同行避難はペットオーナー様のためだけではない
環境省は、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506.html
)において、「同行避難」すなわち、伴侶動物を連れて避難所に入ることを原則としています。
環境省が同行避難を原則としているのは、ペットオーナー様のためだけではありません。人の手を離れてしまった動物が野生化すれば、地域住民にも害が及ぶことになります。実際に、東日本大震災などでは、取り残された動物の野生化が大きな問題となりました。
「ペットの同行避難」の問題は、伴侶動物と暮らす私たちと、それ以外の地域住民の皆様が一緒に考えていかなければならない問題なのです。
各地方自治体は同行避難を実現する計画を策定する必要がある
環境省が伴侶動物との同行避難を原則としている以上、各地方自治体には、同行避難を実現する計画の策定が求められます。いかなる対応が的確かについては、その地域で飼育されている伴侶動物の頭数や、伴侶動物と暮らすライフスタイルが地域社会に受け入れられているかなどを勘案し、各地方自治体が地域防災計画の中で決めていくことになります。
例えば、東京都が平成26年3月に改訂した「東京都動物愛護管理推進計画(ハルスプラン)」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/horeishiryou/keikaku.files/26suishinkeikaku.pdf
)では、「施策-15 災害時の動物救護体制の充実」において「災害時に飼い主と同行避難した動物」への対応が的確に行われるよう、区市町村の防災計画の整備を一層働きかけていくとしています。また、区市町村が防災計画に定めた同行避難に関する内容が災害時に円滑に実施されるよう、避難所におけるケージの確保などを促進するべく都が支援していく旨を明記しています。
皆様がお住まいの地方自治体にも、動物愛護管理推進計画があります。自治体のホームページなどで確認をしてください。
伴侶動物と暮らしていない方たちへの配慮が不可欠
私たちにとって伴侶動物は家族ですから、ともに避難所に入りたいと思うのは当然です。しかし、世の中には動物が嫌いな人たちもいます。実際に、兵庫県南部地震では、同行避難をした人と動物嫌いな人との間にトラブルが発生し、同行避難をした人が避難所から退去させられる事態が発生したところもありました。
比較的うまく共存していた避難所の共通点として、「避難者同士のコミュニケーションが取れていた」ことが挙げられます。避難所は学校である場合が多く、避難民をどこで生活させるかの「部屋割り」が発生します。そこで、避難所のリーダーが、同行避難をした世帯や、動物が好きな人と嫌いな人について早い時期から配慮し、部屋割りに生かしていたとのことです。また、同行避難をした家族同士が話し合い、校舎や体育館などには伴侶動物を連れて入らないという取り決めをしてトラブルを防いだ事案もありました。
災害時に備える意味でもご近所付き合いは重要
避難所は地域ごとに設けられます。災害前から、ワンちゃんを飼っている方とはもちろん、飼っていないご家庭とも挨拶を交わすなどして、信頼関係を築いておくことが大切です。普段から地域社会との交流を深めておきましょう。町内会や清掃活動、お祭りへの参加など、交流を深める機会はたくさんあります。
伴侶動物と暮らす私たちは普段から適正飼育を心がけ、動物と暮らしていない方々にも同行避難を認めてもらえるようにしていかなければならないといえるでしょう。