【獣医師監修】猫の膀胱炎の原因、症状、治療法は?オス猫は膀胱炎になりやすい?

2020.10.20

【獣医師監修】猫の膀胱炎の原因、症状、治療法は?オス猫は膀胱炎になりやすい?

猫がかかりやすい病気の中で、上位に挙げられるのが膀胱炎です。私たち人間も患いやすい病気と言えますが、猫が患った場合、どんな症状が見られるのでしょうか?また、薬で治療が可能なのか、予防法はあるのかなどを考えていきましょう。

猫の膀胱炎とは?

血尿をした猫

膀胱炎とは、膀胱が細菌に感染し、炎症が起きる病気のことを言います。膀胱は、腎臓から送られてくる老廃物(おしっこ)を一時的に溜める袋状の器官であり、尿道を通して受け取ったおしっこを体外に排出する役割を担っています。

猫に見られる膀胱炎は、以下の2種類です。

・細菌性膀胱炎
・特発性膀胱炎

◆細菌性膀胱炎

細菌性膀胱炎とは、主に尿道から細菌(ブドウ球菌や大腸菌など)が入り込み、その細菌が尿管を伝って逆行し、膀胱に達した際に炎症を起こします。

膀胱内に結晶や結石が生じている場合にも、粘膜を傷つけて細菌感染することもあります。

高齢の猫で甲状腺機能亢進症糖尿病慢性腎不全などの病気を患っている場合、細菌性膀胱炎の発症頻度が高くなるとの報告もあるようです。

◆突発性膀胱炎

細菌性膀胱炎よりも猫が発症しやすいとされているのが、特発性膀胱炎です。

比較的若い年齢の猫がなりやすく、原因が特定出来ないことがほとんどなので、そのようなことから特発性(原因不明で突然起こること)膀胱炎と呼ばれるようになりました。

膀胱炎は発症の仕方によって、急性と慢性に分けられます。
急性の症状を放置し続け慢性化してしまうと、結石症や腎盂腎炎などの合併症を引き起こしてしまうこともあるので、早期の治療が必要と言えるでしょう。


膀胱炎になりやすい猫は?

一番は膀胱炎にかからないように予防をすることが大切ですが、どんな猫が膀胱炎になりやすいか知っておくと事前に対策が出来ることかと思います。

膀胱炎になりやすいのは、どんな猫でしょうか。

◆オスの猫

人間は女性がかかりやすいとされている膀胱炎ですが、猫はオスこそ注意が必要です。

オスの尿道は先端がとても細くなっているので、おしっこの中で炎症細胞や膀胱粘膜の細胞などが固まって詰まってしまい、尿道の出入り口が塞がれてしまうのです。

細菌が侵入しておしっこの中に、膿や血餅が出来た場合も同様となります。

トイレでおしっこが出来ずそわそわしたり、執拗にペニスの先端を舐めていたりした場合には、膀胱炎の感染を疑いましょう。

◆尿路結石症を患っている猫

元々尿路結石症を患っている子は、結晶(結石)が詰まって膀胱炎になりやすいです。

尿道が詰まってしまうとおしっこが出なくなってしまうので、腎機能が低下して尿毒症の症状があらわれます。毒素の進行はとても早く、命を落としてしまう危険性まであります。

◆すべての猫

特発性膀胱炎は原因が特定出来ないことからも、すべての猫に発症する可能性があると言えるでしょう。

猫はあまり水を飲まない生き物なので、すべての猫に発症してしまうリスクがあります。普段からどれぐらい水を飲み、どれぐらいおしっこをしているのかを知っておくことによって、異変に気付きやすくなると言えるのではないでしょうか。


猫の膀胱炎の原因は?

トイレに来た猫

細菌性膀胱炎の原因は細菌感染、特発性膀胱炎は原因不明と言われていますが、それ以外にもいくつかの原因が考えられています。

その他の原因として考えられているのは、以下の通りです。

◆膀胱炎の原因①ストレス

特発性膀胱炎の原因の一つとして、ストレスも要因ではないかと考えられています。

猫が普段生活している中で、急な入院やいつもと違った環境での留守番、引っ越し、来客の訪問などは猫のストレスになりやすいです。
とくに騒音が苦手な猫にとって、赤ちゃんや子供の声も大きなストレスとなります。

また、綺麗好きな猫にとってトイレが汚れていると、大きなストレスを感じてしまうようです。
そのためおしっこを我慢してしまうこともあり、もし細菌が膀胱で蔓延してしまえばどんどん症状が悪化してしまうことでしょう。

ストレスにより交感神経が過剰反応することによって、膀胱を刺激しおしっこを出にくくさせていると考えられています。

◆膀胱炎の原因②冬の寒さ

冬になると膀胱炎を患う猫が多くなると言われるぐらい、膀胱炎と寒さには密接な関係があるようです。寒さにより更に猫は、水をあまり口にしないようになることが多いです。

冷えることにより筋肉や臓器の動きも弱くなっているので、余計に排尿回数やおしっこの量が減ることによって、膀胱炎を引き起こします。

◆膀胱炎の原因③肥満

肥満の猫は様々な疾患に注意が必要となりますが、膀胱炎も例外ではありません。エサの過剰摂取によって、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が増え、バランスが崩れてしまうのです。

これが原因となり結晶や結石を生成させてしまうことがあるので、一日に与えるエサの量は基準値を越えてはいけないことが分かりますよね。

また、太っていると動くのも億劫となり、水もあまり飲まなくなるので、自然とおしっこの回数も減っていくことでしょう。

まるまる太っている姿の猫も愛嬌があってかわいらしいですが、長生きしてもらうためにも太り過ぎには注意した方が良さそうです。

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猫の膀胱炎の症状は?

実際に膀胱炎を患った場合、どんな症状が出るのでしょうか?

膀胱炎はあまり重い病気に捉われないことが多いですが、一度発症してしまうと何度も繰り返すことの多い慢性的な病気です。重要なのは初期症状のうちに早期発見してあげることです。

以下のような症状が見られた場合は、早急に動物病院に受診しましょう。

・トイレの周りでウロウロするもののおしっこをしている様子がない
・トイレから戻ってくる気配がない
・トイレ以外の場所で粗相をする
・尿道口付近を執拗に舐めている
・排尿時に鳴く
・おしっこの量が極端に少ない
・おしっこの回数が極端に多い
・おしっこの色が濃い
・おしっこが白く濁っている
・おしっこのニオイが強い
・おしっこがキラキラと光っている
・血尿が出ている

膀胱炎の症状は、比較的目視で判断することが出来るものばかりなので、異常があればすぐに気付くことが出来ます。

上記の症状はもちろん、1日に1回も排尿がない場合も、膀胱炎になりかけている可能性が強いです。

「1日ぐらい大丈夫」と考えるのではなく、「1日に1回もおしっこをしていないなんておかしい」という変換の仕方をするようにしてくださいね。

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猫の膀胱炎の治療法は?

注射器と薬

膀胱炎を疑った際には、必ず動物病院を受診し、薬を処方してもらうようにしましょう。

◆細菌性膀胱炎の場合

細菌性膀胱炎を患っている場合には、細菌による炎症を抑えるために、抗生物質を投与することが多いです。

内服薬が一般的ですが、自宅で飼い主自ら飲ませなくてはいけないという、デメリットがあります。

薬を嫌がって飲まない子の場合は、注射薬で投与することも可能です。
注射薬は内服薬よりも金額が高いことが多いですが、長期間効果が持続するので投薬が難しいと感じた場合には、注射薬を勧められることが多いでしょう。

膀胱炎を引き起こした原因となる細菌を特定して、もっとも効果が高い薬を投与します。

ただ、膀胱炎は再発が多いとされる病気でもあるので、薬が効いているかの経過観察も重要と言えるでしょう。

◆特発性膀胱炎の場合

特発性膀胱炎の場合は原因が不明であることから、明確な治療法が存在しません。

痛みを伴っているようなら鎮痛剤を処方してもらえますが、生活環境や生活習慣の見直しを促されることがほとんどです。

そのため、膀胱炎を患う前にしっかりと予防することが大切です。

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猫の膀胱炎の予防法は?

原因不明の膀胱炎を患ってしまうと明確な治療法が無いので、愛猫に辛い思いをさせてしまうこととなってしまいます。
そのため、膀胱炎は事前の予防こそが、重要となってくるでしょう。

一番の予防法としては、猫が落ち着いておしっこが出来る環境づくりや、ストレスを溜めないようにしてあげるのも飼い主さんの務めです。

そして常に新鮮な水を用意して飲水量を増やす工夫をし、偏った食生活をさせないようにしてあげてくださいね。

おしっこが濃くなりすぎないようにミネラルバランスが工夫されているフードなどもありますので、そういったものを与えてみることも良いかもしれません。

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また、おしっこは重要な健康バロメーターとなりますので、飼い主さんが毎日トイレ掃除の際には異常がないかのチェックを行いましょう。
おしっこチェックを行う商品や、気になる場合には少量採って動物病院で検査してもらうことも可能ですので、猫ちゃんの排尿時の様子も含めて気を配るようにしてあげてください。

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まとめ

膀胱炎はよく耳にするようにポピュラーな病気と思われがちなので、危険度が低い病気と認識されていることが非常に多いです。
しかし、一度患ってしまうと何度も慢性的に繰り返してしまう、とても辛い病気と言えるでしょう。

膀胱炎は慢性化することによって別の病気を併発する可能性も高く、最悪の場合命にも関わってきます。
痛みを伴うことがほとんどですが、猫は痛みを言葉で訴えることが出来ません。そのため、いち早く異変に気付き、症状に合った薬で治療してあげる必要性があります。

原因不明の特発性膀胱炎と診断された場合は治療法がないので、普段から猫にとって快適な環境を整えてあげることこそ、膀胱炎を発症させない秘訣と言えるでしょう。

そして普段から愛猫のトイレの回数やおしっこの色などを、観察しておくことをおすすめします。正常な状態を知っておくことにより、異変があった場合にすぐに行動に移すことが出来るのです。

愛猫の健康を守ってあげられるのは飼い主さんだけですので、常に意識して共に生活するようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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