猫は爪の出し入れができるって本当?どんな仕組みなのか知りたい!

2022.10.15

猫は爪の出し入れができるって本当?どんな仕組みなのか知りたい!

猫の爪を見てみると、ピーターパンに出てくるフック船長の鉤手のような、不思議な形をしていることに驚いた方は多いはずです。 爪が鋭利なことからも、普段から爪のケアを怠らないといった飼い主さんも多いとは思いますが、気付くとまた鋭く伸びていて、どのようなサイクルで伸びるのかも気になるところですよね。 今回はそんな猫の爪にスポットを当て、知られざる爪の仕組みをご紹介させていただきます。

猫が爪を出し入れできるのはなぜ?

爪が出ている仔猫

猫はもともと狩猟動物で、自ら獲物を捕獲して生活をしてきた動物です。鋭い爪は自身の武器であり、獲物を捕らえるのに必要不可欠な部位です。
そんな猫の爪は犬とは異なり、自由自在に出し入れできます。初めて知った時に驚いた方も多いのではないでしょうか。

猫の爪はなぜ出し入れが可能となっているのか、まずはその仕組みから見ていきましょう。

◆爪の下に靭帯があるから

猫が自由自在に爪を出し入れできるのは、猫特有の指の構造が関係しています。

人間の爪は皮膚の一部が硬化して指先にくっついたものとなりますが、猫の場合は爪の下にある「靭帯(じんたい)」と「」が爪の出し入れをする役割を担っています。

爪の下にある靭帯を「弾性靭帯(だんせいじんたい)」と呼びますが、この靭帯が爪の根元と指の骨とを手の甲側でつなぎ、普段はこの靭帯の働きによって爪は格納されています。

猫がリラックスをして脱力している状態であれば、爪を出しておく必要がないため、自動的に格納されますが、正確に言えば指先の被毛で隠されており、よく見てみると爪先がちょこんと見えることでしょう。

そして、猫が爪を必要とし臨戦態勢になったときには、筋肉に力が入ることによって腱を引っ張ることにより、爪が飛び出すといった仕組みです。

この仕組みに利用される筋肉を「深趾屈筋(しんしくっきん)」、腱を「深趾屈筋腱(しんしくっきんけん)」と呼び、小さな猫の指先でもさまざまな機能が働いていることがうかがえます。

◆なぜ爪をしまっているのか

猫はもともと狩猟本能を持つ動物なので、常に爪を出しっぱなしの状態でも問題がないようにも思えます。なぜ猫は爪をしまう必要性があるのでしょうか

猫が爪を出し入れする理由で考えられる1つ目の理由は「爪を保護する為」です。
狩猟のために鋭利な爪を維持する必要が高い猫は、爪を出しっぱなしにしておくと地面とこすれ合い、鋭い状態が保たれませんよね。
爪の出し入れが可能であれば、必要なときだけ出せば良いですし、その方が鋭利な状態を維持できると本能的に理解しているという訳です。

また、もう1つ考えられる理由は、「無駄な足音を立てない為」です。
猫の狩りは、獲物を捕まえるまでスタミナが続く限り追いかけるというスタイルではなく、待ち伏せをして最適なタイミングで狩りを試みます。

待ち伏せをしている際や獲物に近づく際に爪の音がしてしまえば、獲物に気配に気づかれて逃げられてしまいます。ですので、猫は必要な時のみ爪を出し、必要のない時には閉まっておける爪の仕組みになっていると考えられています。

また、足音を立てないことに関して、爪だけでなく足裏の肉球の存在も大きく関係しています。猫の前足だけでも、様々な役割があることがわかりますね。

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ちなみにこのような爪の仕組みは、猫だけでなくネコ科の動物に見られる特徴となりますが、チーターだけは例外であると言われています。

基本的にネコ科の動物は、待ち伏せ型の狩りのスタイルとなりますが、チーターは脚力型といったスピードを重視した狩りのスタイルです。この速く走る必要があるという点に、爪を出しっぱなしにしている理由があります。

人がサッカーや陸上競技をする際に、靴の裏に硬いピンがついている「スパイク」を履きますが、このスパイクの役割をチーターの場合は爪が担っています。地面をしっかりと捉え、大きな推進力を得て速いスピードで走れるよう、常に爪を出していると考えられています。

是非豆知識として覚えてみてくださいね。


どういうときに爪を出すの?

ふみふみしている猫

猫の爪を出し入れする仕組みや、出し入れをする必要性は分かりましたが、実際にどんな場面で猫が爪を出しているのかも気になるところですよね。

一般的に猫が爪を出すきっかけは、以下のような場面のときが多いようです。

◆狩りをするときや遊んでいるとき

猫にとって狩りは生きるために必要な本能となるため、現代を生きる猫たちにもしっかりと受け継がれています。

先述したように、猫は最適なタイミングを見計らい、一瞬で獲物を仕留めます。爪をだして前足で獲物の首や肩のあたりをがっちりホールドしておくことで、確実に首元に嚙みつけるようにしています。

イエネコは自分でエサ(小動物など)を捕獲する必要はありませんが、飼い主さんと遊ぶときや、目の前に狩猟対象(虫や動くおもちゃなど)が現れたときには、ハンターとしての本能が働き自然と爪が出てしまうことがあります。

◆よじ登るとき

猫は上下運動が得意な動物としても知られており、木登りなど高いところに登るのが得意なイメージもありますよね。
実はこういったよじ登る動作のときにも鋭い爪が出ています。
室内でもキャットタワーや、いたずらでカーテンや網戸などに登るときには、器用に爪を出して落下を防ぎます。

◆伸びをするとき

丸まって眠る時間が長い分目を覚ましたときには、伸びをして体をほぐす猫ちゃんはとても多いですよね。私たちも大きく伸びをするときは、指先まで力が入ってしまうと思いますが、猫ちゃんたちも同じようです。
伸びをする際に指先に力が入り、爪が出てしまうことがあります。

また、下半身を伸ばす時なども前足の爪でしっかりと体を固定することにより、全身を効率よく伸ばしているようです。上手に爪を利用していることがよく分かりますね。

◆リラックスしていても爪が出る

リラックスをしている状態のときにも、猫は爪を出すことがよくあります。

その理由は諸説ありますが、母乳を飲むときに前足でフミフミする名残りや、リラックス状態で体のさまざまな部位が伸びて爪が出しっ放しになる、爪の周辺にある臭腺のニオイをつけるために爪を出すなど理由はさまざまです。

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猫の爪の構造

爪とぎの上にいる猫

猫が爪を出し入れする仕組みや、どんなときに爪を出すのかを理解したあとに知りたいのは、やはり猫の不思議な爪の構造ではないでしょうか。

私たち人間とまったく異なる形状をした猫の爪は、一体どのような構造になっているのかをご紹介していきます。

◆猫の指と爪

猫と一緒に暮らしていると、猫の爪がそのままの形状で落ちていることがあります。
一瞬怪我でもして爪が全部剥がれ落ちたのではないかとビックリしますが、猫の爪は玉ねぎのような多層構造となっており、落ちているのは古くなった外側の爪となります。

猫の爪は放っておくと一生涯伸び続けるため、猫自身が意図的に爪とぎを行います。爪をとぐことで、古くなった外側の爪を剥がし、常に新しい爪を表面に出して鋭利な状態を保っています。

外側の古い層の爪は水分もなく、パサパサで硬いので割れやすいですが、内側の新しい爪はツルツルとして柔らかく、割れにくいといった特徴を持っています。
また、内側の爪は指と繋がっているため、クイックと呼ばれる根元のピンク色の部分には、神経と血管が通っています。

クイック

剥がれ落ちた爪のほとんどは三日月型をしていますが、そのままの爪の形状で剥がれ落ちるケースもまれにあるため、どちらの場合も古い爪が剥がれていると解釈してOKです。

◆猫は鉤爪

猫の爪は「鉤爪(かぎづめ)」と呼ばれ、円形状にカーブしながら伸びるといった特徴を持っています。

猫特有の爪は私たちからしてみると、まったく別の成分で造られているように感じますが、猫の爪も人間と同じように、爪根にある「爪母基(そぼうき)」から新しい爪が生成され、爪の主成分もケラチンといったたんぱく質から構成されているようです。

人と猫とでは爪の見た目は全く違いますが、実は別のように見えて同じような仕組みなのです。


爪を出して爪を切る方法

爪を切られている猫

本能的に爪を常に鋭利な状態に保つためにも、猫は古くなった外側の爪を剥がすために爪をとぎ、セルフグルーミングの際に噛んで剥がし取ろうとします。
しかし、ケアが得意な子も居れば、苦手な子も存在しますし、場合によっては飼い主さんによる爪のケアも必要になることもあるでしょう。

爪のケアを怠り放置し続けてしまうと、爪の層が厚くなって肥大化し、そのままの状態で伸び続けるため巻き爪となり、肉球に刺さって歩行に支障が出るケースもあります。このような状態になってしまうと、動物病院に受診して治療をしてもらわなくてはいけません。

飼い主さんが日頃から愛猫の爪を観察し、定期的に爪切りといったケアを行うことにより、さまざまな危険性から守ることができます。
月に1回程度を目安にして、愛猫への爪切りを心掛けてあげてください。猫の手に触れること自体を気が引けると感じる方は多いかもしれませんが、コツを掴めば爪を出すことが簡単にできます。

猫が落ち着いているタイミングで抱きかかえ、切りたい爪がある方の手を、優しく人差し指と親指で挟むようにして持ち、爪を切りたい指の根元と肉球を押して爪を出しましょう。
突然爪を切ろうとしたり強く握ったりしてしまうと、嫌なイメージがついてしまい、今後手に触れさせてくれなくなってしまうかもしれません。必ずおうちの猫ちゃんの様子を見ながらゆっくりと爪を出し、先端2~3mm程度を切り揃えていってください。

あまり深く爪を切りすぎてしまうと、クイックを傷付けてしまう可能性もあるため、必ずクイックの位置を確認しながら切り進めていくようにしましょう

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まとめ

手を舐めている猫

猫は常に私たちの身近に居る動物ではありますが、まだまだ猫に対して知らないことがたくさんありますよね。
爪の仕組みもその一つで、なぜ猫は爪をしまうことができるのか、何のために出し入れをしているのかなど、深く考えたことがなかったという方も多いのではないでしょうか。

爪の仕組みや構造を知っていくにつれて、なぜ猫は運動神経がよく、機敏な動きができるかなどを垣間見られたような気もしますよね。
猫にとって重要な部位となる爪を守るためにも、飼い主さんは日常的な爪のケアを心掛け、猫が理想とする爪の状態を維持するお手伝いを心掛けてあげましょう。


 

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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