日本語でたびたび登場する猫の額という言葉の意味が知りたい!

2022.01.15

日本語でたびたび登場する猫の額という言葉の意味が知りたい!

日本には「猫」という言葉を使用した、猫にまつわることわざや慣用句がたくさんありますよね。 その中で「猫の額」という言葉が使われた、慣用句を耳にされたことのある方も多いのではないでしょうか。 猫の額という言葉には、どんな意味が込められているのかを考えてみました。

猫の額とは

鼻を舐める子猫

日本のことわざや慣用句の中には「ねこ」にまつわる言葉が100以上も存在すると言われています。

それぐらい猫という動物が、人間にとって常に身近な存在であることがうかがえますよね。

その言葉の中で「猫の額(ひたい)」という慣用句を耳にすることがありますが、文字の通り猫額(ねこびたい=おでこ)を指す言葉となります。

額とは一般的に、眉毛から髪の毛の生え際までの部分を現す言葉となりますが、顔が小さく髪の毛が無い猫の額は、どこの場所を額と言うべきなのか、悩んでしまう方も多いことでしょう。

猫にも眉毛はありますが、全身が被毛で覆われていることからも、額と頭頂部の判断がしづらく、額の定義が曖昧なのにも関わらず、猫の額という言葉が誕生した所以が何なのかも気になるところです。

なぜ日本には猫で表現する言葉が多いのか、そして猫の額という慣用句にはどんな意味が込められているのかを解説していきたいと思います。


なぜ「猫の額」という?

猫の額という慣用句の意味を考える前に、なぜこれほど猫という動物が私たち人間にとって、特別な存在であるのか気になっている方も多いはずです。

猫はもともと野生で暮らすリビアヤマネコが家畜化し、家猫の起源になったと言われています。

穀物を荒らすネズミなどを駆除させるための家畜として、人間の傍に置かれた猫ではありますが、掴みどころのない自由気ままな性格や、見た目の可愛らしさから、人々の心を掴んで離さなかったことが容易に想像できますよね。

いつしか家畜から愛玩動物としての地位を確立した猫ではありますが、人間に従順な犬とは異なり、適度な距離を保ちながら共存してきた動物でもありますし、観察すれば観察するほど不思議で、魅力に溢れている存在として可愛がられてきたのではないでしょうか。

ときには甘えん坊で、ときにはずる賢い、そんな多面性を持ち合わせた猫は、何かを例えたいときに誰しもが想像しやすく、親しみが持てる象徴として認識されていたはずです。

そのような背景があったからこそ現代でも、猫という言葉が入った慣用句などが、当たり前のように使われているのかもしれませんよね。

猫の額という慣用句が誰によっていつ誕生したかは定かではありませんが、猫の額がどこからどこまでなのか、在って無いようなものという曖昧な意味が込められていることからも、狭さや小ささを表現する言葉として知られています。

そしてこの慣用句を思いついた方は、きっと猫を愛しよく観察していたのではないでしょうか。

猫が好きでじっくり観察していなければ、すんなりと出てくる言葉ではないですし、ほかの動物で例えなかったことなども、何かしらの意味が込められている気がしてなりません。

そうでなければ場所が狭かったり小さかったりすることの例えを、猫の額で表現しようとは思いつきもしないので、よほど猫に思い入れがあった方が作った言葉として考えるのが自然なのではないでしょうか。

◆猫の額を使った慣用句

慣用句は2つ以上の単語が複合し、まったく異なる意味を持った定型句となります。

文章や会話の中で用いられることがほとんどなので、日常の行動や物事を面白おかしく表現するために作られた言葉とも言えるでしょう。

一種の比喩表現方法として扱われつつ固定化しているので、意味をしっかりと理解した上で使用しないと、使用した相手に対して失礼にあたってしまうこともあり注意が必要です。

猫の額は「猫の額ほどの庭」などといった、広さを表現する慣用句として使用されることが多いので、具体的に数値では表現できないけれど、とにかく狭いことを伝えたい場合に使用することが多いようです。

庭のほかにもその場所や土地、家や部屋などにも使えますので、その広さに対して相手を揶揄したいときや、謙遜したいときなどに用いるのが一般的となります。

親しい間柄だからこそ使用できる慣用句となりますが、はっきりと「狭い場所」と伝えるよりは、「猫の額ほど」と伝えた方が、角が立たない気がするのは、やはり言葉の基になった猫が人間から親しまれているからなのかもしれません。


猫が登場するその他の慣用句

猫という言葉が使われている慣用句やことわざは、日常的にも使用されていることが多いので、いくつかの慣用句が頭に浮かぶ方も多いことでしょう。

こちらでは猫が登場する慣用句やことわざ、慣用句を用いた例文などをご紹介いたしますので、改めてその意味を考えてみてはいかがでしょうか。

◆猫の手も借りたい

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忙しいとき、とにかく人手が足りないときに用いる定型句で、猫を使った言葉として真っ先に思いつく方は多いはずです。

とくに年の瀬などは、さまざまなイベントに併せて大掃除などもありますし、丸くなってただひたすら眠っている猫を見ていると、ついつい猫の手も借りたい!なんて気持ちになってしまうのは、仕方がないのかもしれません。

◆猫に鰹節(かつおぶし)

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猫の好物である鰹節を猫の傍に置くと、すぐに食べられてしまい油断ができないことから、あやまちが起こりやすい状況を例えるときに用いられる言葉です。

類語に「猫にまたたび(大好物の例え)」、反対語に「猫に小判(価値が分からないことの例え)」などがあります。

◆借りてきた猫

「猫の手も借りたい」と似た雰囲気のある定型句ですが、忙しいから本当に猫を借りてきたという意味ではなく、普段と違ってかしこまり、大人しい様子を表現するときに使用します。

接する相手によって態度を変えるのは猫あるあるとしても有名なので、妙にしっくりくる言葉でもありますよね。

類語として「猫を被る」という慣用句がありますが、こちらも多面性を備えた猫の性格が大きく関係しており、本性を隠して大人しそうに見せたり、知っていながら知らないふりをしたりするときなどに用いられます。

◆窮鼠(きゅうそ)猫を噛む

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猫に追い詰められる側のネズミではありますが、絶体絶命の窮地に追い詰められたとき、弱い立場であっても必死に反撃して、強い者に逆襲するといった意味を持ちます。

「ウサギとカメ」も童話からの教訓として定着している言葉ではありますが、どことなく窮鼠猫を噛むといった定型句を彷彿とさせますよね。

もし本当に猫がネズミに逆襲された場合、あっけに取られてしょんぼりしてそうな姿が想像できますし、この言葉も多面性を持つ猫にぴったりな定型句と言えるのではないでしょうか。

◆猫の目

なんの変哲もない「猫の目」といった言葉ですが、めまぐるしく状況が変わるときに用いられる慣用句となります。

猫の目は明るさによって瞳孔の大きさが変わりますし、暗闇でも行動ができる目を持っているので、私たち人間には理解できないような能力を持ち合わせています。

そんな自由自在に形を変える様子から、この言葉が誕生したと考えられていますが、状況の変化を現す猫の目や、面積を現す猫の額と同じように、猫の体の一部を使った言葉がほかにもたくさん在ることをご存知でしょうか。

熱いものが食べられないことを例える「猫舌」、丸まった背中を「猫背」、冷たいことを現す「猫の鼻」、細くて柔らかい毛を「猫っ毛」、爪を隠して音を立てずに歩くことを「猫足」、無くても困らない例えを「猫の尻尾」といった言葉で表現します。

体の一部ではありませんが、「猫なで声」といった表現は媚びるときに出す、甘えたような声を指す言葉も存在しています。

それだけ猫といった動物が、私たち人間にとって唯一無二で特別な存在であることがうかがえますよね。

こんなにも猫で表現する言葉が多いのにも関わらず、現代を生きる私たちを飽きさせることなく癒しの魅力を振りまく猫たちは、まだまだ未知で掴みどころが無い存在であることに驚愕です。

これだけに留まらず秘められた魅力が猫にはまだあるはずなので、これから先もしっくりくるような言葉が誕生したとしても不思議ではないでしょう。

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まとめ

改めて猫が登場する言葉を挙げていくと、その多さだけでなく、しっかりと猫という動物を理解した上で表現された言葉だということが分かりました。

その中でも猫の額は、なかなか思いつかないような表現でもあるので、本当に日本語は面白いなと感心させられるものです。

そしてその言葉の中には、しっかりと猫へのリスペクトも含まれていることが伝わってきますし、猫が今も昔も愛されるべき存在だったことが分かるのも嬉しいことですよね。

こちらの記事でご紹介しました猫の額をはじめとした慣用句や定型句以外にも、辞書やインターネットで検索をすると、まだまだたくさんの猫で表現された言葉が出てきます。

新しい発見があるかもしれませんので、この機会に是非猫が登場する言葉を探してみてはいかがでしょうか。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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