犬は何歳からシニアなの?
ひとくちに犬といっても、体の大きさが違います。超小型犬と言われるほど体が小さい犬から、立ち上がると人間ほどの大きさになる超大型犬までさまざま。一般的に犬の年齢は、犬の体の大きさによって考え方が変わります。
●犬の年齢の考え方
犬の平均寿命は、だいたい10~15年です。そのため、人間の4~5倍ものスピードで成長していきます。
特に、犬が赤ちゃんから1歳になるまでのスピードは速く、小型犬の場合は人間でいう17歳にも相当します。
その後は、1年で4~5歳ずつ年を重ねていくという考え方が一般的なものです。
生後7年では人間の44歳、生後10年では56歳、生後15年では76歳に相当するのではと考えられています。
●大型犬の成長スピードは速い
一方、大型犬ですが、実は生後1~2年までの成長スピードは、小型犬や中型犬と比較すると遅めです。
大型犬は、生後1年のときには人間年齢で12歳、生後2年のときには人間年齢で19歳くらいと考えられています。
しかし、生後4年くらいになると成長スピードが速まり、生後5年では人間の40歳、生後7年では人間の54歳、そして生後10年を経過したころには人間の75歳にも相当してしまうのです。
●何歳からが「シニア」の始まり?
小型犬や中型犬は7~8歳、大型犬は5歳を過ぎたあたりからシニア期の始まりと言われるケースが多いです。
この頃は、人間の年齢に換算すると40代のころ。現実的に考えると人間でも40代のころには、まだまだシニアとは言わないものですよね。犬の場合も一般的なシニア期の始まりではあるものの、「老犬」とは言い難い状況がほとんどです。つまり、一般的にシニア世代と言われている時期には、これからの老後に向けて準備する時期と言えるのです。
昔と違って犬用のフードや生活環境が整ってきた現代では、犬の寿命も長くなってきています。
そのため、小型犬や中型犬は9~10歳、大型犬では6~7歳前後からがシニア期特有の本格的な老化の兆候が見られやすくなっています。
●シニア期の始まりには健やかな老後に向けての準備をする
シニアとは言っても犬種や体重、大きさ、生活環境や毎日の習慣、食事内容など、さまざまなことが関係して老化スピードは異なります。病気とは無縁でハツラツとした生活を送っている元気なワンちゃんならシニア期に入っても健やかさをキープしていられているかもしれません。
あくまでも「目安」とする時期であって、環境によっては実際のシニア期がずれていくものです。
愛犬がシニアと言われる時期にやってきたら、これから始まる老化現象のことを考えることが大事です。
シニア期から高齢犬となる将来に向けた健康管理をするのが飼い主さんの責任でもあります。
シニア期に見られる兆候とケアの方法
シニア期に入ると、少しずつ老化の兆候が始まります。個体差があるのでその兆候の見られ方は違いますが、その年数になったからと言っていきなり介護が必要なほど老犬になることはありません。
「あれ?」と思うことが少しずつサインとして表れるので、飼い主さんとしては見逃さずにシニア犬へのケアをしてあげることが大切です。
– 寝ていることが増える –
シニア期には寝ている時間が増えるようになります。老化の始まりとしてよく見られることですが、ときには病気が原因で寝てばかりのこともあるので、他にも症状があるときにはチェックしておきましょう。
– 周囲への興味がなくなる –
シニア期には誰かが訪問して来ると反応していた愛犬が、興味を示さなくなることもあります。
好奇心が旺盛だった若いときに玄関のチャイムに反応していた、リビングから見える人の往来に反応していた、周囲から聞こえる大きな音に反応していた…なども、少しずつ無関心になってくるのがシニア期です。
また、シニア犬となるとあれだけ好きだったオモチャも興味がなくなることも多いようです。なかには遊び始めるものの、すぐにプイッと止めてしまうなど飽きやすい兆候も見られます。
おもちゃへの興味が失われつつありますが、愛犬が興味を示す工夫をして一緒に遊んであげましょう。
飼い主さんと一緒に楽しく遊ぶのは、シニアになった愛犬の脳を活性化する秘訣でもあります。
– 散歩を嫌がるようになる –
ワンちゃんと言えば散歩ですが、散歩への意欲が失われてしまうシニア犬もいます。たとえ散歩に出かけても、途中ですぐに疲れるのか帰りたげな様子を見せることもあります。老化が進むと寝ていることが多く、周囲への興味が失われます。散歩も行きたがらないので、飼い主さんとしては無理をさせないようにしたくなります。
しかし、そのまま運動不足の状態が続くと、筋力も失われ老化のスピードが速まるだけです。
最終的に寝たきりになれば介護なしでは生活できなくなってしまいます。できるだけ体力をキープするには、無理のない範囲で積極的に体を動かしてあげることです。散歩を止めるのではなく距離を少し短くするようにしましょう。
– 足腰が弱まってくる –
シニア期になると足腰が弱くなってきます。そのため、足をあげたり下したりが辛くなるようです。
特に、階段の昇降が上手くできずに避けるようになる犬もいます。ソファーに昇り降りするのが好きなワンちゃんには、スロープや小さい階段を設定してあげましょう。
また、室内の滑りやすいフローリングがシニア期のワンちゃんの足の関節を傷める原因にもなります。
カーペットを敷くなどして、足への負担を和らげてあげましょう。最近では、ペット用の滑りにくいフローリングもあります。
愛犬のための床のリフォームも検討してもいいかもしれませんね。
ワンちゃんがソファーやベッドから飛び降りる動作は、足腰の負担となり脱臼や骨折などにつながる可能性があります。膝を痛めやすい室内の小型犬のワンちゃんや、歳をとったワンちゃんに特におすすめです。
– 被毛の変化が見られる –
シニアのサインとして「白髪」も見られます。犬にも白髪が生えるなんて驚きですよね。一般的には、シニア期と言われる7~8歳くらいから毛に変化が出てくるようです。ただ、そもそも白い被毛のワンちゃんだと、白髪が増えても分かりにくいかもしれませんね。
また、被毛にツヤがなくなる、パサつく、抜け毛が多くなるなど、被毛に変化が見られるようになります。
加齢によって血行不良となり、被毛への栄養分が行きわたりにくくなるのが原因のようです。
シニア期には、被毛の健康にも配慮したフードを食べさせることで栄養管理をしていきましょう。
– 食欲が失われてくる –
食欲にも変化が見られます。
・食欲がなくなってきた
・食欲が旺盛過ぎる
・硬いフードが食べづらい
・口からフードをこぼしている
・いつものフードに興味を示さない
などの変化がみられます。
加齢によって口内環境が悪くなり、固いものが上手く食べられないことがあります。食べづらそうにしていたら、水でふやかして柔らかくしてあげることも必要になるでしょう。また、市販のドッグフードには、ライフステージごとのラインナップがあります。それぞれの年代別に必要な栄養素が異なるので、年齢に応じたものを食べさせてあげましょう。
– トイレの変化が見られる –
今まできちんとトイレで排泄ができていた犬が、シニア期になると粗相をすることがあります。
また、シニア期になると排泄の回数に変化が見られます。特に、ウンチがスムーズに出ないこともあります。
これは老化により内臓の働きが弱まることが原因でもあります。
– 目が衰えてくる –
白内障になると目が濁ってきます。また、視力が弱まってくるので、家のなかでもいろいろなところにぶつかってしまいます。
完全に失明してしまうと、飼い主さんの介護なしでは家のなかが危険にもなってしまうでしょう。
愛犬がぶつかってケガをしそうな危険なものは、できるだけ片づけておくようにしたいものです。
テーブルやイスを片付けて愛犬の通り道をすっきりさせるようにしましょう。また、ぶつかると危ないので家具の端は、柔らかいもので覆うなどの工夫をしてみるといいかもしれません。
– 認知症の症状が見られることも… –
犬も加齢により認知機能が衰えてくることがあります。言葉が話せない犬の認知症に気づくのは難しいかもしれませんが、次のような症状が見られたら認知症を疑った方がいいでしょう。
・同じところをグルグル回る
・飼い主の言うことを聞かなくなる
・日中寝ていて夜に夜鳴きがひどくなる
・家具などにぶつかってばかりいる
・今までできていたことが急にできなくなる
介護が必要にもなるので、当てはまるものがあれば、早めに動物病院で診てもらうようにするといいですね。
介護が必要になった愛犬との過ごし方
シニア世代の中期から後期になると、高齢期となってきます。小型犬は生後14~15年、中型犬は生後12~13年、大型犬は生後10年くらいで人間年齢の70代以降に突入していきます。健康的でいられればいいでしょうが、病気を発症すればこの頃には寝たきりになってしまう可能性もあります。いわゆる老犬介護の時期がやってくるでしょう。
老犬介護で気をつけたいポイントをお話していきます。
●食べもの
自分で立ちあがって食べることができなくなれば、飼い主さんが食べものをお口に入れて食べさせる介護が必要になります。
噛むことが難しくなった愛犬には、食べやすいように水でふやかす工夫もしましょう。状況によっては流動食が必要になることもあります。
いずれにしても、無理強いはせずに、愛犬のペースを見ながら介護をしてあげてくださいね。
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●トイレ
老犬介護では、排泄が自分でできないワンちゃんのお世話も必要になります。体を起こしつつ排泄を促してあげる介護をしてあげましょう。
おむつは蒸れでかぶれやすいので、留守番や夜間だけなど限定して使用しましょう。
高性能ポリマーが尿を瞬間吸収。伸縮バンド仕様で動いても尿のモレを防ぎます。サイドギャザーで横モレをガード。簡単装着できるしっぽ穴付。付け直しが簡単なウエスト調節テープ。表面は白色仕様。
●血行不良を改善する
同じ姿勢でずっと横になっていると血行が悪くなります。老犬を介護するときには、
ときどきマッサージをして血行不良を改善してあげることがおすすめです。血行が悪くなると、内臓の病気にも繋がります。老犬介護ではスキンシップも兼ねて、マッサージを日課にしましょう。
●呼びかけに応じてあげる
寝たきりで介護が必要になった犬は、とても大きな不安を抱えています。今までは自分の足で飼い主さんのそばに行くことができたのに、動けないことで鳴いてアピールすることも多くなります。寂しいがゆえの夜鳴きも増えるかもしれません。少しでも愛犬の寂しさを取り除くには、介護中に呼びかけにできるだけたくさん応じてあげてくださいね。
●床ずれに注意する
ずっと同じ姿勢で寝ていると、部分的に血流が悪くなることで「床ずれ」が起きてしまいます。愛犬にとっては、皮膚が痛みかわいそうなことです。自分で体を動かせない愛犬のため、夜間は数時間起きに体の向きを変えてあげる介護をしましょう。
まとめ
犬は人間よりも小さいため、何歳になっても可愛らしいと思うものです。しかし、人間が考えているよりも早く、体や頭の老化が始まります。赤ちゃんのときの可愛らしい姿に惹かれて購入したとしても、いつしかは介護の時期がやってくることを初めに知っておくといいですね。
いつかはやってくる愛犬の介護ですが、飼い主さんの責任としては犬の老後や介護の知識を持っておくこと、犬が少しでも健やかに生きていられるように環境を整えてあげることなどが大切です。
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