リンクスティップって?
猫好きの方でも「リンクスティップ」と聞いて、何を指す言葉なのかいまいちピンとこない方も多いことかと思います。
リンクスティップとは「ヤマネコの耳毛」を意味する言葉となり、英語では「Ear Tufts」と呼ばれていて、猫の耳の先端に生えた何とも不思議な毛のことを呼ぶようです。
猫の耳は内側に生える房毛(ふさげ)と、耳介の外側に生えている短い毛のみといった印象が強いですが、このリンクスティップを生まれつき持っている子も存在しているため、色々な猫を観察してみると、リンクスティップを持った猫ちゃんに出会えるかもしれません。
リンクスティップはその名の通り、野生で暮らすヤマネコをはじめとした、ネコ科動物全般に見られる特徴ですが、猫によって生えている子と生えていない子が存在するところも面白いですよね。
現代の猫たちにも受け継がれているリンクスティップは、長毛の猫種によく見られるとも言われており、この毛がどんな役割を担っているのか気になりませんか?
リンクスティップが耳先にあると、どんな活躍をしてくれるものなのでしょうか。
リンクスティップの役割
猫は聴力の優れた動物として知られていますが、これはリンクスティップがあるないに関わらず、言わずと知れた猫あるあるでもありますよね。
薄明薄暮といった性質を持っている猫は、暗闇でも獲物を捕らえられるような視力と、獲物の音を聞き逃さないような聴力を持っているため、リンクスティップがあることで、さらに特別な力を発揮するのかが気になるところです。
リンクスティップには、以下のような役割があると考えられています。
◆狩りのため
ヤマネコの耳毛といった意味を持つリンクスティップは、単独で行動をすることの多いネコ科の動物にとって重要な役割を担い、狩りの際にはアンテナとして役立ちます。
リンクスティップはヤマネコの名残りとも言われており、狩りをして獲物を捕食しながら生き延びてきましたが、いくら俊敏なネコ科の動物であっても、毎回狩りが成功するとは限りません。
五感を研ぎ澄まし、獲物の居る場所を正確に見極め、狩りに失敗しないだけの瞬発力が必要となりますが、ヤマネコには空気(風)の流れや、ごくわずかな音を感じるリンクスティップが耳先に備わっていたことからも、小さな獲物も見逃さずに見つけられていたと言われているようです。
一見飾り毛のように見えるリンクスティップですが、狩りのために発達していったと考えられているため、ただ可愛いだけではなく、機能性が長けているのはネコ科の動物らしいとも言えますよね。
また、一説では体を大きく見せるための飾り毛だったという意見もあり、猫社会では優劣をつけるために、体の大きさと強さが比例しているといった見解もあるようです。
オス猫が高い位置にマーキングをするのは、自分が大きい猫だと別の猫に思わせるためとなり、縄張り争いにも体の大きさが関係していることがうかがえますよね。
リンクスティップ のある猫種
リンクスティップはヤマネコの名残りとなる耳先の毛となりますが、現代でもこの遺伝子を受け継ぐ猫がたくさん存在しているのをご存知でしょうか?
特に大型の猫種はその血を色濃く受け継いでいると言われており、日本でも人気の大型猫の耳をよく見てみると、リンクスティップを見つけられるかもしれません。
その中でもリンクスティップが立派な猫種を、3種類ご紹介させていただきます。
◆メインクーン
大型猫の中でも有名な「メインクーン」は、もふもふの被毛とたぬきに似た長くて大きなしっぽを持った長毛種の猫となります。
「穏やかな巨人」といった別名を持つことからも、見た目に反して性格は穏やかで賢く、人間とも一緒に暮らしやすいため、日本でも人気の猫種と言われていますよね。
北アメリカがルーツとなるメインクーンは、アメリカにおける最大で最古の猫と言われており、冬の寒さにも対応できるように分厚くて耐水性のある被毛が全身を覆い、その中でも一際目をひくのが首やお腹、しっぽ周りにあしらわれた飾り毛です。
元々飾り毛の多い猫種であることからも、耳先にあるリンクスティップが際立ちますよね。
このような特徴があることから、メインクーンはオオヤマネコに風貌が似ていると言われることもあるそうです。
◆ノルウェージャンフォレストキャット
北欧(ノルウェー)出身の「ノルウェージャンフォレストキャット」は、メインクーンにも似た大型の長毛種となります。
北欧神話にも登場するほど歴史の古い品種の猫となり、「森の妖精」といった愛称があることからも、神秘的な魅力のある猫として人気がありますよね。
見た目がメインクーンに似ていることから、ノルウェージャンフォレストキャットと混同される方が多いようですが、温厚なメインクーンよりもワイルドな一面を持ち、風や寒さから守るオーバーコート、羊毛のような保湿性に優れたアンダーコートといった、ダブルコートの被毛がメインクーンとは異なる特徴と言われています。
そして耳先にはもちろんリンクスティップが生えており、立派なタフト(房毛)も持っているため、独特な存在感を醸し出す大型の猫種と言えるでしょう。
また、よく似たメインクーンと区別するための特徴の一つに、鼻筋のジェントルカーブを見ることもおすすめです。
緩やかで流線的な窪みを持つメインクーンに対して、ノルウェージャンフォレストキャットはジェントルカーブを持たないため、見分けがつかないときには横顔を見るようにしてみましょう。
📌【おすすめ記事】ノルウェージャンフォレストキャットの特徴、性格、飼い方、価格帯は?
◆サイベリアン
非常に寒いロシアが原産国となる「サイベリアン」は、メインクーンやノルウェージャンフォレストキャットよりも長い被毛を持つわけではありませんが、長毛種に分類される猫種となります。
シベリア由来の名前を持ち、猫種としての公認と認知を受けるに至ったのは、21世紀を迎えてからのこととなるため、まだまだサイベリアンのことを知らない方も多いのではないでしょうか。
ノルウェージャンフォレストキャットと同様の、環境適応に対しての進化を経てきた猫となるサイベリアンですが、ノルウェージャンフォレストキャットとの大きな違いはトリプルコートといった被毛を持つことが挙げられます。
元々ビヤ樽形といった丸みを帯びた体格をしており、そこにもふもふの被毛が全身を覆えば、丸みを帯びた見た目がなんとも可愛らしく、その愛らしさに魅了されてしまう方も多いようです。
特徴的な被毛に相まって、耳先のリンクスティップやタフトが一際目立ち、是非お目にかかってみたい猫種とも言えるのではないでしょうか。
📌【おすすめ記事】サイベリアンの特徴、性格、飼い方、価格帯は?
リンクスティップ はカットしてもいいの?
猫の耳先についている毛がリンクスティップと呼ばれるぐらいなので、単なる耳毛ではないことが分かりましたが、この毛を持つ猫と持たない猫がいる時点で、現代の猫には不要な気もしますよね。
特に人間の飼育下で暮らしている猫たちは、自分自身で狩りをする必要はありませんし、獲物を見つけたとしても自ら捕らえて捕食することもないでしょう。
しかし、人間から見て不要だからといっても、リンクスティップは猫のひげと同じような役割を担う時点で、安易に切っていいものではありません。
せっかくリンクスティップが在るのに切られてしまうことによって、在ったはずのアンテナの機能がなくなってしまえば、体のバランスが崩れてしまう可能性も否めませんよね。
リンクスティップを持つ猫ちゃんと持たない猫ちゃんが居る時点で、それはその子の個性となりますし、元から備えられていた機能を奪う資格が人間にはありませんので、カットするといった行為は控えるようにしてあげてください。
まとめ
知れば知るほど愛しくなる、猫のリンクスティップについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
猫は長い歴史の中で進化を遂げ、人間と共存するようになった現代でも、その名残りのある姿を見られることは、感慨深いものがありますよね。
もちろん、猫ちゃんによってリンクスティップがある子とない子が存在していますが、それもその子の個性として受け止め、改めて愛猫の耳先を拝見してみてはいかがでしょうか。
雑種の猫ちゃんでもリンクスティップを持つ子はいますので、無いと思っていた愛猫の耳先にももしかしたら少しだけ、長い毛が生えているかもしれませんよね。
どんなルーツを辿り、巡り巡って飼い主さんのもとに現れたか分からない猫ちゃんであっても、体の特徴をじっくり見てみると新たな発見に気付けるかもしれません。
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