【獣医師監修】猫の声が出ないのはなぜ?考えられる4つの原因を追及してみた!

2024.05.11

【獣医師監修】猫の声が出ないのはなぜ?考えられる4つの原因を追及してみた!

どんな声で鳴いても可愛らしい猫ですが、声がかすれていたり声が出なかったりすると、声帯に何かしらの異常が出ているのかと、心配になってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。 そのまま様子を見てもいいのか、すぐにでも病院に連れていくべきなのか、悩みどころでもありますよね。 猫の声が出ない場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか。

猫の声が出ない!原因は?

鳴いている猫

個体によってよく鳴く子、鳴かない子とそれぞれではありますが、愛猫が声を出して気持ちを伝えてくれたときは、とても嬉しい気持ちになりますよね。

猫にとって鳴き声は、人間とコミュニケーションをとるためのツールとなっているため、意思疎通を行うためにも大切な方法と言えるでしょう。

しかし、普段から聞きなれている愛猫の声が突然出なくなってしまった場合は、何が原因で声が出ないのか気になる飼い主さんは多いはずです。

猫の声が出なくなる理由として考えられる要因は、大きく4つあります。

・寝起き

誰しもが寝起きは声が出しにくく、上手に喋れないといった経験をしたことがある通り、猫も寝起きには声が出ない場合があります。

とくに猫は人間よりも眠る時間が多いため、寝起きの状態が必然的に増えますし、声が出なくなってしまう機会も多いはずです。

眠りにつくと脳や筋肉も活動を休めており、乾燥などで口腔内の水分が不足しているため、上手に声が出せなくなってしまうのは仕方がないとも言えますよね。

寝起きには必ず伸びをして活動を始める子や、水飲み場に行って水を飲む子が居るように、どうすれば身体が目覚めるのかをしっかり理解している子も多く存在しています。

寝起きに声が出ないのは一時的な現象となるため、その後問題なく声が出せているようであれば、とくに身体への影響はないため心配は不要となります。

・サイレントニャー

見た目は口を開けて声を発しているように見えるのに、鳴き声は聞こえないといった猫の鳴き方を「サイレントニャー」と呼びます。

これは猫特有と言われている鳴き方となり、実際にはしっかりと音が出てはいるのですが、その周波数が人間には聞き取れない(もしくはすごく小さな鳴き声)といった仕組みです。

猫同士のコミュニケーションに鳴き声は必要ないため、身体を使ってコミュニケーションがまだできない未熟な子猫が、母猫に甘える際に出す鳴き声だと考えられています。

大人になるにつれてこのような鳴き方をする機会は減っていきますが、人間とともに暮らす猫ちゃんの場合は鳴き声を出して、コミュニケーションを図ろうとしてくれる子はとても多いですよね。

飼い主さんに向かってサイレントニャーをしてくる場合は、飼い主さんを母親のように慕っている証拠となるため、甘えたいといった気持ちが強いのかもしれません。

声が出ないのではなく、猫特有の鳴き方となるため、サイレントニャーだと確信した際には声をかけ返す、撫でてあげるなどをしてスキンシップを図りましょう。

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・ストレス

猫はストレスに敏感な動物となるため、強いストレスを感じたときも声が出なくなってしまうことがよくあります。

日常生活の中でも「食べたいときにご飯がもらえない」「トイレが汚れている」「飼い主さんがかまってくれない」「お留守番の時間が長い」「来客が多い」など、ストレスを感じやすい出来事とは常に隣り合わせとも言えますよね。

また、大きな環境の変化としては「飼い主に子供が生まれる」「新しいペットが増える」「部屋の模様替えをした」「引っ越し」「工事による騒音」などが挙げられます。

猫ちゃんによっては大きな声で鳴く、鳴き続けるなどの行動が見られますが、たくさん鳴くことによって喉を傷め、声が出ないといった状態に陥ってしまうことも否めません。

このような理由によって声が出なくなってしまう場合には、その原因を早急に取り除いてあげる必要があると言えるでしょう。

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・病気

猫の声が出ない原因の中には、病気を患っているケースもあるため注意が必要です。

どのような病気によって声が出なくなるのかは後述いたしますが、病気が原因で声が出ない場合には早急に動物病院を受診し、原因を追究して適切な治療を受ける必要があります。

また、病気とは少し異なりますが、避妊や去勢の手術だけでなく、大きな手術を行う際には全身麻酔が必要となるでしょう。

全身麻酔を行う際には喉からチューブを通していくため、チューブの刺激によって声帯(気管にある膜)が傷つくことがあり、喉に炎症を起こして声が出にくくなってしまう場合もあるようです。


猫の声が出ないときに考えられる病気

寝ている縞柄の猫

猫の声が出ないときに考えられる病気は、いくつか存在しています。

声が出ない以外の症状も同時に出ていることが多いため、飼い主さんはそれらの症状を見逃さないようにしましょう。

・猫風邪

免疫が落ちているときは体調不良に陥りやすく、菌やウイルスに感染して、鼻水、咳、熱などの風邪症状が出てくることがありますよね。

猫風邪は猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスが主な原因となりますが、喉に炎症が起きれば必然的に声が出しにくくなります。

別名「上部気道感染症」とも呼ばれますが、目ヤニといった症状が見られて鼻が詰まると呼吸がしづらくなるため、体調が回復するまで声を出せなくなってしまう場合もあるようです。

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・咽頭炎

声が出ない猫の病気でもっとも多いとされているのが「咽頭炎(いんとうえん)」です。

咽頭炎は咽頭(鼻の奥から食道へとつながる空気や食べ物の通り道)に炎症が起きた状態を指し、猫風邪が悪化して併発することがあります。

風邪だけでなく、異物の誤飲が原因となって発症することもありますが、鼻炎や口内炎などから波及していくケースもあるため注意が必要です。

・甲状腺機能亢進症

高齢の猫が患いやすい「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気となりますが、その症状の一つとして大きな声で鳴くことが挙げられます。

興奮して活動的になり、大きな声で鳴き続ける機会が増えれば、必然的に喉へ負担がかかるため、酷使した結果声が出なくなることも否めません。

病気を悪化させないためにも、鳴き声や顔つきなどに変化が見られた際には、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

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猫の声が出ない時の対処

鳴いている茶トラの猫

猫はさまざまな原因によって声が出ないことがあるため、日常生活の中でどのような対策をしておくべきか、という点も気になるところですよね。

また、実際に愛猫の声が出ないときには、どのような対処を行えば良いのでしょうか。

・変わった様子がないか確認

愛猫の健康を守ってあげられるのは飼い主さんだけとなるため、日常的に変わった様子がないか、確認は怠らないようにしてください。

猫は人間よりも早いスピードで歳をとっていきますし、病気を患った際には進行していくスピードも速くなっています。

病気に関しては早期発見が一番ですし、不満な要因が日常生活の中にあるのであれば、愛猫の気持ちに寄り添って解決に導いてあげることが一番です。

同じような毎日の繰り返しであるからこそ、少しの変化にも気付いてあげられる観察眼を養っていきましょう。

・ストレスの原因は取り除く

ストレスはさまざまな病気のもととなるため、日頃から強いストレスを感じているようであれば、その原因を取り除いてあげるように努めましょう。

日常的に感じやすいストレスはやはり、食事に関してのこと、トイレ周辺に関することが多いため、不満を感じている様子が見られれば改善に向けて行動をしてみてください。

引っ越しや家族構成の変化などは、突如大きなストレスを与えてしまうために、その原因を取り除くことは難しいですが、愛猫の気持ちに寄り添って徐々にストレスを緩和させる工夫が大切です。

かまってあげる時間を多めに設ける、落ち着いて眠れる寝床を増やす、一緒にたくさん遊んであげるなどを試みて、徐々に気持ちを晴らしてあげましょう。

・病気が疑われるときは動物病院へ

病気によって声が出ないと感じたときには、様子を見るのではなく早めに動物病院を受診して、適切な治療を受けさせてあげてください。

病気が原因の場合には声が出ない以外にもさまざまな症状が出ているはずのため、猫ちゃんはとても辛い思いをしているはずです。

少しでも症状を軽くさせてあげるためにも適切な治療が必要ですし、早く元気になればまた愛らしい鳴き声を聞かせてくれることでしょう。


まとめ

鳴いているサビ猫

猫の「ニャー」といった鳴き声はとても可愛らしく、聞くだけで癒されるといった方も多いのではないでしょうか。

猫の鳴き声は猫同士間では必要がないとしても、人間と交流するためにその声を用いていることを知ってしまうと、さらに猫に対しての愛が溢れてしまいますよね。

そんな猫の声が出ないといったときには、何が原因でそうなってしまったのか、心配になってしまう飼い主さんは多いはずです。

寝起きだったり出ていないようで出ている声であったりすれば問題ありませんが、ストレスや病気の場合は原因を取り除きつつ、適切な治療を受けさせてあげるべきとなるため、日常的に愛猫のことをよく観察し、異変にはすぐに気付けるようにしておきましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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