猫も夏バテに!猫と夏の関係
猫の祖先は砂漠にいたリビアヤマネコとされ、猫は比較的暑さに強いとされてきました。しかし、現代の密閉性の高い住環境で暮らしている家猫は、必ず暑さに強いとは言い難くなっています。
◆イエネコは夏バテになりやすい?
猫の被毛には断熱と保温の役割があり、夏は毛を減らして涼しく、冬は毛を増やして温かくしています。
しかし、室内に暮らしている猫は日光を浴びる機会が少なく、また室温も一定に調節されていることが多く、寒暖の差をはっきりと感じられなくなった猫は被毛の調整が不十分になります。
被毛がすっかり抜けきっていない状態で夏の季節を迎えれば、猫も人間と同じように厳しい暑さによって体の機能が低下し、夏バテのような症状を引き起こしてしまします。
◆猫の夏バテの症状は?
猫は人間のように汗をかくことができず、効率よく体内の熱を逃がすことができません。猫は口と鼻から水分を蒸発させ、その気化熟で体温を下げるのですが、日本の夏のように湿度60%を超える日は水分が蒸発しにくくなります。
猫の夏バテの原因を取り除くためには、毎日のこまめなブラッシングで余分な被毛を取り除き、エアコン等で室内の温度と湿度を調節することが一番です。
以下のような猫の夏バテのサインが見られたら要注意です。
・食事の時間になっても姿を表さない
・食欲がない
・吐く
・下痢
・尿の回数が少ない、あるいは量が少ない
夏バテで食欲がなくなり食事を取らなくなると、必然的に体内に吸収される水分量も減少します。尿が少ないのは脱水症状を起こしかけているからかもしれません。
猫は自分の体調不良を隠そうとします。少しでも普段と違う様子が見られる場合は、早めに獣医師の診断を受けましょう。
猫はどんな時に吐く?吐く理由は?
◆嘔吐反射
猫は人間に比べて吐きやすい動物です。猫がよく吐く原因の一つは猫の「嘔吐反射」が弱いため。嘔吐反射とは、喉の奥に刺激が加わったとき、反射的に「おえっ!」とえづいてしまう現象です。
猫は肉食動物のため、獲物を丸飲み状態で食べようとします。丸飲みを食事の基本とする犬や猫では、この反射が極めて弱いのです。水がなくてもカリカリを噛まずに丸呑みできるのはそのおかげです。
逆に食べたものを一気に吐くことがよくある、ということも言えます。猫の胃袋の容積は体重3kgの猫で180mL、4kgで240mL程度ともいわれています。お腹が空いた猫が一気にカリカリを食べた後、カリカリの形が残ったまま吐くことがあるのも、小さな胃袋にいきなり大量の食べ物が入って来て、胃袋がびっくりして「やばい!」と感じてしまうことが原因の場合もあるくらいです。
◆毛玉の排出
猫が吐く理由は他にもあります。日々のグルーミングによって飲み込んだ毛玉が胃袋に溜まった時です。
猫はこの毛玉を吐くために、草を好んで食べます。草のツンツンした刺激で胃の中の毛玉を吐き出そうとしているのです。吐き出した中に大量の毛玉が混ざっている場合は、正常な嘔吐の場合が多いです。
注意したいのは、飼い主さんが猫の吐く行為を止めてしまうこと。「吐かないほうがいいのかも」「後片付けが大変」と思ってしまうかもしれませんが、猫は胃から不要なものを吐こうとしています。それを止めてしまうと、お腹の中にいつまでも毛玉が残ってしまい、別の病気を引き起こしてしまうことになりかねません。
猫が吐くときは終わるまでそっと見守ってあげましょう。
◆異常な嘔吐
猫が吐くときは、もちろん病気や中毒が原因のこともあります。猫の吐いたものの内容を確認して、受診が必要か判断しなければなりません。
・猫が吐いたときにチェックする項目
猫が吐いたとき、正常な嘔吐なのか、異常な嘔吐なのかを判断するためには、次のようなことをチェックしましょう。
・吐いた回数、頻度
・吐いた後の体調
・吐き出した物の内容
・咳や涎の有無
猫が吐くことは珍しくありません。しかし様々な理由がありますので、基本は病院で診てもらう事です。
とはいえ様々な事情ですぐに病院に行くのが難しい状況などで、吐く回数が週に1回以下、体重が減っていない、食欲が減退していない、下痢をしていないといった様子であれば、ひとまず様子を見るという選択肢もあるかとは思います。
こんな嘔吐は要注意!猫の吐く症状は?
◆吐いたものの中に回虫がいる
猫の吐いたものの中にひも状のものが認められ、また以下のような症状が認められるときは猫の体内に寄生虫が住み着いています。すぐに獣医師の治療を受けましょう。
治療は駆虫薬を投与して寄生虫を除去します。最初の治療で駆除しきれなかった虫卵や幼虫の可能性を考慮し、薬を投与してから2週間くらいしてもう一度検査を行い、必要に応じて再度投薬します。
・下痢、嘔吐
・腹痛
・腹部のふくらみ(太鼓腹に近い)
・子猫の発育不良
・咳
・体重減少
・貧血
・毛艶の悪化
◆食事の後必ず吐く
食品アレルギーの可能性があります。ある特定の食材に含まれる成分に対してアレルギー反応を示してしまうことです。
猫の食品アレルギーの主な症状は以下です。アレルゲンが消化器系に作用した後、血流に乗って散らばることで全身症状を示すようになります。
・お腹が鳴る
・お腹が張る
・全身のかゆみ
・引っ掻き傷や脱毛
・発熱
・膿皮症の併発
・外耳炎の併発
猫の膿皮症は、皮膚上で菌が異常繁殖して化膿し、膿を排出してしまった状態です。
猫のアレルギーの治療はアレルギーを引き起こしていると思われる食品を抜いていくことから始まります。飼い主さんが獣医師の指示なしに適当に行うと、猫は栄養バランスが崩れてしまったり脂肪肝を引き起こしてしまうこともあります。
必ず獣医師に相談し、指定されたフードや市販されているアレルギー対応食を用いて症状の改善を待ちます。
症状が改善されるには1ヶ月から2ヶ月かかるので、すぐに治らないからとアレルギー食を辞めてしまわないようにしましょう。
膿皮症や外耳炎には投薬治療が行われます。
◆吐こうとするが何もでない
異物を飲み込んで、吐き出せずにいる状態かもしれません。
・えずいて吐こうとするが何もでない
・ぐったりする
・食欲不振
・呼吸困難
・チアノーゼ(酸欠で舌、口の中の粘膜、歯茎が青紫色になる)を起こす
これらの症状が出たら早急な対応が必要です
・異物を取り出す
口をのぞいて異物がひっかかっているのを確認できるようなら、ピンセットや指先で取り除いてあげます。ただし不用意に動くと口の中を傷つけてしまいますので、十分に猫を保定した状態で行います。
・獣医師に受診
異物が目視できない場合、また見えていても飼い主さんが取れない場合はすぐに獣医師で取り除いてもらわなければなりません。病院では内視鏡での摘出や胃洗浄などの処置が取られます
猫の異物の誤飲誤食は飼い主さんの責任です。猫が口にして謝って食べてしまうような小さなもの、細いものなどは必ず猫がさわれないところに片付けるように習慣付けましょう。
◆吐いたものの中に血が混じっている
急性胃炎、胃潰瘍、胸腔等の疾病が隠れているかもしれません。放置せず、獣医師に診断しましょう。
猫が吐く時の対策は?
猫が吐くことは仕方がない生理的反応だとしても、吐く時の辛そうな様子を見たら、吐かない方がいいなあ、と思ってしまいますね。
猫が病気以外で吐く原因は、以下のことが考えられます。
◆早食い
フードを与えた途端にガツガツと飲み込んでいくように食べると吐く原因になります。吐き出したものもフードがそのまま、食道の形のまま棒状に出てきたりします。
対策としては、少しずつ与える、フードを食べにくいお皿に入れる、あまり空腹時間を長く作らない、などの方法があります。
◆フードが合わない
猫は肉食動物ですので、穀物を消化する酵素を持っていません。そのため炭水化物を消化するのがとても難しく、フードの成分に穀物類が多く含まれていたり、消化しにくい成分が含まれていたりすると嘔吐の原因になることもあります。
一度フードの成分を見直し、他のものに切り換えてみるのも一つの方法です。
◆毛玉がお腹にたまっている
猫は常にグルーミングをしていますが、換毛期で抜け毛の多いときは飲み込む毛の量も増えます。お腹にたまった抜け毛は嘔吐の原因になります。
これを防ぐために毛玉がお腹にたまりにくくするためのフードが市販されています。
また、猫とのコミュニケーションをとる方法として猫の被毛のブラッシングはとても良い方法です。猫と仲良くなれて、嘔吐も防止できる。一石二鳥ですね!
まとめ
これからは人間も猫も暑くて夏バテになりがちな季節。猫は言葉を話せませんから、私たち飼い主が猫の様子を観察し、早め早めに猫のケアをしてあげることが夏バテ防止に効きますね!
猫が吐いてしまったときに異常を感じたら、ぜひ写真を撮っておきましょう。病院を受診する際の情報として提出すれば、体調不良の原因も早く判明するかもしれません。
どうぞ幸せな猫ライフをお送りください。
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