猫に牛肉を与えても良い?
野生で生活をしていた時代の猫たちは、自ら獲物を捕まえて捕食し、命を繋いで生活をしてきたため、牛肉をはじめとした肉類は猫にとって、理想的な食事のようにも思えますよね。
もちろん猫が自分よりも体の大きい牛を捕食することはありませんが、人間の手によって牛肉を与えるのであれば、猫が牛肉を食べたとしても問題ありません。
その嗜好性の高さや栄養価の高さから、キャットフードにも牛肉が使われているものが多くあります。
猫に牛肉を与えた場合には、牛肉に含まれるどのような成分が栄養素となり、どのような効果が期待できるのでしょうか?
◆牛肉に含まれる主な成分
牛肉を食べると、肉を食べたといった強い満足感が得られるように、特別な力が備わっているようにも思えますよね。
それぐらい牛肉は特別感のあるもので、動物の命を頂いているわけですから、無駄に残すようなことはせずに、感謝しながら口に運ぶ方も多いことでしょう。
そんな魅力たっぷりの牛肉には、猫にも嬉しい栄養素が豊富です。
牛肉には肉食動物である猫にとって、特に重要な栄養素となるタンパク質(アミノ酸)、ヘム鉄や亜鉛などのミネラル類、ビタミンB群などの成分が含まれています。
そのほかにも飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸を多く含みますが、体に良いとされているオレイン酸が特に豊富なため、是非猫にも積極に食べてもらいたい食材と言えるでしょう。
◆期待できる効果
猫にとっても重要な栄養素であるタンパク質は、約20種類のアミノ酸から合成されており、その中でも体内で作り出すことのできない9種類のアミノ酸のことを「必須アミノ酸」と呼んでいます。
あくまでこの数は人間に対しての数字ではありますが、牛肉には猫にも嬉しい必須アミノ酸が含まれているため、様々な効果が期待できると考えられますよね。
このようなアミノ酸を効率よく摂取しようとしても、食べ物によっては栄養バランスが悪いことも多く、色々な食材を大量に食べる必要が出てくることも否めません。
アミノ酸にはそのバランスを明確に表す指標があり、それを「アミノ酸スコア」と呼びますが、なんと牛肉は100点満点の食材として知られているのです。
このような栄養素は量より質が重要となるため、いかに牛肉が優れた食材であることがうかがえますよね。
牛肉には猫の必須アミノ酸となる「トリプトファン」や「分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)」、「メチオニン」や「リジン」などが含まれています。
これらの成分には心のバランスを保ち、ストレスを軽減する働きや、筋肉をつけて太りにくい体を作り、脂肪燃焼を促進するといった役割を担っています。
貧血予防だけでなく記憶力や集中力をアップさせてくれるヘム鉄、免疫を高めてくれて病気にかかりにくくしてくれる亜鉛、疲労回復に欠かせないビタミンB群など、猫にも役立ってくれる栄養素がたくさん含まれています。
そして脂質となるオレイン酸は効率の良いエネルギー源となり、善玉コレステロールの量は変えずに、悪玉コレステロールを減らす働きをするため、高血圧や動脈硬化を予防するといった嬉しい効果が期待できるでしょう。
オレイン酸は質の良い牛肉に多く含まれているため、脂身が甘くてとろけるようなお肉は、オレイン酸が一役買ってくれている証拠です。
牛肉の与え方
猫にも嬉しい効果が期待できる牛肉ですが、どのように与えるべきかも知っておく必要がありますよね。
生肉を主食とする猫種も存在していますが、キャットフードを主食とするイエネコには、どのようにして与えることが正解なのかも気になるところです。
牛肉は部位によって栄養素が異なりはしますが、猫に与えるために購入するようであれば、国産の赤身肉を選ぶようにしてください。
日本のスーパーなどで主流となっているアメリカンビーフは、国産牛よりも脂質が少なく、その分猫にも嬉しい栄養素が豊富ではありますが、ホルモン剤が使用されていることも多く、正直安全とは言い切れない部分が懸念されていることも事実です。
もちろんすべての海外産牛肉が安全性は不透明というわけではありませんが、私たち人間よりも体が小さく、早いスピードで歳をとっていく猫には、より安全な牛肉を与えた方が安心できますよね。
食材に含まれる栄養素は量より質となるため、このようなことも踏まえた上で、猫に牛肉を与える際には必ず、国産の牛肉を与えるようにしましょう。
◆加熱する
愛猫に与える牛肉が準備できた際には、必ず加熱(茹でる)してから与えるようにしてください。
牛肉は鶏肉や豚肉と違って滞在菌による影響(害)が少なく、生で食べても安全性の高いお肉と言われてはいますが、それはプロが捌いた鮮度の良い牛肉だけです。
スーパーなどで購入してきた牛肉は、捌いてから加工するまでにどれぐらいの時間がかかっているのか分かりませんし、普段からキャットフードを主食としていて、生肉に耐性のない猫がそのような牛肉を生でしまえば、体がどんな拒否反応を示すのかも分かりませんよね。
栄養価が高いからといって免疫の落ちている病気の猫や、高齢の猫や子猫に生の牛肉を与えてしまえば、食中毒や胃腸炎を引き起こす原因になり兼ねないため、火を通すといったひと手間を加えてから与えるようにしてください。
◆小さくカットする
牛肉は大きめの塊にかぶりつくことが醍醐味ではありますが、猫に与える際には喉に詰まらせないためにも、一口大に小さくカットしてから与えるようにしましょう。
牛肉は脂質も高いため、ステーキ肉の場合は1cm角に切ったものを、3~5個程度与えることが理想的です。
薄切り肉の場合も小さ目にカットし、キャットフードのトッピングとして添えてみることもおすすめとなります。
◆味付けはしない
茹でただけの牛肉は味気無さそうに感じはしますが、猫に与える際には絶対に味付けはしないことを心掛けてください。
自分で狩りをしていた野生時代でも、自ら狩猟した獲物に対して味付けをしてから食べていた猫は居ませんし、調味料を使ってしまえば塩分過多となって腎臓に負担をかけてしまうため、せっかくの嬉しい牛肉の栄養素が台無しになってしまいますよね。
猫は鼻の利く動物のため、お肉のニオイが本能を刺激するはずですし、素材そのものの風味を楽しんでもらうようにしてください。
牛肉の加工食品は与えても大丈夫?
牛肉の加工品も多く販売されていますが、味付けした牛肉同様、加工食品も猫に与えるべきではありません。
市販の加工食品には多くの調味料が使用されているほか、長期保存を可能とするために、様々な添加物を使用していることがほとんどです。
体の小さな猫にとって負担となってしまうことは間違いないため、牛肉が使用されている加工食品を猫には与えないようにしましょう。
また、牛ひき肉100%のハンバーグやローストビーフなどは、猫に与えても問題がないように思われがちですが、ハンバーグには玉ねぎを使用しますし、ローストビーフも下味に塩コショウを使用することや、ソースに玉ねぎを使用することも多いため猫に与えることは危険です。
猫に牛肉を与える時の注意点
猫ちゃんの中には食物アレルギーを患っている子も多く、その中には牛肉のアレルゲンに反応する子も居るかもしれません。
初めて牛肉を愛猫に与える際には必ず、少量ずつ与えることを心掛け、食べ終わった後も皮膚の痒みや湿疹、下痢や嘔吐をしていないかなどを確認するようにしてください。
少しでも何かしらの症状が出ていると感じれば、牛肉を与えないようにし、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
そして牛肉は猫に嬉しい栄養素が多いからといって、大量に与えてしまえば肥満の原因にも繋がりますし、牛肉だけではバランスの良い栄養が、摂取できないということを理解しておかなくてはいけません。
愛猫に美味しく食べてもらうためにも、普段の主食(キャットフード)に少量をトッピングする程度に留めておくようにしましょう。
まとめ
牛肉は私たちにとってご馳走といった認識が強く、毎日のように焼肉やステーキを食べ続けている方は、ほぼいらっしゃらないのではないでしょうか。
太るといったイメージが強いお肉ですが、牛肉の赤身は栄養バランスが良く糖質も低いため、ダイエットに向いているといった認識も、最近では広がってきましたよね。
美味しく食べられて太りにくいとなれば、愛猫にもお裾分けしたいといった飼い主さんも多いことかと思います。
もちろん猫に与えても問題のない牛肉ではありますが、猫に与える際には味付けしていない少量の茹でた牛肉のみを与えるようにし、牛肉だけで栄養を補おうとはせず、総合栄養食のキャットフードを主食とすることを怠らないようにしてください。
ご褒美のおやつや、いつもの食事のトッピングとして活用するようにし、愛猫にも美味しい牛肉を嗜んでもらってみてはいかがでしょうか。
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