垂れ耳の猫について解説!耳のケア方法とは

2024.10.19

垂れ耳の猫について解説!耳のケア方法とは

日本ではピンと耳の立った猫種が主流ではありますが、たれ耳の猫ちゃんもとても可愛らしいですよね。 耳が垂れていることによって顔は丸い形となり、全体的にまんまるで柔らかい雰囲気を醸し出すため、個性的なたれ耳の猫に魅了されている方も多いのではないでしょうか。 たれ耳を持つ猫にはどのような品種が存在するのか、健康面で注意するべき点やケア方法、一緒に暮らす上でのポイントなどをご紹介させていただきます。

垂れ耳の猫の名前と特徴

スコティッシュフォールド

垂れ耳を持つ猫種は、主に『スコティッシュフォールド』です。

スコティッシュフォールドは、マンチカンなど他の猫種と交配することもあるので、その場合にはスコティッシュフォールドの血を引き継いだ垂れ耳のミックス猫が生まれる可能性があります。

垂れ耳の耳が折れている具合というのは、実は個体により少しずつ違っていて、大きく分けると3つに分類することが出来ます。

【シングルフォード】
スコティッシュフォールドシングルフォード

 耳先はあまり下がっていない。
 通気性が悪くなりにくい。

【ダブルフォード】
スコティッシュフォールドシングルフォード

 耳が頭につくくらいしっかり垂れている

【トリプルフォード】
スコティッシュフォールドシングルフォード

 耳がすべて頭にくっつくほど深く垂れている。
 通気性は悪く、蒸れやすい

また、スコティッシュフォールドという種類は、立ち耳も認められています。
スコティッシュフォールドというと、すぐに垂れ耳を連想する方も少なくないですが、生まれてくる子猫の中で垂れ耳になるのは全体の30%程度と言われています。

被毛はショートヘアーとロングヘアーの2種類ですが、カラーはブラック、ホワイト、レッドなど多数、模様パターンもタビー、トーティと様々な見た目が認められているので、一口にスコティッシュフォールドといっても様々な用紙をしています。

◆スコティッシュフォールドの歴史

イギリスのスコットランド中部の農家で1961年に誕生した1匹の子猫が、スコティッシュフォールドの起源となります。

「スージー」と名付けられた子猫は、突然変異で生まれながらにして耳が折れ曲がっており、成長していく過程でも耳が立つことはありませんでした。

メス猫だったスージーはその後出産をしますが、1963年に誕生した子猫の中にも同じようにたれ耳の子猫が複数いたため、たれ耳は遺伝形質と確認されたのちに、スコティッシュフォールドの計画的な繁殖が始まっていきました。

◆スコティッシュフォールドの性格

スコティッシュフォールドは頭部も身体も丸みを帯びていて柔らかい印象を持っている通り、優しくて穏やかな性格をしています。

あまり感情を表に出さない猫種となりますが、甘えん坊で人懐っこい一面を持っているため、大人だけでなく子供とも相性が良いと言えるでしょう。


垂れ耳猫の健康面での注意点

スコティッシュフォールド

特徴的な猫のたれ耳ではありますが、珍しい形状をしているからこそ、健康面でも注意しておくべきポイントがいくつかあります。

たれ耳の猫をお迎えする際には、以下のような注意点があることを認識しておきましょう。

◆耳の形状が原因となる健康リスク

立ち耳の猫ちゃんは自然と湿気がこもりにくく耳掃除もしやすいといった特徴がありますが、たれ耳の猫ちゃんの場合は耳道の通気性が悪い上に湿気がこもりやすく、雑菌が繁殖しやすい環境が整っているだけでなく耳垢が外に排出されにくくなります。

耳掃除をしないで放置したままにしておくと、耳の皮膚に炎症を起こして「外耳炎(がいじえん)」といった病気を引き起こすため注意が必要です。

耳から異臭がする、膿のような分泌物が出ている、耳の皮膚が赤くなっているなどの症状が見られた場合には、外耳炎を疑ってみましょう。

また、耳垢が溜まって雑菌が繁殖すると、ダニの温床になりやすくなってしまうため、「耳ダニ症(耳疥癬・みみかいせん)」といった病気にも注意しておかなくてはいけません。

室内で自然に発症することはありませんが猫同士の接触が主な原因となるため、外へ自由に行き来できる猫ちゃんや、外の猫ちゃんと接触する機会のある猫ちゃんは、感染する可能性が高いと言えるでしょう。

感染力が高く人間にもうつる病気となるため、日常的な耳のケアを心掛けてください。

◆骨や関節の問題

たれ耳同士の猫が交配すると、たれ耳を生じる遺伝子同士が同型接合を起こします。

そのため、たれ耳の猫は遺伝的に軟骨や骨に異常が出やすく、たれ耳の原因とも言われている遺伝性の病気「骨軟骨異形成症」を発症するリスクが高くなるようです。

太くて短い尻尾を持って生まれた子猫はその徴候があるとも言われており、関節内や骨の表面にコブ状の腫れ(骨瘤・こつりゅう)のようなものが生じますが、進行するにつれて関節が硬く固定されていくため、「スコ座り」といった足を投げ出すような特徴的な座り方をするようになります。

足の関節に骨瘤が発生すると関節をうまく曲げられない場合や、神経を圧迫してしまえば痛みが生じてしまうため、段差などを避けて室内で大人しくしている時間が自然と増えていくことでしょう。

骨に異常が生じた際には、内臓や耳の疾患だけでなく、聴覚の問題が生じるリスクがあるとも言われています。


垂れ耳猫のケア方法

たれ耳の猫には遺伝的にも発症しやすい病気が存在していることが分かったため、日常的にどのようなケアを心掛けるべきか、という点も気になるところですよね。

さまざまなリスクを軽減してあげるためにも、以下のケア方法を実践していきましょう。

◆耳掃除の方法と頻度

耳が垂れている猫ちゃんに対して一番大切なのはやはり、耳掃除といったお手入れですよね。

折れた耳を開く際には優しくめくるようにし、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンなどを使用して、人差し指に巻き付けて優しく拭き取るようにしましょう。

あまり奥まで拭こうとすると傷をつけてしまったり、耳介軟骨を痛めたりする危険性もあるため、耳の穴の入り口までの見える部分のみを掃除するようにしてください。

猫用の耳洗浄液や耳用シートなども販売されているため、そのようなアイテムを利用してみるのもおすすめです。

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週に2回程度は耳の状態を確認するようにし、汚れていたらその都度耳掃除を行うようにしましょう。

◆適切な食事と運動

たれ耳の猫は運動量が少なく肥満になりやすい傾向が強いため、食事内容も普段から気を付けておかなくてはいけません。

毎日の食事は低脂質でカロリーの低い総合栄養食を選ぶようにし、食事回数も数回に分けてお腹が空く時間を減らすようにしてください。

そして適度な運動を心掛けるようにすることで、筋肉量の維持やストレス発散にもつながるため、日常的に運動する時間を設けるようにしましょう。

◆無理のない遊び方をする

運動不足が懸念されているたれ耳の猫ですが、軟骨や骨に異常がある個体の場合は激しい運動は難しいため、ひとり遊びができるぬいぐるみ、飼い主さんが自由に動かせるレーザーポインターなどのおもちゃがおすすめです。

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一緒に遊ぶ際には段差の少ない場所を選ぶ、高くジャンプさせないなどを心掛け、関節に配慮しながら運動不足を解消させてください。


まとめ

たれ耳の猫は全体的に丸みを帯びているため、優しくて柔らかい印象が強いことからも日本ではとても人気が高い猫種ですよね。

可愛いから是非お迎えしたいと考える方も多いと思いますが、可愛いの象徴とも言えるたれ耳や特殊な座り方は先天的な遺伝となるため、言い方を変えると「障害」を持って生まれてきていることになります。

そのことをしっかりと理解した上でお迎えを決めたのであれば、飼い主さんは責任を持って天寿を全うできるように尽力するだけです。

健康面でのリスク、たれ耳のケア方法、一緒に暮らすためのポイントなどをしっかりと押さえるようにし、愛猫が毎日を楽しく快適に過ごせるように努力していきましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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