれた部分の傷が化膿することによって、傷口周りの腫れや発疹、リンパ腺が腫れることもあります。重症になると視力障害や肝機能障害を起こすことがあります。

病院での治療としては、リンパ腺の腫れがみられる場合は抗菌薬を投与します。しかし、各種の抗菌薬による明確な治療効果は今のところまだありません。
完治するまでに数週間~数か月かかります。軽症の場合は自然治癒することが多いようです。

バルトネラ菌は、猫に寄生するダニやノミが媒介することが多いので、ダニやノミの定期的な駆除を行うようにしてください。猫の爪はなるべく短く切るようにしましょう。

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◆破傷風

猫に噛まれた傷口から破傷風菌に感染することによって病気になります。

傷口から侵入した破傷風菌が毒素を出し、猫に噛まれた後、5日~10日経過してから、筋肉のこわばりや痙攣、発熱などの症状が起こります。重篤化すると、全身に痙攣が起こり、呼吸ができなくなって死亡することもあります。

病院での治療は、傷口を大きく開いての洗浄や消毒などが行われます。発症後は、刺激を避け、鎮静薬の投与や人工呼吸が必要になることもあります。

予防方法として、ワクチンの予防接種を受けておくといいでしょう。

◆カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症

猫の60%が保有しているカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌に感染することによってなる病気です。

猫に噛まれた日から2日~14日後に発熱や腹痛、倦怠感や吐き気などの症状が起こります。重症化すると敗血症や髄膜炎になり、死亡する場合もあります。
日本では、2002年~2009年の間に14例が重症化し、そのうち6名が死亡したという報告があります。

病院での治療は、早期に抗菌薬などによる治療が重要になります。噛まれた傷に対する抗菌薬としては、ペニシリン系やテトラサイクリン系の抗菌薬が一般的に使われています。

日頃から猫と触れ合った後は、手洗いなどを確実に行いましょう。

◆狂犬病

現在の日本では発生していませんが、感染した動物のほぼ100%が死亡する病気です。

犬は狂犬病のワクチンの接種義務がありますが、猫にはありません。日本では狂犬病は駆逐されているので、猫に噛まれたことで発症することはまずないと言っていいでしょう。

ただ、野生のキツネやアライグマなどからの感染の可能性はゼロとはいえません。野良猫は、いろいろな動物に接触している可能性があるので、不用意に近づかないほうがいいでしょう。

海外では、猫が狂犬病に感染する危険性があるので、猫と一緒に海外に行く場合は狂犬病ワクチンの接種が必須となります。

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猫に噛まれた時の応急処置は?

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猫に噛まれた時に菌に感染する可能性があるため、猫に噛まれた場合、傷口をそのままにして放置しておくのはよくありません。

猫に噛まれた時はどういう応急処置をしたらいいのでしょうか。

◆応急処置①傷口を洗い流す

痛いかもしれませんが、しっかりと流水で傷口をキレイに洗い流してください。5分~10分ぐらい傷口を流水にさらすのが目安です。

どれだけ早く、キレイに傷口を洗えるかで、体内に残る菌の数は大きく変わってきます。

◆応急処置②傷口を消毒する

傷口に消毒液をつけて、ガーゼを当てましょう。菌を洗い流し、傷口を消毒することによって、化膿することや傷口の腫れ、感染症の可能性を下げることができます。

ただし、しばらくしても出血が止まらないほど噛まれたなどの場合は、すぐに病院へ行ったほうがいいでしょう。

◆こんな場合は病院へ!

噛まれてからしばらくは傷口に痛みがあると思います。時間が経ってもこの痛みが治まらず、以下のようなという症状がみられた場合は、何かしらの感染症にかかっている可能性がありますので、病院へ行くことをおすすめします。

・傷口がすごく痛い
・腫れている
・熱がある
・赤みが増えてきた

これぐらい大したことないと思っていても、感染症によっては患部を切断しなくてはいけない、感染症が原因で死亡したという例があります。

どのような感染症に感染しているかわからないので、早めに病院に行き、適切な処置をしてもらったほうがいいでしょう。


猫に噛まれた時に行く病院は?対処方法は?

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猫に噛まれた場合は、傷そのものに対する処置と感染症の予防をすることがとても大切になります。応急処置をした上で、猫に噛まれた時はどのような病院に行けばいいのでしょうか。

◆外科系または総合外来の病院を受診する

噛まれた傷の処置が必要なので、外科系の病院を受診することが望ましいといわれています。
傷口の腫れがひどい場合や、一部の肉が大きく欠けてしまっている場合、動脈に傷がついて血が止まらない場合は救急車を呼んでください。

傷が深くない場合でも、皮膚科や整形外科、形成外科などの病院に傷の状態を確認してもらうのをおすすめします。

◆総合外来でもOK

猫に噛まれた時に出てくる症状にはいろいろな種類があります。傷口が深くて専門的な処置をする必要があれば、専門医のいる病院を紹介してもらうことになります。

大きな病院で受診することで、総合的な診察をしてくれるでしょう。総合外来であれば、傷口に対しての処置と診断、診察などをしてくれ、菌に感染する予防の処置をしてもらうことができます。

◆整形外科や形成外科を受診する場合

傷が皮膚の表面に限らず、腱や骨などに達している場合であれば、専門は整形外科になります。
また、噛みちぎられてしまい、傷口を閉じるだけでは修復できないような場合は、形成外科が専門になります。

どのような傷でも、皮膚科や整形外科、形成外科などの病院であれば、傷に対する初期的な処置をしてもらうことは可能です。病院によって傷口の処置の器具が限られたものしかない場合があるので、病院に事前に確認しておくといいでしょう。

◆病院で状況を伝える

診察する時には、どのような状況だったのかを必ず聞かれます。猫に噛まれた状況を把握し、事細かく説明ができるほうがスムーズに対処することができます。

・噛まれた猫は飼い猫か野良猫か
・猫の大きさや特徴
・猫に噛まれてからの経過時間
・猫に噛まれた部分以外に自覚症状や異変はあるか

最低限でもこの説明ができるようにきちんと記憶しておきましょう。

◆病院での感染症に対する処置

猫に噛まれた場合に通常のケガと大きく違うのは、猫の口内にはたくさんの菌がいることです。これらの菌が傷の中に入ると、後になって傷の中で繁殖し、傷口が腫れて炎症を起こすことがあります。

パスツレラ菌やバルトネラ菌などの菌に加えて、破傷風に対する予防が必要となります。ほとんどの場合、傷の外科的な処置ののちに抗生剤の内服をしてもらうことになります。


最後に…

猫とのスキンシップで思わず、猫に引っかかれることや噛まれるといったケースはあると思います。猫に噛まれた場合は、応急処置として傷口を流水で洗い流し、消毒をしましょう。

また、猫に噛まれた場合は、小さい傷でも病院に行くことをおすすめします。噛まれた時の状況を伝えられるようにしておくことも大切です。

小さい頃から噛み癖がある猫は、噛むことを止めるようにしつけをすることも大切です。
飼い主さんが小さい頃に手遊びなどをすると、成猫になってからも手を見たら噛もうとします。猫と遊ぶ時は、おもちゃなどを使って遊んであげましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※


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猫を飼いはじめて20年。完全な猫派です。 今まで4匹の猫と過ごしてきました。現在は2匹の猫と楽しく過ごす毎日です。 ツンデレされて20年。猫の行動1つ1つが大好きで、ずっとツンデレにやられてしまっている人間です。

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