そもそも犬はどのくらいの言葉を理解する?
「言葉」でコミュニケーションを交わし合うというのは人間だけが行えることです。他の動物たちは、「言葉」を発することができません。
もちろん犬も言葉を話すことはできませんよね。
しかし、犬は古い時代から人間の素晴らしいパートナーとして、人間の身近に生きていました。これは、言葉を発することは出来なくても、言葉に対しての理解力がある犬だからこそ。そのため、しつけを行うと「飼い主がして欲しいこと」をしてくれるようになります。
犬種によっても違うものですが、犬は人間の幼児程度の知能を持っています。その知能は2~3歳ほどとも言われ、多ければ200個もの言葉を覚えてくれる犬もいるようです。
人間と一緒に暮らしている多くのワンちゃんは、「オスワリ」「マテ」「フセ」などしつけに必要な言葉やボディランゲージは覚えてくれるものです。
飼い主の顔やジェスチャーを見て、そして言葉も聞きながら「学習」することができます。
さらに、さまざまな場所やモノを記憶する力も・・・。愛犬との散歩を日課にしている人ならお分かりでしょうが、いつもと違ったルートを進もうとすると「そっちじゃないよ、こっちだよ」とでも言いたげな表情をすることがありますよね。
「犬が人間の良きパートナー」と言われる所以は、こういった知能の高さがもたらしていることなのでしょう。
すべての犬が自然に言葉を覚えてくれる訳ではありません。
人間の赤ちゃんだと、周囲の人が話しかけたりする頻度が多ければ多いほど、早く言葉を覚えてくれるとも言われています。
家族が多いと話しかけられる回数が増えるので、おしゃべりが早くなるものです。
こういったことは、家庭で飼う犬にも当てはまることです。
人間が愛犬とコミュニケーションを取ろうと話しかける頻度が多いと、犬はその言葉を聞く回数が増え、言葉に対しての理解が深まっていくようです。
さまざまな犬種が存在しますが、種類によっても知能に差があると言われています。犬の種類は多いので、それぞれに大きな格差がある訳ではありません。しかし、そんな中でも高い知能を持っている犬種のトップとも言えるのが、ボーダーコリー。ある研究によると、人間が伝えた命令の98%に従うことができたとのこと。頭が良く忠誠心が強い犬種なのですね。
ただ、知能が高いと言われている犬種であっても、性格や環境によって異なる部分も大きいので一概には言えない部分もあるようです。
犬の脳の研究によって分かったこととは?
このように、犬たちは人間の言葉を理解してくれる生き物であることは、たくさんの方が知っていることです。
そして、実は犬たちは「言葉」だけでなく、その言葉に含まれる「真意」をも理解していることが研究によって明らかになってきたのです。
「真意」とは、言い換えれば「感情」です。人間は言葉だけでなく、相手の微妙な声色などで「気持ち」を読み取ることができます。
これは、単に耳で言葉を聞くだけでなく、声色や表情などを脳で判断し理解していくことが人間にはできるからです。
そのように、相手の感情を理解するということが、犬にもできるという研究発表がとても興味深いですね。
研究の結果を発表したのは、ハンガリーにあるEotvos Lorand大学のチーム。研究の主導をした動物行動学者であるアッティラ・アンディクス氏は、自分が犬好きということもあり犬への理解を深めるべく研究をスタートさせたということです。
この研究に協力してくれた犬は全部で13匹ですが、初めからスムーズに行われた訳ではありませんでした。研究を行う上で、脳の活動を調べる必要がありましが画像診断を行うためにはMRIで動かないようにする訓練が重要でした。
機械装置の中で「動かずにじっとする」ということを覚えさせることは、かなり大変なことだったでしょう。
MRIの台の上に乗せられても大丈夫なように、しっかりとしたしつけをクリアした優秀な13匹の犬達だったのですね。
実験最中には、次のようなパターンで犬達に言葉を投げかけました。
・褒め言葉を抑揚をつけて話す
・褒め言葉を単調に話す(抑揚をつけずに)
・褒め言葉以外を抑揚をつけて話す
・褒め言葉以外を単調に話す(抑揚をつけずに)
これらの4パターンの言葉の実験の際の脳の活動により、左脳では「単語」、右脳により「抑揚部分」に反応していることが明らかになったのです。
体の大きさがそもそも違うので、人間と犬では脳の重量も異なります。しかし、基本的な脳の構造は一緒と言われています。
ただ、犬は本能で動く動物ということは多くの方がご存知でしょう。つまり、脳の中で人間と違って発達していない部分が理性の部分なのです。
そのため、好奇心や興味に伴って「本能のまま」に行動させてしまわないように、人間が「しつけ」によって抑えてあげることが重要なのですね。
イントネーションが愛犬の言葉の理解力を深めていく
研究の結果のように、イントネーションの違いで「褒められている=嬉しいこと」という事が理解できているという犬達。
「褒めて伸ばす」という教育法を耳にすることがありますが、褒められると嬉しいのは犬も人間も一緒です。
犬が言葉の抑揚に反応することから、しつけの際には「褒め言葉」を発する際にイントネーションを変えて強調してあげることが効果が出るでしょう。
しつけは単に言葉を覚えさせるだけでなく、犬達の感情を高めてあげることも大切です。飼い主の気持ちを読み取ることができる犬にしつけることができれば、一緒に暮らしていく中でさらに幸福感が増えることにも繋がります。犬は飼い主に褒められることを何より喜ぶのです。
そのため、ひとつひとつの行動を覚えた時に、喜びの感情を込めて褒めてあげると犬は大きく喜びます。人間でもそうですが、感情のこもっていない褒め言葉は、はっきり言って嬉しくありませんよね。しかし、心から褒められた時には「次も頑張るぞ!」と思えるものです。
研究によっても明らかになったことですが、「右脳を活発にする」ためには感情のこもった抑揚のある言葉を発することが大事です。
動物の中でも高い知能を持つ犬ではありますが、その力を伸ばせるかのカギは飼い主さんが握っていることです。
言葉を理解できる素晴らしい能力があるのですから、しっかりとしつけをしてあげましょう。また、人間と一緒で犬にも性格があります。
個体差があるので、その子の個性を見極めてストレスにならないように個性を伸ばしてあげたいものです。
そして、何かを達成した時には気持ちを込めて「褒める」ということを伝えましょう。犬は飼い主さんの言葉だけでなく、表情やイントネーションから理解します。犬とコミュニケーションを取るには「心から褒める」ことが大事で、犬の知能をますます活性化できるのです。
犬が持っている知能を最大限に引き出せるかどうか・・・。これは飼い主次第とも言えるのかもしれませんね。
eye catching by PRODonnie Ray Jones
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