猫も肛門腺は絞るべき?定期的にケアを心掛けて清潔を保ちたい!

2021.04.03

猫も肛門腺は絞るべき?定期的にケアを心掛けて清潔を保ちたい!

「肛門腺を絞る」といった言葉を、ペットを飼っている方であれば一度は聞いたことがあるかと思います。 とくに定期的にトリミングを行っているワンちゃんには、より馴染みのある言葉かもしれません。 猫はあまり定期的に肛門腺を絞るイメージが無いので、肛門腺についてそこまで意識したことのない飼い主さんも多いのではないでしょうか? 今回はそんな肛門腺についてのお話ですが、猫にも肛門腺絞りの必要性があるのか考えていきましょう。

猫の肛門腺ってなに?

「肛門腺」とはその名の通り、肛門管の不要な分泌物などを排出させる器官(管状胞状腺)となります。

袋のような形をしているので、正式には「肛門嚢(こうもんのう)」と呼ばれ、主にクマを除いた食肉目(ネコ目)などで認められ、動物によって脂質やドロっとした分泌液を排出させます。

この袋状の中で生産された分泌物は、強い悪臭を放ちますが、何のためにそのようなニオイを放つ必要性があるのかも気になるところですよね?

そして猫を飼っている方で、肛門腺という言葉は聞いたことがあるけれど、実際に絞ったことはないといった方も多いのではないでしょうか。

まずは猫の肛門腺の場所を知って、愛猫の肛門腺に異常がないかをチェックしてみましょう。

◆肛門腺はどこにある?

肛門腺の位置

猫の肛門腺は肛門の左右に一対となって存在し、肛門付近の筋肉である内肛門括約筋と外肛門括約筋の間に挟まれたような状態で存在しています。

猫は全身を毛で覆われているので目視では分かりづらいですが、時計で表すと4時と8時を指す場所にありますので、その位置さえ覚えておけば、愛猫の肛門腺に異常が生じた際にも気付いてあげられますよね。

実は私たち人間にも、犬猫などとは構造が違いますが、肛門腺の名残のようなものが存在しています。

この場所が何かしらの原因によって化膿し、膿が溜まって排出される病気を「痔瘻(じろう)」と呼びますが、男性に多く見られる病気としても有名です。

このように肛門腺はさまざまな動物に存在する器官となりますが、肛門腺にはどんな役割があるというのでしょうか?

◆肛門腺の役割

強いニオイを放つ肛門腺は、主に自分以外のニオイを識別するために使用され、個体によってニオイが若干異なります。

初対面同士の犬猫がお互いのお尻のニオイを嗅ぐのは、どんな相手なのかを認識している証拠です。

肛門腺から分泌される分泌液には、お互いを知るための情報がびっしりと詰まっているので、情報交換をするために重要な役割を担っているとも考えられています。

肛門腺のニオイだけで年齢やそのときの体調、そして優劣などが決まりますので、単独で生活をしている猫にとっては、なくてはならない器官とも言えるのではないでしょうか。

このようなことからも肛門腺から出る分泌物は、縄張りを主張するためのマーキングにも利用され、臭腺の少ない猫にとって欠かせない器官となっているようです。


猫の肛門腺は絞るべき?

毛づくろいするベンガル猫

猫にとって重要な役割を担う肛門腺ではありますが、犬のように定期的に絞ってあげる必要があるのかも気になるところですよね。

猫はスカンクと同じように自分の身を守るために、肛門腺から分泌液を噴射させるようなことはしませんが、肛門腺の中に溜まった分泌物がどのように排出されるのか気になりませんか?

通常は排便時に肛門腺が圧迫されて、便と一緒に排出することがほとんどですので、基本的には絞る必要がありません。

しかし、猫の中には定期的に肛門腺を絞る必要が高い子ももちろん居ますので、そのことだけは飼い主さんがしっかりと把握しておく必要があると言えるでしょう。

肛門腺に分泌物が溜まった場合、どのような危険が生じるのでしょうか?

◆溜まってしまうとどうなる?

肛門腺に分泌物が溜まった状態が長く続いてしまえば、細菌に感染するリスクや目詰まりを起こすリスクも必然的に上がってきますので、やはり注意が必要です。

そのまま放置してしまえば患部が炎症を起こし、「肛門嚢炎」と呼ばれる病気へと進行していきます。

さらに症状が悪化していくと皮膚が化膿して破裂し、血液が混ざった悪臭漂う分泌物(膿)が溢れ出すことがあるので「肛門腺破裂」のリスクが上がってきます。

このような状態になってしまうと、抗生物質などを用いた治療が必要になりますし、なかなか治らなければ外科手術が必要となることもあるので、愛猫が肛門腺を絞るべき対象かどうかをしっかりと見極めるようにしましょう。

◆溜まりやすさは個体差がある

肛門腺絞りはすべての猫ちゃんに必要なわけではありませんが、もともと便秘気味やお腹がゆるい猫ちゃんは、排便時に肛門腺の分泌物が体外に出る頻度が少ないとも考えられます。

また、何かしらの原因により肛門腺が目詰まりしやすい子も、上手に排出される確率は下がってしまうので、注意が必要と言えますよね。

水分不足や運動不足の子も、分泌物に十分な水分が行き渡らなくなり、肛門腺の中で分泌液が固くなって排出しにくくなりますので、飼い主さんによる肛門腺絞りが必要となってきます。

ほかにも普段からお尻付近を気にしている、お尻を床につけて座れない、お尻周辺を触ると怒る、後ろ足を前に出した姿勢で床をズリズリと歩くような子は要注意です。

肛門腺に分泌物が溜まってうまく排出されないと、猫は不快感を覚えてムズ痒さを感じてきますので、それは愛猫からの肛門腺絞りのサインとして受け取るようにしましょう。

◆高齢になると溜まりやすくなる場合も

猫も高齢になると筋力が衰えてくる上に、りきむ力も弱まることから、排便時に肛門腺の分泌物が一緒に排出されず、溜まりやすくなります。

当然運動量も減りますし、眠る時間が多くなることから飲水量も減ってきますので、その分だけ分泌物も固くなりますよね。

そうなるとどんどん分泌物は肛門腺の中で溜まり、外に排出されなくなってしまうので、腫瘍になったり破裂したりするリスクも上がってくるというわけです。

猫は高齢になればなるほど、飼い主さんの手によるケアが必要となってきますので、日頃から愛猫の健康状態を把握し、体調管理を怠らないようにしましょう。


猫の肛門腺の絞り方は?

愛猫が肛門腺絞りのケアが必要だと判断した場合、どのように絞るかを事前に知っておくか知っておかないかで、気の持ちようも変わってきますよね。

しかし猫の顔つきや性格、毛色や模様が異なるように、肛門腺の位置も個体によってそれぞれ異なりますし、絞りやすい子が居れば絞りにくい子も居て当然です。

飼い主さんが絞ってあげる場合には、どのようにしてケアをするべきなのでしょうか?

◆肛門腺絞りの方法

猫の肛門腺は前述した通り、時計で表すと肛門が針の中心となり、4時と8時を指す位置に肛門嚢が存在しています。

そして左右一対になっている肛門腺の出入り口である穴は、肛門のすぐ隣辺りに位置していることがほとんどです。

肛門嚢に溜まった分泌物を外部に排出するためには、下から上へ絞り出すイメージで行うようにしましょう。

まずは利き手とは逆の手で尻尾を優しく持ちあげ、利き手の親指と人差し指を4時と8時の位置を目安に、肛門嚢のコロコロとした塊の下に押し当ててください。

そして親指と人差し指で軽く肛門嚢を押し上げるように肛門付近に向けて絞ると、肛門腺の穴から溜まった分泌物が出てきます。

これを一度のケアで何回か繰り返すことによって、肛門腺に溜まった分泌物を外部に排出していきます。

猫の個体によっては分泌物が勢いよく飛び出す子も居ますので、自宅でケアをする際には悪臭漂う分泌物が飛び散らないように、お風呂場でのケアがおすすめです。

お風呂場であれば飛び散った分泌物をそのまま洗い流せますし、後処理がとてもラクに行えますよね。

ただお風呂場が嫌いな猫ちゃんも多いので、お部屋でケアをする場合には、壁や床材に気を付け、利き手に使い捨て手袋を使用したり、ティッシュを何枚か重ねたりして、分泌物が飛び散らない工夫をしましょう。

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◆難しい場合は病院に任せよう

肛門腺絞りはコツを掴んでしまえば簡単にケアができますが、やはりお尻は猫にとってとてもデリケートな部分なので、信頼している飼い主さんにも触らせない子はたくさん居ます。

そのような状態の猫ちゃんに、肛門腺絞りを試みたとしても、愛猫との信頼関係が崩れてストレスをかけますし、飼い主さん自身も怪我をしてしまう可能性も否めません。

そして無理矢理力いっぱい肛門腺を絞ってしまえば、猫ちゃんの皮膚を傷付けてしまうことや、肛門腺を破裂させてしまうこともあるかもしれませんよね。

そのような場合には無理に頑張ろうとはせず、愛猫を動物病院に連れて行き、獣医師さんに絞ってもらうようにしましょう。

動物病院でのケアは数か月に1回程度で済みますので、獣医師さんのようなプロの方にお願いした方が安心できますよ。


まとめ

猫にはあまり重要視されていない肛門腺絞りですが、個体によって定期的に絞る必要がある子が居ますので、その判断をしっかりと飼い主さんが把握しておく必要が高いですよね。

お尻付近はデリケートな部分でもありますし、綺麗好きな猫にとっては不快感を覚えやすく、精神的にもダメージを受けやすいので、適切なケアが重要となってきます。

肛門腺に溜まる分泌物は情報交換やマーキングに利用されはしますが、排便時に上手に排出されるサイクルになっているので、やはり溜まりっぱなしになってしまう子には定期的な肛門腺絞りが必要です。

自宅でも肛門絞りは簡単にできますし、飼い主さん自身によるケアが難しい場合には動物病院を受診し、常に愛猫が不快感を覚えないような状態を保つように心掛けてあげましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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