猫は炭酸水を飲んでもいい?メリット・デメリットと与える際の注意点

2024.04.11

猫は炭酸水を飲んでもいい?メリット・デメリットと与える際の注意点

炭酸の弾ける感覚から、爽快感を得られる炭酸水ですが、猫は飲むことができるのでしょうか?猫は、好奇心が強く、個体差はあるものの、飼い主さんが食べたり飲んだりしているものに興味を持つことが多いです。特に炭酸水は、炭酸が弾ける音や感覚が猫の興味をひくようで、動画でも話題になりました。今回は、猫に炭酸水を与えるメリットとデメリット、与える場合の注意点についてご紹介します。

【掲載:2022.07.03  更新:2024.04.11】

猫は炭酸水を飲むことができる?

コップに入れている炭酸水

炭酸がパチパチと弾ける感覚で爽快感を得られる炭酸水を、好んで飲む飼い主さんも少なくないでしょう。
人間にとっては、疲労回復やダイエット、美容効果などいろいろな良い効果があるとされていますね。

猫や犬は飼い主さんが食べたり飲んだりしているものに興味を持つことが多く、猫は好奇心も強いため炭酸水にも興味を持ちがちです。
炭酸がしゅわしゅわと弾ける様子に興味津々になる猫ちゃんも多いようで、ネット上では猫に炭酸水を見せてみる動画が話題になりました。
炭酸水を見た猫ちゃんは、炭酸水にびっくりしてジーっと見ていたり、顔や手をグラスに突っ込んでみたりして、非常にかわいいですよね。

同時に、もし猫が飲んでしまったらどうなるのか気になる飼い主さんも多いでしょう。猫にあげてみたい飼い主さんも、少なくないかもしれませんね。


猫に炭酸水を飲ませても大丈夫?

水を飲むトンキニーズ

◆積極的に飲ませるものではない

結論から言えば、少量であれば猫が炭酸水を飲んでも大丈夫です。

人間にとっては、胃腸を整える、血流を促進する、炭酸による満腹効果でダイエットにつながるなど、健康効果が期待できる飲料とされていますが、猫には炭酸水を飲むメリットはほとんどありません。

これは、猫は元々血行が良い動物であるため、炭酸ガスの効果を必要としないからです。

したがって、炭酸水は積極的に猫に飲ませるものではありません。

しかし、舌の上でぱちぱちと弾ける感覚が好きで、飲みたがる猫もいます。
愛猫がどうしても飲みたがるのであれば、無糖の炭酸水を、ペットボトルのキャップに1杯程度を目安に少量だけ与えるようにしてください。

◆炭酸水を与えるデメリット

猫に炭酸水を与えるメリットはほとんどありませんが、一方でデメリットは多いです。

・炭酸ガスの排出が苦手

猫はげっぷを出すことが苦手なため、炭酸ガスが体内に溜まりやすいです。
全くげっぷができないわけではないので、少量であれば体外に出すことができますが、量が多いと体内に残ってしまい「鼓脹症」などの病気の原因となります。

鼓脹症とは、胃や腸にガスが溜まって膨張してしまう病気です。
ガスで胃が異常に拡張することで胃がねじれる「胃捻転」を起こすこともあります。胃捻転になると、他の臓器や血管を圧迫して血流不全になり、命に関わる場合もあります。

・ミネラル過多

ミネラル量が多い硬水を猫に与えると、腎臓に負担がかかったり、高血圧や結石になったりする恐れがあります。
無糖の炭酸水は、ミネラルウォーターでできているため、猫にはミネラル過多になってしまうのです。

◆猫に与えるのは基本的に水道水でOK

前項のように、猫に炭酸水を積極的に与えることは、おすすめできません。
基本的に、猫や犬には普通の水が一番です。
日本の水道水は水質が良く、微量の塩素が含まれることで傷みにくいので、愛猫には水道水を与えると良いでしょう。


猫に与えてはいけない炭酸水

バタフライピー

少量であれば炭酸水を猫に与えても大丈夫だとお伝えしましたが、炭酸水には猫に与えてはいけないものもあります。
ここでは、猫に与えてはいけない炭酸水について解説します。

◆ミネラルの含有量が多い炭酸水

上述の通り、無糖の炭酸水は、ミネラルウォーターでできています。特に注意したいのは、硬水でできているものです。
硬水は、ナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルを多く含んでいます。人間にとっては、体内で作り出せない成分を摂取できる炭酸水は、健康的な飲み物と言えるでしょう。
しかし、猫や犬にはミネラルが多すぎます。必要な量のミネラルを、キャットフードやドッグフード(総合栄養食)で摂取することができるからです。
ナトリウムを摂取しすぎると、高血圧のリスクがあります。
また、カルシウムの摂りすぎは、腎臓に負担をかけ、結石の原因になります。さらに、発育障害や骨の形成異常などを引き起こすこともあります。
マグネシウムは、ストラバイト結石の原因となるミネラルで、摂取しすぎると結石のリスクが高まります。

◆味が付いている炭酸水

味がついているものは、厳密には炭酸水ではなく、「炭酸飲料」です。
炭酸水は、天然の二酸化炭素を含む地下水をくみ上げたもの、または、ミネラルウォーターに炭酸ガスを加えたものです。
炭酸飲料は、(1)飲用適の水に二酸化炭素を圧入したもの、(2)(1)に甘味料、酸味料、フレーバリング等を加えたものと定義されています。フレーバリングとは、炭酸飲料に香りまたは味をつけるためのもので、(1)香料、(2)果汁・果汁ピューレ、(3)植物の種実・根茎・木皮・花など又はこれらの抽出物、(4)乳又は乳製品です(出典:炭酸飲料の日本農林規格)。
つまり、炭酸飲料は、炭酸水に甘味やフレーバーを加えたものとなります。
このため炭酸飲料には糖分やカフェインが含まれていることがあり、猫にとってはこれらを過剰に摂取することになるのです。

◆アルコール飲料

猫は、アルコールを分解する能力が弱いため、アルコールを含む飲料や食品を与えることは絶対にしないでください。

◆ブドウを使っている飲料

ブドウは、原因は明らかになっていませんが、腎臓に影響すると言われており、与えない方が安心です。

◆手作りの炭酸水

炭酸水は、クエン酸と重曹で手作りすることができますが、ナトリウムが多く含まれるため、塩分の過剰摂取につながります。

500mlの炭酸水を作った場合、ナトリウム量は食塩換算で約4gです。猫が摂取するべき塩分の上限は、食塩換算で3g/日とされています。

大量に飲んでしまうと、塩分の過剰摂取となり、腎臓への負担が増します。


猫を炭酸風呂に入れる効果はある?

バスタブの中にいるキジトラ猫

炭酸水は、「炭酸風呂」として活用することもできます。
シュワシュワと泡の出るお風呂に入ると、疲れが取れて気持ちよいものです。飼い主さんの中にも、炭酸風呂が好きな方がいらっしゃるでしょう。
では、猫にも炭酸風呂の効果は期待できるのでしょうか?

◆炭酸風呂とは

二酸化炭素が溶けたお風呂を、炭酸風呂と言います。

人間は、入浴剤や入浴施設で炭酸風呂を楽しむことがありますね。近年は、ペットを炭酸風呂に入れることもあります。
炭酸風呂の効果は、動物にも期待できます。

・血行促進

皮膚の毛穴から二酸化炭素を吸収することで、血液中の二酸化炭素濃度が上がり、軽い酸欠状態になります。そのため、体内では酸素を多く運ぶために血流がよくなる効果があるのです。

・皮膚の汚れを落とす

炭酸の細かな気泡は皮膚や被毛の汚れを落としてくれるため、普通のお湯で洗うより洗浄能力が高まります。その分、シャンプーを減らすことができるので、シャンプーの使用が気になる方にはおすすめの入浴法です。
また、炭酸で洗うと皮膚が弱酸性に傾き、殺菌効果が期待でき、ニオイを軽減することも期待できます。

◆炭酸水より「炭酸泉」

炭酸水は、二酸化炭素が水に溶けているもので、炭酸濃度が3000ppm~4000ppmのものです。一方、炭酸泉は、お湯に溶けているもので、炭酸濃度は250ppm~1000ppmです。

汚れを落とすなどの効果には1000ppm程度の濃度が適していますし、水よりもお湯の方が汚れは落ちやすいです。
炭酸濃度が高すぎると酸性が強くなりすぎ、肌が荒れたり、被毛が傷んだりするほか、濃すぎる二酸化炭素が逆に血液の循環を悪くすることもあります。

◆基本的に猫にお風呂は不要

猫は、自分で体を舐めてグルーミングをしています。このため、汚れが落ち、体臭もほとんどありません。したがって、基本的にお風呂に入れる必要はありません。

また、猫の被毛は油分が少なく、洗いすぎると皮膚のバリア機能が低下して、皮膚トラブルにつながることもあります。

さらに、猫は水に濡れるのを嫌がることが多く、無理にお風呂に入れるとストレスになる可能性が高いです。

猫を頻繁にお風呂に入れるのは避けて、年に1~2回程度にしておきましょう。普段のお手入れはブラッシングで十分です。

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まとめ

レモンの入った炭酸水

猫は、飼い主さんが飲んだり食べたりしているものに興味を持ちがちなので、おいしそうに飲んでいる炭酸水にも興味津々になるかもしれません。
また、気泡がシュワシュワと出ることも、好奇心の強い猫の興味をひくでしょう。

猫ちゃんが炭酸水を好むかどうかは個体によりますが、飲みたがる子には、目安としてペットボトルのキャップに1杯程度の無糖の炭酸水をあげましょう。
ミネラルの多い硬水を使用している炭酸水や、甘味やフレーバーをつけた炭酸飲料、アルコールやブドウ、カフェインを含むもの、手作りの炭酸水は猫に与えないようにしましょう。

炭酸水は、猫に積極的に与えるものではありません。ぱちぱちと弾ける泡に興味津々な猫ちゃんの反応を楽しむだけにしておいた方がよいでしょう。



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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。


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