保護犬と里親をつなぐ「犬の預かりボランティア」とは?

2020.11.26

保護犬と里親をつなぐ「犬の預かりボランティア」とは?

環境省の資料によると、平成26年に動物愛護センターや保健所に引き取られた犬は、53,173頭。この内、殺処分された犬は、21,593頭でした。飼い主をなくし、保護された犬の40%以上が殺処分されているという、悲しい現実があります。一方で、17,339頭の犬が里親に巡り合い、新しい飼い主さんのもとで新たな生活を送ることになりました。近い将来現れる里親を待つ間、一時的に保護犬を預かる「預かりボランティア」についてお話したいと思います。

【掲載:2016.02.29  更新:2020.11.26】

犬の預かりボランティアとは?

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犬を一時的に預かると聞くと、まずペットホテルを思いつくでしょうか。短期間、有料ですが預かってくれて、旅行や入院のときには便利ですよね。

盲導犬のパピーウォーカーは、一時的に犬を預かるボランティアとして知られています。盲導犬候補の赤ちゃん犬を盲導犬協会から預かって、愛情たっぷりに満1歳まで育てます。

今回お話しする預かりボランティアは、里親が見つかるまでの間、無償で犬のお世話をします。恒常的にボランティアの数は不足しているので、できるだけ多くの人の参加が望まれますが、誰もが気軽にできるものではありません。


犬の預かりボランティアの役割は?

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犬の預かりボランティアをするために必要なのは、ものばかりではありません。もっと大切なのは、命を守り育てるという家族全員の心構えです。次のようなことに、家族全員の合意が得られるか、確認してください。
動物愛護センターや保健所が、引き取った犬を保護する期間は、自治体によって異なります。環境省の調査によると、1~2週間を限度とするところがほとんどです。この短い期間中に里親に巡り合えなかった犬は、殺処分されてしまいます。長野県や京都府には30日まで預かる施設もありますが、それでも十分とは言えないでしょう。中には5日間程度の県もあるんです。

犬の預かりボランティアは、この短かすぎる保護期間を延長するため、里親が見つかるまでの期間限定でお世話をするのが使命です。


預かるのはどんな犬?

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犬の預かりボランティアが預かるのは、民間の引き取り団体で、里親を待っている犬です。動物愛護センターや保健所から譲渡されたり、直接引き取り団体に引き渡されたりして、おそらく不安や恐怖をかかえて暮らしている犬です。

保健所などが引き取るのは、まず飼い主が手放した犬。何かの事情で飼うことが不可能になって飼い主自ら保健所などにお願いするパターンです。次に、公共の場所で見つかった迷い犬。首輪やリードが付いたままウロウロしている犬が保護されるケースです。引き取られた犬は、HPや譲渡会で公開され、里親や元の飼い主に、譲渡・返還されます。

犬の預かりボランティアが預かるのは、譲渡も返還もされていない犬のうち、引き取り先が見つかる可能性の高い犬になります。血統の分かりやすい犬・小型犬・幼犬は人気が高く譲渡されやすいので、多くの場合、雑種の中型犬の成犬が預かり対象になります。


預かるときに準備するものは?

犬の預かりボランティアは、一時預かりとは言え犬を飼うことに変わりはないので、普通に犬を飼うのと同じものが必要になります。

【最低限必要なもの】
・ケージやサークル
・ドッグフードとエサ入れ
・水と水入れ
・首輪とリード

室内で飼うことを前提に預けられる場合が多いので、犬によってはトイレシートやベッドが必要です。健康管理やケアのため、病院代やトリミング代も必要になる場合があります。


預かる前に確認するべき心の準備は?

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・室内に犬用のスペースを確保する
・毎日散歩に連れて行く
・家族旅行などで、家を留守にできない
・病気や予防注射などで通院するとき車を使う
・犬の世話に時間もお金もかかる
・里親が見つかったら手放さなくてはいけない

これはムリ、という家庭もあると思います。それでも殺処分犬をなくしたいという思いがある方は、寄付金など別の形のボランティアもありますので、ぜひご検討ください。また、里親になれる場合は、一時預かりではなく譲渡を優先的に考えてみてください。


犬の預かりボランティアになるには?

準備も家族の心構えもOKなら、預かりボランティアになるのは簡単です。民間のボランティア団体が多数ありますので、自分に合う団体を選んで登録するだけです。

団体を選ぶ際、平成25年から「第一種動物取扱業」は営利、「第二種動物取扱業」は非営利と分類されているので、目安になると思います。自治体に登録している愛護団体もありますので、各自治体の動物愛護相談センター(動物愛護センター・動物指導センター・動物一時保護センターなど、名称はいろいろ)に問い合わせするのもおすすめです。例えば東京都の場合、譲渡対象団体として登録されている団体のうち犬を扱うのは42件あります。

団体によって規約がいろいろなので、良く調べて納得できるところを選ぶと良いです。病院代を負担してくれるところ、不妊・去勢手術を済ませていることころもあります。すでに済んだ注射の料金を負担しなくてはいけない場合もあります。こんなはずじゃなかった~というトラブルを防ぐため、事前にしっかり確認してください。


まとめ

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犬の殺処分を減らすため、なくてはならない犬の預かりボランティア。犬の命をつなぐ大切な役割を果たせますが、責任もあります。やってみたいけど迷っている方も、一度前向きに検討してみてください。


↓犬の預かりボランティアについてはこちらから↓

参考HP:犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容状況(都道府県・指定都市・中核市)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h26_dog-cat2.pdf

参考HP: 犬・猫の引取り等の業務
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h26_2_2_1.pdf

参考HP: 収容動物の情報を掲載している自治体リンク先一覧
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/shuyo/link.html#kanto



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坂田 ひかり

坂田 ひかり

子どもの頃から犬を飼い続け、犬と一緒に成長してきました。意外と知らない衝撃の真実や、知って得する豆知識を紹介していきたいと思います。犬好きさんがもっと犬を好きになって、犬と一緒に幸せになってもらえたら嬉しいです。

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