【獣医師監修】猫の結膜炎の原因、症状、治療法は?予防できる?

2018.12.11

【獣医師監修】猫の結膜炎の原因、症状、治療法は?予防できる?

猫が目をしきりにこすっていたり、猫の眼周辺が赤く見えたりしたら、それは猫が結膜炎になっているのかも知れません。猫の結膜炎は、猫がかかる目の病気の中では最も多いとされていますので、飼い主さんが猫の結膜炎について知っておくことはとても大切です。結膜炎で命にかかわることは少ないですが、放っておいて悪化すれば、失明の可能性もあります。 猫の結膜炎について、どのような猫に見られるのか、また原因、症状、病院での治療法、さらに効果的な予防法についてもご紹介します。

猫の結膜炎とは?

猫の結膜炎は、猫の白目部分からまぶたの裏側を覆っている「結膜」という部分に炎症が起きた状態を言います。

結膜には、まぶたの内側をおおっている「眼瞼結膜」と眼球の前部分をおおっている「眼球結膜」がありますが、どちらでも炎症が起きて結膜炎になることがあります。

どちらの結膜炎も、片目だけになることもありますし、両目ともなることもあります。

◆目の周りに様々な症状が現れる

猫の結膜炎は、目に痛みや痒みを伴い、涙や目やにが出て、目が充血する、膿のような目やにが出るなど、目に関する様々な症状が出ます。

最初は涙が増えたり、目やにが増えたりしているだけですが、その後粘膜部分に粘りのある液体が出ているようになったり、膿状の目やにが出て目が開けにくくなってきたりします。

また、結膜炎は猫風邪の症状として現れることも多く、咳や鼻水、発熱など体の症状が一緒に見られることもよくあります。

◆結膜炎で失明する恐れも…

結膜炎だけで命に関わることはほぼありませんが、症状がひどくなると、目の角膜と結膜がくっついたようになり、目が開かなくなったり、失明してしまったりすることもあります。

そのため、結膜炎を発見した時には、動物病院で治療して、早期に治す必要がある病気です。

結膜炎は、初期の段階で治療すれば、1週間から2週間ほどで治すことができますが、放置して悪化してしまうと、治るまでにも長い時間かかることがあります。


結膜炎はどんな猫に見られる?

猫の結膜炎は、どのような猫にでも起こり得る病気ですが、なりやすい猫というものはいます。

◆抵抗力が弱っている猫

猫が結膜炎になる原因としては、異物の混入のほか、ウイルスや細菌による感染症なども原因になるので、抵抗力が弱っている猫が結膜炎にかかりやすくなります。

抵抗力が弱っている猫とは、高齢の猫、生後すぐから半年くらいの子猫、またすでに何らかの基礎疾患がある猫です。

結膜炎がひどくなると、分泌された目やにが固まってしまい、上下のまぶたがくっついてしまうこともありますが、これは子猫に多く見られます。

◆外飼いの猫や多頭飼いの猫

感染症になる可能性から、外に出て過ごすことがある猫は、結膜炎になりやすいと言えるでしょう。すでに結膜炎になった猫と接触したり、野良猫でたくさんの猫と触れ合う可能性があるためです。

また、多頭飼いの猫などでも感染症が広まりやすく、結膜炎にもなりやすいと考えられます。


猫の結膜炎の原因は?

顔を洗う白黒猫

猫の結膜炎には、いくつかの原因が考えられます。一般的には、片目だけに症状が現れた時には異物が入ったことを疑い、両目に症状が現れた場合には感染症などを疑います。

ただし、もちろんウイルス性の感染症でも、片方の目だけに症状が現れることもあります。

◆目に異物が入ったため

猫の目に異物が入ることで炎症が起きて、結膜炎の原因となります。例えば、ゴミや砂、花粉、ハウスダスト、また猫用シャンプーなどが目に入ることでも炎症が起きることがあります。

まれに、猫の目の周りにある被毛やまつ毛にあたる部分が目に入ることで傷がつき、炎症が起きて結膜炎になっている場合もあります。

◆感染症のため

細菌やウイルスに感染することで、結膜炎になることがあります。

細菌感染の代表的なものでは、クラミジアがあります。ウイルス性のものよりも慢性化しやすく、完治までに長引きやすいと言われています。
結膜炎のほか、鼻炎、くしゃみ、肺炎、気管支炎などの症状が出ます。

ウイルス感染では、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症などがあげられます。

猫ウイルス性鼻気管炎は、猫ヘルペスウイルス1型が原因の上部呼吸器感染症です。猫インフルエンザと呼ばれることもあります。

猫ウイルス性鼻気管炎になると、数日から10日ほどの潜伏期間のあと、結膜炎や角膜炎、くしゃみや鼻水、咳などの症状のほか、発熱することもあります。

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◆基礎疾患のある猫

もともと猫に病気があることで、結膜炎も引き起こされてしまうことがあります。

猫が結膜炎になりやすい基礎疾患としては、角膜炎、緑内障、副鼻腔炎、ぶどう膜炎、流涙症などがあげられます。


猫の結膜炎の症状は?

結膜炎になると、猫の目に次のような症状が出ます。

・白目が充血する
・涙が増える
・瞬膜部分が赤く腫れる
・眼球が腫れる
・目やになどの分泌物が増える
・上下のまぶたが膿などによりくっついてしまう

結膜炎になると、涙が増え、次第にどろっとした粘液のような液体に変わってきます。白目部分や瞬膜が赤く充血し、目が腫れたように見えることもあります。

目やにや黄緑色の膿が出てきて、上下のまぶたが開きにくくなって、ひどい時にはくっついてしまうこともあります。

結膜炎になると、目に痛みや痒みがあるため、猫の行動に次のようなものが見られます。

・まばたきが増える
・目を前足でこする仕草が増える
・壁や床に目を擦り付ける

上記の症状に合わせ、こういったしぐさが見られるかどうかも確認しましょう。

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猫の結膜炎の治療法は?

治療を受ける猫

結膜炎の治療には、次のようなものがあります。

・点眼薬を使う
・抗生物質を投与する
・目の周りを清潔にする
・感染症の治療をする

目の周りやまぶたについた目やにや膿を取り除き、点眼薬と内服の抗生物質で治療をしていきます。

猫風邪など全身の症状のうちのひとつとして結膜炎になることが多いので、病気の治療を同時に行う必要もあります。
動物病院で診察してもらい、必要な薬をもらったら、根気よく点眼したり飲ませたりして治していきます。

また、栄養のあるものを食べさせて、体力をつけて、病気を回復させるようにします。

動物病院へは1週間や10日などごとに行って回復具合を確認してもらって、状況に応じて対応していきます。

猫白血病ウイルス感染症や猫エイズウイルス感染症が原因で結膜炎になった場合には、一旦治ったように見えても、免疫機能が落ちた時に再発することがあります。

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猫の結膜炎の予防法は?

結膜炎を予防するには、次のようなもの対策をとりましょう。

◆部屋の掃除をして清潔にしておく

猫の目に何かが入ってしまうことにより、傷がついたりして炎症を起こして結膜炎になるので、掃除をこまめにするようにしましょう。

猫が持つアレルギーによって目に炎症が起きることもありますので、部屋を清潔に保ち、ダニやハウスダストなどの影響が少ないようにしておくのも効果的です。

カーペットや毛布などは掃除機でよく汚れや猫の抜け毛を吸い取り、空気清浄機を使って室内の空気をきれいにすることも良いでしょう。

もし猫の目の周りの毛が目に入って炎症を起こしているようなら、獣医さんに診てもらい、カットしてもらう必要があるかも知れません。

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◆ワクチン接種をしておく

カリシウイルスやヘルペスウイルスが原因の結膜炎は、ワクチンを打っておくことで予防することができます。

特に、ヘルペスウイルスは一度猫の体内に入るとずっと保有されるため、症状が治っても、免疫力が落ちた時に再び結膜炎などの症状を引き起こすことがあります。

猫にワクチンを打っておくと、たとえ症状が出ても、重症化することを防ぐことができます。

しかし、ウイルスは種類が多いため、ワクチンが必ず効果があるとは限らないので、ワクチンを接種しても油断せず、他の方法でも予防をしておくことが大切です。

また、結膜炎以外の全身の症状が現れることも多いので、ワクチンを打っていても猫の健康には気を使わなくてはなりません。

◆猫を室内飼いにする

外に出て過ごす猫だと、目に異物が入る可能性が室内よりも高くなるほか、ウイルスや細菌と接触する可能性も高まります。

結膜炎は、他の猫からも感染しますので、外に出さず他の猫と接触させないことも予防につながります。

また、多頭飼いをしていて結膜炎になった猫がいたら、ケージに入れるなどして、治療が済むまでは隔離しておきます。

室内飼いでも、ベランダや網戸越しなどに野良猫と接触することもありますので、ベランダや窓に出す時には注意した方が良いでしょう。


猫の結膜炎についてのまとめ

猫の結膜炎は、命にかかわる可能性は低いですが、目にかゆみや痛みを感じますので、猫にとってつらい病気です。
早めに結膜炎に気づき、早期で治療を始めることができれば、猫が苦しむ期間も少なくて済みますし、重症化するまえに食い止めることができます。

気づきやすいのは、涙が増えて目の周りが濡れていたり、目やにが増えたり、見た目で目の周りが赤くなっていたりするなどです。

まぶたの内側に炎症が起きて結膜炎になっている時には、猫の目の上を持ち上げるなどしないと確認することができませんので、猫が目をこするなどの仕草で気づいてあげる必要があります。

猫は人間になかなか伝えることができませんから、飼い主さんがよく猫の目を気にかけておくことが大切です。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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nekoninja

nekoninja

ネコ、犬、インコ、金魚などと暮らした経験を生かし、飼い主さんに役立つよ うな記事を作成しています。 ペット情報を日々チェックしながら、ペットについて勉強中です。かわいいペ ットをメインとしたイラスト作成もしています。

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