牛乳よりヤギミルクが猫におすすめである理由は?栄養素と与え方も

2022.06.22

牛乳よりヤギミルクが猫におすすめである理由は?栄養素と与え方も

ヤギミルクは、猫ちゃんにおすすめのミルクであることをご存知でしょうか?昔は「猫にはミルク」のイメージが強く、牛乳を与える人も多かったですが、現在は、飼い主さんの多くが牛乳でお腹を壊す猫が多いことを知っています。では、猫ちゃんにおすすめというヤギミルクは、牛乳とどんな違いがあるのでしょうか?今回は、ヤギミルクと通常のミルクとの違いから、栄養素、与え方などをご紹介します。

ヤギミルクとは?

ミルク

オーストラリアやニュージーランドなど畜産の盛んな国ではお馴染みのヤギミルクですが、日本ではまだあまりなじみがありませんね。
そこで、まずヤギミルクについて、ご紹介していきます。
ヤギミルクとは、そのものずばり「ヤギのお乳」です。赤ちゃんヤギが飲む「母乳」ですね。

◆通常のミルクとの違いは?

では、通常のミルクとヤギミルクにはどんな違いがあるのでしょうか?
通常「ミルク」と言われるものは、牛乳、すなわち「牛のお乳(母乳)」です。ヤギミルクとは、そもそもお乳を出し、飲む動物が違うと言えます。
そのため、通常のミルクとヤギミルクでは、含まれる栄養素やその量が異なるのです。ヤギミルクは猫や犬の母乳に近い成分を含むと言われていて、牛乳よりも栄養面で優れているとされます。

◆猫はヤギミルクを飲んでも問題ないの?

猫に牛乳を与えない方がよい理由としては、アレルギーと「乳糖不耐症」が挙げられます。
では、ヤギミルクではアレルギーや乳糖不耐症の心配はないのでしょうか?

★牛乳アレルギーとカゼイン

牛乳アレルギーの原因となるアレルゲンの多くは、タンパク質の一種「α‐カゼイン」だと言われています。α‐カゼインは「カゼイン」というタンパク質のひとつで、乳中では「β‐カゼイン」「κ-カゼイン」とともに複合体の形で存在して相互に働いています。
哺乳類は、乳中のカルシウムを摂取しただけでは体内で有効に活用することができません。カゼインはカルシウムと結合して、その運び役として働いています。つまり、特に成長期の哺乳類の体の生育に、重要な役割を果たしているのです。
また、カゼインは含硫アミノ酸が豊富なため、猫の膀胱炎やストルバイトの予防・対策に非常に有効と言われています。
ヤギミルクはβ-カゼインが多く、α-カゼインの含有量が少ないため、比較的アレルギーを起こしにくいミルクとして知られています。

★乳糖不耐症と脂肪球

牛乳を飲むとお腹を壊す原因は、乳糖(ラクトース)不耐症です。
乳糖不耐症を起こす原因の一つとして、牛乳中の脂肪球が大きく、消化しにくいことが挙げられます。このため、牛乳は加工の過程でホモジナイズ(均質化)されています。均質化された牛乳の乳糖は大腸に届くスピードが速く、下痢をしやすくなるのです。
実は、ヤギミルクにも牛乳と同程度の乳糖が含まれています。しかし、脂肪球の大きさが牛乳の約1/6であるため、乳糖はやさしい消化を経て大腸にゆっくり届き、下痢を起こしにくいとされています。


ヤギミルクが猫に与える効果

いろんなミルク

ここでは、ヤギミルクの栄養素を解説し、猫に与える効果についてご紹介していきます。

◆ヤギミルクの栄養素

牛は基本的に牧草しか食べませんが、ヤギは通常、低木や樹皮、雑草などさまざまなものを食べます。このため、含まれる成分も豊富で多様です。
エネルギーや脂質、タンパク質などの含有量については大きな差異が見られませんが、カゼイン、カリウム、タウリンについては、牛乳よりも優れています。

★カゼイン

前述の通り、カゼインはカルシウムと結合して運搬役を果たしており、含硫アミノ酸が豊富で猫の膀胱炎やストルバイト結石の予防・対策に有効であるとされています。
ヤギミルクには、人間の母乳と同じく、アレルゲンになりにくいβ‐カゼインが多く含まれており、アレルギーを生じにくいです。

★カリウム

ヤギミルクに含まれるカリウムは、牛乳の約1.5倍です。
カリウムは、ナトリウムとともに体内の細胞の浸透圧を保持しているほか、

・神経刺激の伝達
・心臓や筋肉の機能の調節
・酸、塩基平衡の維持
・細胞内の酵素反応の調節

などの働きを持っています。
また、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制し、尿中への排出を促進するため、血圧を下げる効果もあります。

★タウリン

タウリンは水溶性アミノ酸様化合物のひとつで、犬や人間は体内で、「シスチン」というアミノ酸を元にして肝臓で合成することができます。
しかし、猫は体内で作ることができないため、食べ物から摂る必要がある栄養素です。このため、キャットフードにタウリンが添加されていることは、猫の飼い主さんにはもはや常識かもしれませんね。
タウリンは、幼い動物の脳の発達に関係する栄養成分であり、不足すると拡張型心筋症のリスクが高まります。犬の場合には僧帽弁閉鎖不全のリスクが高まり、タウリンは、心臓疾患の予防に関係すると考えられています。
タウリンは、イカやタコ、貝類、甲殻類に多く含まれていますが、これらの食材は猫には与えてはいけないものばかりです。また、植物性タンパク質には、タウリンは含まれていません。猫にドッグフードを与えてはいけないのも、タウリンが添加されていないためです。
ヤギミルクに含まれるタウリンは、牛乳の20倍とも50倍とも言われており、貴重な供給源と言えます。
タウリンには、

・肝臓の働きを活発にする
・血中コレステロールや中性脂肪の削減
・血圧の調整
・インスリン分泌の促進による糖尿病予防
・視力の衰えを防ぐ

などの機能があります。

★中鎖脂肪酸

ヤギミルクには、短鎖脂肪酸を含めて、総脂肪酸の20~30%と高い割合で中鎖脂肪酸が含まれています。
脂肪酸は、脂質を構成する成分で、脂質の性質を左右します。炭素、水素、酸素の3つの元素からなる脂肪酸は、炭素の数によって短鎖、中鎖、長鎖の3つに分類されます。
中鎖脂肪酸は、炭素の数が6~12個の脂肪酸です。
中鎖脂肪酸は、

・消化吸収が他の脂肪酸より約4倍速い
・素早くエネルギーになり体脂肪になりにくい

という特徴を持ちます。
この特徴から、ヤギミルクは猫の体への負担が少なく、脂肪として蓄積されにくいため肥満防止にも役立つ優れたミルクなのです。
中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルやヤシ油などに多く含まれていますが、肉や魚にはほとんど含まれていません。
牛乳の約2倍の中鎖脂肪酸を含むヤギミルクは、猫にとって貴重な食べ物と言えます。

★ビタミンとミネラル

生乳の成分を比較すると、ヤギミルクの方が牛乳より優れている面が少なくありません。
カルシウムは牛乳の1.2倍、ビタミンB2は2.8倍、ナイアシンは3倍含まれており、マンガンや塩化物銅などのミネラルのバランスも優れています。

◆こんな猫ちゃんにおすすめ

そもそも猫は、あまり進んで水を飲まない動物です。水分を特に摂らない猫ちゃんの水分補給にヤギミルクを与えると、水分とともに栄養補給もできるので、おすすめです。
特に、冬場には水分補給が低下する子が多いので、与えてみると良いでしょう。ミルクの味や匂いを好む猫ちゃんも多いので、ごくごくと飲んでくれるかもしれません。
離乳期の子猫やシニア、病気などで体力が落ちている子に、栄養やエネルギー源を多く摂らせたいときに利用するのもおすすめです。
また、フードの切り替え時や体調不良から食欲不振になっている場合にも、風味で食欲が戻る可能性があります。
さらに、猫は食べムラや食べ飽きのある動物です。いつものフードを食べなくなった場合にヤギミルクで変化を与えると、今までの食事を多く食べるようになることもあります。


ヤギミルクの与え方

ミルクを飲む猫

ヤギミルクには、ミルクそのままの液体の商品と、粉末になっている商品があります。

◆ぬるま湯に溶かして与える

粉末状のヤギミルクは、ぬるま湯に溶かして与えます。
水でも構いませんが、猫ちゃんの多くは人肌程度を好むので、ぬるま湯がおすすめです。また、熱すぎると飲まなかったり、火傷したりするため、熱いお湯で溶かした場合には人肌程度に冷ましてから与えましょう。

●おすすめ商品
tasty! 天使のヤギミルク

天使のヤギミルクは、酪農大国オランダでオーガニック認定を取得した最高品質のヤギミルクです。
ヤギミルクは母乳に限りなく近い成分と言われていて、わんちゃん・ねこちゃんのお腹に優しく、豊富な栄養がたっぷり。ふんわり甘い香りがわんちゃん・ねこちゃんの食欲をそそります。

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◆キャットフードにトッピングする

粉末状のものは、ドライフードにそのまま振りかけてもよいですし、液体のミルクであればウェットフードと混ぜると良いでしょう。

◆手作りおやつの材料に

牛乳の代わりに猫ちゃん用のホットケーキやプリンに入れれば、栄養豊富なおやつになります。


ヤギミルクを与えるときの注意点

ミルクを飲む猫

ここでは、ヤギミルクを与えるときに注意したいポイントについてご紹介します。

◆与えすぎない

ヤギミルクが猫の水分補給や栄養補給によいと言っても、与えすぎは禁物です。
与える量は、体重1kgにつき20㏄を目安にしましょう。例えば、体重4kgの猫ちゃんであれば、80㏄となります。

◆胃腸の様子を見ながら

牛乳に比べてアレルギーや乳糖不耐症になりにくいヤギミルクですが、個体によってはお腹を壊すこともあります。
少量から始めて、胃腸の様子を見ながら少しずつ量を増やしていきましょう。
お腹を壊すなど体調に異変が見られた場合には、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

●おすすめ商品
カミフェ ラクダミルクふりかけ  >>カミフェ ラクダミルクふりかけ<<
ラクダのミルクは、抗菌たんぱく質「ラクトフェリン」、不飽和脂肪酸を多く含んでいます。
低脂肪・低糖質、乳糖含有量も少ないので、下痢を起こしにくく安心してご利用いただけます。
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まとめ

ヤギミルクは、日本ではまだあまりなじみのない食材ですが、栄養豊富で、かつアレルギーや乳糖不耐症になりにくいことから、猫ちゃんにおすすめのミルクと言えます。
特に、子猫やシニア、体調不良の子などの栄養補給の補助として利用すると、水分補給にもなり、一石二鳥です。
猫が体内で生成することのできない栄養成分であるタウリンが豊富に含まれるヤギミルクは、貴重な供給源になります。
食べムラや食べ飽きが見られるときに食欲の回復につながる場合もあるため、日頃から、愛猫の好むヤギミルクを見つけておくと、いざというときに役立ちます。
栄養豊富なヤギミルクを上手に取り入れて、猫ちゃんの食生活を豊かにし、健康を守ってあげる一助にしてみてくださいね。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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