1.もやしは大豆と同じもの?
2.猫にもやしを与えても良い?
2-1.もやしに含まれる主な成分
2-2.期待できる効果は?
2-3.アレルギー
2-4.猫にもやしを与えるデメリット
3.もやしの与え方
3-1.生
3-2.煮る
3-3.炒める
4.もやしを与える時の注意点は?
4-1.味付けはしない
4-2.新鮮なものを与える
4-3.オヤツかトッピングとして
4-4.大量に与えない
もやしは大豆と同じもの?
もやしは、主に穀類や豆類を、暗いところで人為的に発芽させて、徒長軟化させたものです。英語では「Sprout」(スプラウト)と言います。
一般にスーパーなどで「もやし」として販売されているのは、豆類を発芽させたものです。もやしには、発芽させた豆によって、緑豆もやし、黒豆もやし、小粒大豆もやし、大豆もやしなどの種類があります。
近年、最も生産量が多く、市場に出回っているのは、中国原産の緑豆を発芽させた緑豆もやしです。
大豆もやしは、江戸時代の書物にも記載されている日本古来の食べ物で、小粒大豆もやしは、納豆などにも使われる小粒の大豆で作ったものです。
つまり、大豆ともやしは、同じ植物の種子と、その種子が発芽したものなのです。
猫にもやしを与えても良い?
もやしと大豆が同じ植物であることをお伝えしました。
大豆は「畑の肉」とも言われ、キャットフードにも使われていますが、もやしを使ったキャットフードは無いようです。
では、もやしは猫に与えてもよい食材なのでしょうか?
◆もやしに含まれる主な成分
もやしは、低カロリーでダイエット食材としても重宝されていますが、意外としっかりと栄養素が含まれています。
ビタミンC
ビタミンCは、水溶性で吸収されやすい成分です。
アスパラギン酸
アスパラギン酸は、アミノ酸の一種です。旨味を持つアミノ酸として、様々な食品に含まれています。
たんぱく質
特に、大豆もやしに豊富に含まれています。100gあたり4.4gが含まれており、100gあたり3.3gが含まれる牛乳の約1.3倍です。
食物繊維
もやしには、食物繊維がたっぷりと含まれています。もやしに含まれる食物繊維のほとんどは、不溶性です。
水溶性食物繊維と合わせた総量は、大豆もやしで100gあたり2.3g、緑豆もやしで100gあたり1.3gです。大豆もやしの食物繊維は、食物繊維が豊富と言われるバナナの2本半分ほどに当たります。
◆期待できる効果は?
★ビタミンC
ビタミンCには、風邪の予防や免疫を強化する効果が期待されます。また、ビタミンCは、丈夫な血管を作ったり、鉄分の吸収を助けたりする役割も果たしています。
★アスパラギン酸
アスパラギン酸には、利尿作用があり、有害なアンモニアを体外へ排出し、中枢神経系を保護する働きがあります。また、カリウムやマグネシウムを細胞内に運び、疲労物質である乳酸をエネルギーに変える手助けをするので、疲労回復効果も期待されます。
★たんぱく質
タンパク質は、筋肉や皮膚を作る大切な栄養素です。猫の体を作り、筋力を維持するのに役立ちます。
★食物繊維
食物繊維には、腸内環境の改善効果が期待できます。
猫は、グルーミングの際に毛を飲み込んでしまいます。飲み込んだ毛を排出できないと「毛球症」になる恐れがあり、嘔吐をしたり、食欲不振になったりします。食物繊維には、毛玉の排出を促す効果も期待できます。
◆アレルギー
どのような食材でも食物アレルギーの原因となる可能性がありますが、特に大豆はアレルギーを引き起こしやすい食材です。大豆のもやしは、大豆アレルギーのある子には与えないようにしましょう。
また、いずれも、最初に与える際はごく少量にして、アレルギー反応を起こさないか、様子を注意深く観察してください。
◆猫にもやしを与えるデメリット
もやしには、猫に有害な成分は含まれていないので、その点でのデメリットはありません。
しかし、与えすぎると、消化不良を起こし、下痢や嘔吐の原因となる可能性があります。また、本来の食事である総合栄養食を食べる量が減ってしまい、栄養バランスが偏る恐れもあります。
もやしの与え方
もやしを与える場合、どのような調理法がよいのでしょうか?
◆生
もやしは、生でも与えることができます。加熱すると、ビタミンCなどの栄養素が壊れたり溶け出したりしますが、生のままなら、これらの栄養素をしっかりと摂取することができます。
余分な水分をしっかり拭き取ってから、与えましょう。
また、シャキシャキとした食感を好む猫も多いので、そのような子には生で与えると一層喜んで食べてくれるでしょう。
◆煮る
生で与えるとお腹を壊しそう、あるいは消化不良を起こしたことがあるなどの場合には、火を通したものを与えましょう。
さっと煮たものなら、安心して与えられます。鶏肉の茹で汁や、かつお節から取った出汁で煮てあげてもよいでしょう。
◆炒める
加熱する場合、炒めるのもおすすめです。ただし、油は猫の体にはよくないので、油を使わずに炒めたものを与えましょう。
焦げるのが気になる場合には、焦げ付きにくい加工をしたフライパンを使うとよいでしょう。
もやしを与える時の注意点は?
◆味付けはしない
他の食材と同様、もやしも、猫に与えるときには味付けをせずに与えましょう。
人間が食べるときには塩コショウなどで味付けをしますが、猫の場合、塩分の摂りすぎになり、コショウは刺激になってしまいます。
コンソメなどの調味料も塩分過多になりますし、化学調味料も含まれているので、猫の体にはよくありません。
◆新鮮なものを与える
もやしは、傷むのが速い食材です。冷蔵庫で保存しても、数日で鮮度が落ち、変色する場合もあります。
傷み始めたものを与えると、下痢をしたり体調が悪くなったりするので、買ってきたばかりの鮮度の良いものをあげましょう。
◆オヤツかトッピングとして
もやしには、猫の健康に効果が期待できる栄養素が豊富ですが、もやしばかりをあげないようにしましょう。
猫は、基本的には完全肉食動物なので、肉を主食として食べる必要があります。猫の食事は、総合栄養食のキャットフードをメインにしてください。総合栄養食は、これと新鮮な水だけで猫が必要とする栄養をバランスよく摂取できるフードです。
もやしは、総合栄養食にトッピングしたり、ごはんとは別に、おやつとして食後や別の時間帯にあげたりするようにしましょう。
◆大量に与えない
どのような食材でも、食べ過ぎは猫の健康を損ないます。
もやしには、猫に有害な成分は含まれていませんが、食物繊維が豊富なこともあり、大量に食べさせると胃腸に負担がかかって、消化不良から下痢や嘔吐を引き起こすおそれがあります。
下痢や消化不良になると、せっかくの栄養素も吸収されません。もやしを好む子であっても、大量に食べさせないように気をつけてください。
体調を崩した場合の対処方法は?
●消化不良
消化不良を起こすと、
・下痢
・嘔吐
・食欲不振・体重減少
などの症状が現れます。
下痢の回数が多く、水状の便になると、体内の水分が失われるため、脱水症状が引き起こされることもあります。
消化不良による嘔吐では、食べたものがそのままの状態で出てくることが多いです。嘔吐も、回数が多いと脱水症状を起こすことがあります。
猫は、下痢や嘔吐の症状から食欲不振になりやすく、症状が続くと体重が減少します。子猫の場合、消化不良で体重が減少すると、かなりのダメージがあり、一気に衰弱してしまいます。また、免疫機構も未発達なので、感染症にかかりやすくなります。
【対処法】
消化不良でも、多少の軟便であれば、1回の食事量を減らし、フードをお湯でふやかして消化しやすいようにして与えます。
形のない下痢状のうんちで、猫の調子がいつもと変わらず元気で食欲があるようなら、半日程度食事を控えて胃腸を休ませます。
それでも下痢が続くと、栄養が不十分になることから体重が減ったり、体内の水分が失われて脱水症状を起こしたりすることがあるので、動物病院を受診してください。
下痢の症状が見られた場合には、水分が大量に失われている可能性があるので、水は与えましょう。一方、嘔吐の場合は、水を飲むことが吐く誘因になることがあるため、お皿に少量の水を入れて、少しずつ飲ませます。
脱水を起こしている場合、猫の首から背中にかけて皮膚を摘まんだ時に戻るのが遅くなります。
水だけを与えても下痢や嘔吐の症状が続き、皮膚の戻りが遅い場合は、点滴治療などの必要があるため、動物病院を受診してください。
●アレルギー
アレルギーの症状としては、
・ウンチの量が増える
・嘔吐や下痢
・痒みから体を掻く
が見られます。
もやしでアレルギー症状が出た場合には、以後、もやしを与えないようにして、もやしの元である豆も与えないようにしましょう。
まとめ
もやしは、生でも加熱しても、猫に与えることのできる食材です。
タンパク質が豊富で、ビタミンCやアスパラギン酸、食物繊維を含むため、猫にとっても様々な効果が期待できます。
一方で、大豆などの豆を発芽させたものであることから、アレルギーが現れる可能性もあり、与える際には症状が出ないか、よく様子を見てあげてください。
また、食物繊維が豊富な分、大量に与えると、消化不良から下痢や嘔吐を引き起こす場合があるので、要注意です。あくまで、トッピングやオヤツとして、少量を与えるようにしましょう。
シャキシャキした食感が好きな子も少なくないようなので、上手に食事に取り入れて、愛猫の食生活を豊かにしてあげてくださいね。
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