【掲載:2017.09.04 更新:2020.1.23/2024.08.07】
犬の肉球はどんなもの?
一口に犬の肉球と言っても、実は大きく5つの部位に分かれていて、それぞれに名前がついています。
◆犬の肉球の5つの構成
犬の足の裏を見て下さい。
犬の肉球は足の先から以下の5つの構成でできていることが分かります。
- 爪
- 指球=爪が生えているところの4つの肉球
- 掌球=指球の下にある大きな肉球
- 狼爪=掌球の少し下、内側にある小さな爪
- 手根球=狼爪の少し下、真ん中にある1つの肉球
犬の肉球の5つの役割
肉球は、皮膚の角質層と呼ばれる部分が厚くなったものです。
その肉球の役割は大まかに分けて5つあります。
- 足を保護する
- 地面の熱・冷気から守る
- 衝撃吸収する
- ブレーキになる
- 体温調節をする
では、1つずつ順に見て行きましょう。
◆犬の肉球の役割①足を保護する
肉球には、犬の全体重がかかります。
その全体重を支える足を厚くなった肉球が保護する役割をしています。
人間でいう、靴を履いているようなものですね。
産まれたての赤ちゃんの犬の肉球は、とても柔らかくふわふわしています。
歩くようになってくると、肉球がしっかりと硬くなって全体重を支える役割をします。
また、地面の硬い場所を歩いたり、でこぼこ道を歩いたりする機会の多い犬は、肉球が厚く・硬くなっていきます。
反対にお家の中で過ごす時間が多く、お散歩も塗装されている道ばかり通る犬は、肉球が柔らかいままです。
犬の骨格から考えると、犬は人間のようにかかとを付けて歩いていません。
かかとを常に上げて歩くことで、指=肉球に全体重がかかっていますので、犬の肉球はとても重要な役割を果たしています。
◆犬の肉球の役割②地面の熱・冷気から守る
肉球は極度の暑さから・寒さから足を守ってくれる役割を果たします。
肉球は角質層が厚くなっているために、熱が伝わりにくい構造になっています。
そのため少しぐらい暑い場所を歩いてもやけどをしないよう、足を守ってくれています。
また、雪などが降っている寒い場所でも、犬は肉球むき出しで元気に走る事ができます。
それは、肉球の裏を走っている血液の静脈が冷やされてしまっても、すぐそばを流れる動脈によってすぐに血液を温め直す事が可能なためです。この肉球の構造によって、犬は足が冷え切ってしまうことなく雪の上を走る事が出来ます。
◆犬の肉球の役割③衝撃を吸収する
肉球の中でも、爪が生えている4つの指球と真ん中に大きくある1つの掌球は衝撃吸収を行ってくれます。
犬が跳んだり跳ねたりすると、足の関節や骨などに衝撃が行きますが、肉球のお陰で衝撃が緩衝剤となって和らぎます。
人間でも裸足でジャンプするよりも靴を履いてジャンプする方が、体に負担がかからない事を想像するとわかって頂きやすいと思います。
◆犬の肉球の役割④ブレーキになる
普段あまり地面についていない、お腹側にある手球根と呼ばれる肉球は、坂道や滑りやすい場所でのブレーキの役割を果たします。
急に止まらなくてはいけない場面で肉球が無かったら、全身毛で覆われている犬にとっては厳しい動作になります。
肉球がある事によって、滑り止め=ブレーキが利くようになるので、急な方向転換や急な坂道でも機敏な動作をすることができます。
◆犬の肉球の役割⑤体温調節をする
犬の体には人間と違って汗腺(汗をかく場所)がありません。
唯一汗腺がある場所は鼻の頭と肉球の2つです。
人間は汗腺から汗をかく事によって、汗を蒸発させながら気化熱で身体にこもった熱を外へと排出しますが、犬は主にパンティングといって口から舌を出してハァハァと息をすることで熱を外へと排出させます。
パンティングでも追いつかないくらいの暑い場所では、肉球の裏にある汗腺から汗を出します。
また、肉球が乾燥してひび割れないようにするためにも汗をかいて調節します。
その他緊張した時も肉球から汗が出ますので、動物病院に慣れていない犬は、診察台に上ると肉球の汗の形がくっきりと浮かび上がる事もあります。
犬が肉球をなめる理由は?
犬は体やお友達の犬、大好きな飼い主さんをペロペロなめることは頻繁にあります。
しかし、肉球をずっとなめる行動を続けている犬は注意が必要です。
少しの間なら心配する事はありませんが、あまりにも長い時間肉球をなめる行動には理由があります。
その理由は主に5つあります。
- お手入れのため
- 肉球にケガをしているため
- 肉球に不快なものが当たるため
- 皮膚アレルギーがあるため
- ストレス反応のため
では、1つずつ見て行きましょう。
◆犬が肉球を舐める理由①お手入れのため
犬も肉球をお手入れする事があります。
外の散歩で水たまりを踏んでしまって、まだ濡れている毛をふき取って綺麗にしていたり、自分の臭いが気になってペロペロして舐めとっていたり。
少しの時間、肉球を舐めているのは何も問題がありませんが、長時間なめる行動をしていたり、なめる行動をしていた肉球が赤く腫れていたりするなどの場合は、次の2~3の原因を探ってみて下さいね。
◆犬が肉球を舐める理由②肉球にケガをしているため
犬が肉球にケガをしている時、肉球を気にしてしきりになめるようになります。
お散歩最中に肉球がやけどをしてしまっていたり、トゲが刺さってしまっていたり、乾燥で肉球がひび割れてしまっていたりと、肉球にケガがある心当たりはありませんか?
犬がしきりに肉球をなめる行動をしていたら、ケガをしていないかどうか飼い主さんが肉球を観察してみて下さいね。
また、犬の唾液は殺菌作用もあるのですが、あまりにも長時間ケガの部分をなめる行動を続けていると、口内細菌が繁殖して、傷口からバイ菌が入ってしまい、ケガが余計に炎症を起こしてひどくなってしまう事もあります。
肉球がケガをしているのであれば、動物病院に行って指示を仰いでくださいね。
◆犬が肉球を舐める理由③肉球に不快なものが当たるため
犬の指球と掌球の周りは毛で覆われているので、この中に小石などの異物が詰まってしまう事があります。
人間でも靴の中に入った小さな石が気になって歩けなくなるように、犬も肉球の中に不快なものがあっては気になって歩けず、不快さを取り除こうとペロペロなめる事があります。
犬の爪や足の裏の毛が長くなっている場合にも、犬が不快と感じる事があります。
その時も、しきりに爪や肉球をなめる行動をしていたりする時には爪を噛んだりして不快さを取り除こうとします。
飼い主さんは、犬の肉球に何か物が挟まっていないか、毛や爪が伸びすぎていないかをよく観察してくださいね。
犬の肉球に物が挟まっている時には取ってあげて、毛や爪が伸びていた場合は足の裏の毛をバリカンで刈ってあげたり、爪を切ってあげたりして下さいね。
◆犬が肉球を舐める理由④皮膚アレルギーがあるため
犬に皮膚アレルギーがあると、お腹や股,そして肉球の間など皮膚が見えやすい場所にかゆみを伴った赤みや湿疹ができます。
かゆみによって自分でなめる行動をしたり、床にこすりつけたりする行動が見られます。
肉球を気にしてずっとなめる行動をするのは、肉球がかゆいせいなのかもしれません。
アレルギーを起こす物質は犬それぞれ違い、ノミ、ダニ、ハウスダスト、花粉、食べ物などがあります。アレルギーの原因物質は動物病院で血液検査などをして知る事が可能です。
アレルギー物質が判明した際には、そのアレルギーから犬を遠ざける事が発症しない一番の方法です。
また、皮膚アレルギーの場合、肉球のみならず、体全体を見渡すと他の場所も赤くはれていたり発疹が出来ていたりする場合が多いですので、犬をよく観察して動物病院に連れて行くかどうかの判断をしてくださいね。
◆犬が肉球を舐める理由④ストレス反応のため
人間がストレスを感じている場合、知らず知らずのうちに貧乏ゆすりをしたり、爪を噛んでしまったりという反応があります。
これと同様に犬もストレスを感じていると、肉球をなめるという反応が出る場合があります。
犬だってストレスがたまる時があります。例えば、急な引っ越しで環境が変わってしまったり、飼い主さんが忙しくてかまってくれなかったり、お散歩を毎日してあげなかったり、外から騒音が聞こえるなど。
ちょっとの変化で飼い主さんは気づかないかもしれませんが、五感が優れている犬だからこそ、日々のちょっとした変化が犬にストレスをかけてしまう原因になっている可能性もあります。
ストレスが溜まっているかもと感じた場合、対処方法は「ストレスを発散してあげる」事。
犬にとって一番嬉しい事は、飼い主さんと一緒に遊べる事です。
散歩に行って思いっきり体を動かしてストレス発散をさせてあげて下さいね。
犬の肉球がひび割れている原因は?
犬の肉球を見た時、カサカサしてひび割れていることはありませんか?
子犬の頃は、ぷにぷにして弾力があって柔らかかった肉球がひび割れてしまう原因は、主に3つです。
◆犬の肉球がひび割れている原因①加齢による変化
犬も年齢を重ねると、肉球が硬くなるのは当然の事です。
人間の足の裏を想像して頂ければわかりますが、赤ちゃんの時は弾力があってぷりぷりとしたかかとをしていますが、おじいちゃん・おばあちゃんになると長年全体重を足に載せて歩いているために、かかとは硬くガサガサになります。
年齢と共に体内の水分含量も減ってきますので、硬くなった肉球が多少ひび割れてくる事もあります。
犬自身がひび割れた肉球を気にしていなかったり、ひび割れている肉球部分が赤くはれたり血が出ていたりという変化が無ければそのまま様子を見てもらって構いません。
◆犬の肉球がひび割れている原因②お散歩コース・時間が原因
愛犬のお散歩コースはどのような道をしていますか?
土、砂利、コンクリート、アスファルト、舗装されていないでこぼこ道…など、散歩道にも様々な道路がありますね。
犬の肉球は、犬の全体重を受け止めるクッション材の役割を果たしています。
本来犬が住んでいた場所では土や草が生えた道が多く、現代社会のようにコンクリートやアスファルトなどの硬い地面ではありません。
この硬い地面をずっと歩き続けている犬は、肉球に負担がかかり、ガサガサしてひび割れてきてしまいます。
特に、真夏の暑い時間にお散歩をされた犬は、肉球がやけどをしてしまい、余計ひび割れを起こす原因になります。
いつも硬いコンクリートやアスファルトを歩かせている,真夏に暑い中お散歩をしていると思い当たる節がある方は、お散歩コースや時間を変えてみてはいかがでしょうか。
◆犬の肉球がひび割れている原因③夏の気温が原因
夏になると、人間は汗をかいて体温調節をします。
犬は、口から舌を出すパンティングをして体温を下げたり、唯一の汗腺がある肉球から汗を出して体温を下げようとします。
夏には、肉球から汗をだす事が多くなるため、汗が蒸発した後は肉球の水分も一緒に奪われてカサカサと乾燥しがちになってしまいます。
ガサガサになった肉球のおすすめケア方法
肉球がガサガサしている状態は、人間の足の裏があかぎれを起こしていたり、ひび割れて出血をしてしまっている状態に似ています。
そのような状態で歩くのはとても痛くて、散歩も嫌になってしまいますよね。
特に老犬になった子では散歩を嫌がってしまうと、足腰の筋力の衰えが激しくなり、そのまま寝たきりの状態へ一直線…何てこともあります。
ずっと元気で散歩して欲しい犬には、歩くのに重要な役割を果たす肉球のケアは欠かせません。
おすすめの肉球ケアはこの2つです。
◆肉球のケア方法①肉球専用クリームを塗る
ペットショップやトリミングサロンでは、肉球専用のクリームが販売されています。
人間でもカサカサのかかとにクリームを塗るように、犬でも同じように肉球にクリームを塗ってあげます。
そうすると、水分蒸発が抑えられてひび割れていた肉球がぷるぷるの肉球に戻ってくれますよ。
肉球専用クリームは、犬が肉球を舐めてしまう事も考えて、口に入れても大丈夫な成分で作られているので安心ですね。
肉球専用クリームが気になって全て舐めてしまう犬には、クリームを塗った後、肉球から気をそらすために遊んであげるとかオヤツをあげるなどしたほうが、成分がより肉球に留まって浸透しやすくなりますよ。
◆肉球のケア方法②硬い地面を避ける
コンクリートやアスファルトなど、硬い地面では犬の肉球に負担をかけてしまいます。
肉球のケアをするために、しばらくはコンクリートやアスファルトなどを避け、土や草が生えている公園などをお散歩コースにしてみましょう。
柔らかい地面なら、肉球にかかる負担を軽減してくれます。
肉球のやけどを避けるためにも夏の暑い時間をさけてお散歩するのも重要ですよ。
長い記事を読んでくださってありがとうございました。
あなたとその隣にいる愛犬がもっともっと両想いで幸せになりますよう、願っています!
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