1.猫がタコを食べてはいけない理由とは
1-1.タコに含まれる「チアミナーゼ」が有害
1-2.のどに詰まらせる可能性
1-3.タコは消化が良くない
猫がタコを食べてはいけない理由とは
猫が食べると有害性の強いタコとなりますが、どのような有害成分が含まれていて、食べてしまえばどのような症状が出るのかも気になるところです。
猫がタコを食べてはいけないと言われている所以は、以下の通りとなります。
◆タコに含まれる「チアミナーゼ」が有害
タコは味に雑味がないことからも、生で食べても美味しいですし、加熱してさまざまな料理に使える食材です。
たんぱく質が豊富で、海の生き物特有のミネラル類やビタミン類などを多く含んでいるため、猫に与えても問題なさそうに感じますが、タコには「チアミナーゼ」と呼ばれる酵素が含まれており、このチアミナーゼが猫に有害と言われています。
酵素は熱に弱いといった特性を持っていますが、生のタコを猫に食べさせるのは絶対にNGとなりますし、加熱しても安全とは言い切れないことからも、猫にタコを与えるべきではないと言えるでしょう。
◆のどに詰まらせる可能性
タコにはしっかりとした歯ごたえがあり、もったりとした食感も味わえるため、かなり食べ応えのある食べ物と言えますよね。
この特有の歯ごたえこそがタコの魅力ではありますが、食べ物をよく噛まずに丸飲みをするといった習性を持つ猫が食べると、のどに詰まらせる可能性が高くなります。
上手に飲み込めなければ、最悪の場合死に至るケースもあるため、このようなことからも猫にタコを食べさせるのは危険です。
◆タコは消化が良くない
タコはイカや貝類同様、ほかの食べ物よりも消化率が悪いことが知られています。
しっかり噛んで食べなくてはいけない上に、人間でも胃腸の調子が悪いときに食べると消化不良を起こしやすいため、猫には不向きな食べ物であることが分かりますよね。
タコを食べて消化不良を起こせば、食べたあとに嘔吐や下痢などの症状が出やすく、愛猫に辛い思いをさせてしまうことからも、猫にはタコを与えるべきではない、と言えるのではないでしょうか。
ビタミンB1とチアミナーゼ
タコには有害なチアミナーゼが含まれていると前述しましたが、そもそもチアミナーゼとはなんなのか、知らないといった方も多いのではないでしょうか。
水溶性ビタミンの1種であるビタミンB1は「チアミン」とも呼ばれ、このチアミンを2つの分子に代謝(分解)する役割を担っているのが「チアミナーゼ」と呼ばれる酵素となります。
このビタミンB1とチアミナーゼの関係こそ、猫がタコを絶対に食べるべきではないと言われる所以となります。
それでは、チアミナーゼが猫にどのような支障を来たすのか見ていきましょう。
◆ビタミンB1の役割
ビタミンB群には水溶性ビタミンと呼ばれる成分が9種類存在し、その中で最初に発見された成分が、科学的にはチアミンという名称を持つビタミンB1となります。
その名の通り水に溶けやすく、油脂には溶けにくいといった性質を持っているため、過剰に摂取したとしても血液などの体液に溶け込み、余分なものは体内で蓄積されずに尿として排出されることがほとんどです。
そもそもビタミンはエネルギーを生産する栄養素に比べて微量ではあるものの、人体のさまざまな機能を正常に保つために重要な有機化合物と言われており、ほとんどのビタミンは体内で合成できないため、食べ物から摂取する必要があると言われています。
ビタミンB1は食べ物を食べた後にエネルギーを作り出しますが、その食べ物は体内で分解され、エネルギー源となる「ブドウ糖」を作り出します。
このブドウ糖からエネルギーは生産されていきますが、身体を動かすためのエネルギー源になるためには、ブドウ糖自身が分解されていく必要があるのです。
この分解といった役割を担う成分こそがビタミンB1となるため、猫にとっても重要な栄養素であると言えるでしょう。
◆ビタミンB1欠乏症
猫にとって重要な働きをするビタミンB1(チアミン)ですが、前述の通りチアミナーゼはどのチアミンを分解させる性質を持っています。
つまり、ネコがタコを食べてしまうことで体内のビタミンB1が破壊され、通常の状態よりもビタミンB1が不足している状態になるのです。
ビタミンB1が不足すると糖を分解するスピードも低下するため、ビタミンB1欠乏症(いわゆる脚気:かっけ)を引き起こし、猫の身体はエネルギー不足に陥った結果、食欲不振や全身の倦怠(疲労)感、手足がむくむなどの症状が出始めます。
また、子猫は消化器官が未発達となり、シニア期の老猫は臓器が弱っているため、特に注意が必要となります。
健康体で元気な成猫であっても、生のタコは2~3切れ程度食べただけでも危険となりますので、あえて猫にタコは与えないようにしてください。
◆多発神経炎
チアミナーゼは、ビタミンB1欠乏症の他にも、多発神経炎という症状を発症させる恐れがあります。
ビタミンB1は神経伝達の機能を保つ役割を担っており、チアミナーゼの影響でビタミンB1が不足すると、全身を張り巡っている多くの末梢神経(まっしょうしんけい)が機能不全を起こすことがありますが、これを「多発神経炎(たはつしんけいえん)」と呼びます。
神経細胞は糖によって活性化しますが、チアミナーゼの影響でビタミンB1が不足し糖から十分なエネルギー源が供給できなければ、ビタミンB1欠乏症だけでなく多発神経炎を引き起こす可能性が高いようです。
末梢神経は中枢神経(脳と脊髄)と繋がって指令を全身へと伝えるため、この伝達がうまくいかなければ、「手足がしびれる」「手足の力が入りづらくなる」「歩行がおかしくなる」「(五感などの)感覚が鈍くなる」といった症状が現れます。
加熱したタコは食べさせてもいいのか
生のタコを猫に与えることはご法度となりますが、加熱したタコであれば少しぐらいなら与えても良いのでは?と、考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、タコは茹でたり焼いたりすると弾力が増し、食べてみれば相当の噛み応えがあるため、いつ飲み込んでいいのか分からなくなることがありますよね。
このようなことからも、タコは消化が悪い食べ物であることが分かりますし、消化が苦手な猫にとっては、不安要素の残る食べ物と言えるでしょう。
また、酵素の一種となるチアミナーゼは熱に弱く、加熱処理をすることによって簡単に壊れますが、だからといって絶対に安全とは言い切れません。
愛猫の安全を考慮する上でも、加熱したとしてもタコは与えない方が無難と言えます。
猫がタコを食べてしまったら
猫は犬よりも中毒症状を起こしやすい動物ではありますが、実際にタコを食べてしまった場合、どれくらいの摂取量で中毒症状が出てしまうのか、事前に知っておきたいという飼い主さんは多くいらっしゃるはずです。
はっきり申しますと、猫ちゃんによって体質や体調などの個体差がある通り、ほんの少し食べただけで症状が出てしまう子、まったく症状が出ない子も居るため、「この分量が危険」といった目安はありません。
そのため、少量であってもタコは危険といった認識を深めておくことは大切ですし、飼い主さんがタコを扱う際に注意しておけば、愛猫を危険に晒す必要はありませんよね。
このようなことも踏まえた上で、猫にわざわざタコを食べさせるようなことはしないようにしてください。
万が一、猫ちゃんが何かのきっかけでタコを口にしてしまった場合には、すぐに中毒症状が出ないこともあるため、数時間は経過観察をして様子をみてみましょう。
その後、元気がなく具合が悪そうに見える、嘔吐や下痢などといった症状が出ている場合には、早急に動物病院を受診するようにし、適切な治療を受けて改善につなげるようにしましょう。
まとめ
甘みが強く歯ごたえまで楽しめるタコではありますが、猫が食べると中毒症状を引き起こす恐れがあるといった、危険な食べ物であることが分かりました。
タコには猫にとって重要な栄養素となるビタミンB1を破壊する、チアミナーゼが含有されており、猫の神経細胞に影響を与えないためには、少量であっても与えないことが一番です。
また、一度でも人間の食べ物を食べて味を占めてしまえば、飼い主さんがその食材を料理に使う際や食べているときなどに、もらえるまで要求してくる子も少なくありません。
このようなことからも普段から、人間の食べ物を猫に与えるべきではありませんし、とくにタコのような危険度の高い食材は、猫の食生活には取り入れないことが大切です。
愛猫の健康を守ってあげられるのは飼い主さんだけとなるので、毎日の健康的な食事をしっかりと管理し、猫が猫らしく生活できるようにサポートをしていきましょう。
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