基本的に「歯」は口の中に隠れているので状況が分かりにくいものですよね。しかし、歯は食事をする時に欠かせない大事なものですから、乳歯や永久歯について飼い主として覚えておくと、いざという時に安心します。
一方、永久歯は切歯(せっし)、犬歯(けんし)、前臼歯(ぜんきゅうし)、後臼歯(こうきゅうし)がそれぞれ上顎と下顎にあり、全部揃えば42本と乳歯よりもだいぶ多めです。
ただ、歯の本数ですが必ずしも42本生えてくる訳ではなく、欠歯(けっし)と言って歯が少ない場合と過剰歯(かじょうし)と言って歯が多い場合もあります。このような本数の異常は短頭種や小型犬には多いことで珍しい症状ではありません。
また埋伏歯といって歯肉の中に埋まっている状態の場合もあります。
珍しくないこととはいえ、正常に本数が生えてこない時は今後の噛み合せにも影響し、ワンちゃん自身が大変な思いをすることもあるので、できるだけ早めに動物病院で確認してもらうようにするといいですね。
抜ける時の前兆って子犬は分かるの?
歯が生え変わる時期を歯牙脱換期(しがだっかんき)と言いますが、この時期は子犬にとっては口の中がとても気になる時期です。
乳歯が抜ける時には違和感があるものなのですが、子犬にとっては、そんな事情を知るはずもありませんよね。そこで「ムズムズする」という感覚を少しでも紛らわすための行動に出ます。
多く見られるのが「何かを噛む」という行動。おもちゃ、クッション、タオル、毛布などから、テーブルや椅子の足部分まで・・・。
ガジガジと噛むので、気が付いたらボロボロになっていることさえあります。犬用のガムをかじらせて気を紛らわせてあげるのもいいですね。
子犬がやたらと何かを噛むようになったら「生え変わりかな?」と思って下さい。
歯が抜けたのに行方不明!?
ガジガジと何かをかじっているのを見ると歯の生え変わりの時期の合図ですが、「抜けた歯らしきものが行方不明」ということも多々あります。
周囲を探しても歯らしきものがない時は、実は飲み込んでしまっていることもよくあることです。
飼い主としては飲み込んで大丈夫なのか・・・?という点が気になるところですが、飲み込んだとしても心配はいりません。
便に混じって体外に排出されますので安心です。
また、最も気になるのが出血。おもちゃで遊んでいる姿をよく見たら出血していることもあります。そんな時はとても心配ですよね。
どうしたらいいかオロオロしてしまうかもしれません。出血は基本的に少しすれば止まります。自然の流れにまかせましょう。
●抜けきらない場合がある
乳歯は自然に抜けていくものですが、場合によっては抜けずにそのまま残ることがあります。この状態は乳歯遺残(にゅうしいざん)と呼ばれて、あまりよくない状態です。乳歯が残っていることで歯が2列になるため、食べたものも挟まり歯垢が溜まりやすくなります。歯が2重に並んでいるので、歯磨きをしてあげても完全に挟まったものを除去するのは困難です。
また、乳歯が残ってしまったことで永久歯が正しく生えてこないこともあります。残った乳歯が生えてくる永久歯のじゃまをしてしまい、本来生えるべき方向に生えてこなかったり、中途半端に生えてしまったりします。噛み合せにも影響して、そのまま放置すると歯周病になりやすく病気のもとです。
このような状態は小型の犬によく見られる症状で、そんなに珍しくない状態です。とはいえ、放置せずに適切に対処したいものです。
動物病院での相談になりますが、乳歯が残った場合には、基本的には抜歯を勧められます。
ただ、抜歯は全身麻酔での手術。それだけのための麻酔が気になる飼い主も多く、避妊手術や去勢手術と一緒に行うことを勧める獣医さんも多いです。抜歯の時期については相談しながら、愛犬の状態を考えつつ行うことが一番ですね。
生え変わりの時期の歯磨きケアについて
●おすすめ商品
360度型なので、どこからでも磨け、従来の歯ブラシのように、毛の裏面のプラスチック部分が歯や歯茎にカチカチ当たることがなくて安心。
乳歯から永久歯へと生え変わる時期までは、結構短い期間です。しかし、「どうせ生え変わるのだから歯磨きしなくてもいいのでは?」という安易な考えはNGです。
「歯磨き」という習慣は、子犬の頃から始めるのが最も良いものです。歯磨きの習慣が全くなかった犬が、成犬になってから始めようとしても嫌がってやらせてくれないのはよくあること。歯磨きをしないことで歯石や歯垢が溜まって歯周病へと発展することは珍しくないことなのです。そのため、子犬時代から歯磨き習慣をつけておくと、歯の病気のリスクも低くなり、綺麗な歯を維持できるようになります。
また、歯が生えかわる時期は、乳歯が抜けているということ。歯が抜ける時には、当然出血もするので、お口のニオイが気になることが多いです。歯磨きの習慣を身につけさせるため、お口のニオイをとるため、といった二つの理由から生え変わり時期に歯磨きをしていくようにしたいものです。
●歯磨きのしかた
歯磨きというと歯ブラシでゴシゴシというイメージが強いですが、子犬時代にはまず口をさわられることに慣れさせることを第一に考えましょう。
生え変わりの時期は、ただでさえ口の中の違和感が大きく、子犬にとっては、口を触られるのはとってもストレスです。
初めのうちは、ガーゼやタオルなどでお口周辺を撫でたりするだけでもいいですね。慣れてきたら口をめくって、前の方の歯に触るのを慣れさせます。
この時期はしっかりと歯磨きすることより、犬用の歯ブラシ、歯磨きシート、歯磨きジェル、ガーゼなどで「歯に触られる」「口に触られる」ことを慣れさせることが大事です。
●おすすめ商品
ふくだけで汚れをとる歯みがきシートです。シートは、凸凹部分とウェット部分のストライプ構造。
生え変わりの時に注意したいこととは?
生え変わりの時には、ワンちゃん達は歯に違和感があり、ムズムズとイライラの連続でしょう。
そのため、食事の時に食べるのを嫌がったり、食事が進まなかったりすることもあります。
グラグラとした歯や生えてこない歯茎の部分で食事をすることは、とても気になるもので「食べたいけれど歯が気になる」という状況と葛藤しているのかもしれませんね。ドライフードのままだと歯茎やグラグラの歯に直接あたって、余計食欲が落ちてしまいます。
でも、食事は必要なことです。そこで犬が少しでも食事をしやすいような配慮をしてあげることが飼い主としての役目です。
歯が生えかわる時期には、ドライフードに水を足して柔らかくふやかしてあげるのがいいでしょう。
与えた食事を全部食べなかった時には、雑菌が繁殖してしまうこともあるので処分して衛生面も気をつけてあげたいものです。
一生大事にしていかなければならない健康な歯を維持するためには、飼い主としての定期的なケアと病院でのアドバイスなども大事です。
愛犬の長生きのために気をつけてあげたいものですね。
eye catching by Justin Kent
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