1.猫はなぜ目を細めるの?
2.猫が目を細めている理由
2-1.好きという気持ち
2-2.気分が良くて眠くなる
2-3.リラックスしている
2-4.まぶしい
2-5.ご飯が美味しい
3.猫が目を細めている時はどう接したらいいの?
3-1.そっとしておく
3-2.目を細め返す
猫はなぜ目を細めるの?
猫は、人とは異なり、言葉でコミュニケーションを取ることができません。
では、鳴き声でコミュニケーションを取っているかと言えば、実は、そうではありません。なぜなら、野生で生きている動物は、鳴いたり音を立てたりすると、容易に敵や獲物に存在を知られてしまうからです。猫が鳴くことでコミュニケーションを取るのは、基本的には人間に対してだけだと言われています。
猫がコミュニケーションを取る手段はボディーランゲージであり、目で気持ちを伝えることも多いです。つまり、猫が目を細めるのは、何らかの意思表示であることが多いと考えられます。
ただし、後述するように、病気やケガで目に不調があるときに目を細めることもあるので、注意深く観察することも必要です。
猫が目を細めている理由
では、猫が目を細める理由を具体的に見ていきましょう。
◆好きという気持ち
猫に限りませんが、動物が相手の目を見つめることは、敵意の表れと言われています。いわば、「喧嘩を売っている」ようなものです。また、警戒している時や興奮しているときには、猫は目を大きく見開きます。
逆に、目を細めているときは、「敵意はないよ」というサインです。特に、飼い主さんに対して目を細めているときには、信頼や安心の表れと言えるでしょう。
また、目が合った時や名前を呼んだ時に目を細めてくれた場合は、飼い主さんに対して「好き」と伝えています。猫は、信頼している仲間や家族にだけ、相手の目を見てゆっくりとまばたきをするのです。
◆気分が良くて眠くなる
飼い主さんに撫でてもらっているときや、すり寄って甘えているときなど、気分がよい時にも目を細めます。そんなときの表情は、微笑んでいるようで幸せそうですよね。
落ち着いて気分がよすぎて眠くなり、目が閉じていっていることもあるでしょう。そんな時は、そのままゆっくり寝かせてあげたいですね。
◆リラックスしている
あたたかな日差しの降り注ぐ窓辺やお気に入りのベッドで寝そべりながら、ゆっくりと目を細めているときは、リラックスしている時です。
リラックスして顔の筋肉が緩み、瞼が落ちてきて目が細くなります。そのまま、寝てしまうこともあるでしょう。
目を細めてリラックスできるのは、安心できる環境で暮らしているからとも言えます。きっと、今の生活に満足していることでしょう。
◆まぶしい
猫の目は、暗いところでも行動できるように、わずかな光でも感知できる構造になっています。
動物の網膜には、色や形を認識する「錐体」(すいたい)と、わずかな光でも感知して形を捉える「桿体」(かんたい)という2種類の光受容体があります。猫の目には、桿体がたくさんあり、光を感じる能力が人の約6倍あると言われています。
わずかな光でも感知できる分、人にはまぶしくない程度の光でも、猫にはまぶしく感じられます。そのため、明るい場所では瞳孔が細くなり、さらに目を細くするのです。
◆ご飯が美味しい
ご飯やオヤツを食べているときに目を細めるのは、おいしくて満足していることを表しています。大好きなおやつを食べているときに、鼻筋にしわを寄せて目を細めているのを見たことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
フードやおやつが気に入っているかどうかを知るには、愛猫の目を観察してみるといいかもしれませんね。
猫が目を細めている時はどう接したらいいの?
◆そっとしておく
目を細めていると、可愛くてつい構いたくなってしまいますが、ぐっとこらえて、そっとしておいてあげましょう。気分がよくて眠くなっていたり、リラックスしてのんびりしたりしている時間は、猫だって邪魔されたくないものです。
飼い主さんの膝の上で目を細めているときには、ゆっくりと優しく撫でてあげるといいでしょう。ただし、あまり構いすぎると嫌がられてしまうので、ほどほどに。
◆目を細め返す
目が合った時に目を細めてくれたなら、飼い主さんも目を細め返してあげましょう。愛猫に、飼い主さんの「大好き」という気持ちが伝わるでしょう。
愛猫がゆっくり目を細めているのを確認したら、ゆっくりと目を細めていきます。1~2秒目を閉じたままにして、今度はゆっくりと目を開き、猫を見ます。猫を見るときには、目を合わさずに、口や鼻のあたりをぼんやりと見るのがポイントです。猫が、ゆっくりとまばたきを返してくれるかもしれません。
外で出会った野良猫とコミュニケーションを取りたいときも、猫の視線の高さに合わせて、ゆっくり目を細めると、敵意がないことを伝えることができますよ。
猫が目を細めるのは病気の可能性も?
猫が目を細めるポジティブな理由をお伝えしてきましたが、病気の可能性もあるので猫の様子をよく観察してみましょう。
ここでは、目を細めるときに考えられる病気について解説していきます。猫ちゃんに気になる症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
◆結膜炎
結膜は、眼球の白目から瞼の裏側を覆っている膜です。この膜に炎症が起きる病気が、結膜炎です。
結膜炎にかかると、目に痒みや痛みなどの違和感があるため、猫が目をしきりに気にするようになります。また、目の周りが常に濡れているようになったり、目を細める仕草をしたりするようになります。
結膜炎の主な症状は、下記のとおりです。
●目をこすろうとする
●床や壁に目をこすりつける
●白目の充血
●まばたきが多い
●目やにや涙が多い
●結膜の腫れ
結膜炎の原因は、
・感染症
・免疫介在性疾患
・アレルギー
・涙の減少
などです。
片目に発症した場合には、異物の侵入など、物理的なものが原因となっている可能性があります。一方、両目で発症した場合には、ウイルス感染などが原因として考えられます。ただし、感染の場合も片目だけに症状が出る場合や、左右で発症の時期がずれる場合もあるので、気をつけてください。
原因に合わせて、抗炎症剤、抗生物質、インターフェロンなどの点眼薬を使用します。目を気にしてしまうと症状が悪化したり、眼球に傷をつけてしまったりするので、エリザベスカラーをつけて猫自身が目に触れられないようにする必要もあります。
◆角膜炎
角膜は、黒目の表面を覆っている透明な膜です。この膜に炎症が起きる病気が、結膜炎です。
結膜炎同様、目をしきりに気にするようになります。角膜が白く濁っている場合は、深めの傷ができている可能性が高いので、すぐに獣医師さんの診察を受けましょう。
角膜炎の主な症状は、下記の通りです。
●目をまぶしそうに細める
●目をこすろうとする
●まばたきが増える
●涙が増える
●角膜が白く濁る
●角膜に細い血管が見える
原因としては、
・角膜の傷(ケンカや自分でこすったため)
・ウイルス感染
・涙が少ない
などがあります。
軽症であれば、消炎剤や抗生剤などの点眼薬を用います。重度の場合は、定期的な注射や、角膜を保護するためのペット用コンタクトレンズの装着が必要となることもあります。
さらに重篤になると、角膜にへばりついた上皮の除去、角膜表層の切除、角膜移植などの外科手術を行う場合もあります。
◆眼瞼内反症
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)とは、瞼(まぶた)が内側に反り返り、睫毛や被毛が眼球や結膜に直接当たることで炎症を起こしてしまう病気です。
原因としては、
・結膜炎
・目の外傷
・加齢や品種による皮膚のたるみ
・脱水や削痩(体重減少により体型がやせ細ること)による瞼の機能低下
などがあります。
猫の涙には、ムチンという粘り気のある成分が豊富に含まれていて、眼球を刺激から保護しています。軽度の眼瞼内反症であれば、粘り気のある涙が眼球を守っているため無症状な場合が多いです。重度になると、睫毛や被毛の刺激により、
●涙の量やまばたきの回数が増える
●痛みの刺激から目をまぶしそうに閉じる
などの症状が見られます。
痛みが強い場合、痛みを伝える三叉神経という神経への刺激によって、瞼がピクピクと痙攣する症状が出ることもあります。
慢性化すると、二次的に感染を起こし、目の周りが黄緑色の目やにで常に汚れ、結膜が赤く充血します。また、違和感から目をしきりにこするようになります。
涙による保護機能の限界を超えると、角膜に損傷が起きて重度の角膜炎や角膜の色素沈着を引き起こします。涙の分泌の増加が長く続くと、涙腺の疲労から、ドライアイを発症する場合もあります。
無症状であれば、経過観察で構いません。症状がある場合には、鎮痛剤や消炎剤を使用します。眼球に当たる被毛や睫毛を、定期的に抜くこともあります。重度の場合、瞼の構造を正常にするための手術が必要です。
まとめ
言葉を持たない猫は、ボディーランゲージでコミュニケーションを取っていて、目を細めるのもその一つです。
猫が目を細めるときには、敵意がないことや好意を伝えていたり、リラックスしていたりとポジティブな理由が多いですが、目の不調が原因の場合もあり、注意が必要です。気になる症状があれば、動物病院を受診してください。
愛猫が目を細めてリラックスしていたり眠そうにしたりしているときは、そっとしておいてあげましょう。目が合った時に目を細めてくれたら、目を細め返して「大好き」と伝えると愛猫との絆が強くなりますよ。
猫のしぐさの意味を理解して、上手にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いてくださいね。
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