【獣医師監修】猫の食物アレルギーの症状、原因、検査方法は?

2019.07.12

【獣医師監修】猫の食物アレルギーの症状、原因、検査方法は?

猫にも食べ物で起こす「食物アレルギー」があるのをご存知でしょうか。最近ではキャットフードを食べていてもアレルギー症状を起こす猫が増えているようです。いざ、愛猫が食物アレルギーを起こしても、原因や対処法が分からないと危険な状態になりかねません。 そこで、今回は猫の食物アレルギーの原因や症状、検査方法などについてお話させていただきたいと思います。

【目次】

猫の食物アレルギーとは?

キャットフード

猫の食物アレルギーは、人間のアレルギー同様「食べ物の中に含まれる特定の成分に対してアレルギー反応が出てしまう」というものです。

猫にとって消化しづらい物質だったり、免疫力が弱っている時もアレルギー症状が出やすくなります。

◆猫の食物アレルギーの原因特定は難しい

人間の食べ物は猫にとって害があるものがあるのは分かるけど、キャットフードを食べていれば安心でしょ?と思っている方もいるのではないでしょうか。

もちろんキャットフードは猫の身体を考えて作られていますが、人間のアレルギーと同様に、猫の食物アレルギーは最初から分かるものではありません。症状が出てから初めて分かるものなので、キャットフードにその猫にとってのアレルギー物質が含まれているかどうかは、症状が出るまで判断は難しいところです。

新しいフードに変えた時に症状が出た場合には、前のフードには含まれていないものが新しいフードに含まれている可能性があるので、フードの成分を参考に対処出来ます。しかし、そうでない場合、どの食材が原因か特定するのも簡単ではなく、動物病院できちんとした検査が必要になってきます。

◆猫の食物アレルギー発症の目安は?

猫の食物アレルギーの発症自体は生後半年以降が目安という事ですが、中にはもっと早く発症する子もいるので一概には言えません。

猫を飼う上で去勢や不妊手術をする方もいると思いますし、その時のホルモンバランスが関係してくることもあるようなので、発症時期は様々のようです。


猫の食物アレルギーの症状は?

特定の食材に対して過剰に免疫反応を起こしてしまう食物アレルギーは、発症してしまうと様々な症状を引き起こします。その症状についてご紹介していきましょう。

猫の食物アレルギーの反応で主に現れる症状は、

・下痢
・嘔吐
・お腹の張り
・かゆみやかぶれ
・発熱
・だるさ
・脱毛
・外耳炎
・膿皮症

などが挙げられます。

嘔吐や下痢は比較的飼い主さんも気づきやすいかと思いますが、お腹の張りや発熱などは特に見落としがちです。

その他、皮膚炎を起こす事もあるので、症状が出たら早めに対処してあげたいものです。

痒みが出て傷がつくまで引っ掻いてしまい、皮膚のかぶれが悪化して膿皮症になってしまうケースもあるようです。ただれなどもあり、痛々しく治るのも時間がかかりますので、愛猫が苦しむのは避けたいところです。

嘔吐や下痢の段階ではその他の病気の可能性もあるので、キャットフードを変えたりして経過を見てからでもいいかもしれませんが、症状が長く続くようだったり悪化してしまった場合は、すぐに動物病院で検査してもらうことをお勧めします。


猫の食物アレルギーの原因は?

では、猫が食物アレルギーを起こす原因は何にあるのでしょうか?

猫が食物アレルギー症状を起こすアレルギー物質を「アレルゲン」と呼びます。アレルギーを引き起こす原因は、このアレルゲンとの接触によるものです。要するにアレルゲンを食べてしまうと症状が出てしまうというわけです。

アレルギー症状を引き起こしやすい食材は多数存在しますが、大きく分けると肉や魚、穀物類です。

◆牛肉、鶏肉、豚肉、ラム肉、魚、牛乳、生卵

牛肉や魚などのアレルゲン食材

これらに共通するのはタンパク質が豊富と言うことです。タンパク質は猫の食物アレルギーの原因として最も多いのだそうです。また、豚肉や魚介類に多く含まれるヒスタミンも食物アレルギーを発症することがあります。

猫が体内で消化吸収出来なかったりする事が理由のようですが、肉や魚はキャットフードに使われることも多い食材なので、与えたら症状が出ないか注意して観察してあげましょう。

◆小麦、大豆、とうもろこし

小麦や大豆などのアレルゲン食材

これらの穀物も食物アレルギーの代表と言っても過言ではありません。穀物は猫にとって消化しづらいようで、それが原因となって食物アレルギーを起こす可能性もあるようです。

魚介類などは、好物の猫ちゃんも多いかと思いますし、キャットフードを選ぶ上でお魚がたくさん使われているものは美味しそうに感じてしまいませんか?しかし、魚はヒスタミンの元となる成分が多く含まれているので、魚を使っているキャットフードを避けるように勧める獣医師もいるようです。

猫の健康管理や栄養のバランスを考えて作られているキャットフードですが、こういった猫の食物アレルギー物質については飼い主さんの観察が必要になってきます。


猫の食物アレルギーの検査の方法は?

本の上にいる子猫

猫のアレルギー症状の原因が食物だと分かっている場合の検査方法はいくつかあります。

ただし、これらの方法を試す際は必ず獣医師に相談しながら行うようにしましょう。

◆除外食:特定の食品を排除しながら確認していく方法

まず1つ目は除外食という方法です。

除外食とはアレルゲンの可能性のある食材を取り除いた食事を与える方法で、まず魚を取り除いた食事を与え、症状が軽減されなければ鶏肉を除いた食事を与えてみたりと、アレルゲンの可能性のある食材を繰り返し一つ一つ確かめます。その中にアレルギー症状が軽減された食材があれば、それを含む食事を与えてみてアレルギー症状が出ることを確認し、アレルゲンを特定します。

こちらは猫ちゃんの体調なども考慮しつつ行うので、1回や1日での判断は難しく、正確な診断が出きるように一種類ずつ長期に渡って試していきます。そのため、きちんとした結果が出るまでには時間がかかります。

◆厳格食:できる限り1度に摂取する食品の種類を減らしながら確認していく方法

2つ目の検査方法は厳格食という方法ですが、こちらは除外食ではアレルゲンが特定できない場合に行う検査方法です。

除外食よりも更に徹底した検査で、鶏肉のみ、牛肉のみなど1度に猫が食べる食品の量を減らしてアレルギーの反応を伺います。

こちらも長期に渡って経過を見ながらの検査ですが、診療代の他食材については実費になることもあります。

◆血液検査を行う

3つ目は血液検査でアレルゲンを特定する方法です。

動物病院で血液による猫のアレルギー検査をした場合、陽性反応が出た食品(アレルゲン)を含まないキャットフードのリストなどが貰えるようなので、その後のキャットフード選びに役立ちます。

検査費用は動物病院にもよりますが相場は2~3万円ほどです。決して安い金額ではないので血液検査を絶対にした方がいいとオススメは出来ませんが、1度検査をしておけばその後愛猫が安心して食事ができるのならと考えると高くはないのかもしれません。

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猫の食物アレルギーの対処法・予防法は?

猫の食物アレルギーの予防法についてですが、これをすれば確実に予防できる!というものが確立されていないのが現状です。

しかし、なるべくアレルゲンの可能性のある食材を含まないキャットフードを選ぶことは食物アレルギーの予防に繋がります。

◆低アレルゲンのキャットフードに切り替える

既にアレルギー症状が出てしまっている場合の猫ちゃんへの対処法としては、低アレルゲンのキャットフードに切り替える方法があります。

軽い症状の場合は、獣医師の指導の元こちらで様子をみて経過を観察し、悪化する場合やしばらく続く場合には動物病院で治療を受けましょう。

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※療法食は、獣医師の指導のもと使用するフードになります。必ず獣医師に相談の上、使用方法、使用期間等を守って与えるようにして下さい。※

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猫用 低分子プロテインは、食物アレルギーによる皮膚疾患および消化器疾患の猫に給与することを目的として、特別に調製された食事療法食です。この食事は、食物アレルギーの原因となりにくい加水分解したタンパク源を使用しています。

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食物アレルギーの原因となる可能性が極めて低い加水分解蛋白質を使用しているため、食物アレルギーを持つ猫に適しています。
一般的な食物アレルギーの原因となりにくい高消化性の炭水化物(米)を使用しています。

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◆グレインフリー、グルテンフリー、無添加のキャットフードを選ぶ

近年ではグレインフリー・グルテンフリーのものや、無添加のものなどキャットフードも猫ちゃんの身体をより考えて作られているものが増えてきています。

添加物でアレルギー反応を起こす猫ちゃんの例もあるようなので、その点無添加のものは安心ですね。

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猫の食物アレルギーに対応した国産の総合栄養食です。主タンパク質源にポーク・大豆・米を使用。また、毎日の食事で愛猫の下部尿路や皮膚・被毛の健康を維持。

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副産物やミール原料を使用せず、正肉のみを使用。ミールフリー、グレインフリー。合成保存料・香料・着色料無添加。<総合栄養食>

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◆タンパク質の種類が少ないキャットフードを選ぶ

アレルゲンの可能性のあるタンパク質の種類が少ないフードを選ぶのも一つの手です。数種類の肉や魚が含まれているものは、どれがアレルゲンなのか特定しにくくなります。

一つのキャットフードの中に含まれる動物性タンパク質の種類が少ないフードなら、アレルゲンの特定までがスムーズなのでオススメです。

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※療法食は、獣医師の指導のもと使用するフードになります。必ず獣医師に相談の上、使用方法、使用期間等を守って与えるようにして下さい。※

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猫用 セレクトプロテイン(ダック&ライス)は、食物アレルギーによる皮膚疾患および消化器疾患の猫に給与することを目的として、特別に調製された食事療法食です。この食事は、食物アレルギーの原因となりにくく、また消化性の高いタンパク源(ダック)および炭水化物源(ライス)を使用しています。

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◆ローテーションフード

ローテーションフードとは同じブランドの中で2~4種類程のフードを毎日または一定の期間ごとに変えて猫ちゃんに与える方法です。チキンを使用したフード、ラムを使用したフード、魚を使用したフードなど、素材の異なるフードを組み合わせることで、アレルギーのリスクを分散する事が出来る場合があります。

急なフードを切り替えは下痢などの症状を引き起こすこともありますので、これらの方法を試すときは獣医師に相談しながらするとよいでしょう。

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【フードで悩む方必見!!】フードが定まらないことは悪いことなの…?本当に愛猫に合ったフードってどんなフードなんだろう…。などなどフードに関するお悩みを持つ方必見。愛猫の為にフードについて見直してみませんか?

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猫の食物アレルギーまとめ

今回は猫の食物アレルギーに関してお話させて頂きました。

原因となる食材も多数ありますし、ある程度の予防や症状が出た時の対処は出来ますが、愛猫にとって絶対に安全というキャットフードはありません。しかし、少しでも知識を身につけておくことによって、素早い対処が出来、愛猫を危機から救えるかもしれません。

人間同様に猫の身体も食べ物から作られていますから、与えるキャットフードや食材にも気を配ってあげなければいけませんね。アレルゲンを避けたストレスフリーな生活は猫も元気に暮らせて飼い主も安心です。

ご自宅の猫ちゃんと楽しい食生活を送ってくださいね。

●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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harerun

harerun

2児と1匹の母です。ライター歴は浅いですが、自由気ままな子供と猫が暴れ回る中で楽しく執筆させて頂いてます。愛猫のギャーピーちゃんは今年9歳になる女の子ですが、お風呂にまで付いて来る甘えん坊。仕事をしていても常に膝の上で勝手に寝ている愛猫を撫でるのが日課です。

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