猫はわかめを食べても大丈夫?与える時の5つのコツと注意点!

2023.10.01

猫はわかめを食べても大丈夫?与える時の5つのコツと注意点!

海藻のわかめは日本では馴染みのある食材で、健康のためによく食べているという飼い主さんも多いはず。それでは、猫にとってもわかめは健康に役立つ栄養豊富な食材と言えるのでしょうか?この記事では、猫がわかめを食べるメリットや健康面への作用、与え方の注意点をご紹介します。

猫にわかめを与えても大丈夫!

わかめ

海藻の1種であるわかめは、日本人の食卓によく登場する食材です。含まれる豊富な栄養素や歯ごたえの良さから、好んで食べているという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

人間にとって食べるメリットが多いわかめですが、基本的には猫が食べても大丈夫な食材です。わかめには、猫にとって危険な中毒を引き起こす成分は見つかっていません。

わかめは猫用の手作りご飯で使われることもある食材で、食べることで得られる健康効果にも期待したいところです。一方で、わかめを猫に食べさせる際には、飼い主さんが理解しておくべき与え方に関する注意点もあります。

猫にわかめを与えたい場合は、健康面に対するメリットが飼い猫に役立つかどうかや、適切な食べさせ方を確認してからあげるようにしましょう。


猫にわかめを与えるメリット

クッションの向こう側にいる猫

わかめは低カロリーでミネラル豊富なため、人の健康に役立つ食材として知られています。

それでは、猫がわかめを食べるとどのような健康面へのメリットがあるのでしょうか。与える前にぜひ確認してみましょう。

◆高血圧の予防

わかめには、「アルギン酸」という成分が含まれています。これは、わかめなどの海藻特有のネバネバやぬめりを生み出している成分です。

このアルギン酸は、人では血圧の上昇を抑える効果があることで知られています。

アルギン酸が体の中に入り、不要なナトリウムと結びついて排泄することで、ナトリウムに引っ張られやすい性質を持つ水分も一緒に体の外へ排出されます。すると、体内の水分バランスが調整されるため、高血圧の予防やむくみの改善につながると期待されているのです。

また、アルギン酸と同じネバネバ成分の元である「フコイダン」にも、血圧を下げる作用があると言われています。

◆腸内環境を整える

アルギン酸やフコイダンは、「食物繊維」の1つです。

わかめの食物繊維は、猫の腸内で善玉菌のエサになってくれたり、便を軟らかくして排泄を手助けしてくれるなど、腸内環境を整えたい時に役立ってくれます。

猫の便秘が続くと、大腸の一部である結腸が巨大化して、自力で便が排泄しにくくなる巨大結腸症の原因となったり、日頃の食欲や元気の低下、嘔吐につながることも多いため、お腹の健康維持は非常に重要です。

◆貧血改善に良い

海藻は、貧血の改善に役立つ「鉄分」が多く含まれる食材として知られています。手作りご飯が中心の猫で、鉄分の補給をしたい場合には、加えてみたい食材の1つとなるでしょう。

ただし、海藻の鉄分は、吸収率がやや低い「非ヘム鉄」が中心です。より効率的に鉄分を補給する場合は、吸収率の高い「ヘム鉄」を多く含む動物性食品もおすすめします。

また、猫の貧血は重篤な病気が関わっていることが多く、わかめだけでは貧血の改善が難しいこともあります。あくまで獣医師が行う治療の補助として、わかめを取り入れると良いでしょう。

◆基礎代謝を向上させる

わかめなどの海藻に多く含まれる「ヨウ素」は、体の新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンの元になるミネラルです。

甲状腺ホルモンは、交感神経を刺激することで、タンパク質・脂質・糖質といった3大栄養素の代謝を促すため、ヨウ素を摂取することで基礎代謝の向上につながると期待されています。また、新陳代謝が活発になると、猫の被毛や皮膚の健康維持にもつながります。

フコイダンなどの水溶性食物繊維は、不要な糖やコレステロールなどを吸着して排泄してくれる働きもあるため、猫の食後の血糖値や中性脂肪、コレステロール値などのコントロールに役立つ作用も期待できるでしょう。

ちなみに、わかめによる猫への健康効果は、まだわかっていない部分も多くあります。そのため、これらの情報は与える時の参考情報としてチェックしておくと良いですね。

参考:https://himitsu.wakasa.jp/contents/seaweed/


猫に与えてもいいわかめの量

猫に与えるわかめの1日量は、あくまで少量に留めておきましょう。

特に、栄養バランスが整ったキャットフードなどを主食として食べている場合は、わかめはあくまでトッピングやおやつといった位置づけになります。

猫のおやつの量は、1日に必要なエネルギー量の10%までを目安にすることが多いですが、それを基準にしてしまうとわかめはカロリーが低い分、一度にたくさん与えすぎてしまいやすいので注意が必要です。

また、肉食動物である猫にとって、わかめは消化しやすい食材とは言えず、栄養成分であるミネラルも、摂りすぎは尿路結石症などの原因になる可能性があります。そのため、わかめは消化しやすい形状に下調理したものだけを、毎日ではなく週に1回程度与えるなど、頻度にも注意して与えすぎを予防しましょう。

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猫にわかめを与える際の注意点

おやつをもらう猫

肉食動物である猫でもわかめを消化しやすくするには、与える前の下準備が必要です。また、初めて食べさせる時には、猫の食後の体調もよく観察して、体調が悪化しないか見てあげましょう。

◆細かく刻んで与える

わかめを猫に与える時には、包丁で細かくみじん切りにしたり、ミキサーなどでペースト状にしてから食べさせるのがおすすめです。

あらかじめわかめの繊維質を切断することにより、猫の消化器への負担を減らし、食後の嘔吐や下痢などの消化不良による症状が現れるリスクを下げることができます。

◆乾燥わかめは柔らかく煮込んでおく

一般的に入手しやすいわかめは、乾燥させたものが多いでしょう。しかし、乾燥わかめをそのまま猫に与えると、水分を吸ったわかめがお腹の中で膨らみ、消化管内で閉塞してしまう危険があります。

実際に、人の場合でも乾燥わかめをそのままおやつのように食べてしまい、腹痛で救急にかからなければいけなくなったケースもあるようです。

猫に対して乾燥わかめを一度にたくさん与えることはないかもしれませんが、ご飯にトッピングするものは水で戻して、柔らかく煮込んだものをあげるようにしましょう。

◆アレルギー反応が出ないか注意する

猫がわかめでアレルギー反応を示すケースはかなり少ないですが、どんな食べ物でも注意は必要です。

もしも猫が毛づくろいの範囲を超えて、食後に口の周りを過剰に気にしたり、体をかゆがる仕草を見せるほか、わかめを食べた時にだけ便がゆるくなるといった症状などが現れた場合は、わかめを与えるのを中止して、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

万が一の食物アレルギー対策のため、初めて猫にわかめを食べさせる時には1口程度に留めて試してみるのもおすすめです。

◆味付けがされたわかめは与えない

味付けされたわかめは、猫にとって塩分を過剰摂取させることになるため、避けるようにしましょう。

過剰な塩分は体に不要な水分を溜め込むことにつながり、心臓病や腎臓病を抱える猫にとって大きな負担につながる可能性があります。

また、人用の調味料や一緒に調理した食材の中には、猫にとって中毒を引き起こす原材料が含まれてしまう可能性もあるため、人が食べるわかめを使ったおかずやサラダと、猫のご飯に混ぜるわかめは別々に準備してあげてください。

猫が食べても危険性がない原材料であっても、濃い味付けに慣れてしまうと猫の偏食傾向が強くなり、日々のご飯選びに困ってしまうトラブルにつながりかねない点にも注意する必要があります。

◆甲状腺機能亢進症の猫には与えない

わかめに含まれるヨウ素という成分は、甲状腺機能に問題を抱える猫にとっては、摂取量の制限が必要になる場合があります。

特に、甲状腺機能亢進症の治療として、療法食である低ヨウ素食を猫が食べている場合、わかめからヨウ素を摂取することで症状の改善を妨げてしまうため、避けなければいけません。

また、食事中に含まれるカリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラル成分の摂取量の調整が重要になる「尿路結石症」「心臓病」「慢性腎臓病」などの猫によくある病気についても要注意です。わかめを食べさせることが、病気の悪化や再発につながる危険があります。

猫に病気の治療歴がある、もしくは現在治療中である場合は、わかめを食べさせる前に必ず担当の獣医師と相談しましょう。


猫に昆布やひじきを与えてもいいの?

猫にわかめを与えても良いのであれば、似た食材である昆布やひじきを与えても良いのか気になる飼い主さんも多いでしょう。

しかし、昆布やひじきと、わかめは別の食材のため、違いをしっかりと把握しておくことが大切です。

◆猫に昆布を与えるのは大丈夫

昆布も、わかめと同じく猫に与えても良い食材です。ただし、わかめと同じく繊維質が豊富で、人用に調味料を使って味付けや保存がされることが多い海藻のため、与える量や食べさせ方には注意が必要です。

特に、乾燥した状態の昆布は、角が鋭く猫の口腔や消化管を傷つけやすいため、与える時には柔らかく戻したものを刻んで、少量のみトッピングする程度にしておきましょう。

また、含まれるヨウ素の量は、わかめに比べると格段に多くなります。甲状腺機能亢進症の治療を行っている猫は避けた方が良いでしょう。

◆猫にひじきを与えるのはNG

猫がひじきを食べることによる明らかな危険性は今のところわかっていませんが、人では2004年に英国食品規格庁から「ひじきは無機ヒ素を多く含むので食べない方が良い」という勧告が出て、話題になったことがあります。

しかし、厚生労働省からの「体重50kgの人が毎日4.7g以上継続的に食べ続けなければ問題ない(極端な食事内容にならなければ健康上のリスクは上がらない)」という発表や、水戻しによってヒ素が流れ出やすいことからも、適切な調理法や食べ方によって安全性が維持できる食材であると位置づけられました。

一方で、猫に対しては、ひじきに含まれる無機ヒ素がどのくらいまでの摂取量なら有害とならず、安心なのかはわかっていません。

ひじきもミネラル成分が豊富な海藻で、「絶対に与えてはダメ」とまでは言えない食材ですが、猫に対する安全性が確保できるかどうかが判明するまでは与えない方が良いでしょう。

参考:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/hijiki.html


まとめ

今回は、猫がわかめを食べても大丈夫なのかどうかや、食べるメリットについてご紹介しました。

わかめには猫の健康に対して期待できる作用がある一方で、消化しにくい点を改善させる与え方が重要な食材でもあります。

手作りご飯や、キャットフードへのトッピングに使用する時には、猫の消化に負担がかかりにくい下準備を行い、適切な量や頻度で与えましょう。

また、わかめを猫がおいしく食べてくれるかどうかも大切なため、食事中の様子をよく観察してあげてくださいね。



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