【獣医師監修】猫の分離不安症について知りたい!こんな症状が出たら注意しよう!

2020.09.22

【獣医師監修】猫の分離不安症について知りたい!こんな症状が出たら注意しよう!

家に居るときは四六時中、飼い主さんにべったりの猫…。 猫好きな方であれば、理想的な生活とも言えるでしょう。 ですが飼い主さんにとって至福に思える時間ではあっても、猫にとっては異常な不安を感じてしまう「分離不安症」を患っているのかもしれません。 猫の分離不安症とは、どのような症状のことを言うのでしょうか?

猫の分離不安症とは?

どんなときでも飼い主さんにべったりな猫を見ると、甘えん坊で寂しがりやの可愛らしい性格の子に映りますよね。

ペットに溺愛されている飼い主さんは、さぞかし嬉しいことでしょう。

ですが愛猫に安定した生活を提供してあげるためにも、飼い主さんは働かなくてはいけませんし、買い物などで外に出なくてはいけません。

365日24時間愛猫と一緒に居続けるということは、現実的に不可能とも言えますよね。

そんな大好きな飼い主さんと離れた際に、猫が極度の不安を感じることを「分離不安症」と呼びます。

分離不安症自体は病気ではありませんが、この苦悩を極端に強く感じてしまった場合は、問題行動を起こすことや、病気を発症することもあるようです。

猫はもともと単独での生活を好み、気まぐれで自立心の強い動物として広く知られていましたが、完全室内飼いの猫が増えたことによって、外の世界を知らない子も居ますよね。

そのような猫ちゃんは、人間である飼い主さんがすべてになりますし、多頭飼いのご家庭であれば、ほかの猫に依存しやすくなるそうです。


こんな行動は要注意!猫の分離不安症の症状

猫は強い不安を感じても、その気持ちを言葉で飼い主さんに伝えることはできませんが、態度によって気持ちを表します。

猫は極度の不安を感じると、どのような行動をとるのでしょうか。

◆飼い主さんにまとわりつく

飼い主さんがトイレに行ったり、お風呂に入ったりしたあと、ドアを開くと必ず愛猫が待っている…。そんな経験はありませんか?

猫が飼い主さんの行動を監視し、べったりとまとわりつくのは、分離不安症の典型的な症状となります。

飼い主さんが外出するときや帰宅した際に、ストレスの兆候が発現することが多くあるようです。

いつも可愛がってくれるはずの飼い主さんが視界から消えてしまえば、不安を抱いている猫にとってこれほど恐ろしいことはないですよね。

執拗にまとわりつかれると感じたのなら、分離不安症をまずは疑ってみましょう。

◆大きな声で鳴く

「とにかく不安な気持ちを解消したい」「誰かにこの気持ちを理解してほしい」「離れてしまった仲間に会いたい」などの気持ちは、大きな声で鳴くことによって主張をしてきます。

猫同士間では声でのコミュニケーションをとることがあまりないので、大きな声で鳴くときは飼い主さんに対して主張していることがほとんどです。

自分でもどうして良いのか分からず鳴き続けますので、なかなか鳴きやまないのも分離不安症の特徴と言えるでしょう。

◆破壊行動を起こす

うっぷんを晴らすかのように、部屋の中にある家具などを傷付けたり壊したりといった、破壊行動を起こすこともあります。

とにかく落ち着きがなくなり、目に入るものに手当たり次第八つ当たりするので、留守番をさせている間に部屋がめちゃくちゃになっていることも。

そして飼い主さんに対しても攻撃的になっているようなら、分離不安症で気持ちが落ち着かないのかもしれません。

◆粗相が多くなる

分離不安症を患い気持ちが深く落ち込んでしまうと、抑うつ状態に陥るようになっていきます。

明らかに元気がなくなっていくと、普段できていたこともできなくなってしまうことがあるので、排泄行為に異常が見られることもあります。

トイレ以外の場所で粗相をすることが多くなり、不妊手術を行っている場合でも、スプレー(マーキング)行為をしてしまうことも。

飼い主さんに怒られることが分かっていても粗相をしてしまうのは、心に不安がある証拠ですので、原因を取り除くことをまずは心掛けるようにしましょう。

◆過剰にグルーミングをする

分離不安症により意気消沈してしまうと、執拗にグルーミングをして自分を傷付けてしまうことがあります。

同じ箇所を舐め続ければ、その部分の毛は抜けて脱毛を起こしますし、猫の突起した舌で皮膚を傷付けてしまうことも。

ほかにも自分の手足や尻尾を噛むなどの自傷行為が見られますので、少しでも異変を感じたのなら、早めに対策方法を用いて改善に導いてあげてください。

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愛猫が分離不安症になってしまった場合

愛猫に分離不安症の症状が出ているのなら、早急に不安を取り除いてあげる必要がありますよね。

分離不安症には、どのような対策方法が有効なのでしょうか?

◆自立を促す

愛猫の愛着対象が飼い主さんなのであれば、飼い主さんからの自立を促すことが一番です。

留守番の時間が多く、寂しい思いをさせているからといって、在宅時は思う存分甘えさせたり、構ったりなどはしていませんか?

飼い主さんが構い過ぎることが原因で、分離不安症を患っているのであれば、適度な距離を保ち、一匹でも上手に留守番ができるような生活環境を整えてあげましょう。

◆ストレスを軽減する

猫が飼い主さんに過剰な愛情を求める背景には、心に抱えたストレスや、満たされることのない欲求を抱えているのかもしれません。

飼い主さんに理解してほしいけれど、上手に伝えることができない煩わしさが、分離不安時の問題行動に繋がっている可能性も。

そのまま放置してしまえば、ほかの病気を併発することもあるので、ストレスの原因を追究し、しっかりとストレスの発散をさせてあげてください。

◆怒らない

猫は犬と違い怒られてもそこで反省することはなく、ただ恐怖心を覚えて飼い主さんへの不信感が募り、そこから信頼関係はどんどん崩れていきます。

分離不安症で食事がとれなくなったり、粗相をしてしまったり、破壊行動を起こすようなことがあっても、怒鳴るなどをして怒ることはやめておきましょう。

問題行動を起こした際は、その場で注意をしないと意味がありません。

時間が経ってから叱っても、猫には何のことか分からず、余計に気持ちを不安にさせてしまうだけなので気を付けましょう。

◆部屋を片付ける

分離不安症によって、愛猫が破壊行動や問題行動を起こすのであれば、壊されたくない物や誤飲の危険性がある物は、出しっぱなしにしないで片付けておくようにしてください。

気持ちの発散のために物に当たるのであれば、ターゲットになりやすい物はしまっておくのが一番です。

部屋が散らかっていると、トイレ以外での排泄もされやすくなってしまいますので、防止の意味でも常に部屋の中は清潔を保つようにしましょう。

◆新しい猫を迎え入れる

極度の不安や寂しさから分離不安症を患っているのなら、仲間を増やしてあげるのも一つの手段となります。

飼い主さんへ向けられた依存心が、仲間がいることによって徐々に和らいでいくからです。

ですが万が一猫同士の相性が悪いと、分離不安症にプラスして別の問題(膀胱炎などの突発性の病気)が生じてしまうこともあるので注意が必要です。

命を扱う対策方法は責任も伴いますので、家族と相談をして慎重に決断をするようにしてください。


猫を分離不安症にさせないために

分離不安症は気持ちだけでなく、猫の健康にも害をもたらしてしまうこともあるので、普段から分離不安症にさせないような配慮も必要になってきますよね。

もし猫をペットとして迎え入れた際に、まだ子猫であれば適度な距離を保ってしつけを行うことにより、留守番もできる自立した猫に成長させられるでしょう。

可愛いからといって過保護にしすぎてしまうと、飼い主さんが外出しただけでパニックを起こすようになってしまうので、適度な距離を保つことも大切です。

そして留守番の時間に、寂しさによって大きな不安を感じているようであれば、留守番の時間も寂しくないような工夫をしてあげてください。

落ち着いて眠れる場所や、暇な時間を有効に使える知育玩具を用意する、常に部屋を片付けておくなど、できる限りの準備はしておくようにしましょう。

もし少しでも分離不安症の傾向があるようでしたら、日々の行動をチェックして、しっかり治してあげる気持ちで接してあげるようにしましょう。

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まとめ

飼い主さんにべったりで甘えん坊な猫ちゃんはとても可愛いらしいですが、溺愛しすぎて一緒に居る時間はすべて猫の要望を聞くような生活を送っていると、猫はどんどん飼い主さんに依存していきます。

寂しい気持ちをさせた分、たくさん構ってあげたくなる気持ちは分かりますが、このような関わり方は悪循環に陥りやすく、離れた時間が極度の不安になって現れるようになってしまうのです。

このような分離不安症になってしまうと、どんどん問題行動を起こすようになってしまうので、中途半端な優しさは愛猫のためにはならないことを覚えておきましょう。

昨今ではコロナ禍でおうち時間が増えている方も多いと思いますので、猫ちゃんとべったり過ごすのではなく、一匹で過ごせる時間を提供し、自立して生活できるように促してあげてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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