タイ猫はシャム猫なの?よく似た2つの猫種の特徴、性格から関係まで

2021.05.16

タイ猫はシャム猫なの?よく似た2つの猫種の特徴、性格から関係まで

タイ猫という猫種をご存じでしょうか?ネット上では、「シャム猫だと思っていた愛猫が、実はタイ猫だった!」という投稿が、驚きの声とともに拡散されたこともありました。では、タイ猫とは、どんな猫種なのでしょうか?よく似たシャム猫(サイアミーズ)とは、どこが異なるのかも気になりますね。今回は、タイ猫の特徴や性格とともに、シャム猫についてもご紹介し、2つの猫種の関係を紐解きます。

タイ猫とは?

タイ猫

◆タイ猫の特徴

タイ猫は、タイ原産の中~大型の猫種で、体重はメスで3~4kg、オスで4~5.5kgです。
タイ猫の頭はクサビ形をしていて、耳は大きく、眼は青のみが認められます。オリエンタルタイプのほっそりとした容姿で、手足やしっぽも細長いです。
被毛は淡い色で、顔と耳、手足の先端、しっぽにはポイントカラーが入っています。ポイントカラーの色は様々ですが、白っぽいベージュの体に、「シールポイント」と言われる濃い黒褐色のポイントを持つものが最も一般的です。

一般的に健康な猫種で、平均寿命は15歳~20歳ほどです。

◆タイ猫の性格

タイ猫には、たくさんの個性が詰め込まれています。
非常に知的で「おしゃべりな」タイ猫は、コミュニケーション能力に優れ、人間といることが好きです。家族が帰宅すると、玄関まで出迎え、その日にあったことについて話してくれると言われています。
家族と共に過ごすことを好み、多くの愛情と注目を集めることで、健全に成長する猫です。家族と強い絆を結び、周りで起こる全てのことに関わりたがります。
家族と強い絆を結ぶので、ほんの短い留守番も苦手とします。友好的で社交的、愛情深くおっとりした性格をしており、やや年長の子どものいる家庭におすすめの猫種です。


シャム猫(サイアミーズ)とは?

シャム猫

◆シャム猫の特徴

シャム猫は、タイ原産の中型の猫種で、体重はメスで2.2~3.6kg、オスで3.6kg~5.4kgほどです。
最も古く、最も見分けやすい猫種の一つで、頭はクサビ形で耳は大きく、細長いしっぽと細い手足を持ち、洗練された美しい容姿をしています。タイ猫と同じく、体型はオリエンタルタイプです。
顔と耳、手足の先端、しっぽのポイントカラーと、サファイアブルーの目が最大の特徴であり、純血のシャム猫である条件となっています。

鳴き声は太く、容姿と同じくらいにシャムの特徴とされ、「よくしゃべる」(よく鳴く)猫として知られています。

◆シャム猫の性格

シャム猫は、「よく話す」猫で、日々、あらゆるものに対する彼らの意見を述べたり、飼い主さんの注目を引こうとしたりすると言われています。
活発で社交的なので、子どもを含むあらゆる年齢の人々や猫好きの犬、他の猫と仲良くできます。
シャム猫は、飼い主さんの注目と愛情を要求し、よく飼い主さんの傍にいます。暖かい場所を好み、飼い主さんの膝の上や、布団の中で過ごすことがよく見られます。
また、優れた知性を持ち、身体能力も高く、遊び好きです。活動的なので、たくさん遊んであげるとよいでしょう。
甘えん坊の寂しがり屋であり、長時間のお留守番は苦手です。シャム猫は、愛情深い性格をしているので、お留守番の多い家庭では多頭飼育をするとよいかもしれません。

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ポイントカラーと言われる顔や耳、脚先、しっぽの濃い色が特徴的なシャム猫は、世界でもポピュラーな猫種です。日本では、1950年代に人気が高まり、純血種の猫と言えばシャム猫というイメージでした。ポイントカラーは成長につれて濃くなるため、最近はSNS上で、「シャム猫の色変わりすぎ選手権」というハッシュタグも話題になりました。魅力あふれるシャム猫について、特徴や歴史からかかりやすい病気までご紹介します。

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タイ猫はシャム猫なのか?

タイ猫の画像

ご紹介してきたように、タイ猫とシャム猫の特徴はとてもよく似ています。この2つの猫種は、異なる猫種なのでしょうか?それとも同じ猫種と考えてよいのでしょうか?
ここでは、タイ猫とシャム猫の歴史をご紹介し、2つの猫種の関係について紐解きます。

◆シャム猫の歴史

シャム猫という名前は、原産国であるタイ王国の旧国名「Siam」(サイアム)に由来しています。「サイアム」という発音が「シャム」となり、日本では一般にシャム猫と呼ばれています。しかし、海外ではこう呼ばれることはなく、「サイアミーズ」(Siamese)という品種名です。
タイでは、少なくとも700年間、「ウィチェンマー」(Wichienmaat)と呼ばれるポイントカラーを持つ猫を大切にしてきました。
12世紀にまで遡ることができる、タイの有名な猫の詩「Tamra Maew」から、ウィチェンマー(サイアミーズ)がアユタヤ(Ayudhia)朝で飼育され、アユタヤ朝がサイアム朝に引き継がれた後も飼育が続けられたことを知ることができます。ウィチェンマーは、現代のタイでも飼育されています。
19世紀、イギリス人が、当時サイアムと呼ばれていたタイで、白っぽい被毛に濃いポイントカラーを持つ、素晴らしく青い眼をした猫を発見しました。世界の他のどこにも見られない猫であることを知った彼らは、その猫を「サイアミーズ」と呼んで輸入することに決めたのです。
サイアミーズは、サイアムの王の寺院で飼育されていたという伝説を持つ猫ですが、実際の起源は明らかではありません。しかし、東洋起源の猫であることは確かと言えるでしょう。
サイアミーズは、1871年、ロンドンで開かれた世界初のキャットショーに出展されて注目を浴び、1884年には、タイのイギリス総領事館に勤めていたゴールド氏が、「フォー」と「ミア」という名のつがいのサイアミーズを購入してイギリスに持ち帰りました。この2匹が、現在のサイアミーズの始まりと言われています。
一方、アメリカでは、1878年、バンコクのアメリカ領事が当時のヘイズ大統領にプレゼントした猫が、記録上最初に持ち込まれたサイアミーズとされています。
欧米の繁殖家たちは、タイにいたポイントカラーを持つ原種の猫を改良して、より同質で、より印象的な容姿を持つ猫を作り出そうとしました。彼らは間もなく、より深い青い眼を持つ猫の作出に成功します。
繫殖家たちは、ますます様式化された細い頭と体を持つ猫を生み出し、1950年代には、キャットショーに出される一部のサイアミーズは、20世紀初頭より、より長い頭、よりスリムな体を持つようになりました。
改良されたサイアミーズ(シャム猫)は多くの人々に愛されましたが、一方で、古くからの、やや丸みのある容姿を好む人々もいました。

◆タイ猫の歴史

1950年代、繁殖家たちが世界中で、20世紀初頭の丸みのあるサイアミーズの育種を始めたことから、サイアミーズからタイ猫が分岐し始めました。
「オールドタイプ」のサイアミーズの繁殖を目的とする最初の繁殖家のクラブは、ヨーロッパと北アメリカに登場します。
1990年、ヨーロッパでは、World Cat Federationにおいて、オールドタイプのサイアミーズにチャンピオンシップが授与され、ショースタイルのサイアミーズとは区別して「タイ」と名づけられました。
2001年、繁殖家たちは、タイ猫の育種のための健全な遺伝子プールを保存するために、ポイントカラーを持つタイの土着の猫を輸入し始めました。これはまた、東南アジア土着の猫種の遺伝子が西洋の猫たちと明らかに異なるうちに、その遺伝子を保全するためでもありました。
2007年、TICA(The International Cat Association)は、タイ猫を新しい品種として登録し、2009年には、北アメリカとヨーロッパにおける繁殖家たちが一つの品種のスタンダードのもと、共に育種を行うことができるよう、高度な新しい猫種に昇格させました。

◆タイ猫はシャム猫から派生した猫種

ご紹介してきたとおり、シャム猫は、その特徴であるV字型の長い頭とスリムな体を、さらに強調させるような育種が行われました。このタイプのシャム猫は、「モダンスタイル」と呼ばれます。長い間、キャットショーではモダンスタイルばかりが評価される時代が続きます。
一方、やや丸みのある古くからのタイプのシャム猫は、「トラッドスタイル」または「オールドスタイル」と呼ばれます。このタイプのシャム猫は、繁殖家たちの努力によって、2009年にTICAに新しい品種として正式に登録されました。
つまり、タイ猫は、「オールドスタイル」のシャム猫が新たな品種として認められたものであり、シャム猫の一つのタイプと言ってもいいでしょう。


タイ猫を家族に迎えるには?

日本にシャム猫が入ってきたのは、明治の中頃です。日本では、長らく純血種の猫と言えばシャム猫と言われるほど人気の高い猫でした。現在は、日本にも様々な純血種の猫が入ってきたため、他の猫種の人気が高まりつつありますが、今でも愛好家の多い猫種です。
シャム猫の値段の相場は、ペットショップで15~22万円、ブリーダーからでは17~25万円ほどとなっています。現在、ペットショップではシャム猫を見ることは少なく、子猫が入ってきてもすぐ売れてしまうようですが、ポピュラーな猫種であることから、ブリーダーを見つけることは難しくはないでしょう。
一方、タイ猫は、非常に新しい猫種であり、まだシャム猫の一つのタイプとして考えられていることから、タイ猫としてペットショップで販売されている子猫に出会うのは難しいと考えられます。また、ブリーダーも、国内で見つけることは難しそうです。
タイ猫を家族に迎えたい場合、シャム猫のブリーダーで、やや丸みのあるオールドスタイルの子猫を見つけることが一番の方法かもしれません。

◆里親になるという選択肢

シャム猫はポピュラーな猫種であるため、保護猫として里親を募集している子も少なくありません。シャム猫として募集されていても、容姿はタイ猫の特徴を持つ保護猫もいると思われます。
また、以前は、室内と外を行き来する飼い方が一般的だったため、シャム猫と日本にもともと居た猫との交雑も自然と進みました。そのため、現在、野良猫や保護猫の中にも、シャム猫の遺伝子が入った猫は少なくありません。見た目は、シャム猫そのものといった子もいます。
純血種としてのタイ猫ではありませんが、シャム猫の特徴を持つ保護猫の中から、やや丸みのある子を探してみてもいいかもしれません。


まとめ

タイ猫とシャム猫はそっくりなため、ネット上で「シャム猫だと思っていた愛猫が、実はタイ猫だった」という投稿が、驚きの声とともに拡散されたこともあります。
それもそのはずで、タイ猫は2009年にTICAに品種として登録された非常に新しい猫種で、ほっそりとしたタイプのシャム猫に対し、やや丸みのあるタイプのシャム猫なのです。
タイ猫は、シャム猫同様、愛情深く遊び好きで活動的な猫ですが、シャム猫より穏やかだと言われています。
寂しがり屋の面があるため、お留守番は苦手ですが、子どもや他の動物と仲良くできるので、お子さんのいるご家族や他のペットがいるご家庭に向いている猫種です。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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