犬と猫を同居させるときに気をつけるポイントは?

2018.04.30

犬と猫を同居させるときに気をつけるポイントは?

SNSなどで見かける仲良しの犬と猫の様子は、とてもかわいらしいですよね。犬と猫を同居させるときに気を付けるポイントは、幾つかあります。まず各々の習性を理解すること、そして年齢や物件状況などです。最も重要なポイントは、先住しているのが犬なのか猫なのかで、それにより犬の嫉妬や猫のテリトリーを犯さない様にするなどの配慮が必要です。 今回は、犬と猫を同居させるときに気を付けることについて詳しくご紹介します。

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犬と猫の習性の違いは?

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家庭のペットとして人気の高い二つの動物ですが、習性は全く違います。人に媚びる犬と、気ままで自由な猫と称する方もいますが、この言葉はとても両者の特徴を捉えている言葉です。

まずは、犬と猫の習性の違いについてご紹介します。

◆食性

犬は雑食動物で、猫は肉食動物です。そのため、両者は必要な栄養素が異なります。

特に猫に必要なタウリンは、犬は自身の体内で生成することができるためドッグフードに配合されていないことが多いです。
ドッグフードを日常的に猫に与えると、タウリン欠乏症に陥ることもあるため、食性の違いを理解しておく必要があります。

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◆行動の単位

犬は群れで生きる生き物です。家庭の場合は家庭という群れに属し、必ずリーダーを作り、リーダーに従います。
そのため、リーダーと認識した飼い主の指示を聞いたり、しつけというルールに従った行動をすることも得意です。

ところが猫は単体で生きる生き物で、仲良しを作ろうという性質がありません。犬の様にリーダーを作ったり、群れの中で順位付けをすることも無く、飼い主も同居人も他の生き物も全て対等な存在です。
そのため、人の指示を聞かず、自由きままに生活することが多いです。

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◆運動量(散歩)

犬は運動量が多く、散歩で体力発散や社会性を身につけます。猟犬や牧羊犬などで使役してきた歴史を持つ犬は、運動不足はストレスの原因にもなるため、散歩でストレス発散することは大切なケアの一つです。

対して猫は、散歩を必要としません。そのため、生涯室内だけで飼育することも可能です。


同居失敗のパターンもある?

犬と猫の同居で仲良しに過ごすことのできるパターンは、実は少ないです。同居失敗といえるくらい犬猿の仲になってしまうこともあります。

仲が悪くなった場合、犬は噛みつき、猫は引っ掻きや噛みつきなどの攻撃を行うことがあります。
また、精神的にストレスを抱えてしまい、元気が無くなったり、食欲が無くなったり、脱毛や、内臓疾患などの病気を発生させてしまうこともあります。

種別を越えて仲良しで同居できる、という理想だけを持って同居に踏み切るのは、とても危険だということは頭に入れておきましょう。


同居が難しいパターンは?

同居が難しいパターンもあります。それは先住していたのが高齢猫というパターンです。

猫は家に住むと言われ、環境の変化を嫌います。高齢になればなるほど頑固になり、環境の変化についていけない個体が多いです。

犬を迎え入れると、散歩やしつけなど家庭内の生活や活動時間に変化が生まれます。
そのため新しく入ってきた犬を受け入れることが出来ず、攻撃的になる、体調不良になるなどのトラブルが起こりがちです。


犬と猫を同居させるときに気を付けることは?

飼い主としては仲良し状態の同居を想像しがちですが、実際にはお互いに自分の生活を守り、ある程度距離のある付き合いをする犬と猫が多いようです。
習性の異なる犬と猫を同居させるときに気を付けることは、どんなことなのでしょうか。

同居させるときに気を付けることについて、詳しく確認してみましょう。

◆年齢

同居させる犬と猫が若ければ若いほど、仲良しになり同居が上手くいく可能性が高いです。一緒に育つことは、種別を越えて仲良しになる可能性があります。

特に子犬など幼齢の時期は最適です。社会経験を積み、生活の基盤を整える時期である生後2~3ヶ月の頃が一番おすすめでしょう。

◆家の広さ

ワンルームなどの、逃げ場が無く同じ空間にずっといるようなつくりの家は同居に向きません。性格が合わなかった時に隔離できるような部屋数は、必ず必要です。

◆プライベートスペースの確保

人間同士の同居でも、プライベートスペースを持ち、一人になる時間が無いと失敗するといわれています。これは動物の多頭飼いも同じで、逃げ場が必ず必要です。

くつろぐハウスのスペースや、各々に邪魔されないトイレ空間、食事スペースなどは必ず確保するようにしましょう。

特にトイレ空間には細心の注意を配らないと、下部尿路疾患などの病気を引き起こす可能性もあります。

◆同居させる順番

同居を成功させ、仲良しにさせるコツは「家に迎える順番」が大きく影響しています。
先住していたのが犬なのか、猫なのか、それによっても同居が成功するか否かは変わります。

これは犬と猫の習性が影響しています。

<犬が先住の場合>
犬が先住で、後から猫を迎える場合に一番気を付けなくてはいけないポイントは「犬の嫉妬」です。

犬は嫉妬心が強く、群れで生活する生き物のため、よそ者を簡単に受け入れることが出来ません。
そのため、必要以上に犬を優先することが、スムーズに同居を受け入れさせるコツです。

猫が家族という群れのメンバーだと犬が認識できれば、仲良しになる可能性も上がりますし、同居生活は円滑に進みます。

<猫が先住の場合>
猫は家の中というテリトリー(縄張り)を大事にしています。
そのため、無闇にズカズカとテリトリーに入ってくる犬を良く思いません。それがストレスとなって攻撃になったり、体調不良を引き起こしたりと身体に悪影響を及ぼす可能性があります。

猫が先住している場合には、犬をしっかりとしつけ、猫のテリトリーに立ち入らないようにする必要があります。
特にデリケートになりがちなトイレや、食事場所には注意が必要です。

猫が先住している家に犬を同居させる際には、細やかな配慮が欠かせません。


同居生活で起こる可能性のある病気は?

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同居生活で双方がストレスを抱える生活になってしまった場合、病気を引き起こす可能性もあります。

◆ストレスによる症状に注意

ストレスからの脱毛、元気消失、食欲減退、皮膚病、下痢、嘔吐などが多い病気です。

ストレスから問題行動を引き起こす事も多く、犬の場合は皮膚を舐め壊す、吠える、噛みつく、破壊行動などがあります。
猫の場合は威嚇、家中で爪をとぐ、マーキング行動などが多く起こります。

◆怖い猫の下部尿路疾患

中でも身近で起こりやすい病気に、猫の下部尿路疾患((FLUTD)があります。
下部尿路疾患とは、排泄に関与する病気の総称で、尿結石や血尿、尿道閉塞などが多く起こります。

猫はテリトリー(縄張り)を大切にしているため、それを犯す存在にストレスを覚えます。
特にトイレはプライベート空間であり、人目(犬の目)があるとオシッコを我慢してしまうことが多々あります。

猫の下部尿路疾患は、重症になると手術や死に至る事もある怖い病気です。プライベートスペースは必ず守ることが大切です。

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犬と猫の同居を成功させるコツは?

◆同居で仲良くさせようと思わないこと!

犬と猫が一緒にスヤスヤ寝ている画像や動画を見て、憧れている方も多いでしょう。
しかし、実際に同居させていて仲良しか?と聞かれると、そうではないパターンの方が多いのです。

そのため、同居を成功させるコツは仲良くさせようと思わないことです。
お互いが、お互いを気にせず、ストレスを抱かずに生活できる。という状況が実は理想の同居なのです。

◆猫と同居させやすい犬種を選ぶ

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同居を成功させるには、犬の性格が重要になります。性格は持ってうまれた個体の性質もありますが、犬種特有の気質も関係しています。

同居させやすい犬種の性格は、友好的で社交的、温厚で神経質ではないものです。
具体的な犬種は以下の通りです。

●ラブラドール・レトリバー

●ゴールデン・レトリバー

●キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

●マルチーズ

●ポメラニアン


犬と猫の同居は様々な要因で決まる!慎重に取り組みましょう

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犬と猫を同居させるときには、各々の性格や年齢、先住しているのが犬なのか猫なのか、などをしっかり考慮する必要があります。
勢いだけで同居させた場合、同居を失敗してしまい、病気を抱えたり、ストレスで精神状態が不安定になってしまう犬や猫も多いです。

犬も猫も寿命は10~20年と長い生き物です。長い間、家族として過ごすのですから、慎重に同居に取り組む必要があります。
お互いがお互いを気にせず、ストレスを抱かずに生活できる理想の状態になったら、犬と猫の両方から癒される生活が待っています。

どちらも好き!どちらも飼いたい!という方は、是非この記事を読んで同居生活に備えてくださいね。



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St.Elmos

動物看護士、トリマー、愛玩飼養管理士などの資格を持っています。 家族の一員としてのワンちゃんネコちゃんにまつわる情報をお伝えできればと思います。

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