犬が散歩の時引っ張る理由
散歩の時に飼い主さんを引っ張ってしまう犬には、何点か共通点があります。
一つ目は犬の性格です。
好奇心旺盛な性格の場合、「この先に何があるのか知りたい」、「早く行ってみよう!」という気持ちが前面に押し出されます。興奮して、自制心がきかない場合があるのでしょう。自分が行きたい方向へグングンと足を進め、飼い主さんをどんどん引っ張ってしまうのです。
二つ目は使用している道具によるものです。
散歩に伸縮リードを使用している方も見かけますよね。これは、愛犬が行きたい方向へ、行きたい分だけ進むことができる道具といえます。これを使用しているということは、飼い主さんが行き先を愛犬に任せているということになるのです。
何より、広い公園やドッグラン等の限られた安全性の高いスペースでの使用ならば問題はありませんが、交通量や人の多い歩道で使用するのはとても危険です。
伸縮リードにはストッパーが付いていますが、突然予想外の動きをした場合、飼い主さんがストッパーでブレーキをかけてあげられるかどうか確信は持てませんよね?「うちの子は絶対に道路に飛び出したりしない」という思い込みはただの過信です。危険性の高い行為は、愛犬の為にはなりません。散歩の際には、伸縮リードの使用はお勧めできません。
三つ目は、持っているリードの長さです。
飼い主さんの横を愛犬が並んで歩く、これが理想的なポジションですね。しかし、意外にも飼い主さんが誤ったリードの持ち方をしていることが結構多いのです。
まずリードが長すぎる場合。愛犬が飼い主さんと1メートル以上も離れて先行して歩いてる光景を見たことはありませんか?このパターンではほとんどの場合、飼い主さんは引っ張られてはいないのですが、これは伸縮リードを使用しているのと何らかわりません。咄嗟の危険に反応が遅れることも考えられます。
そしてリードが短すぎる場合。これは、引っ張る愛犬を無理矢理飼い主さんが並行して歩かせようとしている場合がほとんどだと思います。これでは、リードが常にピンと張ったままですね。お互いに、散歩中ずっと引っ張られていると感じ続けるだけです。リードは、弛んでいる状態がベストなのです。
三つの共通点を紹介しましたが、これらの共通点の全てにいえることが、散歩の主導権を飼い主さんが握っていない状態にあるということですね。
犬が散歩の時引っ張る原因
それでは、どうして散歩で引っ張るようになってしまったのでしょうか。
実は飼い主さんが原因であることが、ほとんどのケースといえます。
愛犬に引っ張られる飼い主さんは、これまでにしてきた散歩の状態を思い返してみてください。
引っ張られながら、それについて歩いてはいませんでしたか?愛犬は、「自分の行きたい方向へ引っ張れば、飼い主さんがついて来てくれる」と、学習してしまったのです。
もう一つの原因として、飼い主さんが愛犬を引っ張っている場合も考えられます。
犬の習性の一つに対向反射というものがあります。これは、首・胸に圧力を感じると反射的に同等の力で対抗しようとするものです。飼い主さんがリードを引っ張った分、愛犬が同じ様に引っ張り返す。この状態には、習性も関わっているのです。
無理矢理引っ張られれば、重心を前へと傾けてそのまま引っ張ろうとします。人間にも同じことがいえますよね。突然、後ろから腕等を引っ張られたら、咄嗟に身を引きませんか?この状態ととても似ています。
これらの原因を頭に入れておけば、しつけも納得して行える気がしませんか?
それでは上手にお散歩ができるようになる為に、正しいしつけ方法を覚えておきましょう。
犬が散歩の時引っ張る場合のしつけ方
まずは、愛犬にして欲しいことと、して欲しくないことを念頭に置きましょう。
散歩中は、飼い主さんの側を愛犬に並んで歩いて欲しいですよね。して欲しくないことは、自由に動き回り、飼い主さんを無視することです。
しつけ方法の基本は、上手にできたら「ご褒美」、できなかったら「おしおき」を繰り返すことです。
今回は正しく散歩をさせることが目的なので、飼い主さんを引っ張らずに歩けたら「オヤツ・褒める等」のご褒美を。引っ張ったら、「飼い主さんが止まる・先に進ませない」ことをおしおきとします。
しつけに必要なものは、まずご褒美のオヤツ、そして、散歩で使用するリードと首輪です。
リードの長さは様々な種類がありますので、愛犬の体格にあった丁度良いものを選びましょう。
首輪もサイズを間違えると、抜ける可能性が高まるので注意してください。
首輪ではなく、ハーネスを使用している方も多いですが、引っ張り癖の強い子には首輪の方が効果的といえます。ハーネスは圧力を分散させるので身体には優しいのですが、その分、引っ張った際の不快感が低いのが難点となります。
とはいえ、犬種によっては首輪が抜けやすかったり、ハーネスが抜けやすかったりと様々な問題が発生するかもしれません。愛犬の体型にあったアイテムを選んで、しつけに取り組んでください。
ちなみに、ヘッドカラーという引っ張り防止のアイテムも商品化されています。これは、犬が強く引っ張った場合、マズルに圧力がかかって、適度な不快感を与えるものです。更にこの圧力は、優位な犬がマズルを噛んで押さえつける行為の代替となる可能性をも持っており、自然に服従心を養えるとも考えられています。
引っ張り癖が中々直らない…という飼い主さんは、こういったアイテムの使用も視野に入れてみてください。
<正しい散歩のしつけ方>
①首輪とリードを付けて、まずは自由に歩かせよう!
近くのものに興味を示してうろうろ歩いたり、立ち止まってにおいを嗅いだりしても、これは自然な行動なので問題ありません。飼い主さんの近くを離れずに、リードを引っ張らない限りは、そのまま歩かせてあげます。
②リードを引っ張った瞬間におしおき!
犬が飼い主さんから離れて自由に動き回ると、リードがピンと張り、首に圧力がかかります。これがおしおきとなります。
首への圧力が不快感として続けば、苦痛から逃れるために引っ張ることをやめてくれます。
とはいっても、探索欲求や対向反射により、多少の苦痛では引っ張ることをやめない子もいると思います。どうしても直らないようであればアイテムを変える等して、愛犬が覚えるまで根気強く繰り返しましょう。
次第に、「リードを無理やり引っ張ることで嫌なことが起こる」と認識してくれるようになります。
③飼い主さんの側にきたらご褒美!
犬はリードを引っ張ることで首に苦痛を感じると、それから逃れる場所を探して飼い主さんの横に戻ってきます。
その瞬間、ご褒美をあげましょう。すぐに「いいこ」等の言葉をかけて、用意していたオヤツをあげます。
これを繰り返すことで、「飼い主さんの横につくと良いことがある」と認識していくのです。
この、引っ張らせる所から、ご褒美をあげるまでの一連の工程を何度も行いましょう。
初めは、全然前に進めないかもしれません。一歩進んで止まる、これが繰り返されるでしょう。しかし、しつけに最も必要なのは飼い主さんの根気です。めげずに続ければ、愛犬は「リードを引っ張ると嫌なことが起きるけど、引っ張らなければ良いことが起きる」と、学習していけます。
④愛犬が飼い主さんの横を歩けるようになってきたら
リードを引っ張らずに歩けるようになったら、今度は条件を変更してみます。歩く速度や散歩ルートを変えてみるということです。状況や環境が変わっても、変わらずに飼い主さんを横を歩いてくれるようであれば大成功です。
また、徐々にご褒美のオヤツも減らしていきましょう。上手にできた時のオヤツの回数を減らして、「いいこ」等の褒め言葉のみにしていきます。
オヤツの与えすぎは、愛犬の健康にもよくありませんし、オヤツ自体に飽きてしまう場合もあります。
毎回あげていたオヤツを、2回に1回、3回に1回という風に減らしていけば、最終的には、「飼い主さんの横を歩くのが当たり前」になっていくはずです。
しつけの注意点
上手な散歩の仕方をしつける上での注意点があります。それは、「飼い主さんが引っ張らない」ということです。
前述しました通り、飼い主さんが引っ張れば愛犬も同じように引っ張ります。これを繰り返していては、引っ張り癖を直すことはできません。
更に、無理矢理リードを引っ張る行為は、犬の身体にも大きく負担を掛けるのです。しつける上での罰としてリードを引く方法もありますが、これは引っ張る強さやタイミングを計るのが非常に難しいです。犬種によっては、眼球脱出の危険性もあります。
チョークカラーを使用している場合は、特に眼球血管の損傷・気管や食道の損傷・喉頭反回神経麻痺等の症状発生も考えられるのです。
愛犬にとっても、飼い主さんにとっても良いことは一つもありません。
まとめ
犬にはそれぞれ個性があります。探求心を抑えられない好奇心旺盛な子であれば、散歩のしつけは本当に難しいです。
しかし、愛犬を守る為には、引っ張り癖を直すことは欠かせません。
道路への飛び出しは、不慮の事故を招きます。引っ張られた際にリードを離してしまったら、そのまま迷子になってしまう恐れもあります。
何度もいいますが、しつけに必要なのは飼い主さんの根気です。上手に歩けるようになるまでは、散歩自体を楽しめないかもしれません。
しかし正しい方法でしつけを行えば、いずれ上手な散歩ができる子になれるはずです。
お互いが楽しく散歩ができるようになるまで、めげずに取り組みましょうね。
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