まずは「殺処分」について知ること
<平成26年度データ>
出典:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
「ペットは家族同然」と多くの飼い主さんは言うでしょう。一緒に暮らしていることで、愛情が深くなり、そしてお互いの絆も強くなるものです。
しかし、悲しいことにそんな飼い主さんたちだけではないことが「殺処分」の数値に表れてしまっているのです。本当に心から犬に愛情を抱いている愛犬家の方々には想像がつかないかもしれませんが、なんと日本で殺処分されているペットたちは年間何万頭にも及んでいます。まずはその事実に向き合わなければなりません。
●どうして殺処分が行われるの?
悲しい現実ですが、保健所などの行政の保護施設には毎日のように犬たちがやってきます。しかし日本では行政機関に持ち込まれると保管期限があり、それを過ぎると殺処分が行われるということになっています。保健所に持ち込まれる犬は、どのような犬たちなのでしょうか。
– 迷子の犬 –
迷子となって道端を彷徨っていて保護されたワンちゃんたち。自治体によって保管期間が異なりますので一概には言えませんが、一定期間を過ぎてしまうと殺処分に踏み切られるケースがほとんどです。だいたい数日から1週間程度という自治体が多いようです。
– 捨てられた犬 –
飼っていた犬たちを野生に捨ててしまう人間も多くいるのが現状です。法律的には罰せられるべき行為ではありますが「捨てる」ということを簡単に考えている方が多いことの表れとも言えます。捨てられてから数日程度で保護されることもあるでしょうが、長い間、野生で暮らして「野良犬」となってしまうケースも多いです。
– ブリーダーが持ち込むケース –
動物を繁殖している業者が行政に処分をお願いするケースもあるようです。
– 飼い主が持ち込むケース –
実は殺処分となる犬たちの多くが「飼い主の持ち込み」なのだそうです。飼い主たちは自分勝手な理由で行政に持ち込みます。その理由は衝撃的なものばかりです。
「引っ越しのため」「病気になった犬の面倒を見たくない」「飼育に飽きてしまった」など、理由は身勝手過ぎるものばかりです。愛犬家の方々が耳にするとびっくりする内容ばかりですが、こうした責任感のない非常識な人間がワンちゃんを飼っているのもまた現実なのです。
●殺処分の現実
このように行政に持ち込まれる犬たちは後を絶たないのが現状です。しかし、すべての犬たちが処分されるわけではありません。迷子になった犬たちは、保管期間内に飼い主さんがやってくれば返還されます。
また「家族として引き取りたい」という新しい飼い主に出会えた犬は、譲渡という形で殺処分を免れます。
そして残りの犬たちが悲しいことに「殺処分」という結果になってしまい、その数は保護された全体の半分近くにもなるとのことです。
日本での殺処分は二酸化炭素を使用してのものですが安楽死とは言えず、実際の現場では犬たちが苦しんでいる様子が見られるようです。言葉でつづってしまえば簡単な「殺処分」ですが、犬たちの苦しみを思うと悲しみが溢れてくるようです。処分は職員の手によって行われるわけですが、彼らもまた精神的な痛みを抱えて業務にあたっているのではないでしょうか。
動物たちを自分勝手な理由で行政に持ち込むことは、保護をお願いしていることにはなりません。最終的には「殺処分」となることを考えれば、持ち込む時点でペットを殺してしまっているのと同じことなのです。
殺処分・・・世界と日本ではどう違うの?
犬や猫の動物は世界中に生きています。しかし、日本の殺処分は年間何万頭にもおよび世界的に見ても多い数値です。この現実をしっかりと直視し、ひとりひとりが向き合っていくことが大切だとも言えます。
●殺処分ゼロの国「ドイツ」
ドイツには、まず「殺処分」という制度自体がありません。そもそも犬たちを「愛玩的」な感覚で育てることはしません。犬たちの幸せを考え、社会全体で犬が生活していくことを見守っているので、ドイツではバスや電車などで犬たちが同乗する姿は珍しくありません。そのすべてのワンちゃんたちは、社会で生きていけるようなしつけをされていてマナーを守っています。
また日本のように保健所という施設も存在しません。多くのドイツの方々は責任を持って家族同然に犬と暮らしていますが、やむを得ない事情があって犬を手放す場合には新しい飼い主が見つかるまで預かってもらえる「ティアハイム」という施設で保護されます。
この施設では保管期間というものはありません。新しい飼い主が見つかるまで保護してもらえますし、しかもティアハイムで保護された動物たちの約9割が新しい家族に引き取られているのです。
●日本と比べると殺処分が圧倒的に少ないイギリス
イギリスでは殺処分される犬は年間約7000頭もいます。しかし、日本と比べるとかなり低い数と言えます。また、殺処分されてしまう犬は病気を持っている犬や人間に危害を加えるような問題のある犬、どうしても引き取り手がいない犬に限定されています。
出典:http://inuneco-partner.com/inuneco-02.html
殺処分を減らすためにひとりひとりができることとは
日本の場合、殺処分を行っている「保健所」が悪いという方もいるかもしれません。しかし、そうではありません。実際に本当に悪いのは無責任に飼育を放棄してしまう飼い主たちなのです。
殺処分を減らすためには、動物を飼おうとしている人、そして実際に飼っている人が「殺処分」に対して正しい知識を持つことが大切です。
●犬を飼うということについて考える
犬を飼う時は「大事な命を守る」という責任感をしっかりと持つようにしなければなりません。人間と違って、犬は一人では生きていくことができない生き物です。途中で飼い主に放棄されてしまうと、残酷な結果に繋がることを覚えておきましょう。
愛玩的な感覚で「犬」を衝動飼いしてしまい、無責任な理由で保健所に持ち込む人も実際多いです。「ペットショップでひとめぼれ」とか「可愛いから飼いたい」という安易な気持ちではなく、「本当に一生面倒見ることができるか」ということをよく考えましょう。そのワンちゃんたちの一生を責任もって面倒を見るということを忘れないようにしたいものです。
●迷子にしないようにする
迷子になるワンちゃんたちも多く保健所で保護されます。自治体によって保管期間は異なりますが、飼い主が保健所で見つけることができずに殺処分されてしまう犬たちもいます。迷子になる理由も散歩中に首輪がはずれた、放し飼いにしている最中に逃げてしまった、家のちょっとした隙間から外に出て行ってしまった・・・などさまざまです。
最も大事なのは、迷子にならないようにすべきことです。しかし、万が一、迷子になっても連絡をもらえるように、首輪の周辺に住所・電話を記載した札をつけておく対策も重要です。またマイクロチップの装着なども視野にいれておきましょう。
●保護犬を引き取るという選択肢もある
保健所で殺処分されないように動物保護団体が一時的にワンちゃんたちを保護しているケースもあります。これから犬と一緒に暮らしてみたい・・・と考えている人は、里親制度にも目を向けてみませんか。
新しい飼い主さんを待っているワンちゃんたちがたくさんいます。犬と一緒に暮らしてみたい、犬を飼いたいと思った時に、ペットショップで購入する以外にも、保護犬を引き取る「里親」という選択肢もあることも考えてみるのもいいのではないでしょうか。
それにより、一匹でも多くのワンちゃんたちが救われることになるのです。
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