【獣医師監修】猫のおしっこがキラキラしているのはなぜ?尿路疾患の可能性は?

2022.11.23

【獣医師監修】猫のおしっこがキラキラしているのはなぜ?尿路疾患の可能性は?

愛猫のトイレ掃除をしていたとき、何かがキラキラとしていたら、原因が何なのかと心配になってしまう飼い主さんは多いことでしょう。 猫は尿路疾患を発症しやすい動物としても知られているため、キラキラが病気のサインなのであれば、早急に対処をしたいところですよね。 キラキラの原因をしっかりと探り、安心して排泄ができる環境を整えていきましょう。

猫のおしっこ跡がキラキラしている?これは何?

おしっこする猫

猫の排泄は健康のバロメーターと言われていることもあり、毎日のトイレ掃除や排泄物の状態を確認している飼い主さんは多いはずです。

しかし、何気なく掃除をしている際に、おしっこの跡に沿ってキラキラしたものが混ざっていた場合はどうでしょうか。

見た目はキラキラしていてとてもキレイですが、猫の尿にキラキラ成分が混ざることが通常といった常識もないため、異常事態であることは一目瞭然ですよね。

一般的に猫の尿がキラキラする原因は、以下のように考えられています。

◆おしっこに結晶が混じっている

使用している猫砂やペットシーツに、キラキラする成分が混ざっていると考える飼い主さんもいらっしゃるかと思いますが、猫は尿路疾患を発症しやすい動物のため、わざわざペット商品を扱う会社がそのようなものを商品化し、販売することは考えにくいです。

飼い主さんのほとんどは愛猫の排泄物を見て、健康状態を管理しているはずですし、尿に反応して猫砂やペットシーツがキラキラ光ってしまうようであれば、飼い主さんはそのような煩わしい商品を使用しなくなることでしょう。

基本的に猫のトイレでおしっこ跡がキラキラしているのは、おしっこに結晶が混じっている証拠です。

結晶と聞くとどんなメカニズムで生成されているのかが不思議に感じますが、どのような理由により、猫の体内で結晶ができあがっていくのでしょうか。


猫のおしっこがキラキラしているときに考えられる病気

猫のおしっこがキラキラしているときにまず考えられるのは、猫ちゃんの体内で何かしらの異常が起き、病気に発展している可能性が高いです。

このような症状が出た際に、考えられる病気は以下の通りとなります。

◆尿路結石

猫のおしっこがキラキラしていた場合、患っている可能性として高い病気が「尿路結石」です。

尿路結石は結石症とも言われ、尿の中にあるミネラル成分が結晶や結石化し、おしっこと一緒に排出された際に、キラキラと光って見えるといった現象が起きます。

もともと猫の祖先であるリビアヤマネコは、水源の少ない砂漠地帯で暮らしていたこともあり、飲水量が少なくても生き延びられるような体質を得てきました。

飲水量が少なくても濃いおしっこを出す仕組みは、現代の猫たちにも受け継がれていますが、特異な体質が仇となって猫ならではの病気が必然的に増えてしまったことも事実です。

おしっこ中のミネラル成分が増えたり、尿pHが崩れたりすると結晶や結石はできやすくなり、あまり水を飲むことなく排泄回数も少なければ、それらの物質は体内に留まってしまうため、さらに結晶や結石が大きくなっていくことでしょう。

尿路結石の主な原因物質は、「ストルバイト」と「シュウ酸カルシウム」となります。

猫の体質にもよりますが、ストルバイト結石は比較的若い猫ちゃんの発症例が多く、シュウ酸カルシウム結石は高齢の猫ちゃんに見られやすいと言われています。

とくにシュウ酸カルシウムが原因の尿路結石を患った場合は、療法食によっての溶解が難しく、療法食での改善が期待できません。

また、オス猫はメス猫よりも尿道が狭いことから、尿路結石を患うと重症化しやすく、注意が必要な病気と言えるでしょう。

◆急性腎臓病

尿路結石と同じように、猫が患いやすい病気と知られているのが「腎臓病」です。

腎臓は体内の有害物質を尿として排出させ、体内環境を一定のバランスに保つ働きをするため、猫にとっても欠かせない臓器と言えるでしょう。

しかし、猫は少ない飲水量でも凝縮したおしっこを出せるといった得意体であることからも、常に腎臓への負担が大きくなってしまうことは否めませんよね。

昨今では猫の長寿が当たり前になってきた分、フル活動している腎臓に何かしらの異変が生じてしまうのは、致し方ないこととも言えるのではないでしょうか。

愛猫のおしっこがキラキラしているのにも関わらず、そのまま放置してしまえば結石化が進み、尿路結石といった病気を患います。

運悪く結石が尿管や尿道などに詰まっておしっこが排出できない状態が続けば、急性腎不全を引き起こす可能性が高くなり、最悪の場合命を落としてしまうこともあるため、どの飼い主さんも日頃から愛猫の排泄チェックは怠らないようにしましょう。

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猫のおしっこがキラキラしているときは様子見でも大丈夫?

実際に愛猫のおしっこがキラキラしていることに気付いたとしても、とくに体調が悪そうな様子もなく、食事もしっかり摂って元気なようであれば、経過をみて良いような気もしますよね。

しかし、キラキラした物質がおしっこと一緒に排出されているということは、体内で結晶や結石が生成しかけている証拠であり、放っておけばさらに物質化が進んで、猫ちゃんの臓器や体を傷付けることに繋がっていくことでしょう。

結石などによりおしっこがうまく出なくなったとしても、猫ちゃん自身はその痛みや苦痛を飼い主さんに伝えることはできないため、症状を悪化させないためにも早急に動物病院を受診するようにしてください。

そして、キラキラする原因物質を明確にし、適した治療を行いながら正常な状態へと導いてあげるようにしましょう。


猫のおしっこトラブルを防ぐためにすべきこと

水を飲む猫

すべての猫の飼い主さんは愛猫のさまざまな病気を回避するためにも、日ごろの健康チェックを欠かさないことが大切ですよね。

とくに飲水量が少ない動物の宿命とも言える、腎不全や尿路結石といった病気は、猫にとってもっとも注意しなければいけない病気となるため、普段からおしっこに関するトラブルを抱えないような工夫も必要となってきます。

そのためにも飼い主さんは日頃から、どのようなことを心掛けておけば良いのでしょうか。

◆適度な水分補給

猫は飲水量が少ない動物だと知られているからこそ、飼い主さんは意識して水分補給を促すことが可能となります。

しかし、猫に対して言葉で「水をたくさん飲んでね」と言ったとしても伝わらないため、適度に水分補給をしてもらえるような環境を整えるしかありません。

猫が思い立ったときに水が飲めるように、飲み水スポットを1箇所だけに設置するのではなく、家の中にいくつか用意しておくと安心です。

猫の飲み水は新鮮なお水に限りますので、1日に数回交換するようにし、常に新鮮な飲み水を準備しておくようにしましょう。

夏場は比較的飲水量が増えますが、冬場はお水を飲む回数がぐっと減るため、普段ドライフードを与えているようであれば、お湯などでふやかしてみたり、ウェットフードを与えたりしてみることもおすすめです。

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◆トイレを清潔に保ち、我慢させないようにする

飲水量を増やす工夫をしたようであれば、いつでも排泄ができるようにトイレ環境も整えておく必要がありますよね。

猫はキレイ好きな動物のため、
常にトイレを清潔にしておくことはもちろんですが、排泄後もすぐに掃除をすることを心掛け、トイレを我慢させないようにしておきましょう。

また、猫1匹に対してトイレ2個が理想の数となり、現在その理想よりも少ないトイレ数の場合には、新たなトイレの設置を検討してみてはいかがでしょうか。

トイレ環境を整えることによって、猫へのストレスも軽減させることが可能となるため、さまざまな病気の発症を防ぐためにも、常にトイレ環境の清潔は心掛けておくようにしましょう。

◆適度に運動させる

尿路結石などの病気は、肥満の猫ちゃんも患いやすい病気となるため、日常的に適度な運動をさせることも大切です。

寝ている時間が多い猫ではありますが、運動量が少ないとお水を飲む回数も減り、トイレで排泄する頻度も少なくなるため、尿路疾患のリスクが高まると考えられています。

運動をすることによって同時にストレスも発散できますし、猫にとって嬉しいことづくしなのは言うまでもありません。

少ないスペースであっても、上下運動ができる工夫を室内に施し、毎日を快適に過ごせるような環境を整えてあげてくださいね。


まとめ

愛猫のトイレを掃除していた際に、おしっこの跡がキラキラしていることに気付いた飼い主さんは、突然の現象に驚かれてしまうかもしれません。

このキラキラは猫ちゃんの体内で悪さをしているキラキラとなるため、見過ごすようなことはせず、早急の対処が必要となってきます。

動物病院で尿pHや原因物質の究明をした後に、治療方針が決まっていくため、適切な治療を行って軽症のうちに完治させてあげることが大切です。

そして今現在おしっこがキラキラしていなかったとしても、どの猫ちゃんにもおしっこトラブルを抱える可能性がある以上、生活環境の中で見直すべき点があるようであれば、早急に環境を整えてあげるようにしてください。

猫ちゃんの健康は飼い主さんの安心にも繋がりますので、病気を発症させないような工夫を常に心掛けておくようにしましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。

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