【獣医師監修】猫のおしっこが出ない!どんな原因があるのかを知って対策をしよう

2021.08.29

【獣医師監修】猫のおしっこが出ない!どんな原因があるのかを知って対策をしよう

すべての動物に言えることではありますが、排泄は健康のバロメーターとなりますよね。 とくに猫は腎臓をフル活用して「おしっこ」を排出させるので、猫の健康状態を確認する上でも重要となり、普段から意識しておしっこの回数や尿量、色などをチェックしている飼い主さんも多いことでしょう。 そんな猫が頻繁にトイレを出入りし、おしっこが出ない状態が続いた場合、健康に異常を来たしているのか、心配になりますよね。 猫のおしっこが出ないときには、どんな原因が考えられるのでしょうか。

猫のおしっこが出ない【環境が原因】

猫のトイレ掃除

おしっこをしたいといった排尿感は、動物であれば誰しもが感じる自然な現象と言えるので、出ないといった状況に直面したとき、私たちは病気を疑って不安な気持ちになってしまうことでしょう。

しかし、猫はそんな排泄の仕組みを理解していないので、おしっこをしたくても出ないといった気持ちになったとき、私たち以上に不安な気持ちに駆られているはずです。

そしておしっこが出ない原因は、環境が関係していることが多いので、猫ちゃんが排泄を我慢しているように見受けられたら、まずは生活環境を見直してみてはいかがでしょうか。

◆ストレス

猫のおしっこが出ない原因として、ストレスが一因となることがよくあります。

私たちからしてみれば、些細なことであっても、ほんの少しの環境の変化によって猫は敏感に反応を示すことが多いのです。

たとえば引っ越して環境が変化した、フードを切り替えた、新しい家族が増えたなどの予期せぬ出来事が起きれば、気持ちがしっかりとついていかないのは、ある意味当然のことと言えるでしょう。

猫は自分の気持ちを言葉で表すことができないので、解消できないままの気持ちが、体に不調をもたらすといった結果につながってしまうようです。

◆トイレが汚れている

猫はとてもキレイ好きな動物なので、トイレが汚れていると排泄を我慢することがよくあります。

トイレの汚れもそうですが、トイレにこもったニオイにも猫は敏感に反応しますので、トイレ環境が悪ければ悪いほど、猫のおしっこが出ないといった悪循環に陥ってしまうことでしょう。

トイレの汚れが原因でおしっこが出なくなった場合、別の場所で粗相をするようになってしまうので、普段から清潔を心掛けておくことが大切です。

◆トイレの位置が悪い

猫の生活の中でトイレ環境というのはとても大切で、清潔が保たれているかとは別に、トイレの設置場所も重要視されているようです。

排泄時は静かに集中して用を足したいと思う気持ちは、人間だけでなく猫だって一緒のはずですよね。

人が集まる場所や人通りの多い場所に猫のトイレを設置してしまうと、落ち着いて用を足せる環境ではなくなりますので、トイレを設置する際にはしっかりと場所を考慮してあげる必要性が高いです。

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猫のおしっこが出ない【体が原因】

環境が原因となっておしっこが出ないことがほとんどではありますが、猫ちゃんの体自体に何かしらの原因があって、排泄が困難になってしまうこともあります。

このような場合は一時的な問題ではなく、長期的な問題であることが多いので、早急に対処をする必要がありますので、環境に原因が見当たらないのであれば、以下のような病気などを疑ってみるようにしましょう。

◆腎臓病

猫が患いやすい病気として知られているのが腎臓病ではありますが、水分摂取量が少ない猫にとって、普段から気を付けておくべき病気とも言えますよね。

おしっこが出ないということは、腎臓の働きに何かしらのトラブルが生じ、体内に老廃物が溜まっておしっこが出なくなってしまうこと(尿毒症)もあるようです。

また、急性腎不全の初期症状でも、おしっこの量が減ったり、まったく出なくなったりすることがあるので、食欲が落ちるなどといったほかの症状が出ている場合は要注意と言えるでしょう。

◆尿石症

猫は下部尿路疾患も患いやすく、中でも尿石症と呼ばれる尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に結晶や結石が詰まるといった病気を発症することが多いようです。

とくにオス猫は尿道がメス猫よりも細いので、結石などが詰まりやすく、尿道閉鎖を起こして尿毒症を併発することも。

尿石症は排尿時に痛みも伴いますし、尿毒症まで進行しておしっこが出ない状態のまま放置してしまえば、数日で死に至ることもあるので、早期治療こそが大切となってきます。

◆膀胱炎

おしっこが出ない&排尿時に痛みが伴う病気といえば、膀胱炎も忘れてはいけません。

基本的には細菌感染が原因となる細菌性膀胱炎が一般的ですが、猫では原因が分からない突発性膀胱炎が多く見られ、発症要因の一つがストレスと言われていることもあり、いかにストレスが猫にとって悪影響をもたらしているのかがうかがえますよね。

また、尿石症で膀胱粘膜を傷付けた場合も、細菌に感染すれば膀胱炎を併発するので、猫ちゃんにとっては最悪の状態と言えるでしょう。

おしっこが出ない以外にも、頻尿や血尿といった症状が見られるので、少しでも愛猫の様子に異変を感じるようであれば、早急に治療を行うことが重要です。

◆水分不足

猫はもともと飲水量の少ない動物ではありますが、猫の体重1kgに対し、50ml程度の水分量を1日に必要とするようです。

お水を飲む量が少なかったとしても、ある程度食事で補うことができますが、明らかにお水を飲む回数が少ない場合には、体内の水分が不足していますので、当然おしっこの回数や尿量も減ってくることでしょう。

排泄のチェックも大切ですが、飲水量のチェックも怠らないようにし、どれぐらいの水分を愛猫が摂取しているのかをしっかりと観察してあげてください。


猫のおしっこが出ない場合はすぐに病院へ

愛猫のおしっこが出ていないことに気付いたとき、ほとんどの飼い主さんは数日間経過観測をすることでしょう。

明らかにストレスやトイレ環境といった一過性の原因の場合でも、そこから病気を患う可能性はありますし、病気が原因でおしっこが出ない場合は、一刻を争うことがほとんどです。

病気によっては数日で命を落としてしまう危険性もありますので、様子を見るようなことはせず、すぐに動物病院を受診して獣医師に相談の上、適切な治療を行うようにしましょう。

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猫トイレ周りは清潔を保とう

掃除・整頓された猫のトイレ周り

おしっこが出ないといった猫の症状は、放置すべきではないので、いつでも飼い主さんがおしっこの状態を確認できる環境を整えておきたいものですよね。

そのためには常に猫のトイレ周りを清潔に保つ必要があるので、以下のことを意識して、愛猫が落ち着いて排泄できるような手助けをしてあげるようにしましょう。

◆こまめな掃除を行う

愛猫に清々しい気持ちで排泄してもらうためにも、こまめな掃除は欠かすことができません。

可能であれば排泄のたびに掃除を行うことがベストではありますが、難しい場合は最低でも1日に1回は掃除を行うように心掛けてください。

常にトイレが清潔であれば、トイレ汚れのストレスでおしっこが出ないといったことが無くなりますし、排泄のチェックもできるので一石二鳥です。

◆トイレ本体や周りも掃除する

最低1日1回の掃除も大切ですが、トイレ本体の掃除も定期的に行うと、より清潔が保てますのでおすすめです。

システムトイレを利用しているのであれば、猫砂を交換するタイミングで本体を掃除し、排泄箇所をその都度取り除くタイプの猫砂を使用しているトイレであれば、月1回ぐらいで本体の掃除をするのが望ましいでしょう。

また、本体だけでなく、トイレを設置した付近もこまめに掃除することにより、細菌の繁殖も防げますので、細菌感染の対策にも効果的です。

◆トイレの数や場所にも注意

猫はとってもデリケートな動物なので、トイレの汚れや猫砂が気に入らなかっただけでもおしっこが出なくなってしまうことがあります。

そして常に清潔を心掛けるためにも、トイレの数は1頭につき2個用意することが望ましいと言えるでしょう。

とくに多頭飼育のご家庭では、縄張り意識が自然と強くなっていきますので、準備するべきトイレの数は徹底するに越したことはありません。

また、神経質な面もあるのでトイレの設置場所にも気を付け、愛猫が落ち着いて排泄ができる環境を常に整えてあげるようにしてくださいね。

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まとめ

愛猫のおしっこが出ないといった症状が急に現れたとき、その症状にすぐ気付くことができれば良いですが、トイレ環境が整っていないと、早期発見に至らないことがあります。

排泄が健康のバロメーターだと意識できているのであれば、やはり常に愛猫のトイレ環境は整えておきたいものですよね。

そしておしっこが出ない原因は環境だけでなく、病気などが原因となることもあるので、発覚したらすぐに動物病院を受診することが望ましいです。

とくに尿毒症や急性腎不全は命に関わる危険性が高いので、少しでも愛猫の排泄に異変を感じたのであれば、早急に動物病院で検査をして、治療を行うようにしてください。

愛猫に辛い思いをさせないためにも、おしっこが大事なことを再認識し、長生きの手助けができるように心掛けていきましょう。

●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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