【獣医師執筆】なんで必要?いつから行ったらいいの?ペットの健康診断に行ってみよう!

2020.11.23

【獣医師執筆】なんで必要?いつから行ったらいいの?ペットの健康診断に行ってみよう!

犬・猫の病気や健康についてコジマの獣医師が教えてくれる「教えて獣医さん!」今回は大切なペットがずっと健康で幸せに暮らす為に大切な「ペットの健康診断」についてです。犬・猫にとってなぜ健康診断が大切なのか、健康診断ではどのようなことを行うのかなどなど、飼い主さんたちの気になる犬・猫の健康診断について解説を行っていきます。

健康診断はなぜ必要?

家族の一員である大切な愛犬・愛猫には、一日でも長く元気でいて欲しいものですよね。近年、犬・猫の健康に興味・関心をもつ飼い主さんも増え、愛犬・愛猫に健康診断を受けさせる方も増加傾向にあります。
人なら具合が悪い時やどこかが痛い時は言葉や文字などで表現することができます。しかし、ペットは自分の健康状態をお話ししてくれません。むしろ、少しくらい調子が悪くても平気なふりをすることもしばしばあります。具合が悪いのに気がつかないで放置してしまうと、治療に時間を要するようになったり、場合によっては治療自体が難しくなることもあります。健康診断を受けさせるということは大切なペットの体調はどうなのか、その声を聴くことでもあるのです。健康診断は、コジマ動物病院をはじめとした多くの動物病院で行っています。ぜひ一度お近くの動物病院に聞いてみましょう。

アセット 4

健康でいるために

日本のペットたち、特に犬・猫は飼育環境の改善やペットフードの改良、そして動物医療の進歩などにより昔と比べ平均寿命が延びています。しかしながら、高齢化に伴い病気に罹患する犬・猫の割合も多くなっているのが現実です。病の芽を早期に摘むことで犬・猫が痛みや苦しみを感じることなく、介護の必要なく健康に過ごせる時期(健康寿命)を長く保つことが可能になります。

健康診断でわかること

行う検査項目によっても差はありますが、基本的には飼い主さんが「見てわかること」以外にも見ることのできない内臓の病気や心臓病、ホルモンの病気、時には血液の病気などを発見することができます。もちろん、健康診断さえ受ければ全ての病気を発見することができるわけではありませんが、定期的に受け続けることで見落とされがちなちょっとした変化を見つけることができるようになります。

いつから受けるべき?

人でも年に一回の健康診断がすすめられていますが、犬・猫は人よりも早く年を取ります。人に換算すると、成長期を過ぎた後は1年で4歳くらいずつ年を取っていくと考えられており、7歳以降がシニア期となります。健康診断をはじめるおすすめの年齢は、まず先天的な異常や成長過程に何か異常がないかを確認するためにも生後1歳くらいで受けるとよいでしょう。その後はシニア期までは最低1年に1回、シニア期に入ると1年に2回以上がおすすめです。
前述したように、継続して受けることでさらに「いつもと違う違和感」を発見できる可能性が高くなります。

アセット 5

検査の内容

行う施設にもよりますが一般的に健康診断で行う項目は、問診、触診、視診、聴診からはじまり、糞便検査、尿検査、血液検査までが基本となります。それらで異常が認められた場合や高齢の子は、胸腹部のレントゲン検査や超音波検査などの画像診断をプラスするとよいでしょう。人間ドックで行われるようなMRI検査やCT検査などは、基本的に全身麻酔が必要になるためペットの健康診断としては一般的ではありません。

♦問診
飼い主さんから見たペットの様子をお伺いします。気になることや心配ごとがある時は遠慮なく獣医さんに聞きましょう。また、「大したことない」と思っていたことや「大丈夫」と思っていたことから病気を発見することもあります。ささいなことでもしっかりと獣医さんに伝えることが大事です。
♦触診・視診
被毛の具合や体形、口や耳の中の様子あるいは目の状態などの観察を行います。体温測定や場合によっては体脂肪なども測定します。
♦聴診
心音や呼吸音に雑音・違和感がないか、不整脈などがないかを確認します。高齢になってきたら心臓の病気も増えてきます。咳をする、疲れやすい、呼吸がおかしくなることがあるなどの異常がある場合は特に重要でしょう。
♦糞便検査
寄生虫の有無や腸内細菌のバランスなどの異常を確認します。下痢や便秘をしていなくても寄生虫が発見されることもあります。
♦尿検査
オシッコを作る過程の異常、特に腎臓の異常や尿結石の可能性・膀胱炎の可能性などをチェックします。オシッコの回数や量、ニオイ、色などに違和感がある場合は問診の時などに申告しておきましょう。
♦血液検査
血液検査でわかることはとても多いです。一口に血液検査といっても測定する項目はさまざまですが、貧血の状態、白血球の数、血糖値、肝臓の機能、腎臓の機能、中性脂肪やコレステロールの値などが一般的です。動物病院によっても検査内容は異なりますし、そのペットの状態や犬種・猫種によって測定項目を変えることもあります。

アセット 6

検診時の注意点

健康診断は基本的には動物医療保険の対象外となります。ご家庭であらかじめ費用などについては十分ご相談の上受診されることがおすすめです。血液検査などは即日結果が出ず、後日検査結果を聞きに行くこともあります。また、絶食が必要だったり採尿が必要であったりするので事前に各動物病院に問いあわせるとよいでしょう。

アセット 7

私たちコジマ動物病院でも犬・猫の健康診断「アニマルドック」を行っています。診察項目の必要性は獣医さんに相談しながら決めていただければと思います。アニマルドックは予約制になります。予約はお電話でも結構ですが、事前に問診票と尿検査用のキットを取りに来ていただければスムーズです。

もっと早く病院に連れてきてあげていれば…という後悔はいつまでも続くものです。ワンちゃん・ネコちゃんとの楽しい思い出が少しでも多くなるよう、定期的に健康診断を受けましょう!

●記事執筆
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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コジマ動物病院 Dr.小椋

コジマ動物病院 Dr.小椋

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。 https://pets-kojima.com/hospital/

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