爽やかな香りを持つローズマリーは猫が食べても安全なの!?

2024.10.05

爽やかな香りを持つローズマリーは猫が食べても安全なの!?

ハーブは私たち人間にとってとても身近な香辛料となりますが、その中でもローズマリーは爽やかな清涼感が特徴的で、お肉や魚料理の臭み消しとして使用している方も多いのではないでしょうか。 特徴的なニオイのあるハーブであることからも、エッセンシャルオイル(精油)やアロマオイルの原料としても使用されていますよね。 身近なハーブであるからこそ、猫のいるご家庭でも使用する機会があると思いますが、果たしてローズマリーは猫が食べたとしても安全なハーブなのでしょうか。

ローズマリーとは?

ローズマリーの木

とても可愛らしい名前を持つ「ローズマリー」ですが、ラテン語の「ros(雫)」と「marinus(海)」を用いており、海の雫といった種小名を持っています。

別名で「マンネンロウ」や「迷迭香(めいてつこう)」などと呼ばれますが、どのような植物なのかは以下の通りです。

・ローズマリーはハーブの一種

ローズマリーは地中海沿岸が原産のシソ科に属する常緑植物となり、ハーブの一種として親しまれています。

香辛料として料理で使用されることが多いハーブとなりますが、主に茎や葉、花などを利用するのが一般的です。

お肉や魚といったクセの強い素材の臭み消しだけでなく、白身魚などの淡白な魚、野菜などを使った料理にと、グリルから煮込み料理まで幅広く活用できるといった特徴を持っています。

爽やかな香りのするローズマリーは、エッセンシャルオイルやアロマオイルとして利用されることも多く、葉の浸出液は薬用としても重宝されている万能なハーブと言えるでしょう。

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・ローズマリーの栄養価と成分

万能なローズマリーではありますが、どのような栄養価や成分が含まれているのかも気になるところですよね。

一番注目したい成分となるのが、「ロスマリン酸」をはじめとした豊富なポリフェノール類です。

ロスマリン酸は天然の抗酸化物質と言われており、記憶力や集中力を助けてくれる神経伝達物質「アセチルコリン」を分解させる酵素の影響を抑えて、「ドーパミン」量を増やすといった働きをしてくれます。

それだけでなくロスマリン酸は、アレルギー症状の原因となるヒスタミンの発生を抑制し、ストレスホルモンを減少してくれるため、リフレッシュ効果が見込めるようです。

活性酸素を抑制する「カルノシン酸」も含まれており、これらのポリフェノール類には強い抗酸化作用や抗菌作用があることからも、キャットフードの酸化防止剤としても利用されています。

フラボノイドの一種となる「ジオスミン」は血行を促進する作用があり、抜け毛を予防し育毛に役立つ働きが見込めるため、猫ちゃんの被毛を健康にしてくれる効果が期待できますよね。

そのほかにも細胞膜を健全に守ってくれる、「ビタミンE」を含むビタミン類なども見逃せない成分と言えるでしょう。


猫とローズマリーの関係

たくさんの効果が期待できるローズマリーではありますが、愛猫がローズマリーに興味を示した際に、与えても安全なのか気になる飼い主さんは多いはずです。

栄養価の高いローズマリーは、猫が口にしたとしても問題はないものなのでしょうか。

・猫にとっての安全性

生で販売されているもの、乾燥した食用ハーブとして販売されているものであれば、ローズマリーは猫に対して有害な成分は含まれていないため、少量であれば柔らかい葉の部分を与えても問題ありません。

もともと猫が毎日食べているキャットフードには、何かしらのハーブが含有されている商品が多く、その中でもローズマリーを配合しているキャットフードはたくさん販売されています。

基本的に油脂を使用しているドライフードは長期間の賞味期限を設けるために、劣化を防ぐ酸化防止剤を使用しますが、発ガン性物質といった身体への影響が懸念される、合成酸化防止剤を使用しているケースも少なくありません。

昨今ではペットフードの品質も向上してきているため、安全性の高いローズマリーが使用されていることにも納得ですよね。

また、ローズマリーの香辛料特有のスパイシーな香りは、キャットフードの香りづけとしても効果を発揮し、嗜好性の高い猫ちゃんを満足させてくれるようです。

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・猫除けに使われることもある

ローズマリーは食用のものであれば猫に与えても問題ありませんが、香料としてオイル(精油)などに加工された製品は注意が必要となります。

強い香りを持つローズマリーは、「猫除け」として庭に栽培されることも多く、その成分を濃縮したオイルはさらに強い香りを放つため、猫のいるご家庭では絶対に使用してはいけない製品と言えるでしょう。

ローズマリーを使ったオイルや化粧品の中には、「ケトン」と呼ばれる有害な成分が入っていることが多いため、猫が舐めてしまえば中毒症状を起こすだけでなく、強い香りによって腎不全や肝臓病を引き起こす危険性も否めません。


猫がローズマリーを摂取した場合の対処法

摘まれたローズマリー

万が一ご家庭でローズマリーのアロマを焚いてしまった、精油を愛猫が舐めてしまった場合には、飼い主さんは以下の対処法を試みるようにしてください。

・猫の様子を観察する

まずは愛猫に変わった様子がないか、しっかりと観察をするようにしましょう。

元気や食欲はあるのか、歩行困難症状が出ていないか、呼吸は正常かなどを確認し、とくに普段と変わらない様子であれば、そのまま経過観察をしても問題ありません。

しかし、肉食動物である猫はもともと植物性の毒性を肝臓で解毒できない上に、少量であっても中毒に陥りやすく皮膚からも吸収されて血流に乗ってしまうため、時間が経過してから中毒症状が現れることもあるため注意が必要です。

・異常があった場合

下痢や嘔吐、元気消失、食欲不振、筋肉の震え、ふらつき、失禁などの症状が見られる場合は、中毒を引き起こしている可能性が高いため、早急に動物病院を受診するようにしてください。

動物病院を受診した際には必ず、いつどれぐらいの分量を愛猫が摂取してしまったか、どのような中毒症状が出ているかを明確に獣医師さんへ伝えるようにし、適切な治療を受けるようにしましょう。


猫に安全・有害なハーブ

窓辺で猫草の前にいる二匹の猫たち

私たちの生活の中にはたくさんのハーブが身近にありますが、安全なハーブ、危険なハーブは以下の通りです。

・猫に安全なハーブ

もっとも身近で安全なハーブと言えるのが、イヌハッカとも呼ばれる「キャットニップ」です。

別名「西洋マタタビ」とも呼ばれている通り、ネペタラクトンといった活性物質に猫が反応し、興奮状態になって酔っぱらっているような姿を見せてくれます。

すべての猫ちゃんが反応を示すわけではありませんが、安心して与えられるハーブと言えるでしょう。

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そのほかには、「パセリ」「バジル」「シソ」などの身近なハーブ類も、猫が食べても安全と言われています。

・猫に有害なハーブ

ローズマリーと同じようにシソ科に分類される「ラベンダー」は、猫にとって毒性が強く、最悪の場合命を落とす危険性のあるハーブとなります。

美しい花を咲かせることから栽培されている方も多くいらっしゃると思いますが、外で育てていれば室内飼いの猫には安全といった問題ではなく、植物の成分を経口や吸入だけでなく経皮からも摂取可能となるため、飼い主さんに付着した少量の成分だけでも中毒症状を引き起こす危険性が高いと言えるでしょう。

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世の中にはたくさんのハーブがありますが、安全なハーブ以外は基本的に有害だと考えておいた方が無難です。

とくにハーブを使ったオイル製品に関しては、猫ちゃんによって影響の度合いが異なる上に、有害無害といった明確なデータがすべてのハーブに対して出ていないため、試しに使ってみて悪影響を受けるよりも、使わないでリスクを負わないといった選択をするしかありません。

精油などに関して豊富な知識や経験を持ち、猫の生態にも詳しい方でなければハーブのエッセンシャルオイル、アロマオイルなどは猫のいるご家庭では使用することを控えておきましょう。

・猫の行動範囲内に植物はなるべく置かない

猫も植物も好きという方は多いと思いますが、猫を自分の家族として迎え入れた以上は猫の健康を最優先し、危険を及ぼす可能性の高い植物は室内に置かないようにしてください。

植物やハーブの中には安全なものも存在しますが、正しい知識がなく色々な植物を好きなように育ててしまえば、それらの毒性が猫の身体に蓄積していくだけでなく、突然病気を発症する危険性も否めません。

どうしても育てる必要性がある場合には、それらの植物を愛猫の行動範囲には置かないようにし、植物の成分が付着しないような工夫を心掛けつつ育てるようにしてください。

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まとめ

猫にとってローズマリーは有害な成分が含まれていないため、食用のものであれば与えても問題ありませんが、成分を濃縮して作られているオイルなどは、猫にとって大変危険となります。

製品によって安全性が異なってくるため、猫に与える際には細心の注意を払うようにし、正しい与え方をしなくてはいけません。

たくさんのハーブ類の中には、猫にとって安全かどうかが解明されていないハーブもあるため、明確な研究結果が確認されていない以上、安全と言われているもの以外与えないことこそが無難と言えますよね。

愛猫の安全や健康を守れるのは飼い主さんだけとなるため、ローズマリーをはじめとするハーブを与える際には必ず少量を意識し、食べたあとにも中毒症状が出ていないかの確認を怠らないようにしましょう。

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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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