チューリップは危険!猫のいる家でNGの理由
とても可愛らしい花となるチューリップですが、猫には有毒といわれる成分が含まれており、危険な花として知られています。
猫ちゃんと一緒に暮らしているご家庭では、育てたり飾ったりすることを控えるべき花と言えますが、どの部位や成分が猫には危険となるのでしょうか。
◆チューリップはユリ科の植物
私たちにとって身近な花となるチューリップは、ユリ科チューリップ属の球根植物となります。
「鬱金香(うこんこう)」といった和名を持つチューリップですが、花も葉もシンプルで美しく、初心者でも育てやすい花あるでことから、日本でも人気の高い植物と言えますよね。
身近な花であるからこそご家庭で育てている方も多いとは思いますが、ユリ科全般の植物は猫にとって毒性が強く、大変危険であることをご存じでしょうか。
猫がユリ科の植物をかじるなどをして摂取した場合、急性腎障害を引き起こし、最悪の場合死に至るケースもあるため注意が必要です。
◆最も気を付けるのは球根
チューリップといった植物は、花、葉っぱ、茎、球根などのさまざまな部位が合わさって構成されていますが、どの部分を誤食してしまった場合、猫が中毒症状を引き起こしてしまうかも気になるところですよね。
基本的にはどの部分を摂取したとしても、中毒症状を引き起こす可能性があると言われてはいますが、もっとも有毒と言われているのが球根といった部位となります。
毒性の強い球根は人間であっても指先が触れれば、重い皮膚炎を引き起こすことがあるため、身体の小さな猫にとってはどれだけ有毒であるかが図り知れません。
チューリップの美しい花を咲かせる球根は毒素が濃く、誤ってかじってしまったり球根を入れていた水を飲んだりしてしまえば、激しい胃腸障害だけでなく、心臓に異常を来たすなどの症状が引き起こされる可能性があるため大変危険です。
愛猫が誤ってチューリップを摂取した際には、猫ちゃんの健康状態や体質などにもよりますが、症状が発現するまでの時間、症状の重症度なども異なってくるため、あまり時間が経過しないうちに適切な治療を行うことが回復への近道となります。
猫がチューリップを食べた場合の症状
実際に猫が誤ってチューリップを食べてしまった際には、以下のような症状がでることがあるため注意が必要です。
◆嘔吐や下痢など
チューリップを猫が摂取した際に、急性腎障害を引き起こして最悪の場合死に至ると前述しましたが、初期症状では嘔吐や下痢といった胃腸障害、食欲不振、無気力、尿障害などの症状が見られることが一般的です。
愛猫がチューリップを誤って摂取してしまったことに飼い主さんが気付かず、時間が経過して異変に気付いたときには、腎臓の機能が低下して急性腎障害を引き起こしてしまった場合、手遅れとなって命を落とす可能性も否めません。
◆中毒症状が見られたら病院へ
猫がチューリップを誤って食べてしまった場合、症状が発現するまでの時間や重症度は個体によって異なるため、飼い主さんが異変に気付いたときには治療が困難になってしまう可能性もあります。
猫の場合は中毒症状が自然治癒するケースは少なく、毒素が時間の経過とともに身体にめぐってしまえば、さらに重篤な症状を引き起こしかねないため、様子を見るようなことはせずに動物病院へ連れていくようにしてください。
摂取後そんなに時間が経たずに治療を開始できれば、症状が軽いうちに快方へ向かっていくことが可能となります。
中毒症の治療は症状によって異なりますが、催吐剤を使用した処置、消化管内で中毒物質を吸着してくれる活性炭の投与や胃洗浄、体液を正常な状態に保つ輸液療法などが行われるようです。
チューリップ以外の猫に安全な植物
チューリップは猫にとってとても危険な植物であることが分かりましたが、猫にも安全な植物があるとすれば、室内でも安心して飾れますよね。
猫ちゃんの居るご家庭では、どのような植物であれば安心して育てられるのでしょうか。
◆基本的には猫に安全な植物は少ない
ユリ科の植物やサトイモ科の植物などは、猫に危険な植物としてある程度認知はされていますが、そのほかにもたくさんの植物が存在しているため、すべての植物が猫にとって安全かそうでないかといった判断はできていないのが現状です。
比較的観葉植物は猫にも安全と言われてはいますが、何か猫に関わる事故が発生しない限り、猫にどんな症状が現れるかも明確になってはないため、飼い主さんはすべての植物に対して危機感を抱いていた方が得策と言えるのではないでしょうか。
「猫には危険な植物が多い」と日常的に意識するようにしておくと、必然的に植物と猫との適切な距離を保つようにもなるため、猫ちゃんと一緒に暮らす以上、飼い主さんの趣味として植物を育てることは控えるようにしておきましょう。
◆猫が好んで食べる猫草
猫が好んで食べる植物として、「猫草」は広く知られていますよね。
イネ科やムギ科の植物を猫草といった総称で呼びますが、別名では「ペットサラダ」「キャットグラス」などと呼ばれることがあります。
キレイ好きでセルフグルーミングを怠らない猫は、舐め取った被毛が胃や食道などに溜まりやすく、体内で消化されない被毛は通常であれば便と一緒に体外へ排出されますが、消化できずに被毛同士がもたれてしまうと毛玉となって吐き出されるようになります。
猫草には諸説ありますが嘔吐を誘発して毛玉を吐かせる効果があり、それを知ってか知らずか猫は嬉しそうに猫草を食べ、胃を刺激して毛玉を吐きだす子も少なくありません。
もちろん嗜好品として楽しんでいる子も多いため、猫ちゃんの居るご家庭で育てやすい植物と言えるでしょう。
◆猫も喜ぶキャットニップ(イヌハッカ)
ハーブ類も比較的猫には安全な品種が多いとされていますが、なかでもシソ科の多年草となるキャットニップは、猫ちゃっも喜ぶ西洋のハーブです。
日本で馴染み深いまたたびの海外版とも言えるキャットニップには誘因作用があり、ネペタラクトンといった成分が猫ちゃんを刺激して、リラックス効果をもたらしてくれると言われています。
もちろん反応するかしないかは個体によって異なりますが、猫に与えても安全なハーブであることから、室内で育てても問題のない植物となっています。
チューリップをどうしても飾りたい場合
猫と一緒に暮らしている方の中で、どうしてもチューリップを飾りたいといった気持ちがあるとき、事前に何かしらの対策をしておけば危険を回避できる可能性が高くなります。
室内でチューリップを飾る場合には、どのような対策が効果的となるのでしょうか。
◆猫が近付けない工夫をする
チューリップにはどの部位にも毒性の成分が含まれている通り、猫が一緒に暮らしている空間で何の対策もなしに飾ってしまうのは大変危険です。
直接花などをかじらなかったとしても、球根を浸している水を飲んでしまったり、身体に付着してしまった花粉を舐めたりしただけでも中毒症状が出てしまうため、いかに猫からチューリップを遠ざけて育てるかがカギとなってきます。
絶対に猫の手が届かない場所に飾らなくてはいけませんが、風通しの良い窓のそばに飾る(花粉が飛ぶ)、不安定な場所に飾る(水がこぼれる)などは控えるようにしましょう。
◆猫が入らない部屋に飾る
極論を言ってしまえばご家庭内に愛猫が入らない部屋があるようでしたら、その部屋でチューリップを飾ったり育てたりすることが一番です。
とくにサンルームなどは日当たりも良好なため、洗濯物だけでなく植物を育てるのに適していますが、そのような部屋は猫ちゃんも興味を示しやすく、なかなか入らないようにするのは至難の業とも言えますよね。
猫が入らない部屋が設けられない場合には、透明のフラワーケースなどを被せることによって、猫に無害なままチューリップを鑑賞できるのでおすすめですよ。
まとめ
私たち人間にとってとても身近な存在とも言えるチューリップは、春の訪れを感じさせる植物としても有名ですよね。
見た目の可愛らしさと育てやすさから室内でも飾りたいといった方は多いと思いますが、チューリップはユリ科の植物で毒性が高いため、猫には危険な花としても知られています。
どのような理由があったとしても猫と一緒に暮らす以上、少しでもリスクがあるような植物は室内で飾るべきではありませんが、どうしても飾る必要性がある場合には、猫が絶対に触れられない場所に飾る、猫の入らない部屋で育てる、フラワーケースなどを用いるなどの工夫をして観賞するようにしましょう。