猫のご飯にはどんな種類がある?
CMや店頭で見る猫のフードは、健康志向やグルメな素材などかなりこだわって作られています。ところで猫のフードにはどんな種類があるのでしょう?
すぐに思いつくのはカリカリと呼ばれるドライフードと、ウェットフード。けれど最近はそれだけでは収まらないようですよ。
猫のご飯は主に「目的別」「水分含有率」で区分され、それぞれにいろんな種類があります。
◆目的別区分でのご飯
– 総合栄養食 –
猫に必要な栄養素が全てバランスよく含まれていて、このフードと水だけで健康を維持できるペットフードです。「総合栄養食」と表示をするためには、各事業者が自らの責任において定められた試験を行わなければなりません。
総合栄養食には、猫の年齢や成長段階によって必要な栄養素がバランスよく含まれているので毎日のご飯として与えましょう。
– 間食 –
おやつやご褒美として、限られた量を与えることを意図したフードです。おやつ、スナック、トリーツなどの表記で販売されています。
間食は食べすぎるとご飯を食べなくなり肥満の原因にもなるので、1日に必要なエネルギーの20%以内に抑えるようにします。
– 療法食 –
特定の疾患や疾病に対する食事療法の内容に合わせて、栄養成分の量や比率が調節され、治療を補助する目的で使用されるフード。獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを目的としたものをいいます。
– その他の目的食 –
おかずやふりかけタイプの「副食(一般食)」、特定のカロリー補給を目的とした「栄養補助食」などがあります。
◆それぞれの役割
総合栄養食には猫の健康維持に必要な栄養素が“バランス良く”含まれていますが、本当に必要な栄養素は猫それぞれで微妙に違ってきます。猫の種類の違いや毛の長さ、飼育環境や性格など、様々な理由で必要なご飯の内容は変わってきます。
そんな微妙な違いを補うのが一般食や間食です。いろんな種類があるので、猫の好みを確かめながら与えるのもいいですね。
一般食は栄養よりも味を重視しているせいか猫の食べ具合はかなり良いと思います。ただし栄養面では一般食だけでは不十分です。一般食は毎日与えるのではなく、特別な日のごちそうと考え普段は総合栄養食だけを与えるようにしましょう。
また、総合栄養食も食べ過ぎはよくありません。与える時間や回数、量を指定通りに守り、猫の健康を守りましょう。
◆水分含有率区分でのご飯
製品中の水分が10%程度以下のフード。加熱発泡処理された固形状のものがほとんどです。栄養価が高く作られているにも関わらず、一食当たりの費用が安く、日持ちが良いため、総合栄養食として広く食べられています。
ドライフード自体に適度な堅さがあるため、猫の歯にくっつきにくく、歯石や歯周病の予防にも効果があると言われています。
– ドライフード –
– ソフトドライフード –
製品水分25~35%程度のフードで、ドライフードと同様に原材料を混ぜ合わせ、押し出し機で粒状にしたものをふくらませて(発泡)いますが、乾燥はしていません。水分を保つために湿潤調整がされています。
水分を多く含んでいるため、時間が経つとカビが発生しやすいという難点もあり、大きな袋の中でさらに小袋に梱包されている場合がほとんどです。開封したあとは、なるべく早く使い切るように心がけてください。
– セミモイストフード –
水分含有量25~35%程度の、いわゆる半生タイプのやわらかいフード。キャットフードよりもドッグフードで多く見られます。
ドライフードと同様、原材料を混ぜ合わせ、押し出し機などで製造しますが、発泡や乾燥はしていません。水分を保つために湿潤調整がされています。
– ウェットフード –
水分含有量75%程度のフード。魚肉などを主原料とし、ドライフード以上に素材の持ち味が活かされているため、嗜好性も高くなっています。ドライフードの食いつきが悪い子や夏の食欲が落ちる季節、シニア猫ちゃんにはトッピングとして与えるのも良いでしょう。また、水分含有量が多いことから水分補給としての役割も少しながら持ちます。
品質を保つために殺菌工程を通し、缶、アルミトレーやレトルトパウチなどに詰めます。密封して加熱殺菌してあり、中身は無菌状態なので、開封しなければ品質は長期間保たれます。
開封後は生ものと同じ状態になるので、食べきれなかった場合は別の容器に移しかえ、冷蔵庫で保管し早めに使い切りましょう。
猫のご飯のあげ方は?回数・時間など
いろんな種類のフードが手に入り、猫が喜んで食べてくれるものを与えてしまい、猫も食べ過ぎ気味になっていませんか?
猫の健康と長生きのためにご飯の種類と量、回数、与える時間は飼い主さんがしっかり管理しなければなりません。
◆必要なカロリー
室内飼いの成猫の場合、体重1kgあたり70kcalを目安とします。肥満気味であれば食べ過ぎに注意し、低カロリーのフードに替えるなどして摂取カロリーを抑えましょう。
逆に妊娠期や授乳期の猫には通常の2~4倍のエネルギーが必要になります。栄養価の高い種類のフードを与える、回数を増やすなど、猫の状態に合わせ、ご飯の内容も変えるようにします。
◆ご飯の回数
本来狩猟動物である猫は、少量のご飯を何回にも分けて食べる習性があります。
したがって、飼い猫の場合でも1日に必要なカロリー量の総合栄養食のフードを、数回に分けて与えることが望ましいでしょう。
食事間隔が開きすぎるとやはり空腹時間が長くなり、食べ過ぎや一気喰いの原因になります。可能であれば3回~4回以上に分けることをおすすめします。
飼い主さんの1日のスケジュールによって上手く小分けにして与えるとよいでしょう。
また、子猫の場合は一度に食べられる量が少ないので、2~3時間おきに与えましょう。
◆成長とともにご飯の内容を変える
幼猫から成猫、老猫へと移っていく猫の体と必要な栄養素に合わせて、フードの種類を変えていきます。
いきなり切り替えるのではなく、元のご飯に少しずつ混ぜていく方法で切り替えていきましょう。
猫がご飯を食べ過ぎる原因は?
ご飯をあげると一気に食べて、しつこく鳴いておねだりする。買い置きしておいたフードが袋を破られて中身を食べられている。他の猫のご飯を横取りする。毎食しっかり食べているのに、更に要求するのはどんな原因があるのでしょうか?
– 満腹感が認識できていない –
食べすぎの猫は早食いの傾向があります。そのため「自分は満腹だ」と認識できないうちにたくさん食べてしまうようです。
– 成長期 –
成長期の猫は体を大きくするために多くのエネルギーを必要とします。食べ過ぎてしまうのは栄養が足りていないことが原因かもしれません。
– 心因性の摂食障害 –
飼い主さんがあまりにも猫を溺愛し、飼い猫の言いなりになっていると「お腹がすいたフリをすればいくらでもご飯がもらえる!」と猫が思い込んでしまうことがおねだりの原因となっています。放っておくと満腹でも常になにかを食べたくなってしまうので注意が必要です。
– ストレス –
猫への愛情不足や環境の変化など、ストレスが食べ過ぎの原因になることもあります。
猫がご飯を食べ過ぎる時の対策5つ
◆必要なフードの量を計量して与える
一日に何度もご飯をおねだりしてくる場合、きちんと一日に必要な量を与えているかチェックしてみましょう。必要量はフードのパッケージに表記しています。目分量で与えるのではなく、毎回重さを計りましょう。
◆猫の体重を定期的に測定する
猫がやせすぎることなく、適正体重が維持できているようであれば、ご飯は足りているはずです。欲しがるままに量や回数を増やしていたらあっという間に肥満体になってしまいます。
◆食べるのに時間がかかるご飯にする
空腹を感じやすい猫の場合は、ウェットよりもドライフードのほうが噛み応えがあり、食べ過ぎを予防します。
ウェットフードを与えるときも、わざと崩さずに与えると、食べるのに時間がかかるため満腹感が増します。
また、ドライフードであれば凹凸の付いた早食い防止用のお皿を使用するなどして、時間をかけさせる方法もあります。
◆食事回数を増やす、決まった時間に与える
1回の量を少量にして、1日の食事の回数を増やしても満足感が得られます。この時、なるべく決まった時間に与えるようにし、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。
仕事などで決まった時間にフードを与えられない場合は、自動給餌器などを活用するといいでしょう。
◆猫に毅然とした態度で挑む
ご飯はもうないことをきっぱり伝えて、「食べ終わったら食事は終わり」ということを猫に納得させることも大切です。
どんなに可愛くても猫の言いなりはNG。「ダメなものはダメ!NO!」と伝える事が大切です。猫も知能があり、学習します。しつこさに折れてフードを与えてしまうと、「この人は鳴き続ければいつかはご飯をくれる」と学習してしまいます。
食べ過ぎの対策として、どんなに猫にねだられても無視してください。一度でもご飯をあげてしまうと元の木阿弥です。心を鬼にして「こいつは鳴いても無駄だ」と学習させましょう。すると自然におねだりも食べ過ぎもなくなるでしょう。
まとめ
猫の食べ過ぎは肥満を招き、肥満は更に病気を招きます。猫の肥満が原因でなりやすい病気は糖尿病、心臓病、関節炎、肝疾患など、慢性化するものばかりです。また太り過ぎた猫は麻酔が聞きにくいこともあるようです。
肥満は万病の元。ご飯の種類、内容を知り、愛猫に最適な量、回数、時間を把握することが愛猫の健康と長生きにつながるのですね。
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