【獣医師監修】猫にほうれん草を生で与えるのはNG!猫が葉物に興味を持つのは何故?

2022.05.16

【獣医師監修】猫にほうれん草を生で与えるのはNG!猫が葉物に興味を持つのは何故?

鉄分が豊富で栄養価も高いとされているほうれん草ですが、猫にも与えてよいのでしょうか?手作りごはんをあげている飼い主さんは、特に気になるポイントですね。完全肉食動物である猫にとって植物は消化がしづらいうえ、生のほうれん草には猫にとって有害な物質が含まれているため、与える際には注意が必要です。今回は、ほうれん草の栄養価とともに、猫にほうれん草を与える際の注意点をお伝えします。

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ほうれん草の栄養価

ほうれん草

ほうれん草は、冬が旬の野菜です。鉄分が豊富で、貧血の予防や改善におすすめの食材として知られていますね。ここではまず、ほうれん草の栄養価について詳しく解説していきます。
※含有量は、生のほうれん草の可食部100g当たりの量です(出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂))

◆ビタミンB

ほうれん草には、ビタミンB1(0.11mg)、ビタミンB2(0.20mg)、ナイアシン(0.6mg)、ビタミンB6(0.14mg)といったビタミンB群が含まれています。ナイアシンは、水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に含まれます。
ビタミンB群は、白内障予防や、皮膚や被毛、爪などを健康な状態に保つ効果があります。ビタミンBが不足してしまうと、口内炎や皮膚炎の原因となることもあります。

◆ビタミンK

ビタミンKは脂溶性のビタミンで、健康な血液と骨の維持に欠かせない成分ですビタミンKが欠如すると、血が止まりづらくなったり、骨が弱くなってしまったりします。
猫は活動的である分、ケガをするリスクも高いため、ビタミンK不足には注意が必要です。ほうれん草には、270μg含まれています。

◆ビタミンE

ビタミンEは、脂溶性ビタミンのひとつです。脂質の過酸化を防いだり、細胞壁および生体膜の機能を維持したりすることに関与していて、抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、体内の過剰な活性酸素を除去する作用のことで、免疫力の低下や老化を防ぐ働きがあります。
ビタミンEが欠乏すると、神経機能の低下や筋無力症などが起きることが知られています。食品に含まれるビタミンEは主にα-、β-、γ-、およびδ-トコフェロールの4種です。ほうれん草には、α-トコフェロール2.1mg、γ-トコフェロール0.2mgが含まれています。

◆βカロテン

βカロテンは、プロビタミンAのひとつです。プロビタミンAは、生体内でビタミンAに転換される物質の総称で、カロテノイド色素群に属します。
ビタミンAは、発育の促進、皮膚の健康の維持、暗いところでも目が慣れて見えるようになる機能(視覚の暗順応)に関わっています。さらに、喉や鼻などの粘膜に働いて細菌から体を守るなど、多くの重要な働きを持っています。
プロビタミンAは主に植物性食品に含まれ、プロビタミンAとしての働きのほか、抗酸化作用や抗発がん作用、免疫の賦活作用があることが知られています。ほうれん草には、4200μgが含まれています。
ただし、猫はβカロテンからビタミンAを合成することができません。ビタミンAは、他の形で摂取する必要があります。

◆鉄分

鉄分は、ほうれん草に含まれる栄養素として一番に挙げられる成分ですね。ほうれん草には、2.0mg含まれています。
鉄分は、主として赤血球をつくるのに欠かせない栄養素で、ヘモグロビンの成分です。ヘモグロビンは、呼吸で取り込んだ酸素と結びついて、肺から体の隅々まで酸素を運ぶ働きをしています。
貧血を予防するために必要で、タンパク質と一緒に摂取すると吸収力が高まります。

◆ビタミンC

鉄分は、ビタミンCとともに摂取するとより体内に吸収されやすいため、ビタミンCを豊富に含むほうれん草は、鉄分を摂取するのに適した野菜と言えます。また、ビタミンCには、体を若々しく保ち、癌を抑制する働きがあります。
猫は体内でビタミンCを生成することができますが、年齢や体質によって不足してしまう場合もあります。生のほうれん草には35mgのビタミンCが含まれていますが、茹でると失われてしまいます。猫にビタミンCを摂取させたい場合には、サプリメントを活用する方がよいでしょう。

◆葉酸

葉酸は水溶性ビタミンのひとつで、ビタミンB群に含まれます。タンパク質や細胞をつくる時に必要な核酸(DNA、RNA)を合成する重要な役割を持ち、赤血球細胞の形成を助けたり、細胞分裂が活発な胎児の正常な発育に役立ったりするなど大切な働きをしています。ビタミンB12と協力して血液をつくる働きがあるため、欠乏すると悪性の貧血を起こすことがあります。ほうれん草には、210μgの葉酸が含まれています。

◆カリウム

690mgが含まれています。カリウムは、血圧の調整や、体内の恒常性維持に役立つ栄養素です。細胞が正常に機能するために不可欠で、神経伝達やエネルギー代謝にも重要な働きをしています

◆食物繊維

水溶性食物繊維が0.7g、不溶性食物繊維が2.1g含まれています。食物繊維は、猫にとって栄養に変わることはありません。しかし、微量であれば整腸作用が期待でき、便秘や毛球症の改善に効果があります。
肉食動物である猫が多量に摂取すると、消化不良から下痢を引き起こすことがあるため、注意が必要です。

◆シュウ酸

0.7gのシュウ酸が含まれています。シュウ酸はジカルボン酸という物質で、多くの植物に含まれる成分です。カルシウムなどのミネラルと結合するという特徴があり、植物が自身の中にミネラルを保つ働きをしています。
ほうれん草を生のままで大量に摂取し続けると、利用可能なカルシウムが減ってしまい、血液凝固機能などに悪影響が出る事があります。


猫はほうれん草を食べられる?

首をかしげる猫

では、猫はほうれん草を食べてもよいのでしょうか?

◆与えるには注意が必要

猫にほうれん草を与える際には、注意が必要です。そもそも、猫は完全肉食動物なので、植物を消化することは苦手です。そのため、大量に食べてしまうと消化不良から、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
また、シュウ酸が豊富であるため、少量でも尿路結石のリスクが高まります

◆シュウ酸と尿路結石の関係性

体内にシュウ酸が入ると、腸内でカルシウムと結びついて便とともに排出されますが、摂取量が多いと腸内でカルシウムと結びつくことができなかった分が、尿中でカルシウムと結びつきます。
人の場合も、カルシウムと結びついたシュウ酸が石のように固くなり「結石」となることがありますが、猫の場合は少量でも尿路結石になる可能性が高くなります。結石は、尿管や腎臓に負担をかけ、腎臓病や泌尿器疾患の原因となります。
もともと猫は、腎臓病になりやすいため、特に注意が必要です。

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シュウ酸カルシウム尿路結石はストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム)と異なり、療法食で溶かすことができないため、手術によって摘出する必要があります。

◆生のままほうれん草を与えない

ばつ

猫にほうれん草を与える際には、必ず茹でてから与え、生のままでは与えないようにしてください。シュウ酸は水溶性(水に溶けやすい)のため、茹でるとほとんどがアクとして抜けてしまいます。あくまでお湯に溶け出しているので、加熱によって少なくなるのではありません。電子レンジで加熱してもシュウ酸は少なくならないので、必ず茹でましょう。
茹で時間の目安は、茎で1分ほど、葉は10秒ほどです。茹でた後には、水にさらして、しっかりアク抜きをしてください。茹でたほうれん草は、水溶性のビタミンも溶け出しているため、栄養素は減ってしまうことにも留意しましょう。
また、葉物野菜は喉に張りついて、喉に詰まりやすいです細かく刻んで、少量を与えるようにしてください。子猫やシニア猫は、特に注意が必要です。


猫が葉物野菜に興味を持つ理由は?

すがる猫

ほうれん草に限らず、葉物野菜に興味を持つ猫は少なくありません。SNSなどでも、小松菜や白菜など、葉物野菜を喜んで食べる猫ちゃんがよくアップされていますね。
では、猫が葉物野菜に興味を持つのは何故でしょうか?
本来完全肉食動物である猫は、お腹を満たすために野菜を食べることはありません。外で暮らす猫はたまに葉っぱをかじることがありますが、食べる量は少なく、主に毛玉を吐き出すために食べていると考えられます。
同様に、葉物野菜も毛玉を吐き出すために食べている面があるでしょう。
また、猫の味覚は人間の10分の1以下だと言われており、食べてよいものかどうかを、味ではなく、匂いで判断しています。肉や魚とは異なる葉物野菜の香りに惹かれる子も、いるかもしれませんね。
葉っぱの「シャクシャク」とした感触が楽しいという子もいるでしょう。

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まとめ

猫と草

葉物野菜に興味を持つ猫ちゃんは少なくなく、ほうれん草が大好きという子もいます。
ほうれん草は鉄分をはじめ豊富な栄養素を含むため、人にとってはぜひ摂りたい野菜のひとつですが、猫に与えるには注意が必要な食材です。
ほうれん草に豊富に含まれるシュウ酸は、過剰に摂取すると尿中のカルシウムと結びついて石のように固くなる「尿路結石」の原因となります。尿路結石は尿路や腎臓に負担をかけるため、もともと腎臓疾患になりやすい猫にとって、ほうれん草はリスクが高い野菜です。
基本的には、与えない方がよいでしょう
シュウ酸は水溶性なので、茹でることでほとんどがアクとして溶け出してしまいます。ほうれん草が大好きという猫ちゃんには、必ず茹でてアク抜きをし、細かく刻んだものを少量あげるようにしてください。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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