健康効果の高いオリーブオイルは猫に与えても安全なの?与える時の注意点は

2022.06.14

健康効果の高いオリーブオイルは猫に与えても安全なの?与える時の注意点は

昨今では質の良い油の摂取が推奨されていますが、その流行の発端とも言える油といえば、「オリーブオイル」を思い浮かべる方も多いことでしょう。 オリーブオイルにはさまざまな健康効果が期待できることもあり、そんなに良い油であれば、愛猫にも摂取させたいと考える飼い主さんは多いのではないでしょうか。 油を舐めたがる猫ちゃんは多いですが、オリーブオイルは猫が舐めても安全なのか、与える場合にはどんな注意が必要かなどを考えてみました。

猫にオリーブオイルを与えても良いの?

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日本では昔の怪談話に行燈の油を舐めるといった化け猫が多く登場してきますよね。

現代の猫たちが好んで油を舐めている姿はあまり想像ができませんが、昨今のようにキャットフードが主食として定着していなかった時代には、高カロリーな油は猫にとってご馳走だったのかもしれません。

愛猫にわざわざ油を与えてみようと、思ったことのある方は少ないと思いますが、料理後のフライパンや鍋をキッチンに放置していると、いつの間にか底についていた油を愛猫が舐めている姿を見かけた、といった経験をしたことはありませんか?

その目的は油ではなく、別の食材や調味料の味を舐めとっているのかもしれませんが、料理前に入れた油自体にも興味を示す猫ちゃんは多いそうです。

不思議な光景に映りますが、このような猫の行動は理に適っていて油を舐めることにより、猫は本能的にビタミンAやビタミンBを摂取していると考えられています。

これらのビタミンを猫は体内で生成できないこともあり、食事から摂取しなくてはいけないのです。

野生時代に獲物を自ら捉えて暮らしていた肉食動物の猫は、これらのビタミン類が豊富な獲物の肝臓から食べていたことも知られています。

獲物となる小動物の肝臓には、油分が多く蓄積されていることを、本能的に理解するのには、さすがとしか言いようがありませんよね。

このようなことからも、オリーブオイルを猫に与えたとしても問題がないと言えるでしょう。

◆オリーブオイルに含まれる主な成分

オリーブの果実から抽出して得られるオリーブオイルは、種由来のシードオイルとは異なり、果実そのものにオイル分が含まれているといった特徴を持っています。

特に上質なバージンオリーブオイルは、そのまま飲めるほどサラッとしていて口当たりも良く、オリーブ100%の果実ジュースと言われることもあるそうです。

油と聞くと体に悪そうなイメージですが、オリーブオイルは健康な油として知られていることもあり、猫にも嬉しい成分がたくさん含まれています。

常温でも固まらない液体状の「不飽和脂肪酸」がオリーブオイルの主原料となり、オレイン酸が特に豊富に含まれています。

ほかにもポリフェノールやビタミン類、オレオカンタールといった有効成分が得られます。

◆期待できる効果は?

健康効果の高いオリーブオイルですが、オレイン酸が豊富に含まれていることにより、善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールのみを減らす働きをしてくれます。

そのため動脈硬化や生活習慣病の予防、便秘の改善にも役立つといった、嬉しい効果ばかりが得られるようです。

便秘改善にも役立つということは、グルーミングで舐めとった抜け毛の排出も促してくれるため、毛玉をよく吐く猫ちゃんへの効果も期待できます。

ほかにも皮膚を健康に保ち、筋肉の増強や毛艶を良くする働きをしてくれるため、猫とってさまざまな効果が得られることも喜ばしいですよね。

また、一成分のオレオカンタールは、抗炎症薬成分となるイブプロフェンに似た作用があると最近の研究で発表されたこともあり、ガンを予防する効果も期待されているそうです。

◆猫に与えるデメリット

良い効果が期待出来るオリーブオイルですので、毎日たくさんの量を舐めさせたいと考える飼い主さんも少なくないはずです。

しかし、油ということに変わりはないため、たくさん摂取すれば肥満や膵炎の原因にもなりますし、便秘改善の効果があることからも、与えすぎれば逆にお腹が緩くなり下痢になってしまうことも否めません。

また、食物アレルギーを持っている猫ちゃんの場合、アレルギー反応を起こす可能性もあるため、健康になってもらえるようにと与えているはずのオリーブオイルが、逆に健康を損ねてしまう結果となることも考えられますよね。


オリーブオイルの与え方

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安全に愛猫へオリーブオイルを与えたい場合には、どんなことに注意をすれば良いのでしょうか?

◆ご飯に混ぜる

オリーブオイルは比較的そのままでも飲みやすい油ではありますが、猫に与える際にはそのまま原油を舐めさせるのではなく、いつもの食事に少量を混ぜて与えるようにしましょう。

オリーブオイルを単体で与え、その味を気に入ってしまった場合、飼い主さんが料理で使う際にも欲しがるようになってしまいますし、飼い主さんの目を盗んでオリーブオイルが使われた料理を、盗み食いする可能性も否めませんよね。

料理に使った食材の中に、猫が口にすると危険な食材が混ざっていることもありますし、オリーブオイルのニオイを軽減させるためにも、香りの強いキャットフードと一緒に与えるようにしましょう。

◆毎日は与えない

いくら猫の体に良いからといって、毎日与え続けることもおすすめできません。

カロリーの過剰摂取となる上に、お通じの出が良くなりすぎれば、お腹を壊して下痢になる可能性も高いですよね。

多くても1週間に1、2回程度を目安とし、与える量は1回につきティースプーン半分~1杯程度を目安にして与えるようにしてください。


オリーブオイルの種類

オリーブオイルは大きく分けて、「エキストラバージンオリーブオイル」と「ピュアオリーブオイル」に分類されます。

どちらも体に良いオリーブオイルに変わりはありませんが、ピュアオリーブオイルは加熱調理向けのオイルとなり、純粋なオリーブオイルではありません。

猫に与える際にはエキストラバージンオリーブオイルを選ぶようにし、有効成分の効果を最大限に発揮させてあげましょう。

しかし、日本ではエキストラバージンオリーブオイルの明確な基準がないため、偽物のエキストラバージンオリーブオイルがたくさん出回っています。

どうしても飼い主さんが愛猫にオリーブオイルを与えたいようであれば、純度の高い本物のオリーブオイルを選び、安全に愛猫へ摂取させてあげる努力も必要です。


オリーブオイルは便秘改善や肉球ケアにも

猫にも有効な効果の多いオリーブオイルではありますが、猫ちゃんの中にはまったく興味を示さない子や、オイルが混じったご飯を食べてくれない子も居ます。

猫それぞれに好みや嗜好性がある通り、口にしてもらうことが難しい場合には、別の方法でオリーブオイルを有効活用してみましょう。

便秘気味の猫ちゃんにはオリーブオイルを綿棒に染み込ませ、その綿棒を浣腸の代わりに使用し、肛門を刺激すると腸が活性化され、便秘解消効果が期待できます。

また、オイルを染み込ませた綿棒で耳の中を掃除すると、耳を保護しながらキレイに耳垢を取ることが可能となります。

ほかにも可愛い肉球に薄く塗りこめば、表面を乾燥から守ってくれるクリームとしても代用できますよ。

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猫にオリーブオイルを与える時の注意点

どんなに有効成分が多く、猫にも嬉しい効果が期待できるオリーブオイルであっても、与えた後に何かしらの異常が出ていないかなどの確認が必要となります。

食欲低下や元気消失をしていないかの確認はもちろん、排泄を通常通りに行っているかなどのチェックは必ずするようにしてください。

また、猫は全身を被毛に覆われているため、皮膚の異変には飼い主さんも気付きにくく、被毛をかき分けて炎症が起きていないか、痒みはでていないかなどの確認も怠らないようにしましょう。


体調を崩した時の対処法

もし愛猫がオリーブオイルを摂取して体調を崩した場合は、様子を見るようなことはせず、動物病院を受診して獣医師さんに診察してもらうようにしてください。

オリーブオイルが原因で、アレルギーが発症する可能性もゼロではありませんし、過剰摂取した場合にはお腹の調子が著しく悪くなることも否めません。

猫は辛い思いを飼い主さんに伝えることができませんし、一番の理解者である飼い主さんが異常を見つけられない限り、どんどん辛い思いをさせてしまうこととなりますよね。

猫ちゃんの健康を守れるのは飼い主さんだけとなるため、オリーブオイルを与えた後には経過観察をして、安全の確認を必ずするようにしてください。


まとめ

たくさんの効果が期待できるオリーブオイルは、猫に与えても人間と同等の効果が得られることが分かりました。

しかし人間よりも体の小さい猫に対して、大量にオリーブオイルを与えてしまえば、肥満だけでなく膵炎といった病気を発症する危険性もあります。

私たちですらコップ1杯のオリーブオイルを原液で飲むことは不可能ですし、愛猫の健康を損なわせないためにも、安全に与えることを心掛けて、上手にオリーブオイルを摂取させてあげてくださいね。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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