【獣医師監修】猫は皮膚病にかかりやすい?4つの原因を認識して対策をしよう!

2022.11.12

【獣医師監修】猫は皮膚病にかかりやすい?4つの原因を認識して対策をしよう!

猫は全身を被毛で覆われているため、皮膚の病気とは無縁のような気もしますが、実は皮膚病を発症することが多い動物として知られています。 被毛で覆われているからこそ、皮膚の異常に気付き難いとも言えますが、猫が皮膚病を患いやすい動物である以上、飼い主さんは普段から意識して気を付けておくべきとも言えますよね。 猫が皮膚病を患った際にはどのような症状が出て、どのような原因により発症するかなどを詳しく説明していきたいと思います。

猫の皮膚病はどんな病気?

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猫の皮膚病とは皮膚に何かしらの病変が起こる総称となり、病気によって症状や原因がさまざまとなります。

特に猫が患いやすいと言われている皮膚病は、以下のような疾患が多いようです。

●アレルギー性皮膚炎
●アトピー性皮膚炎
●疥癬(かいせん)
●粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん)
●好酸球性肉芽腫(こうさんきゅうせいにくげしゅ)
●毛包虫症(もうほうちゅうしょう)
●ツメダニ症
●シラミ症
●膿皮症(のうひしょう)
●心因性皮膚疾患(しんいんせいひふしっかん)
●日光過敏症(にっこうかびんしょう)
●スタッドテイル
●痤瘡(ざそう)
●皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)

猫の皮膚病はこの通り種類も多く、愛猫が皮膚を気にしていたりかゆがっていたりしても、その原因を突き止めることは一苦労です。

症状によって原因を探ることが難しいことからも、愛猫の皮膚に何かしらの症状が出たときには、症状が悪化する前に動物病院へ連れて行ってあげるべきだと言えるでしょう。

猫が皮膚病を患った場合、一般的にはどのような症状が出ると言われているのでしょうか。


猫の皮膚病の症状

皮膚病によっても症状は異なりますが、この疾患を発症すると以下のような症状が出やすいと言われています。

◎かゆみ
◎皮膚の赤み
◎湿疹
◎炎症
◎脱毛
◎フケ
◎腫瘍
◎ベタつき
◎悪臭
◎出血
◎痛み

なかなか全身を被毛で覆われている猫の外見だけを見て、皮膚の異変に気付くことは難しいですが、かゆがっている場合や、しきりに一箇所を舐めているなどの行動をしているようであれば、何かしらの異常が起きていることは容易に想像がつきますよね。

また、日常的に抜け毛が増えてくることや、フケが多くなる、ベタつきや悪臭なども気付きやすい異変となるため、日ごろから愛猫のことをよく観察しておくことも大切です。

皮膚が乾燥してフケが出たり、赤みが出ていたりするなどの軽度の症状が出た場合は、猫自身が気にする素振りを見せないことがほとんどのため、飼い主さんが皮膚の異常に気付き難くはなりますが、食欲が落ちることや睡眠もままならないほどの辛い症状が出ることもあるようです。


猫の皮膚病の原因

猫が皮膚病を患うとどのような症状が出るかが分かりましたが、どのような原因で皮膚病を発症するのかも知っておきたいところですよね。

原因によって発症する皮膚病も変わってくるため、以下のような要因に注意しておきましょう。

◆細菌の感染

皮膚病の原因になりやすいと言われているのが、細菌による感染です。

細菌は私たちの目には見えないものの、生活空間のいたる場所に存在し、何かしらのきっかけによって病気を発症させる原因になりやすいと言われています。

細菌が原因で発症する皮膚病は「皮膚糸状菌症」「粟粒性皮膚炎」「膿皮症」「痤瘡」などが挙げられます。

どんなにキレイ好きな動物だとしても、食事スペースやトイレ周り、寝床が汚れている場合や、皮膚が傷付いた箇所から細菌が侵入するなど、どの猫ちゃんにも皮膚病を発症する可能性はあるため、常に生活環境を清潔に保っておくことが大切です。

◆寄生虫

猫にはノミやダニといった寄生虫による感染症がとても多く、それらが原因となって発症する皮膚病が「疥癬」「毛包虫症」「ツメダニ症」「シラミ症」「粟粒性皮膚炎」などとなります。

元野良猫や外への行き来が自由な猫ほど発症の確率は上がりますが、完全室内飼いだからといって安心しきれないのが、寄生虫による感染症です。

寄生虫の中には別の生物を媒介するものや、人間にも寄生する種類のものが存在するため、日頃からの対策も重要と言えるでしょう。

◆アレルギー

皮膚病で強く意識しておくべき原因の一つに、アレルギーが挙げられます。

アレルギーは食べ物だけでなくノミや蚊、ハウスダストや花粉などが原因となってしまうこともあるため、激しいかゆみを伴った脱毛や炎症などの症状が出ている場合には、アレルギーを疑ってみても良いかもしれません。

「好酸球性肉芽腫」といった病気は、明確な原因が不明と言われつつも、アレルギーが関係しているといった見解もあるため、猫のアレルギーは重症化しやすいことも懸念しておくべきと言えるのではないでしょうか。

◆ストレス

猫は睡眠時間も多く、ストレスをあまり抱えない動物と思われがちではありますが、猫も人間同様感情を持ち合わせているため、気持ちに不安や不満を覚えればストレスへと変わっていきます。

ストレスを抱え込むと問題行動が増えるほかにも、体にさまざまな異常を来たして病気を発症させることも少なくありません。

ストレスが原因となって発症する皮膚病もあり、「心因性皮膚疾患」といった疾患が挙げられます。

極度のストレスを緩和させるために、執拗に自身のお腹や足の一部を舐め続けて、脱毛や炎症を起こして皮膚を傷付けるといった特徴があるため、いかなる場合もストレスは猫にとって大敵だということを覚えておきましょう。


人にうつる皮膚病

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皮膚病の中には猫が発症してから、人間にもうつるといった「人獣共通感染症(ズーノーシス)」も存在します。

「皮膚糸状菌症」は猫カビとも呼ばれ、真菌の一種(カビ)が皮膚に感染することにより発症しますが、この真菌を持った猫と触れ合うことによって、人間の皮膚にも感染することがあるため注意が必要です。

皮膚のかゆみやフケ、円形の脱毛や水泡の形成といった症状が見られますが、重症化すると腫瘤(しゅりゅう)を形成することがあります。

このように何かしらの症状を持っている猫ちゃんであれば、動物病院を受診することが可能となりますが、中には目立った症状を示さないまま菌を保有している個体も存在するため、飼い主さん自身の皮膚に何かしらの症状が出た場合は、すぐに病院を受診するようにしてください。

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皮膚病にかかりやすい猫種

原因によって皮膚病にかかりやすい猫種は異なってきますが、免疫力の低い子猫や高齢の猫は、普段から気をつけておくべきと言えますよね。

特に寄生虫感染や皮膚糸状菌症などの皮膚病は、子猫が発症するリスクが高いと言われています。

また、長毛種の猫は全身を長い被毛で覆われていることからも、スタッドテイルや皮膚糸状菌症を発症しやすいようです。

純血種の猫では、顔の皮膚にシワが多く汚れが溜まりやすい「ヒマラヤン」や「ペルシャ」、肌が敏感な「アビシニアン」や「コーニッシュレックス」、被毛のない「スフィンクス」などは、皮膚病を患いやすい猫種と言えるでしょう。

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猫の皮膚病の治療法・治療費

猫の皮膚病に対しての治療法は、原因によって方法も異なりますが、原因を取り除く治療が行われることが一般的です。

薬で症状を改善できるようであれば投薬を行っていきますので、原因が寄生虫の場合は「駆除薬」、真菌の場合は「抗真菌薬」、アレルギーの場合は「抗アレルギー薬」などが用いられます。

皮膚の表面を清潔に保つ必要がある場合には、薬用シャンプーの使用といった治療法が推奨されるようです。

治療費は平均で8,000円前後と言われていますが、大半は検査にかかる費用となり、プラスして初診料や再診料、投薬などの金額によって費用が前後することを覚えておきましょう。


猫の皮膚病の予防方法

猫の皮膚病は好発品種が存在しつつも、どの猫が発症しても不思議ではない病気となります。

そのため、日頃から飼い主さんは愛猫が皮膚病を発症しないように、日常生活の中でできる限りの予防をしておくことが大切です。

皮膚や被毛を清潔に保つためには、定期的にブラッシングや保湿を行うといった、スキンケアが重要となりますし、生活環境の掃除を徹底して、猫だけでなく室内の清潔を保つことも大事ですよね。

ほかにも栄養バランスのとれた食事の徹底や、部屋の温度や湿度の調整、完全室内飼いを心掛けつつ、日常生活の中でストレスを溜めない工夫が必要となります。


まとめ

猫の皮膚病は原因がさまざまであることからも、日常的に発症しやすい病気と知られているため、どの猫ちゃんにもリスクがあるということを、飼い主さんはしっかりと認識しておかなくてはいけません。

そして万が一愛猫が皮膚病を発症していた場合には、早期発見ができるような工夫も必要と言えるでしょう。

日常的にスキンシップを図り、皮膚や被毛に異常がないかの確認のため、体の隅々まで優しく触れてあげてください。

猫ちゃんの中には何の症状も出さずに、菌などを保有している場合もあるため、年に1回程度の定期的な健康診断を行うようにし、常に愛猫の健康を気遣ってあげるようにしましょう。

●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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