1.梨について
1-1.梨について
1-2.梨に含まれる栄養素
2.猫ちゃんと梨の相性は?
2-1.結論:梨を猫ちゃんに与えても大丈夫
3.猫ちゃんに与える際の注意点
3-1.洋梨は猫ちゃんに与えても大丈夫?
3-2.缶詰の梨は与えても大丈夫?
4.ほかのバラ科の果物は与えても大丈夫?
4-1.桃
4-2.りんご
4-3.いちご
5.まとめ
梨について
梨は8月から10月に食べ頃を迎え、まさしく今の季節が旬の果物です。最近はスーパーの棚に並んでいるのを見る機会が増えてきたのではないでしょうか。ここからは猫ちゃんと梨の相性について説明をする前に、梨についてのお話をしていきます。
◆梨の種類
梨はバラ科ナシ属の果実です。梨には3つの種類があり、「和梨」・「洋梨」・「中国梨」に分けられます。和梨は私たちが目にする機会の多い梨の種類なので、イメージがつきやすいのではないでしょうか。
和梨は、丸々した形をしておりみずみずしくシャキシャキとした食感が特徴です。皮の色が黄褐色の「赤梨」系と淡黄緑色の「青梨」系の2タイプに分かれ、主な品種としては赤梨系の幸水や豊水、青梨系の二十世紀梨があります。
洋梨(西洋梨)は、ひょうたんのように上が細くお尻が大きい形をしています。和梨と比べてねっとりとした甘さと芳醇な香りが特徴の果物です。食べ方も和梨と異なり、木で完熟したものを収穫して食べるのではなく、ある程度熟したものを収穫し、一定温度のなかで成熟させてから食べる「追熟」を行います。洋梨=「ラ・フランス」というイメージを持っているひともいるかと思いますが、ラ・フランスはあくまでも品種の1つであり、そのほかに「バートレット」や「ルレクチェ」などの品種があります。
中国梨は国内であまり生産されていないため、目にすることは少ないと思います。見た目は洋梨に似ていますが、食感は和梨のようシャリシャリとしている、風味豊かな果物です。
今回はこの3種類のなかでも、私たちに一番身近な和梨を取り上げて、猫ちゃんに与えても大丈夫なのかをまとめていきます。
◆梨に含まれる栄養素
梨の成分は88%が水分であると言われており、シャキシャキした食感とみずみずしい甘さを楽しむことができます。梨には、ソルビトール・アスパラギン酸・カリウム・食物繊維・ポリフェノール・クエン酸など、人間にとって嬉しい栄養素が含まれています。
ソルビトールは果糖の一種で整腸作用が期待できます。果糖も糖分なら太るのでは?と心配する人もいらっしゃるかと思いますが、ソルビトールは砂糖と比べて血糖値の上昇が緩やかなため、太りにくい糖分であると言えます。また、食料品としてだけでなく、ソルビトールの吸湿性を活かして化粧品や乳液に使用されており、医薬品としては下剤や便秘薬に含まれています。
アスパラギン酸はエネルギーを生み出す効果がある非必須アミノ酸で、疲労回復の効果をもたらします。これは体内でエネルギーを生み出す際に必要となるカリウムやカルシウムといったミネラルを、体内に取り込むはたらきをアスパラギン酸が果たしているためです。ちなみに、アスパラギン酸は19世紀にアスパラガスから発見されたそうです。名前もよく似ていますね。
カリウムは解熱作用があり、夏バテで元気がないときや風邪をひいて熱が出ているときにオススメの果物です。ほかにもカリウムには体内の余分な塩分を体外に排出してくれる効果が期待でき、身体のむくみの解消に繋がるといった美容効果も狙えます。
梨は栄養素から見ても健康効果が大きく期待できる果物なのです。
猫ちゃんと梨の相性は?
ここまでは梨についての説明をしてきました。それでは本題の「梨を猫ちゃんに与えても良いか?」という疑問について、栄養素や成分から猫ちゃんと梨の相性について解説していきます。
◆結論:梨を猫ちゃんに与えても大丈夫
人間にとって嬉しい成分がたくさん含まれている梨ですが、猫ちゃんに与えても問題はありません。むしろ梨はその約9割が水分のため、夏場の水分補給の助けとしても活用することができます。そもそも猫ちゃんは砂漠地帯出身の動物であり、水分をあまり飲まなくても体内の少ない水分を効率良く使うことで生きていくことが可能です。しかし、全く飲まなくても良いというわけではなく、猫ちゃんの1日の飲水量は体重1kgあたり25~30ccと言われています。水を飲まないことによって脱水や腎不全、便秘などを引き起こしてしまう場合も多くあるため、梨で水分補給の手助けをすることも効果的であると言えます。
また、梨に含まれている食物繊維は整腸作用をもっており、ソルビトールには便秘解消の効果があります。このように梨は水分補給のサポートや便秘症状の改善にも効果があるため、猫ちゃんとの相性は良いと言えるでしょう。与える際には大さじ一杯程度を与えましょう。
猫ちゃんに与える際の注意点
梨と猫ちゃんとの相性が良いことは前述しましたが、与える際に注意すべき点もあります。健康的な猫ちゃんならあまり心配することはないかもしれませんが、梨を与える前に注意点をよく読んでおきましょう。
①喉に詰まらせないように小さくカットしたり、すりおろしてから与える。
人が食べる大きさでカットした梨を与えると、猫ちゃんが喉に詰まらせてしまう恐れがあります。与えるときは必ず猫ちゃん用のサイズにカットするなどして、喉に詰まらせないようにしましょう。
②梨の皮はきちんと皮をむいてから与える。梨の種をしっかりと取り除く。
梨の皮は消化にあまり良くないだけでなく、農薬が付着している場合があることから、きちんと剥いてから猫ちゃんに食べさせてあげましょう。
また、梨の種を猫ちゃんが食べてしまった場合、消化不良による嘔吐や下痢、腸閉塞の症状が出ることがあり、「シアン発生性配糖体」という成分の過剰摂取により血中酸素が欠乏してしまう可能性もあります。確実に種も取り除きましょう。
③与えすぎに注意をする。
梨はその大部分が水分であり、食物繊維やソルビトール豊富に含まれているため、与えすぎるとお腹を壊してしまう場合があります。また、カロリーが控えめな果物ではありますが、少なからず糖分が含まれているので、与えすぎることによる肥満に気を付けましょう。
④初めて与える際には少量だけ与えしばらく様子を見る。
梨を食べてアレルギーになる症例は少ないものの、100%アレルギー症状が起こらないとは言えないため、初めて食べさせる際には少量ずつ与え様子を見ましょう。
アレルギー症状の例として以下の4つがあります。
・皮膚のかゆみはないか
・いつもより元気がないように見えないか
・目の充血はしていないか
梨を食べた後に少しでも様子が違うと感じたら、すぐに動物病院に行って獣医師に相談をしましょう。
猫ちゃんの個体によってアレルギーが出る場合もあるため、複数頭飼育している場合には一匹ずつ確認を行うことも大切です。
梨はあくまでもおやつとして猫ちゃんに与えましょう。
◆洋梨は猫ちゃんに与えても大丈夫?
この記事を読んでいる皆さまのなかには、和梨ではなく洋梨を普段から食べている方もいると思います。では、猫ちゃんに洋梨は与えても大丈夫なのでしょうか。
基本的には梨と同じように与えても問題ありません。しかし、洋梨は梨と比べて糖度が高くカロリーが若干高いため、猫ちゃんの肥満には注意が必要です。また、食物繊維の量が倍近く多いのも洋梨の特徴のため、与えすぎによって猫ちゃんが下痢になってしまわないように注意が必要です。
◆缶詰の梨は与えても大丈夫?
缶詰になっている梨は皮を剥いて種を取り除く手間がなく便利ですよね。ここまでは、生の梨についてお話をしてきましたが、果たして缶詰の梨は猫ちゃんに与えても大丈夫でしょうか。結論から言うと、缶詰の梨は猫ちゃんに決して与えてはいけません。缶詰の梨は、砂糖のシロップに漬けてある梨のため糖分が多く含まれており、猫ちゃんに与えることによって糖分の過剰摂取となり、肥満や血圧の上昇の恐れがあります。梨を猫ちゃんに食べさせてあげたいと思ったときは、缶詰ではなく生の梨を買ってきて与えてあげましょう。
ほかのバラ科の果物は与えても大丈夫?
梨を猫ちゃんに与えても適量であれば大丈夫である、という内容でお話をしてきました。
ここからは梨と同じバラ科の果物を猫ちゃんに与えても大丈夫かについて説明をしていきます。
◆桃
甘くてジューシーな味わいの桃を嫌いな人はあまりいないのではないでしょうか?桃を猫ちゃんが食べることにはなにも問題はありません。桃は梨と同じように約9割が水分のため、猫ちゃんの水分補給の手助けになるほかに、ビタミンEやビタミンCが含まれています。ビタミンEが不足すると脂肪症や心筋炎のリスクが高まり、ビタミンCは加齢や運動による酸化ストレスや、関節炎などに関連する病気の予防に役立つと言われています。
桃を猫ちゃんに与える際には、食べやすいように小さめにカットして与えてあげることのほかに、桃の皮と種には毒性が含まれていると言われているため、混在しないように注意が必要です。もし誤って猫ちゃんが食べてしまった場合には、下痢をしたり中毒症状が出たりする恐れがあります。
また、缶詰の桃も甘味料や保存料などの食品添加物が加えられているため、梨と同じように与える際には缶詰ではなく加工されていない桃を買ってきてあげましょう。
◆りんご
見た目が梨に似ているりんごは猫ちゃんに与えても大丈夫でしょうか?りんごにはカロテン、ビタミンC、カリウム、葉酸などの豊富な栄養素が含まれており、「1日1個のりんごは医者知らず」ということわざが生まれるほどです。
しかし、りんごを猫ちゃんに与えることはメリットよりもデメリットの方が多いと言えます。人間にとっては必要な栄養素でも猫ちゃんにとっては必要でないことも多く、キャットフードなどで十分補えるからです。また、りんごには虫歯の原因となる果糖やショ糖が100gあたり14.3gと多く含まれており、猫ちゃんが歯周病にかかるリスクもあります。
加えて、りんごの種には中毒症状を引き起こす可能性のある青酸が含まれているため、猫ちゃんに与える際には種を取り除くことも必須となります。
◆いちご
甘い果肉が特徴のいちご。猫ちゃんにいちごを与えることは大丈夫でしょうか?
猫ちゃんにいちごを与えることは問題ありませんが、いちごに含まれているキシリトールには注意が必要です。キシリトールはガムの成分に含まれているため、名前を知っている人は多いのではないでしょうか。このキシリトールですが、猫ちゃんが摂取してしまうと重い中毒症状を引き起こす可能性があります。猫ちゃんがキシリトールを摂取した場合、大量のインシュリンが放出され低血糖になってしまうことや、肝機能の低下が引き起こされることが明らかになっています。
まとめ
今が旬の「梨」は猫ちゃんと一緒に楽しめる果物であることがわかりました。
猫ちゃんに与える際には、量やカット、皮や種を取り除く、アレルギー症状を見逃さない、など気を付けなくてはならない点が多くあります。大切な猫ちゃんと一緒に秋の味覚を楽しむためにも、注意を払って与えるようにしましょう。
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