猫が死ぬ前に見せる兆候
猫と一緒に暮らしている方であれば、誰しもが愛猫の健康を願いつつ、1日でも長く生きていてほしいと考えているはずです。
しかし、命あるものには必ず終わりが来るため、いつかは愛猫の死と向き合う日が訪れることでしょう。
飼い主さんには愛猫をお迎えした時点で、すでに最期まで面倒をみるといった責任が生じているため、死期が迫っていると感じた際には、当然途中で投げ出すようなことはできません。
猫も人と同様、死ぬ前には心身にさまざまな兆候が見られるようになりますが、具体的にはどのような前兆が見られるものなのでしょうか。
「食べることは生きること」といった表現がある通り、死ぬ前には食欲が低下し、あまりご飯を食べなくなる子が多いようです。
消化器官の衰えだけでなく、体力が落ちて筋肉量が減ってしまえば、自力でご飯のある場所まで歩けず、さまざまな苦痛を伴うぐらいなら「食べない」といった選択肢をとっても不思議ではありません。
普段食べているご飯だけでなく、水も受け付けない、好物のおやつなども反応しなくなったようであれば、死ぬ前に見られる兆候と言えるでしょう。
食事から十分な栄養が摂取できず、身体を動かす機会も少なくなれば、当然体力が低下して自力で動くことさえできなくなります。
猫はもともと具合が悪くなると姿を隠す動物となりますが、死ぬ前には自分の力だけで動くこともできなくなり、寝返りができなくなったりトイレもできなくなったりと、寝たきりの状態になってしまうようです。
食事量が減って必要な栄養素が十分に摂取できなくなると、被毛に栄養が行き渡らなくなるため、ハリやツヤがなくなって毛並みが悪くなります。
猫にとって美しい被毛は魅力の一つでもありますが、具合が悪く食事もままならない状態が続いてしまえば、自らセルフグルーミングをして毛並みを整えることもできなくなってしまいますよね。
目に見えて被毛にパサつく印象が見受けられる場合には、死期が迫ってきている証拠とも言えるでしょう。
死ぬ前の兆候として見逃せないサインが、猫の呼吸方法です。
亡くなる直前には意識が朦朧とし始めるため、口を開いたまま浅くて速い呼吸、深くてゆっくりとした呼吸、呼吸停止といったサイクルを繰り返します。
ほとんどの場合、最期は下顎呼吸(かがくこきゅう)となり、脳が酸素不足になることから首やアゴの筋肉を使って呼吸を行うようになります。
血液中の酸素が不足するとチアノーゼといった症状が出てくるため、唇や舌が青紫色に変化していきます。
猫には「死」という概念がないとはいっても、身体に起こっている異変に不安を感じ、その気持ちを払拭させるためにも普段以上に甘えてくることがあるようです。
不安な気持ちだけでなく痛みを伴っている場合にも、飼い主さんの傍に居ることで少しでも安心した様子が見られるようであれば、できる限り傍に居るようにして、たくさん声をかけてあげてください。
弱っているときに飼い主さんに甘えてくるのは、飼い主さんのことを心から信頼し、頼れる存在として認識している証拠です。
また、猫ちゃんによっては死期が迫って寝たきり状態であっても、最後の力を振り絞って自分の足で歩いて飼い主さんの元に行く子や、自力でトイレに行ったりご飯を食べたりする子も居ます。
その後まったく動けなくなって息を引き取るケースもあるため、飼い主さん自身も最期は愛猫のすべての行動に寄り添えるように、落ち着いて看取ってあげるように心掛けておきましょう。
猫は死ぬ前にいなくなるって本当?
猫は死ぬ前に姿を消すとよく言われていますが、このような言い伝えが真実かどうなのかも気になるところですよね。
猫に「死」といった概念がない以上、何がきっかけでこのようなことを言われるようになったかは、以下のような説が有力とされているようです。
私たち人間は具合が悪くなれば自ら病院に行き、症状に合った薬を処方してもらって回復へと努めることができますが、猫は自分の意思でこのような行動ができません。
イエネコの場合は飼い主さんが異変に気付き、動物病院に連れて行けば症状に合わせた治療が可能となりますが、飼い主が居ない猫ちゃんの場合はどうでしょうか。
猫はもともと具合が悪いと感じて食事を受け付けなくなると、無駄なエネルギーを使わないように人目のつかない場所でじっとし、体調が回復するのをじっと待つ動物となります。
体調がよくならなければそのまま命を落としてしまうため、そのような習性から猫は死ぬ前に居なくなると言われているようです。
完全室内飼いの猫ちゃんであれば、室内で人目につかないような場所を探しますが、外にも自由に行き来できる猫ちゃんの場合は、外に出てさらに人目につかない(飼い主に見つからない)場所を探したとしても不思議ではありません。
出掛けた先で体調が戻ればまた家に帰れますが、その場所で力尽きてしまえば自分の家に帰ることができなくなるため、そのまま命を落としてしまう子は多いようです。
このようなことからも、猫は死ぬ前にあえて飼い主さんの前から姿を消すのではなく、体調が戻らず帰ってこれない説が有力と言えるのではないでしょうか。
死ぬ前の愛猫に対して、「苦しむ姿を見たくない」「看取るのが辛い」「死を受け入れられない」などの感情を抱く飼い主さんがほとんどだとは思いますが、猫を迎え入れた時点で最期まで精一杯面倒を見るといった責任が生じているため、途中で投げ出すことは絶対にできません。
飼い主の責任をしっかりと果たすためにも、愛猫の死期が迫った際にはできる限り傍についてあげるようにし、少しでも不安や苦痛を和らげてあげる努力をしてあげてください。
そしてどんなに愛猫が外に出たがったとしても、外には出さないようにし、飼い主さんの元で最期を看取るように努めましょう。
猫が死ぬ前に飼い主さんができることは?
愛猫の死期が迫っていると感じたら、飼い主として何をしてあげられるか、今一度冷静に考える必要がありますよね。
家から出さない以外に飼い主さんが愛猫にしてあげられることは、以下のような行動となるのではないでしょうか。
猫の飼い主さんであれば1分1秒でも長く、愛猫と一緒に居たいと考える方がほとんどのはずです。
迷わず動物病院へ連れて行き、適切な治療を受けさせたいと考えるところですが、死期が迫って体力の落ちた猫の場合は、動物病院へ通院するだけでも大きな負担となってしまうため、愛猫への負担やストレスを考慮した上で、治療を検討していかなくてはいけません。
かかりつけの動物病院に相談し、愛猫の症状に合わせた治療が望ましいと言えますが、回復が見込めないと獣医師さんが判断した際には、最低限の治療(ターミナルケア)や治療をしないといった選択も必要となります。
動物病院で監視が必要な病気でない限りは、自宅で愛猫を看取ることがほとんどだと思います。
飼い主さんのお仕事などの都合にもよりますが、できる限り一緒に居る時間を作り、傍に居てあげたいと考える方は多いことでしょう。
死ぬ前には寝たきりの状態になってしまうため、床ずれを起こさないよう定期的に身体の向きを変えてあげるだけでなく、顔周りや被毛を清潔に保つ、おむつを使用している場合は排せつ後も清潔に保ってあげるなど、優しくケアをしながらしっかりと寄り添ってあげてください。
病気やケガなどで最期を迎えようとしている猫ちゃんの中には、治療をしても回復が見込めないと獣医師さんが判断した場合には、安楽死といった選択肢の提案をされることがあります。
安楽死と聞くとどうしても後ろ向きのイメージがありますが、安楽死がすすめられる1番の理由は、「猫を苦痛から解放させる」ためです。
もちろんたくさんの選択肢の中で、最後に行き着く手段が安楽死となるため、飼い主さんは愛猫の状況をしっかりと把握した上で、安楽死を選ぶことに後悔しないといった決断ができた場合にのみ、その意思を獣医師さんに伝えるようにしましょう。
まとめ
死ぬ前の猫は普段とはまったく異なる様子が見られますが、飼い主さんが悲しんだり不安がったりした姿を見せてしまうと、猫はその気持ちを感じ取ってしまい、さらに不安な気持ちが大きくなってしまいます。
死期が迫るということはどの動物にも訪れる自然の摂理となるため、飼い主さんは愛猫を不安にさせないためにも、優しく寄り添ってお世話をしてあげてください。
精一杯お世話ができなければ、猫ちゃんが死んでしまったあとにも後悔が残り、ペットロスとなって精神的だけでなく、身体的にも不調を起こしかねません。
もちろん死ぬ前だけに必死にお世話をするだけでなく、普段から愛猫の気持ちに寄り添ってお世話をすることによって、最期を看取る瞬間にも焦らず落ち着いてお世話ができるようになります。
猫ちゃんにとって頼れるのは飼い主さんだけとなるため、最後までその気持ちに寄り添ってあげるように心掛けておきましょう。
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