【獣医師監修】猫が自分の尻尾を追いかけるのは何故?常同行動とその対処法を学ぶ

2020.08.30

【獣医師監修】猫が自分の尻尾を追いかけるのは何故?常同行動とその対処法を学ぶ

猫が自分の尻尾を追いかけてくるくると回っている姿は、愛らしい行動に見えます。しかし、あまりにも頻繁に、しつこく尻尾を追いかけるなら、注意が必要です。ストレスや皮膚病、神経障害が原因で、尻尾を追いかけているのかもしれません。このように、同じ行動を頻繁に見せることを「常同行動」と言います。そこで、猫が自分の尻尾を追いかける理由と、その対処法についてまとめました。

【目次】
1.猫が自分の尻尾を追いかける理由
 1-1.ストレス
 1-2.皮膚病
 1-3.ケガ
 1-4.神経障害
 1-5.ひとり遊び

2.猫の常同行動とはなにか
 2-1.常同行動とは
 2-2.原因

3.猫の常同行動の行動例
 3-1.過度なグルーミング
 3-2.ウールサッキング
 3-3.尾追い・尾かじり
 3-4.知覚過敏症候群

4.猫が尻尾を追いかけるのをやめさせるには
 4-1.動物病院を受診する
 4-2.ストレス要因を取り除く
 4-3.尻尾を追いかけている最中は猫を構わない

5.猫のストレス解消になるおもちゃ

6.尻尾を観察して猫の気持ちを知る
 6-1.尻尾をピンと立てる
 6-2.尻尾を急に太くする
 6-3.左右に大きく尻尾を振る
 6-4.尻尾を体の下に巻き込む
 6-5.尻尾を逆Uの字形にする

7.まとめ

猫が自分の尻尾を追いかける理由

猫が自分の尻尾を追いかけてくるくると回っている姿は、愛らしいものです。
ネット上にも、尻尾を追いかける猫の動画が、たくさんアップされています。
しかし、あまりにも執拗に尻尾を追いかけたり頻繁に行ったりする場合には、ストレスが溜まっていたり病気が隠れていたりすることがあるので要注意です。

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◆ストレス

猫が自分の尻尾を追いかける主な原因は、ストレスと言われています。
ストレスの原因となるのは、多くが「生活環境の変化」と考えられています。
引っ越しや模様替え、あるいは新しい猫を迎えたり相性の悪い猫と同居していたりして縄張りを守ろうと緊張することなど、環境の変化は猫にとってはストレスです。
また、赤ちゃんの予測がつかない動きや、子供にしつこく触られたり追いかけられたりすることも、猫によっては強いストレスとなります。
きれい好きな猫にとって、トイレや食器が汚れていることもストレス要因です。
完全室内飼育で、おもちゃもない環境では、猫本来の狩猟本能が満たされず、退屈からストレスを感じているかもしれません。

◆皮膚病

細菌や真菌の感染による皮膚病で痒みがあると、強いストレスとなり得ます。
また、ノミ・ダニに寄生されていて痒みがある場合も、尻尾をしつこく追いかけることがあります。
毛をかき分けてみて黒い点がある場合には、ノミの死骸やフン、ダニなどかもしれません。
その時は、お腹や脚など柔らかい場所にもノミ・ダニが見られることが多いので、体もチェックしましょう。

◆ケガ

尻尾にケガをしていて痛みがある場合、尻尾を追いかけることがあります。

◆神経障害

脳や脊髄に腫瘍があるなど脳神経系の異常がある場合に、執拗に尻尾を追いかける行動が見られることがあります。
神経障害がある場合には、尻尾を追いかけるほか、同じ方向にずっと円を描くように回り続けるといった症状が見られることもあります。
脳腫瘍などの兆候は気づきにくいものなので、愛猫の行動にわずかでも異常が見られた時には、早期の動物病院受診が必要です。

◆ひとり遊び

子猫の頃には、自分の尻尾が自分とは別の生き物に見えるのか、尻尾を追いかけてひとり遊びをすることがあります。
また、猫同士で尻尾にじゃれあって遊ぶこともあります。
これらの遊びは、成長過程における自然な行動です。


猫の常同行動とはなにか

◆常同行動とは

「ゴハンを食べる」「鳴く」「グルーミング」といった行動が徐々に、本来の目的とは関係なく、必要な程度を超える頻度や時間で執拗に起こることを、「常同行動」といいます。
体を痒がって、それが高じて毛をむしり続けるような場合です。
自分自身を傷つけるほどに常同行動を行うようになると、「常同障害」と呼ばれるようになります。
常同障害には、まだ未解明の部分が多いとされています。

◆原因

常同障害には、遺伝的要因や環境要因など、様々な要因が関係している可能性があります。
性別に関しては、オスに多いとする報告、性差はないとする報告があり、オス・メスどちらにも起こる可能性があります。
発症する年齢は、最も多いのが1歳前後で、2歳~4歳くらいの社会的成熟期に多いです。
発症しやすい品種は、シャムやアジア系品種、その交雑種と言われています。
性格的に不安傾向が強い猫や過敏な子は、新しい刺激や環境変化がストレスとなりやすく、常同行動を起こしやすいです。
このような猫は、隠れていることが多かったり、リラックスした姿を見せなかったりします。
また、震えたり耳を横に倒したりすることが多いことなども目安となります。


猫の常同行動の行動例

◆過度なグルーミング

脱毛が見られるほど、過度なグルーミングを行います。
舐めるだけではなく、毛を噛んで引き抜くこともあります。
このような脱毛を、「心因性脱毛症」と言います。
体の一部にだけ起こることもありますが、全身に起こることもあります。
内股や、お腹、太ももの内側、足先に、よく見られます。

◆ウールサッキング

ウールをはじめとする様々な織物やプラスチックを食べてしまうことで、「異嗜症」とも言われます。
異嗜症は、命にかかわるシビアな常同行動なので、早期の対処が必要です。

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◆尾追い・尾かじり

自分の尻尾を自分ではないもののように追いかける「尾追い」は、高じて尻尾を齧る「尾かじり」になることもあります。

◆知覚過敏症候群

活動性の増加、転がり、特徴的な鳴き声といった発情に類似する行動が見られることがあります。
また、皮膚の波打つようなけいれんと筋肉のけいれん、幻覚に似た行動をすることもあります。

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猫が尻尾を追いかけるのをやめさせるには

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◆動物病院を受診する

怪我や皮膚病、その他の病気の可能性があるので、まず動物病院を受診しましょう。
脳腫瘍などによる神経障害などの重大な疾患なのか、常同行動なのか、また一過性のものなのかを、飼い主さんが判断することは困難です。

◆ストレス要因を取り除く

身体的な異常がなくストレスが原因であると診断されたら、ストレス要因を取り除いてあげましょう。
まず、ストレス要因となるような生活環境の変化がなかったかを、チェックしていき、一つ一つ解消していきます。
引っ越しや模様替え、新しい猫を迎えたことなどが要因となっている症例が、多いそうです。
また、退屈などが要因の場合には、キャットタワーを設置してあげたり、一緒に遊ぶ時間を増やしてあげたりするのも効果的です。

◆尻尾を追いかけている最中は猫を構わない

一説には、飼い主さんの気を引くために常同行動が生じているとも言われています。
常同行動がエスカレートする要因になるので、尻尾を追いかけている最中に猫に声をかけたり触ったりしないようにしましょう。
また、ストレスで常同行動を示している場合にも、不用意に構うことで猫を驚かせてしまい、さらに精神的に不安定にさせてしまうこともあります。


猫のストレス解消になるおもちゃ

ひんやりけりぐるみ ダブルアイス

シャカシャカと音のするフィルムが入っていて、猫の狩猟本能を刺激するけりぐるみです。
体内の熱を素早く奪うひんやり生地を使用しているので、暑い夏にピッタリのおもちゃです。
マタタビ入りなので、愛猫もきっと夢中になるでしょう。

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ひんやり生地使用。体内に閉じこもった熱をすばやく奪ってひんやり。

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ピョコ猫じゃらし さかな

手元のレバーを引くと、先端のおもちゃがぴょこぴょこと動く猫じゃらしです。
ぴょこぴょこした動きが、愛猫の狩猟本能を刺激します。
先端のおもちゃは、さかなのほか、猫の手、イモムシが選べるので、愛猫の好みを見つけてあげましょう。

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レバーを引くとおもちゃが動く猫じゃらし!! おもちゃのリアルな動きに猫ちゃんが釘付け!

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尻尾を観察して猫の気持ちを知る

猫は人の言葉をある程度理解しているようですが、猫と人は言語で意思の疎通を図ることができません。
しかし、猫の気持ちは尻尾に現れることも多く、尻尾の動きを知ることで、愛猫の感情を理解しやすくなります。

◆尻尾をピンと立てる

猫が尻尾をピンと垂直に立てている時は、嬉しい時や甘えている時です。
これは、子猫の頃、母猫にお尻を舐めてもらうときの仕草の名残で、猫同士で友好的な気持ちを表すときにも見られます。

◆尻尾を急に太くする

急に尻尾の毛がぼわっと逆立ち、尻尾が太くなることがあります。
これは、恐怖や驚きを感じている時や、相手を威嚇している時、攻撃態勢をとっている時の尻尾です。

◆左右に大きく尻尾を振る

犬とは異なり、大きくブンブンと尻尾を振っている時は、猫がイライラしている証拠です。
抱っこをしている時などに尻尾を大きく振り始めたら、「もう下ろして」のサインです。
逆に、ゆっくりと振っている時には、のんびりして嬉しい気持ちが表れています。

◆尻尾を体の下に巻き込む

猫が尻尾を体の下に巻き込んでいるのは、相手に恐怖を感じている表れです。
強い敵に会ってしまったときや雷が鳴っている時など、どうしようもない恐怖におびえている時に見せる仕草です。
尻尾を自分の体にぴったりくっつけている時も、警戒しています。

◆尻尾を逆Uの字形にする

尻尾の先だけが下を向いて、アルファベットの「U」の字を逆さにしたような形になっている時は、相手を威嚇している時や、ケンカを吹っ掛けるつもりの時です。
ただし、子猫のきょうだいなど親しい猫同士の場合は、「追いかけっこして遊ぼう」というサインです。

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まとめ

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猫が夢中になって自分の尻尾を追いかけている姿は愛らしく、つい動画を撮影したくなります。
しかし、執拗に尻尾を追いかけることは「常同行動」と呼ばれる問題行動の一つで、皮膚炎やケガ、神経障害などが隠れている場合があります。
尻尾を追いかける行動が、一過的なものなのか病的なものなのかを飼い主さんが判断することは困難です。
動物病院に連れていき、獣医師さんの診断を仰ぎましょう。
どんな時、どんな状況で、どれくらいの時間尻尾を追いかけているかをよく観察して、獣医師さんに伝えることが大切です。
身体的な問題がない場合には、ストレスが原因となった「心の病気」なので、愛猫の生活環境からストレスの要因となるものを取り除いてあげましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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