激しいかゆみ!猫の疥癬とは?
疥癬という病気がいったいどんなものが分からないという方の為に、まず疥癬という病気の詳細についてお話させて頂きたいと思います。
◆疥癬とは?
疥癬(かいせん)とは、寄生虫の一種であるヒゼンダニというダニが寄生する事によって起こる皮膚病で、多くの哺乳動物はこの疥癬に感染する可能性があると言われています。
人間は勿論、猫や犬やウサギや牛や馬など、様々な動物に感染してその動物から動物へうつる厄介な病気です。
◆ヒゼンダニとは?
疥癬の原因となるヒゼンダニは、顕微鏡などでないと見えない程の小さなダニで、猫の体表に寄生して皮膚に穴を掘り、産卵を繰り返します。
産卵を繰り返し増殖したヒゼンダニは、数週間生息し続け、その間皮膚の崩壊やヒゼンダニの排泄、刺激性分泌物などの放出が原因となって炎症反応が起きます。
この炎症反応が起こると、元々猫が持っている免疫細胞が異物を除去しようと働きかけますが、異物だけでなく周辺の神経まで刺激してしまい、激しい痒みを引き起こします。
猫の疥癬の症状は?
猫が疥癬になった時に起こる症状には以下のようなものがあります。ご自宅の猫ちゃんが感染した場合にも症状が分かっていれば早めに気付いて対処してあげる事が出来ますよね。
猫の疥癬の主な症状は、
・発疹
・フケ
・かさぶた
・食欲不振
などが挙げられます。
ヒゼンダニの寄生が原因となって起こる疥癬の症状は上記に挙げたものが主になりますが、これらの症状だけでは済まなくなってしまうのが疥癬の恐ろしい所でもあります。発疹やフケやかさぶたはともかく、問題なのは痒みです。
◆激しい痒みを伴う疥癬
疥癬は、猫の皮膚病の中で最も痒いと言われています。
痒みの激しさから、猫はその患部を激しく掻きむしったり噛んだりするので、出血を伴ったりと患部の症状も悪化してしまいます。
人間でも痒さに耐えられずにかきすぎてしまうと、傷になってしまうことがありますが、猫は特に爪が鋭利になっているということもあり、患部を掻きむしってしまうと傷になってしまう可能性が高いのです。
そして皮膚が傷になってしまうと、傷口から二次感染を起こし更に症状も悪化していきます。
◆痒みのストレスから食欲不振になることも
ヒゼンダニは猫の体温が上がると行動が活発になるので、夏場は特に痒みの症状が強く出てしまうようです。
言葉で「ここが物凄く痒い!我慢出来ない程痒い!」とは言えない猫ちゃんですから、気付かずにそのままにしてしまうと皮膚の炎症が全身にまで広がってしまい、耐え難い痒みのストレスから食欲不振に、そして栄養失調になってしまう危険性もあります。
子猫や老猫は特に抵抗力が弱く、症状が重くなるケースもありますので、ご自宅の猫ちゃんが異常に掻き続けている時などは注意して見てあげるようにしましょう。
猫の疥癬の原因は?
◆感染した猫との接触が多い
殆どの場合、猫が疥癬にかかるのは「感染した猫との接触」です。
特にお外に出る習慣のある猫ちゃんは注意が必要で、直接猫との接触がなかったとしても、疥癬の猫から落ちたヒゼンダニがいる場所を通っただけでも感染してしまう可能性がある為、放し飼いの場合は感染する確率もグッと上がってきます。
◆飼い主さんがダニを連れてくる場合も
完全室内飼いなら絶対安心かと言うと、実はそうでもありません。例えば、飼い主さんが外で疥癬の猫と接触する事で感染するというケースもあるということです。
猫好きさんはお分かり頂けるかと思いますが、人懐っこい野良猫を見て思わず撫でたり抱っこしてしまう事もあるのではないでしょうか?疥癬にかかった猫とは知らず、そのままヒゼンダニを皮膚や衣服に付けたまま自宅に持ち帰ってしまう、なんてことも感染ルートになるのです。
疥癬は痒みの症状が強く出て、炎症が悪化すると二次感染まで引き起こしてしまう病気ですので、なるべくなら愛猫に感染するのは避けたいところです。
お外に出る猫ちゃんは勿論、室内飼いでも感染してしまう可能性がありますし、多頭飼いのご家庭では感染した猫ちゃんのブラシやベッドからもうつることがあると覚えおきましよう。
猫の疥癬は人間にもうつる?
猫から猫へうつる感染経路についてご説明させて頂きましたが、人間も哺乳動物なのでうつる可能性なども心配になりますよね。そうなると気になるのは、感染した猫から人間にもうつるかどうかということです。
◆猫と人間に感染するダニの種類が違う!
人間の疥癬も猫と同じように痒みを伴う症状が起こり、原因は同じくヒゼンダニの寄生によるものです。
しかし、寄生する動物により原因となるヒゼンダニの種類が違ってきます。各動物に寄生しているヒゼンダニは他の動物に寄生したとしても繁殖を行うことが出来ないため、猫のヒゼンダニが人間に寄生し繁殖する事はないということです。
◆猫のヒゼンダニが一時的に感染することも?
注意しなければならないのが、猫のヒゼンダニから人間も一時的に感染する可能性があるということです。
人間の体に猫のヒゼンダニがうつると、繁殖ができないため増えることはなくいずれ死んでしまいますが、人間も同じく激しい痒みが起こりますし、皮膚に発疹が出てきます。
猫から人間へうつるヒゼンダニが人間の皮膚で生きていける期間は3週間以内といわれています。症状は一時的なもののようですが、3週間というのは割と長いですよね。
いずれ死んでしまうとはいえ、3週間も痒みに耐えなければならないのは辛いものですので、疥癬にかかった猫ちゃんからうつる事のないように気をつけたいところです。
猫の疥癬の治療法は?
なるべくなら感染するのを避けたい猫の疥癬ですが、感染してしまった場合は早めに動物病院で治療を受けましょう。
疥癬かどうかを診断する際には、皮膚に穴を掘った所に潜むヒゼンダニを見つけるために、猫の皮膚の表面を削って顕微鏡を使いながらヒゼンダニやその卵を探します。
その後疥癬と診断された場合は、まずダニ駆除剤の投与から行い、皮膚の炎症を伴う場合は二次感染予防の抗生物質も投与されます。
治療に使われるダニ駆除剤は直接皮膚にタイプと注射で投与する場合があり、猫ちゃんの状態によっては薬用シャンプーなども併用して治療を行っていきます。
一旦症状が治まったように見えても完治するまで油断は禁物ですので、自己判断せずに獣医師の指示に従ってヒゼンダニが死滅するまでは治療を続けましょう。
猫の疥癬の予防法は?
疥癬に限らず、動物病院での治療は費用も安いものではありません。病気になってしまった時の治療費は仕方ありませんが、まず病気にかからないように気をつけてあげる事も必要です。
疥癬に感染しない為の一番の予防法ですが、ずばり「室内飼いを徹底する」ということです。
疥癬に感染する原因は主に感染動物との接触ですので、それを避ける事が一番の予防法と言えますよね。勿論、場合によっては外から感染源を持ち込んでしまって感染する場合もありますが、猫ちゃんを放し飼いにしている場合と比較すると、確率はかなり低くなります。
完全室内飼いが一番の予防法ではありますが、それがどうしても難しいという場合には、ダニの予防・駆除剤を定期的に投与して疥癬を予防するという方法もありますので、愛猫が痒くて辛い思いをしなくて済む対策を考えてあげましょう。
まとめ
今回は疥癬という猫にとっても人間にとっても辛い症状を引き起こす病気の症状や治療法などについてご紹介させて頂きました。
できることなら感染は避けたいですし、感染してしまった場合には速やかに対処してあげたいものです。
筆者宅の猫様は完全室内飼いでお外をいつも眺めておりますが、外の世界を知りません。飼い主側としてはこれほどいつも眺めているお外に出してあげられない事が切ない時もあるのですが、来年10歳になる我が家の猫様は、ワクチンと不妊手術以外で動物病院にお世話になることのない病気知らずの健康体です。
愛猫が病気になり、辛い症状や治療に耐えている姿は、飼い主側も辛いものですよね。どんなに気をつけていても病気にかかってしまうことはありますが、可能な範囲で予防してあげる事も大切です。
病気の予防を心がけて、元気でハッピーなニャンライフを送りましょう!
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