【掲載:2019.12.14 更新:2024.10.15】
納豆は猫に与えても大丈夫?
人にとって健康にいい食べ物なら、猫にも与えてみたくなりますが、納豆は猫に与えてもいいものなのでしょうか?
結論から言うと、納豆は猫にあげても大丈夫な食材です。では、猫には、どんな健康効果が期待できるでしょうか?
◆血栓予防の効果がある
納豆独自の酵素であるナットウキナーゼには、血管にできる血栓(血の塊)を融解する効果があることが知られています。血栓は、脳梗塞や心筋梗塞という命に係わる病気を引き起こします。
猫では、免疫性介在性溶血性貧血、蛋白漏出性腸症、肥大型心筋症、FIP(猫伝染性腹膜炎)などの疾患で、血栓ができやすいと言われています。
ナットウキナーゼは、猫の血栓予防にも効果があると期待されています。
◆便秘予防にも
納豆菌は、腸内の善玉菌を増加させて、腸内環境を整えます。
また、納豆には、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維にも、猫の腸内環境を整え、便秘や下痢を予防する効果があります。
◆免疫力の低下・老化を防ぐ
納豆は原材料が大豆なので、大豆サポニンが含まれています。大豆サポニンは、優れた抗酸化作用を持っています。
活性酸素は、老化の原因の一つです。大豆サポニンは、過剰な活性酸素を除去することにより、猫の免疫力の低下や老化を防ぐ働きをします。
◆毛球症の予防
毛球症は、飲み込んだ毛が胃で塊になって、胃や腸で様々な症状を起こす病気です。
猫は、毛づくろいをしたときに、少しずつ毛を飲み込んでしまっています。通常、飲み込んだ毛は食べたものと一緒に排泄されたり、吐き戻したりして、体外に出ます。
しかし、毛の摂取量が過剰になったり、できた毛球を上手に吐き戻せなくなったりした場合に、毛球症になります。
長毛種の猫やきれい好きで毛づくろいの頻度が高い猫、吐き戻す力や胃腸の働きの落ちる老猫が、毛球症になりやすいと考えられます。
納豆に豊富に含まれる食物繊維には、便通を整える効果があるので、毛球症の予防効果も期待できます。
◆食欲増進
納豆の独特の匂いを好む猫は多いようです。食欲が落ちているときには、フードにトッピングしてあげると食いつきがよくなることもあります。
猫への納豆の与え方
猫にも健康効果が期待できることを、ご紹介しました。
では、実際に納豆を猫に与える場合には、どんなことに気をつければよいでしょうか?
◆タレなどは入れずに与える
納豆を買ってくると、たいていタレやカラシがついています。醤油を入れたり、薬味としてネギを加えたりして食べる人も多いです。
しかし、タレや醤油は猫にとっては塩分が過剰ですし、ネギはご存じのように溶血性貧血や急性腎不全を引き起こします。また、カラシは、刺激が強すぎて、胃炎などの原因になります。
猫には、タレやカラシ、醤油や薬味は入れず、納豆をそのままで与えてください。
◆アレルギーに注意
人にも大豆アレルギーの方がいますが、猫にも大豆アレルギーを持つ子がいます。納豆の原材料は大豆ですから、大豆アレルギーのある猫には、与えてはいけません。
大豆アレルギーがあるかどうかわからない場合には、まず、ごくわずかな量を与えて様子を見ましょう。
食べさせた後に、体を痒がるしぐさを見せたり、下痢や嘔吐をしたりする場合には、アレルギー反応が起きている場合があります。
嘔吐や下痢を繰り返すなど、アレルギー反応が落ち着かないようなら、動物病院に行きましょう。
◆たくさん与えすぎない
何事も、過ぎたるは猶及ばざるが如しといいます。健康効果が期待できる納豆も、たくさん与えすぎると、かえって健康を損なう可能性があります。
多量に与えると、栄養の過剰摂取や栄養バランスの乱れのもとになります。
また、消化不良を起こして下痢や嘔吐の原因になったり、お腹にガスが溜まって鼓腸症になったりします。嘔吐や体重減少、気力低下や歯の変形を引き起こすこともあります。
スーパーなどで売っているパック入りのものであれば、多くても4分の1程度にしておきましょう。
あくまで、トッピングやおやつとして与え、くれぐれも、与えすぎには注意してください。
◆療法食を食べている子には与えない
獣医師の指導のもとで療法食を食べている猫には、療法食以外のものを与えてはいけません。
獣医師からの特別な指導がない限り、食事療法中の猫のごはんには、トッピングやおやつは控えましょう。
◆ひきわり納豆がおすすめ
大粒のものは、あまり咀嚼をしない猫は、喉に詰まらせてしまう恐れがあります。また、胃腸の負担になることもあります。
納豆を猫に与える際は、細かく刻んだり潰したりして、食べやすい工夫をしてあげましょう。
また、小粒のタイプやひきわり納豆をあげてもいいでしょう。特に、細かくした大豆を発酵させたひきわり納豆は、皮が取り除かれているので消化に良く、猫におすすめです。
納豆を使った猫用ご飯のレシピ
納豆を猫に与える際に、少しアレンジしてみると食いつきが良くなる場合もあるかもしれません。
納豆は他の食材と合わせやすく、ヨーグルトなどと組み合わせると乳酸菌の効果も高まると言われています。
ここでは、納豆を使った猫用ご飯のレシピをご紹介します。
◆にゃんこと一緒に、納豆トマト丼
【材料】
豚肉:適量
トマト:適量
ひきわり納豆:適量
オリーブオイル:焼く分
※グリーンのトマトには毒があるので、完熟したトマトを使います。
【作り方】
(1)トマト、豚肉を細かくする
(2)豚肉を、オリーブオイルで炒める
(3)ひきわり納豆と合わせて完成
【飼い主さん用アレンジ】
ネギをプラスして、青じそドレッシングをかけると飼い主さんも、おいしく食べられます。
◆サーモン納豆ふりかけ(AERA.dotより)
出典:AERA dot.-猫は基本“肉食” 獣医師お墨付きの「手作り猫ごはん」レシピ
【材料】
刺身用サーモン:1切れ
ひきわり納豆:小さじ1
【作り方】
(1)サーモンは湯通しして、粗く刻む
(2)納豆と合わせて、キャットフードに1/2~全量乗せる
【飼い主さん用アレンジ】
(1)ひきわり納豆を1パック使用し、刺身用サーモン4切れを粗く刻んで納豆と合わせる
(2)猫用に小さじ2を取り分け、残りに刻んだネギと醤油を加えて混ぜる
◆納豆ごはん
【材料】
鶏むね肉
ブロッコリー
ニンジン
納豆
炊いた白米
【作り方】
(1)鶏むね肉、ブロッコリー、ニンジンをフードプロセッサーで細かくします
(2)フライパンにオリーブオイルを少々入れ、炊いた白米を洗ったもの、細かくした食材を入れて炒めます
(3)冷めたら納豆を混ぜます
◆納豆ピザ
納豆、鶏ささみ、桜エビ、かつお節で作る納豆ピザです。
鶏ささみをピザ生地代わりに使用して作るので、チキンの匂いで愛猫も喜ぶこと間違いなしのレシピです。
まとめ
人にとって、栄養価も高く、健康食品として評価の高い納豆は、猫にとっても健康効果が期待できる食材です。血栓の予防や、免疫力の低下・老化を防ぐ効果、便秘の予防など、期待される健康効果は多岐にわたります。
人によっては苦手な匂いも、嗅覚で食べ物を味わっていると言われる猫には、食欲をそそる匂いのようで、納豆が好きな猫も多いようです。
ただし、栄養価が高い分、与えすぎには注意が必要です。また、大豆アレルギーの猫や療法食を食べている猫には、与えないようにしましょう。
納豆を上手に取り入れて、愛猫の健康増進や食欲増進に役立ててください。
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